- 不動産コンサルティングマスターの難易度はどれくらい?
- 不動産コンサルティングマスターは意味ない?勉強方法は?
- 不動産コンサルティングマスターの合格点の推移は?
不動産コンサルティングマスターの受験を検討されている方は、勉強方法、勉強時間がどれくらいか気になる人が多いのではないでしょうか。
小島社長
不動産コンサルティングマスターは意味ないのでは?と思われる方もいるようですが決してそんなことはありません。
こちらで試験の難易度や合格点推移も紹介していきます。是非参考にしてみてください。
不動産コンサルティングマスターとは?|難易度や合格点
平成24年までは「不動産コンサルティング技能登録者」という名称でした。平成25年1月より「公認不動産コンサルティングマスター」という名称に変更されました。
不動産コンサルティングマスターは不動産コンサルティング業務を行う場合の必要な知識や技能・実務経験を有していると、試験により認定され公益財団法人不動産流通推進センターにて登録された者に与えられる資格です。
出典:不動産コンサルティング技能試験|公益財団法人 不動産流通推進センター
不動産コンサルティングマスターの受験資格
受験申込時点で以下の①~③のいずれかに該当する人が受験できます。
- 宅地建物取引士資格登録者で宅地建物取引業に現時点で従事している人もしくは今後において従事しようとしている人
- 不動産鑑定士資格登録者で、不動産鑑定業に現時点で従事している人もしくは今後において従事しようとしている人
- 一級建築士資格登録者で、建築設計業・工事監理業などに現時点で従事している人もしくは今後従事しようとしている人
不動産コンサルティングマスターの難易度は?試験合格率や合格点
不動産コンサルティングマスターになる難易度はどのくらいなのでしょうか。試験の合格率の推移や合格点を下表にまとめます。
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 合格基準点 (200点満点) |
平成27年度 | 1,320 | 654 | 49.5 | 115点以上 |
平成28年度 | 1,304 | 648 | 49.7 | 110点以上 |
平成29年度 | 1,404 | 608 | 43.3 | 115点以上 |
平成30年度 | 1,393 | 589 | 42.3 | 110点以上 |
令和元年度 | 1,659 | 538 | 40.7 | 120点以上 |
令和2年度 | 1,545 | 529 | 43.3 | 125点以上 |
令和3年度 | 1,170 | 444 | 37.9 | 110点以上 |
年々合格率は下がる傾向にあり約40%になる見込みです。
宅地建物取引士の試験合格率が15%前後であり、行政書士の試験合格率が10%前後となります。それらと比較しますと難易度が低いように見えますが、宅地建物取引士や行政書士などの試験は誰でも受験することができます。
一方、不動産コンサルティングマスターは受験資格が上記のように定められており誰でも受験できる資格試験ではありません。
小島社長
不動産コンサルティングマスターの勉強方法・勉強時間
事務員
小島社長
合格までの勉強時間はおよそ50時間~150時間
不動産コンサルティングマスターの資格試験に合格するまでの勉強時間は、個人差はありますが目安として50時間~150時間となります。仮に150時間とした場合、単純に毎日2時間勉強しますと2カ月半となります。
小島社長
ただし、この勉強時間は既に宅地建物取引士や不動産鑑定士、一級建築士のいずれか一つを取得している人が前提となる勉強時間となります。出題範囲は広範囲に及びますから、決して侮ることのできない試験となります。
通信講座を使う勉強方法
不動産コンサルティングマスターの資格試験は宅地建物取引士や不動産鑑定士・一級建築士と比較して知名度が低く、受験者数も少ないため、学校講座がありません。そこでWEBサイトでの通信講座を活用した勉強方法がお勧めとなります。
公益財団法人不動産流通推進センターが準備しているWEB講座には、基礎から合格基準まで知識を学ぶことができる「不動産コンサルティング入門研修」があります。このWEB講座を修了しますと、同様に公益財団法人不動産流通推進センターが準備している「ステップアップ・スクーリング」の受講申込ができます。
独学の場合、参考書や過去問を使う勉強方法
独学で資格試験の合格を目指す人は参考書や過去問を使用して必要な知識や技能を身に付けていくことも可能です。公益財団法人不動産流通推進センターからも参考図書を提示していますので、それらを上手に活用すると良いです。参考図書を下表にまとめます。
出典:公益財団法人不動産流通推進センター|関連する講習と参考図書
不動産コンサルティングマスターの資格を取得するには
資格試験の申込日・試験日や開催地、受験料、試験内容、資格登録方法について解説します。
