- 不動産鑑定士とは、不動産の適正な経済価値を判定するプロ
- 試験は短答式と論文式の2段階で全体の合格率は5%前後
- 年収の中央値は755万円
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浜崎編集長
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不動産鑑定士は、不動産の価値を適正に鑑定するための資格です。不動産を所有する方の「売りたい」「貸したい」「明け渡したい」というニーズに応え、コンサルティングを実施します。
不動産の価値は時代・情勢に応じて変化するものです。そのため、専門的な知見を持ったプロの目線を通じたうえでないと、適正な取引が実施できません。
今回は不動産鑑定士とはどのような資格なのか、受験資格や合格率、資格試験についての概要から紐解いてみましょう。業務内容や年収など、実際に不動産鑑定士として働くうえで知っておきたい内容も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
\編集部が徹底比較/
不動産鑑定士とは
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不動産鑑定士は取得している人数も少なく、稀少価値のある資格といえます。鑑定の対象となる不動産の価値は景気に左右されないため、メリットの多い不動産関連の資格といえるでしょう。
ここでは、不動産鑑定士の受験資格と近年の合格率について解説します。
不動産鑑定士の受験資格
不動産鑑定士の資格試験には、受験資格がありません。国家資格を取得する必要があるものの、受験料さえ支払えば誰にでも受験可能です。
ただし、不動産鑑定士の試験は「短答式」と「論文式」の2段階で行われることを覚えておきましょう。短答式に合格しなければ論文式は受験できません。
不動産鑑定士は受験資格こそないものの、取得するには2つの試験にパスする必要があることは覚えておきましょう。
不動産鑑定士の合格率
過去の不動産鑑定士の合格率は以下の通りです。まずは短答式から見てみましょう。
短答式の合格率
開催年 | 合格率(%) | 受験者(名) | 合格者(名) |
2018年 | 32.5 | 1,613 | 524 |
2018年 | 33.4 | 1,751 | 584 |
2019年 | 32.4 | 1,767 | 573 |
2020年 | 33.1 | 1,415 | 468 |
2021年 | 36.3 | 1,709 | 621 |
短答式の合格率は全体を通して約30%ほどで、決して高い数値ではありません。しかし、受験者数が多いことから、ニーズの高い資格であるといえます。続いて論文式の合格率です。
論文式の合格率
開催年 | 合格率(%) | 受験者(名) | 合格者(名) |
2018年 | 14.5 | 733 | 106 |
2018年 | 14.8 | 789 | 117 |
2019年 | 14.9 | 810 | 121 |
2020年 | 17.7 | 764 | 135 |
2021年 | 16.7 | 809 | 135 |
全体的な合格率は15%前後と、短答式よりも低い数値です。
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とはいえ、公認会計士や弁護士などと比べると合格率は高い傾向にあります。そのため、受験資格なしで専門的な資格を取得できると考えれば、メリットもあるといえるでしょう。
不動産鑑定士の資格を取得するには?
