任意売却取扱主任者とは?2021年度の試験概要と難易度、合格率、合格発表日について

この記事のざっくりしたポイント
  1. 主に不動産の任意売却を行う際に任意売却取扱主任者の資格が必要
  2. 一般社団法人「全国住宅ローン救済・任意売却支援協会」が運営する民間資格
  3. 合格率が約40%であることから、難易度は高くない

不動産業界で働いている方や「これから不動産業界で働きたい」と考えている方の中には、以下のような疑問を持っている方も多いでしょう。

「任意売却取扱主任者とはどんな資格?」

「試験概要や難易度は?」

「任意売却取扱主任者の業務内容は?」

そこで本記事では「任意売却取扱主任者とはどんな資格か」ということから、試験概要や難易度、業務内容などについて解説していきます。気になる合格率についても解説しますので任意売却取扱主任者の資格に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

任意売却取扱主任者とは

任意売却取扱主任者とは一般社団法人「全国住宅ローン救済・任意売却支援協会」が運営する民間資格であり、別名「任売」や「任売主任者」とも呼ばれています。この資格を保有していることで不動産取引における「任意売却」を行うために必要な知識を有していることが証明できます

「任意売却」とはローンを組んだ人が借入金を返済できなくなった場合に、ローンを組んでいる金融機関からの合意を得て不動産の売却を行うこと。任意売却がなされない場合、一般的にはローンの返済ができなくなると、不動産は差し押さえられてしまい競売(オークションのような売却方法)となるケースが多いのです。

つぎに任意売却取扱主任者の必要性や、試験の合格率などについて見ていきましょう。

2021年度の受験受付中

2021年度の試験日は2022年2月16日(水)です。2022年1月30日(月)13:00まで出願が可能です。

任意売却取扱主任者の試験は年に1度しか実施されないため、上記期間に準備が間に合わない場合は来年度(2022年度)に向けて準備を行いましょう。。

試験の最新情報については「全国住宅ローン救済・任意売却支援協会」のホームページにてご確認ください。

任意売却取扱主任者の必要性

任意売却取扱主任者は主に債務者(ローンを借りた人)が任意売却を行う際に必要とされます。(資格は必須ではありません)不動産の任意売却を行うためには税法をはじめとする法律や不動産取引の知識以外にも、任意売却に関する独自の知識が必要になります。そのほか手続きを進めるには弁護士や、金融機関とのやり取りも発生するのです。

MEMO
上記のような知識やノウハウを、すべて持ち合わせた相談窓口は少ないため、任意売却取扱主任者の存在が必要とされているのです。

任意売却取扱主任者の合格率

任意売却取扱主任者の合格率は約40%とされており極端に難易度が高いというわけではありません。しかし試験では不動産取引や任意売却に関わる法律の知識や、実務に関する問題などが出題されます。そのため事前にしっかりと勉強し対策をしなければ、合格は難しいでしょう。

任意売却取扱主任者の試験概要

ここでは任意売却取扱主任者の試験概要を解説していきます。受験料や合格点、出題内容などの試験概要をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

受験資格以下の条件にあてはまらない方が受験可能。成年被後見人又は、
被保佐人禁錮以上の刑に処され、刑の執行が完了又は、
刑の執行が受けることがなくなった日から5年を経過していない方※特定の資格や勤務実績などは不要
受験料/決済方法16,500円(税込)/「銀行振込み」
または「クレジットカード決済」
試験日時2022年2月16日(水)
13:00~15:00 
試験会場北海道(札幌市)東京(新宿区)
大阪(大阪市)福岡(博多区)
出願内容申込期間は、試験日の約5か月前~約1か月前まで。
※2022年度の場合
合格点総点数の60%以上、かつ択一問題・記述問題
それぞれの正答率が50%以上。
受験票受験申込後、試験日の2週間ほど前より順次発送。
※受験表を発行するためには受験料の支払いや、
顔写真の提出などが必要
持ち物筆記用具受験票身分証明書
合格発表試験日の約1か月後に「全国住宅ローン救済・任意売却支援協会」の
ホームページにて発表。
※公表されるのは合格者の受験番号
試験時間2時間
問題数4肢択一:40問(各2点)
記述問題:2問(各10点)合計点数100点
出題内容宅地建物取引業法
民事執行法
税法
民法
弁護士法
任意売却取引に必要な手続き商慣行や実務 
など