出典:不動産コンサルティング技能試験|公益財団法人 不動産流通推進センター
試験実施日と開催地
例年11月の第2日曜日が試験実施日となります。当日のスケジュールは下表の通りです。
試験種類 | 時間帯 |
ガイダンス | 午前10時15分~10時30分 |
択一式試験 | 午前10時30分~12時30分 |
記述式試験 | 午後2時00分~4時00分 |
試験会場は札幌・仙台・東京・横浜・静岡・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄の12都市で開催されます。申込時に選択することができますが、実際の試験会場は受験票に記載され送られてきます。
申込日と受験料
申込期間は毎年7月~9月中旬となります。公益財団法人不動産流通推進センターのWEBサイトからの申込となります。受験料は税込み31,500円です。
合格発表は例年年明けの1月下旬になります。合格者の受験番号を公益財団法人不動産流通推進センターのWEBサイトにて2週間、閲覧することができます。
以上、試験申込から認定までの流れをまとめますと下表の通りです。
手続き項目 | 日 程 |
試験実施日 | 例年11月の第2日曜日 |
合格発表日 | 翌年1月下旬 |
登録申請 | 試験合格後、登録要件を満たす人は随時 |
認定証・認定証書公布日 | 原則、年度の四半期毎 |
試験内容
試験形式や試験科目、出題範囲について解説します。
試験形式
択一式試験と記述式試験になります。
試験科目・必修・選択の別
試験科目や必修科目、選択科目をまとめますと下表の通りです。
出題範囲
試験問題は「令和4年度 不動産コンサルティング基本テキスト」(令和4年6月発行)の内容を中心に出題されます。一部テキスト以外からも出題があります。また出題範囲は令和4年4月1日時点の法令によります。民法改正法も含まれます。
公益財団法人不動産流通推進センターの登録を行う
試験に合格した人は自動的に試験合格者名簿に登録されます。
出典:不動産コンサルティング技能試験合格後、公認不動産コンサルティングマスターの登録へ|
試験合格効力・登録申請
令和2年度試験の合格効力は令和8年3月末日まで有効です。それまでの期間に不動産コンサルティングマスターの登録要件を満たした人は、随時登録申請できます。しかし令和4年3月末日以降に登録申請する場合、公益財団法人不動産流通推進センターが実施する「演習問題」に合格することが条件となります。演習問題の概要は下表の通りです。
項目 | 内 容 |
出題範囲 | 事業、経済、金融、税制、建築、法律 |
出題数 | 40問 |
合否判定基準 | 28問以上の正解を得ること |
登録条件
以下の①~③のいずれかに該当する人が登録できます。
- 宅地建物取引士資格登録後、5年以上の不動産に関わる実務経験があり、登録時に宅地建物取引士証を保持していること。
- 不動産鑑定士登録後、5年以上の不動産鑑定に関わる実務経験があり、登録時に不動産鑑定士を抹消されていないこと。
- 一級建築士登録後、5年以上の建築設計業や工事監理業などに関わる実務経験があり、登録時に一級建築士を抹消されていないこと。
登録手数料
登録手数料は消費税込みで16,000円です。
不動産コンサルティングマスターの業務内容
不動産コンサルティングマスターは法律や経済、金融、税制、建築などの不動産業務に関わる広い知識と実務経験を備えた不動産専門家です。個人・法人に対して不動産に関する様々な要望に応えることができるプロとなります。
不動産業界も多様化・高度化・複雑化
不動産を資金調達の手段として仕組化し不動産の流動化や証券化が進んできました。このように不動産業務は多様化や高度化、複雑化が進んでおり、従来までの不動産知識では対応できない場面も増えてきました。そこで不動産コンサルタント業務の重要性が益々注目されるようになります。
不動産コンサルティングマスターの将来性
不動産コンサルティングマスターは通常のコンサルタント業務以外にも、下記の事業に対して国土交通省に許可を受け登録することで、資格を得て事業を行うことができます。
- 「不動産特定共同事業法」における「業務管理者」となる資格
- 「不動産投資顧問業登録規定」における「登録申請者」及び「重要な使用人」としての資格
- 「金融商品取引法」における「不動産関連特定投資運用業」を行う資格
ここで上記の事業や規定を説明しますと、以下の通りです。
不動産業務は今後益々多様化・高度化・複雑化しますので、不動産コンサルティングマスターに対する需要は増加するものと想定できます。
不動産コンサルティングマスターの将来性、年収について
事務員
小島社長
不動産コンサルティングマスターはすごい?平均収入は600万~700万程度
