- 人口減少と賃貸経営のコスト面から売却の方がラク
- リスクを加味すると売却した方がお得なケースが多い
- 賃貸なら長期的な目線で判断すること
マンション売却を検討している人の中には売却以外に「賃貸」を検討している人もいるでしょう。 そのような人はマンション売却と賃貸のどちらが良いのか?と悩んでいる人も多いと思います。
そこでこの記事ではマンションは売却と賃貸どっちがお得なのか?という点について、メリット・デメリットを比較していきます。 そのメリット・デメリットを理解することで、自分の場合はマンションを売却した方が良いのか、賃貸した方が良いのかが分かってくるでしょう。
マンションは売却した方がお得なケースが多い
結論からいうとマンションは売却した方がお得なケースが多いです。 その理由は主に以下2点になります。
- 2020年東京オリンピックでマンション価格がピークと予測できる
- 日本の人口減少と賃貸経営のコスト面から売却の方がラク
2020年東京オリンピックでマンション価格がピークと予測できる
1つ目の理由は2020年東京オリンピックでマンション価格がピークと予測できるからです。 日本不動産研究所の資料によるとマンション価格は2020年がピークと予測しています。 もちろんマンション価格は誰にも予測できませんが、事実として2019年のマンション価格や契約率などは以下の状況です。
- 年間供給は前年より15.9%減少
- 初月契約率は62.6%(前年比ほぼ横ばい)
- 平均価格は5,980万円(前年比1.9%上昇)
- 平米単価は7年連続アップの87.9万円(前年比1.2%上昇)
このように供給数が下がっているにも関わらず、契約率は好不調の境目である70%を大きく下回っています。 つまり、2019年時点でも価格が高くて消費者マインドが追い付かなくなっている…という状況です。これは中古マンションでもほぼ同じ現象が起きています。
言い換えると2020年はマンションが高い水準で売却できるギリギリのタイミングといえるので、価格が下がる前にマンションは売却した方がお得という結論になります。
日本の人口減少と賃貸経営のコスト面から売却の方が楽
2つ目の理由は日本の人口減少と賃貸経営のコスト面から考えると、マンション売却の方が楽だからです 総務省統計局の資料によると日本の人口は2005年から減少しつづけており、それは2020年以降もつづくと予測されています。
賃貸経営の収入源は賃借人からもらう家賃なので、人口が減少することで賃借人が減り家賃収入は不安定になる可能性があります。 また賃貸経営には固定資産税や管理委託費用などのランニングコストがかかります。
事務員
浜崎編集長
居住用の税制優遇がなくなる
マンションを売却するのではなく賃貸にする4つ目のデメリットは、居住用の税制優遇がなくなる点です。 特に3,000万円の特別控除を利用できないのは大きなデメリットといえます。
3,000万円の特別控除とはマンション売却時の譲渡所得(売却益)を3,000万円控除できる制度です。 そもそもマンションを売却して利益が出たときは、その利益に対して譲渡所得税がかかります。
しかし3,000万円の特別控除を利用することができれば、譲渡所得が3,000万円以下なら譲渡所得はゼロ円になるのです。 ただ、この3,000万円の特別控除は自己居住用の不動産を売却したときしか適用できません。
結局マンションは売却と賃貸どっちが良いの?メリット・デメリットで比較
ここまででマンションを売却するのではなく賃貸にするメリット・デメリットが分かったと思います。 最後に結局マンションは売却と賃貸どっちが良いのか?という疑問に答えるため、以下の比較表を作成しました。
比較項目 | 売却 | 賃貸 |
手間や リスク | ○売却すれば終わり | ×赤字リスクや手間が かかる |
ランニングコスト | ○売却すえばランニングコストなし | ×ランニングコストが 発生しつづける |
税制優遇 | ○問題なし | ×利用できない制度 も出てくる |
節税効果 | △3,000万円の特別控除などは適用できる | ○高い(減価償却費用による節税) |
継続的な 収入 | ×得られない | ○得られる |
将来の有効活用 | ×特になし | ○住むことが可能 |
マンションを売却する大きなメリットはランニングコストがかかるリスクや、赤字運営になるリスクなど、マンションを所有することで発生するリスクが特にないことです。
一方マンションを賃貸するメリットは、上手く経営できれば不労所得になる点です。 上記の表でそれぞれのメリット・デメリットを比較し、最終的にマンションを売却するか賃貸するかの判断材料にしてください。
マンションは売却と賃貸のメリット・デメリットを理解して決めよう!