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ここでは不動産鑑定士試験の申し込み方法や受験料について解説します。試験が実施される日程や開催地、試験内容についても解説するので参考にしてください。
不動産鑑定士試験の申込方法・受験料
不動産鑑定士試験の申込方法には、電子申請と書面申請の2種類があります。
電子申請は12,800円、書面申請は13,000円で申し込み可能です。どちらも短答式・論文式2種類の試験を含んだ受験料です。
なお電子申請は国土交通省のホームページから申請できます。対して書面申請は、国土交通省の土地鑑定委員会事務局に書類を提出しなければなりません。
2023年度に開催される不動産鑑定士試験の申し込み期間は以下の通りです。
- 電子申請→2023年2/9日(木)〜3/10(金)
- 書面申請→2023年2/9日(木)〜3/10(金)
不動産鑑定士の受験を検討している方は、上記を参考に次回の試験に間に合うよう準備しておきましょう。
不動産鑑定士の試験実施日・開催地
2023年度における不動産鑑定士の試験実施日は以下となります。
試験方式 | 実施日 |
短答式 | 2023年5/21(日) |
論文式 | 2023年8/5(土)〜2023年8/7(月) |
なお短答式の合格発表は2023年6/28(水)の予定で、論文式は2023年10/20(金)の予定です。
また試験開催地についてですが、短答式と論文式とで異なるので注意してください。
試験方式 | 開催地 |
短答式 | 東京都・大阪府・福岡県・北海道・宮城県・新潟県・愛知県・広島県・香川県・沖縄県 |
論文式 | 東京都・大阪府・福岡県 |
短答式は各地域で開催されますが、論文式が開催される地域は3つに限定されています。そのため、論文式の受験には長距離の移動が必要になることを覚えておきましょう。
不動産鑑定士の試験内容
不動産鑑定士の試験は、短答式・論文式それぞれに科目が異なります。
試験方式 | 試験科目 | 合格基準 |
短答式 | ・午前:不動産に関する行政法規 ・午後:不動産の鑑定評価に関する理論 | 総合点の約7割 |
論文式 | ・1日目午前:民放 ・1日目午後:経済学 ・2日目午前:会計学 ・2日目午後、3日目午前:不動産の鑑定評価に関する理論 ・3日目午後:不動産の鑑定評価に関する理論(演習) | 総合点の約6割 |
短答式はすべてマークシート形式で、5肢択一形式をとっています。論文式は記述式です。それぞれの形式を把握したうえで、試験対策を実施しましょう。
不動産鑑定士の業務内容
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不動産鑑定士は、独占業務ともいわれる「不動産鑑定評価」と「コンサルティング」の2つを主な業務として活動します。
以下では、それぞれの業務についての詳細を解説します。
不動産鑑定評価
不動産鑑定評価は、不動産鑑定士のみが実施できる独占業務です。土地・建物のもつ経済価値を、地理的状況や市場経済、法規制の観点で評価します。
その後上記の観点で評価した内容を考慮し、鑑定評価額を決定します。決定した鑑定評価額を「不動産鑑定評価書」というレポートにまとめるまでが、不動産鑑定評価の業務です。
コンサルティング
顧客がもつニーズに応じて、不動産の鑑定評価に基づいたアドバイスを実施します。不動産鑑定評価の業務を実施したうえでのアドバイスになるため、信憑性の高い内容が期待されます。
不動産鑑定士のコンサルティング業務は、個人・企業どちらも対象です。また、国内・海外問わずさまざまな規模・種類の不動産を対象に実施できます。
不動産鑑定士としての働き方
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ここでは、企業・独立双方の視点からみた不動産鑑定士の働き方について解説します。
企業内鑑定士
不動産鑑定士の資格を取得すれば、不動産会社や鑑定事務所などさまざまな場所で活躍できます。コンサルティング会社や金融機関など、不動産の枠に捉われないジャンルの企業に勤めることも可能です。
企業で不動産鑑定士として勤める場合、一般的な不動産鑑定以外にもさまざまな業務にチャレンジできます。例えば不動産関連の開発・管理や企画などが挙げられます。
また、金融機関の融資に関する相談や鑑定評価、不動産運用に関する相談なども業務範囲内です。
勤める企業によって業務の選択肢が変化し、かつ幅広い選択肢があるということに企業内鑑定士の魅力があります。
独立開業
企業内鑑定士の業務を通じ、自分なりのノウハウを身につけた段階で独立開業する方も多いでしょう。都内で勤務したうえで、地方に移り住んで不動産鑑定士として活動する方もいます。
近年はU・Iターンの需要も高まっているため、最初から地方での独立開業を想定している不動産鑑定士の方も多いでしょう。また地方には不動産鑑定士の数自体が少ないため、自分のもつスキルを地域活性化に活かすことも可能です。