転職サイトの資格取得による年収情報を収集しますと不動産コンサルティングマスターの平均年収は600万円~700万円といったところです。月収にしますと約35万円~60万円となり、ボーナスが別途加算されます。勤務先が大企業や中小企業、個人事務所によっても異なります。また都心部にあるのか地方にあるのかによっても異なります。
開業して個人事務所を経営する場合、年収が1,000万円を超えるケースは多々あります。数千万円に及ぶ経営者も少なからずいます。
事務員
知見を活かして不動産関係で独立開業も目指せるので将来性がある
不動産コンサルティングマスターは実務で経験を積んだ知見を活かし、不動産関係で独立開業することができます。今後、不動産業界は益々多様化・高度化・複雑化・業際化していきます。それらに対応できる業務をこなすことができますと、将来性は広がります。例えば以下などです。
- 「資産流動化型」不動産証券化商品の開発:不動産共同事業法による運用、SPC法による運用
- 「資産運用型」不動産証券化商品の開発:REIT(不動産投資信託)
上記内容を顧客が所有する不動産に対して企画・商品化・実施し、顧客に高い利益をもたらすことができますと、高い報酬を得ることができます。
不動産コンサルティングマスターは意味ない?注意点
事務員
- 国家資格ではない
- 資格を取得していなくても不動産コンサルタントと名乗ることができる
- 資格取得で年収が必ず上がるわけではない
- 5年更新になっている
国家資格ではない
不動産コンサルティングマスターは民間資格であり、国家資格ではありません。しかし受験資格がいずれも国家資格である宅地建物取引士や不動産鑑定士、一級建築士のいずれかを取得していないと受験・登録ができない資格となります。
また国土交通省の外郭団体である公益財団法人不動産流通推進センターが一定基準を超えた知識・技能を有すると認めた人に対して登録するものですので、国家資格に近い準国家資格であるともいえます。
資格を取得していなくても不動産コンサルタントと名乗ることができる
不動産コンサルティングマスターを取得していなくても、不動産コンサルタントと名乗ることができます。
不動産コンサルタントの業務には、広い意味で不動産の売買や賃貸借、鑑定業務、現地調査・境界確認(土地・建物)、設計・工事監理アドバイス、資金計画などがあります。それらの業務は宅地建物取引士や不動産鑑定士、土地家屋調査士、一級建築士、ファイナンシャルプランナーなどの協力も必要になります。
資格取得で年収が必ず上がるわけではない
資格を取得することにより不動産コンサルティング業務契約を安定的に取れるか取れないかにもよりますが、年収が必ずしも上がるわけではありません。高度な知識や技能があっても契約を取れなければ売上に繋がりませんので、営業センスや営業努力も必要になります。
宅地建物取引士を所有していれば売買や賃貸借に伴う仲介手数料以外にもコンサルティング報酬を得る可能性があります。不動産鑑定士を所有していれば土地・家屋の鑑定報酬以外にもコンサルティング報酬を得る可能性があります。一級建築士を所有していれば設計料や工事監理費以外にもコンサルティング報酬を得る可能性があります。
5年更新になっている
公益財団法人不動産流通推進センターに登録をしますと5年ごとに登録更新が必要になります。登録更新をするためには更新申請時に宅地建物取引士や不動産鑑定士、一級建築士のいずれかで登録した資格が有効であることが前提となります。
また更新要件が定められており有効期限内の人は下記の4項目の中でいずれか一つ以上、有効期限を切れている人は二つ以上を行う必要があります。
- 不動産コンサルティングに関する研究報告を提出(2,000字以上)
- 不動産コンサルティング地方協議会が実施する不動産の「専門教育」を受講
- 「不動産フォーラム21」(大成出版社発行\12,600)を年間購読したうえで下記のどちらかを選択
・購読期間中の掲載記事に関するレポートをWEB上で入力(800字以上)
・掲載記事関連テストに合格する
- 不動産コンサルティング地方協議会が実施する一定の自主研修会もしくは、当センター主催のスペシャリティ講座等を5年間に合わせて3回以上受講
更新要件の充足、WEB更新申請、顔写真提出、更新手数料(10,400円:消費税等込)支払いが全て完了すれば、更新手続きの完了となります。
まとめ
以上、不動産コンサルティングマスターに関する概要や試験スケジュール、勉強法、業務内容、注意点について解説しました。不動産関連業務の多様化・高度化・複雑化・業際化は益々進むものと考えられます。
その様な状況下、高度な知識や技能、実務経験を有する不動産コンサルティングマスターに対する需要は年々高まるものと思われます。この資格を取得・登録し、不動産市場で活躍できる礎を築かれることをお勧めいたします。
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