このようにマンションは売却・賃貸それぞれにメリット・デメリットがあります。 ただ色々なリスクを加味すると、売却してしまった方がお得なケースが多いでしょう。
やはり今後の人口減などを考えると、賃貸はリスクが大きいのも事実です。 そのため仮に賃貸にするなら長期的スパンでみて「収益を上げつづけられる可能性が高い」と判断したときだけにした方が良いです。
つまり人口減少していくことで賃料収入が不安定になりながらも、ランニングコストを計算して収益をあげつづける…という難易度の高い経営が必要なのです。
事務員
浜崎編集長
マンション売却ではなく賃貸にするメリット
前項でマンションは売却と賃貸であれば、売却を選択した方が無難であることが分かったと思います。 次は逆にマンション売却ではなく、賃貸にするメリットは何か?という点を解説します。
賃料収入(不労所得)が毎月得られる
マンションを売却するのではなく賃貸にする1つ目のメリットは、毎月「賃料収入」という不労所得を得られる点です。 マンションの賃貸経営は賃借人の募集やクレーム対応など、管理業務全般を管理会社に委託できます。
経費計上できる項目が多いので節税効果が高い
マンションを売却するのではなく賃貸にする2つ目のメリットは、賃貸経営する上で以下のような費用を経費計上できるので節税効果が高い点です。
- ローン返済額(利息部分のみ)
- 固定資産税や都市計画税
- 賃借人が退去したときの原状回復費用
- 管理委託手数料
- 火災保険料や地震保険料
- 管理費や修繕積立金(区分所有時)
- 共用部の修繕費用(一棟投資時)
- 税理士への報酬
- 減価償却費用
特に減価償却費用は「建物の取得費用」の一部を毎年経費として計上できます。 そして減価償却費用は高額になりやすく、実際に支払っているローン返済額よりも高くなることも多いのです。
不動産所得は総合課税なのでほかの所得と合算ができる
マンションを売却するのではなく賃貸にする3つ目のメリットは不動産所得は総合課税なのでほかの所得と合算でき、節税につながるという点です。 これは前項の減価償却費用が深く関係してきます。
減価償却費用は建物取得費用の一部を経費計上できる費用なので、そのお金が実際に手元資金からなくなっているわけではありません。 つまり、実際は支払っていないお金を経費計上しているということです。 言い換えると「実際は黒字なものの会計上は赤字」という状態になることがあります。
たとえば本当は手元に年間30万円の家賃収入が残るものの、減価償却費用を経費計上したら、収益はマイナス20万円になったとしましょう。 不動産所得は総合課税なので、その「マイナス20万円」は給与所得や事業所得から差し引くことができ、結果的に節税につながるということです。
将来住むこともできる
マンションを売却するのではなく賃貸にする4つ目のメリットは、将来住むこともできる点です。 自分の保有する物件に住めば、賃貸物件を借りるときに必要な敷金・礼金・仲介手数料などは不要になります。
マンションを売却するのではなく賃貸にするデメリット
前項でマンションを売却するのではなく賃貸したときのメリットが分かったと思います。 一方で賃貸にするデメリットもあるので、その点もしっかり理解しておきましょう。
空室と家賃が下がるリスクがあるので安定した収入とは言い難い
マンションを売却するのではなく賃貸にする1つ目のデメリットは、空室と家賃下落リスクがある点です。 賃貸経営をしていると特に3月・9月は退去が多く、一時的に空室になるリスクがあります。
空室なれば収入はゼロになるので支出額によっては赤字リスクがあるのです。 また建物は経年劣化していくので、家賃は基本的に築年数が経過するごとに下がっていきます。
経年劣化するので修繕などのランニングコストがかかる
マンションを売却するのではなく賃貸にする2つ目のデメリットは、建物に関する修繕コストがかかってくる点です。 上述したように建物は経年劣化するので、以下のような修繕コストがかかってきます。
- クロスやフローリングの張り替え
- 給湯器などの水まわり設備の入れ替え
- 外壁など共用部の修繕費用
上記も経費として織り込む必要がありますが実際にどのくらい経年劣化するかは分かりません。 そのため想定よりもコストがかかってしまうリスクもあり、それは赤字リスクにつながります。
住宅ローンを組んでいる場合金融機関と相談が必須
マンションを売却するのではなく賃貸にする3つ目のデメリットは、住宅ローンを組んでいる場合は金融機関と相談する必要がある点です。
というのも住宅ローンはあくまで「自己居住用」の不動産を取得するためのローンであり、賃貸(投資用)不動産を取得するためのローンでないからです。 そのため大半のケースでは住宅ローンから不動産投資ローンの切り替えを求められます。
事務員
浜崎編集長
居住用の税制優遇がなくなる
マンションを売却するのではなく賃貸にする4つ目のデメリットは、居住用の税制優遇がなくなる点です。 特に3,000万円の特別控除を利用できないのは大きなデメリットといえます。
3,000万円の特別控除とはマンション売却時の譲渡所得(売却益)を3,000万円控除できる制度です。 そもそもマンションを売却して利益が出たときは、その利益に対して譲渡所得税がかかります。
しかし3,000万円の特別控除を利用することができれば、譲渡所得が3,000万円以下なら譲渡所得はゼロ円になるのです。 ただ、この3,000万円の特別控除は自己居住用の不動産を売却したときしか適用できません。
結局マンションは売却と賃貸どっちが良いの?メリット・デメリットで比較
ここまででマンションを売却するのではなく賃貸にするメリット・デメリットが分かったと思います。 最後に結局マンションは売却と賃貸どっちが良いのか?という疑問に答えるため、以下の比較表を作成しました。
比較項目 | 売却 | 賃貸 |
手間や リスク | ○売却すれば終わり | ×赤字リスクや手間が かかる |
ランニングコスト | ○売却すえばランニングコストなし | ×ランニングコストが 発生しつづける |
税制優遇 | ○問題なし | ×利用できない制度 も出てくる |
節税効果 | △3,000万円の特別控除などは適用できる | ○高い(減価償却費用による節税) |
継続的な 収入 | ×得られない | ○得られる |
将来の有効活用 | ×特になし | ○住むことが可能 |
マンションを売却する大きなメリットはランニングコストがかかるリスクや、赤字運営になるリスクなど、マンションを所有することで発生するリスクが特にないことです。
一方マンションを賃貸するメリットは、上手く経営できれば不労所得になる点です。 上記の表でそれぞれのメリット・デメリットを比較し、最終的にマンションを売却するか賃貸するかの判断材料にしてください。
マンションは売却と賃貸のメリット・デメリットを理解して決めよう!
このようにマンションは売却・賃貸それぞれにメリット・デメリットがあります。 ただ色々なリスクを加味すると、売却してしまった方がお得なケースが多いでしょう。
やはり今後の人口減などを考えると、賃貸はリスクが大きいのも事実です。 そのため仮に賃貸にするなら長期的スパンでみて「収益を上げつづけられる可能性が高い」と判断したときだけにした方が良いです。