- 管理業務主任者はマンション管理業には必須の国家資格
- 計画的に勉強を進めれば、初学者でもじゅうぶん合格できる
- マンションがある限り管理業務は必要ですので、管理業務主任者は需要の高い資格と言える
マンションを管理するときに必要となる「管理業務主任者」は宅建士やマンション管理士と並ぶ不動産三大資格のひとつです。ふだんの業務はもちろん、転職の際や老後のセカンドキャリアの形成にも役立つため、取得したいと思う人は多いでしょう。
この記事では管理業務主任者について、その内容や試験概要、必要となるおおよその学習期間、ほかの資格との違いを解説します。資格取得の参考にしてください。
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国家資格の管理業務主任者とは
管理業務主任者とはマンション管理業者が管理組合への指導・重要事項の説明などを行う際に必要となる資格です。管理業務主任者を名乗るには、管理業務主任試験に合格し、登録後、管理業務主任者証の交付を受けなければなりません。
2020年(令和2年)の申し込み・受付は終了
管理業務主任者の試験は年1回、12月に実施されます。まずは申込書の取り寄せをしましょう。申込書の取り寄せ方法は7月上旬までに協会のホームページなどに掲載されます。協会の本部・支部、国土交通省(各地方整備局等を含む)、都道府県や政令指定都市で配布されるほか、郵送で取り寄せることも可能です。
受験申請書の受付期間は9月上旬~10月上旬です。受験料をあらかじめ振り込んだうえ、期間内に郵便窓口から特定記録郵便で郵送する必要があります。郵便ポストからの郵送では受け付けられませんので注意が必要です。インターネット申し込みには対応していません。
2020年(令和2年)度の試験は12月6日に実施されました。申込者は全国で18,997人、合格者は2021年1月22日に発表されます。例年どおりですと2021年(令和3年)度の管理業務主任者試験も12月に行われるはずです。
年に1回しかない試験なので忘れないようしましょう。例年通りなら、2021年の9月上旬から受験の受付がスタートします。
管理業務主任者の年収や仕事内容、将来性について
では実際に管理業務主任者はどのような仕事をするのか、年収や将来性も含めて見ていきましょう。
管理業務主任者の年収は300万円~500万円
管理業務主任者の年収は一般的な会社員と同じくらいの水準である300万円~500万円といわれています。これは管理業務主任者が管理業務会社などの企業に勤めて仕事をするのが一般的だからです。
管理業務主任者の主な仕事内容
管理業務主任者の主な仕事内容は次のとおりです。
- 管理委託業務に関する重要事項の説明
- 管理組合などに対して行う管理事務の報告
- マンションの設備や組合運営に関するマネジメント
管理組合に対して行う重要事項の説明や管理事務の報告などは管理業務主任者だけができる業務(独占業務)です。管理組合では対応できないマンション管理を、幅広い専門知識でサポートします。
いわゆる「マンション管理」に関する全般が管理業務主任者の主な仕事だね。
独立開業の道が開けるうえ、需要も高い資格なので将来性もある
マンション管理業者が業務を営む際には管理業務主任者を一定数設置する義務があります。したがって管理業務主任者はマンションが存在する限り必要とされる資格といえます。
国土交通省のデータによると、現在のマンションストック総数は約665.5万戸(令和元年末時点)です。その数だけマンションの管理組合や管理会社が存在すると考えると、管理業務主任者の需要と将来性は高いといえるでしょう。
管理業務主任者は管理会社に勤務する形が一般的ですが、独立開業の道もあります。まずは就職した会社で管理業務主任の資格を活かして経験を積みましょう。同業他社へ転職するのもいい経験になります。経験を十分に積んでから独立し、マンション管理会社を立ち上げるという流れです。
その際にはマンション管理士の資格を取得しておくとよりスムーズです。管理業務主任者とマンション管理士のダブルライセンスがなぜ良いのかについては次で詳しく解説します。
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マンション管理士と管理業務主任者の違い
マンションの運営・管理に関する資格として、管理業務主任者のほかにマンション管理士があります。両方取得する人も多いマンション管理士と管理業務主任者の違いと、両方取得したほうがよい理由を説明します。
マンション管理士とは
マンション管理士は管理組合の指導・サポートのほか、マンション所有者の生活相談にも対応するマンション管理の専門家です。主な業務内容は次のとおりです。
- マンションの管理規約および使用細則の作成
- 大規模修繕計画の策定
- 区分所有者間のトラブル解決へ向けた予備交渉
- マンション管理に関する住民相談受付
管理会社会社の社員である管理業務主任とは異なり、マンション管理士は管理会社の監督を行ったり住民に助言をしたりする、住民視点のコンサルタントです。コンサルティング業務は資格を持たずとも可能なうえに独占業務もありませんが、マンション管理士以外の人がマンション管理士を名乗ると罰金規定があります。
両者とも学習内容が重複するためダブルライセンスの取得がおすすめ
マンション管理士と管理業務主任は学習内容が重複する部分があるため、両方の取得がおすすめです。マンション管理士の試験に合格すれば、管理業務主任者試験で一部(5問程度)の試験問題が免除されます。試験が一部免除されるだけでなく、ダブルライセンスは実際の業務にも役に立ちます。住民側に立ってコンサル業務をおこなうマンション管理士と管理会社の社員として業務を行う管理業務主任者には違いはあるものの、マンション管理業務を行うという点については同じです。
管理業務主任者の資格取得難易度
管理業務主任者の合格率は約20%~30%です。この数字は国家資格の中では高い数字です。管理業務主任者の資格取得難易度を確認しましょう。
平成26年~令和元年までの管理業務主任者の合格率