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不動産鑑定士の業務と関連する分野の有資格者と協力することで、不動産鑑定士の資格だけでは獲得できない仕事を取得できる可能性もあるでしょう。
不動産鑑定士の平均年収
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不動産鑑定士の平均年収は、755万円が中央値とされています。ここでは、不動産鑑定士の平均年収について、その傾向を見ていきましょう。
年齢によって年収は上がる傾向にある
まずは、年代別に不動産鑑定士の平均年収をご紹介します。あくまで平均的なものになるため、参考程度にご覧ください。
年齢 | 平均年収の傾向 |
20代 | 500万円代 |
30代 | 600〜700万円代 |
40代 | 800万円代 |
50代 | 900〜1,000万円代 |
不動産鑑定士は、年齢が上がるほど年収も高くなる傾向にあります。また、20代の段階で一般企業の平均年収より高いのが特徴です。
男女で若干差はあるものの決して低い年収ではない
不動産鑑定士の平均年収は、男女でも若干の差があります。民間給与実態統計調査を確認すると、不動産鑑定士の平均年収は性別で以下の違いがありました。
- 男性→約755万円
- 女性→約669万円
男性と比べると女性の年収は低めですが、年収として決して低い金額ではありません。
不動産鑑定士の平均年収は働き方によっても異なる
不動産鑑定士の働き方には、企業鑑定士と独立開業の2種類があります。それぞれ平均年収が異なるため、以下で傾向を見てみましょう。
働き方 | 平均年収の傾向 |
企業鑑定士 | 約300〜1,250万円 |
独立開業 | 約700〜1,500万円 |
上記を見ると、独立して専門的なスキルを遺憾無く発揮することで、より高い年収を実現できるといえます。
他の資格と比べても平均年収は高い傾向にある
不動産鑑定士は資格取得が困難かつ、専門的なスキルを要する資格です。そのため、他の資格と比較しても高い年収を得られる傾向にあります。
不動産鑑定士の中央値を755万円と想定し、不動産鑑定士と他の資格を比較してみましょう。
資格名 | 平均年収の傾向 |
建築士(一級) | 約500〜600万円 |
公認会計士 | 約650万円 |
弁護士 | 約700万円 |
取得が困難なイメージのある弁護士よりも、不動産鑑定士の平均年収が高いことに驚いた方もいるかもしれません。不動産鑑定士は地方でも高収入を得られるため、年収の視点では非常にメリットのある資格といえます。
不動産鑑定士で高年収を達成するには?
不動産鑑定士の平均年収は、企業鑑定士か独立開業かで大きな差が生じます。年齢によっては1,000万円近くの年収を取得できますが、それ以上の年収を望む場合は働き方を変える必要があるでしょう。
より高い平均年収を目指すのであれば、やはり独立開業を選択するのがおすすめです。
独立したうえで従業員を雇い、会社として成長させることで、平均年収以上の収入が期待できるでしょう。
不動産鑑定士の将来性は?
高収入が期待できる不動産鑑定士ですが、残念ながら地方での仕事は減少傾向にあります。都心部では安定して仕事があるものの、市場規模が決して大きい仕事ではありません。
浜崎編集長
ただし、不動産鑑定士の業務であるコンサルティングに関しては、相続案件の件数が増加傾向にあります。
将来性を考えるのであれば高年収ではなく、安定性を重視してコンサルに特化した不動産鑑定士として活動する選択肢もあるでしょう。
不動産鑑定士は、近年懸念されているAIによる影響はそこまで問題視されていません。不動産鑑定はあくまでプロの視点で判断したリアルな結果が重要です。顧客にとってもAIで自動化された鑑定結果はニーズがないでしょう。
AIの影響はまだ懸念されていないものの、不動産鑑定士に求められるスキルが変化する可能性は十分に考えられます。
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まとめ
今回は、不動産鑑定士という資格に関する疑問を解消していきました。不動産鑑定士の受験資格や合格率、申し込み方法や受験料などについて解説しています。
専門的な知識を要する不動産鑑定士は合格率が低い反面、一般企業よりも平均年収が高い傾向にあります。年代や性別のよって開きはあるものの、企業内鑑定士でも十分な収入を得られるでしょう。
地方での仕事は都会と比べて多くはないものの、AIの導入による懸念も少ない仕事といえます。市場ニーズをしっかり把握しておけば、安定した仕事・年収を獲得できる資格といえるでしょう。
今回の内容をきっかけに、不動産鑑定士の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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