※参考:https://www.963281.or.jp/license/

任意売却取扱主任者の試験に合格した後は指定講習・資格登録を行う

「任意売却取扱主任者」という名称を使って業務などを行うためには資格登録という手続きが必要です。ただし資格登録を行うためには、まずは指定講習を受けなければなりません。任意売却取扱主任者の試験合格がゴールではないため、ここでは「指定講習」と「資格登録」について解説していきます。

指定講習について

指定講習とは「全国住宅ローン救済・任意売却支援協会」が実施している、資格試験を合格後に受講できる講習です。資格試験に合格したら郵送にて指定講習の案内が届きます。指定講習を受講する場合は基本的に資格の試験会場と同様の場所で、6時間ほどの講習を受けます。受講の際には参加費用として55,000円(税込)の費用がかかるため、事前に用意しておきましょう。

指定講習の受講が完了したら「修了証書」と「任意売却取扱主任者認定証」の2つが発行されます。なお指定講習は年に1度開催されているため、必ずしも資格試験に合格した直後に受講する必要はありません。合格後、5年間であれば指定講習の受講は可能であるため、自身の都合に合わせて受講すると良いでしょう。

指定講習を受けた後資格登録をする

指定講習の受講完了とともに任意売却取扱主任者の資格登録が行われます。資格登録は必須ではなく任意ですが任意売却取扱主任者として業務を行うのであれば、登録はしておいた方が良いでしょう。資格登録をしないと「任意売却取扱主任者認定証」などの認定証が発行されないため、有資格者であることの証明が難しくなってしまうからです。

MEMO
資格登録についても試験合格後の5年間であれば資格登録をする権利は消失しません。

任意売却取扱主任者の業務内容と活躍の場

さいごに任意売却取扱主任者の業務内容や「任意売却取扱主任者の資格があれば、どのような場で活躍できるのか」について解説していきます。

任意売却取扱主任者の業務

任意売却取扱主任者の業務は不動産や法律などの知識を活かして任意売却の取引をサポートすること。債務者(ローンを借りた人)に対して任意売却の流れなどをわかりやすく説明し金融機関や弁護士とのやり取りなどを行います。そのほかローン返済プランの変更や引越し先の確保なども、任意売却取扱主任者の業務です。

場合によっては生活保護の申請や再就職のサポート、自己破産の相談なども行うため幅広い知識が必要とされます。任意売却の取引時には債務者がさまざまな不安を抱えていることも考えられます。

そのため法律や任意売却に関する知識だけではなく、債務者に寄り添うコミュニケーション力や、弁護士とやり取りできる調整力が求められるでしょう。

任意売却取扱主任者が活かせる場所

任意売却取扱主任者の資格が活かせる場所として以下のような場所が挙げられます。

任意売却取扱主任者の資格が活かせる場所
  • 不動産会社
  • 法律事務所(弁護士・司法書士)
  • 金融機関

上記のように住宅ローンや債務に関する相談窓口となる場所であれば、任意売却取扱主任者としてのスキルを活かせる可能性が高いです。しかし不動産会社や法律事務所には任意売却以外の相談も多数寄せられます。

そのため任意売却取扱主任者のスキルだけで活躍し続けるには、限界があるでしょう。任意売却に限らず、不動産・法律に関する幅広い知識を身につけることで、さらに価値のある人材として活躍できる可能性が高まります。

まとめ

主に不動産の任意売却を行う際に任意売却取扱主任者の資格は必要とされます。「任売」や「任売主任者」と呼ばれることもあり、合格率が約40%であることから、難易度は高くないと言えるでしょう。残念ながら2021年度の試験は終了していますので、来年度の試験に向けて準備を進めていく必要があります。

試験に出題される問題は法律や任意売却の実務に関する内容など。試験に合格した後は、任意で指定講習・資格登録を行うことで、正式な「任意売却取扱主任者」として認定されます。

また任意売却取扱主任者の資格を取得すれば、そのスキルを活かして不動産会社や法律事務所などで活躍できる可能性があります。そのため「不動産業界や弁護士業界で働きたい」と考えているなら、取得しておいて損はないでしょう。

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