平成26年~令和元年までの受験者数と合格者数、および合格率と合格基準点は次のとおりです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準点 |
令和元年 | 15,591名 | 3,617名 | 23.2% | 34問 |
平成30年 | 16,249名 | 3,531名 | 21.7% | 33問 |
平成29年 | 16,950名 | 3,679名 | 21.7% | 36問 |
平成28年 | 16,952名 | 3,816名 | 22.5% | 35問 |
平成27年 | 17,021名 | 4,053名 | 23.8% | 34問 |
平成26年 | 17,444名 | 3,761名 | 21.0% | 35問 |
国家資格のわりに合格率は20%~30%とやや高め
上の表からわかるとおり管理業務主任者試験の平均合格率はおおむね20%台です。相対評価で合格が決まるため、毎年合格基準点は変動するものの、おおむね33点~36点前後が合格ラインです。
難易度が高いと言われているマンション管理士と宅建で合格率を比較
では、マンション管理士と宅建で合格率を比較してみます。
【マンション管理士】
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準点 |
平成30年 | 12,389名 | 975名 | 7.9% | 38点 |
平成29年 | 13,037名 | 1,168名 | 9.0% | 36点 |
平成28年 | 13,737名 | 1,101名 | 8.0% | 35点 |
平成27年 | 14,092名 | 1,158名 | 8.2% | 38点 |
平成26年 | 14,937名 | 1,260名 | 8.4% | 36点 |
【宅建士】
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準点 |
平成30年 | 213,993名 | 33,360名 | 15.59% | 35点 |
平成29年 | 209,354名 | 32,644名 | 15.59% | 37点 |
平成28年 | 198,463名 | 30,589名 | 15.41% | 35点 |
平成27年 | 194,926名 | 30,028名 | 15.40% | 31点 |
平成26年 | 192,029名 | 33,670名 | 17.53% | 32点 |
マンション管理士の平均合格率は7~9%です。管理業務主任者と比較するとかなり難しくなります。管理業務主任者試験に合格している場合は50問中5問が免除される制度があります。先に難易度のやさしい管理業務主任者を受験して、合格してからマンション管理士試験に挑戦する人も少なくありません。
一方宅建士の平均合格率は15~17%です。受験者数、合格者ともにけた違いに多いことがわかります。この2つの表から管理業務主任が不動産三大資格のなかでもっとも難易度が低いことがわかるでしょう。
なるほど!じゃあ私も管理業務主任を受けてみようかな。
比較的易しいとはいえ、マンション管理士や宅建士に比べて…という意味なので、もちろん勉強しない合格できないよ!
管理業務主任者は独学でも受かる?試験概要や必要な勉強時間
管理業務主任者の難易度がわかったところで、ここからは独学でも合格できるのか、どんな内容でどのくらいの勉強時間が必要なのかを解説します。
管理業務主任者の試験概要
まずは管理業務主任者の試験概要を紹介します。試験は年に1回ですので忘れないように注意しましょう。
試験日程 | 12月上旬 |
願書申し込み受付期間 | 9月上旬~10月上旬ごろ |
受験地 | 北海道、宮城、東京、愛知、 大阪、広島、福岡、沖縄 |
受験料 | 8,900円(非課税) |
合格発表日 | 1月中旬頃 |
試験内容 | ① 管理事務の委託契約に関すること ② 管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに 出納に関すること ③ 建物及び附属施設の維持又は修繕に 関する企画又は実施の調整に関すること ④ マンションの管理の適正化の推進に関する 法律に関すること ⑤ 前各号に掲げるもののほか、管理事務の 実施に関すること |
受験申込・問合せ | 一般社団法人 高層住宅管理業協会 03-3500-2720 |
資格取得に必要な目安時間は300時間
業務管理主任者取得のために必要な勉強時間は目安として300時間ほどといわれています。不動産についての知識がない人や法律の勉強は初めてという人、資格試験の勉強に慣れていない人などはもう少し時間に余裕を見ておくほうがいいかもしれません。たとえば平日は1日2時間、土日は1日3時間すると仮定すると5か月ほどの期間がかかります。
独学でも合格することは可能だが、通信講座を利用するのがおすすめ
管理業務主任の試験難易度は比較的易しいため独学でも合格は可能でしょう。勉強時間も300時間程度ですので、計画的に進めれば十分合格できる試験といえます。しかし試験勉強が久しぶりな人、不動産関係の知識に触れたことがない人、日ごろの仕事が忙しく時間が取れない人などは通信講座を利用してみてはいかがでしょうか。独学の際に必要な以下の工程を省略できます。
- 良いテキストや問題集の選定
- 勉強科目の優先順位の決定
- 合格までのスケジュール管理
独学で取り組む際の懸念点は不明点や不安なことがあっても質問・相談できないことです。サポート体制のある通信講座なら、それらの心配をせずに安心して試験に臨めるでしょう。
まとめ
今回は管理業務主任者について紹介しました。管理業務主任者はマンション管理業には必須の国家資格ですが、合格率は20%程度と難易度があまり高くない試験です。計画的に勉強を進めれば、初学者でもじゅうぶん合格できるでしょう。
マンションがある限り管理業務は必要ですので、管理業務主任者は需要の高い資格といえます。年々受験者が減っているいまがチャンスです。マンション管理士や宅建士とともに、ぜひダブル受験を検討してみてはいかがでしょうか。
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