遊休地とは?遊休土地との違いや活用方法、放置するデメリット

この記事のざっくりしたポイント
  1. 遊休地をそのまま保有することはデメリットしかない
  2. 活用方法は駐車場、賃貸住宅、介護施設や店舗の開設、農園、太陽光発電、トランクルームなど多岐に渡る
  3. 自分で活用するのが難しければ、土地を貸すことや処分するのが良い

使う予定のない空き地を持っており活用方法に困っている…そんな悩みを抱えていませんか。遊休地をそのままにしておくと、多くのデメリットが生じます。この記事では遊休地の基本とデメリット、そして活用する方法をいくつか紹介しています。この記事を参考に、遊休地の活用や処分を検討してくださいね。

遊休地とは

「遊休地」とは何の目的にも使われていない土地、使う予定のない土地を指します。遊休地のままにしておくと毎年固定資産税を支払わなければならないなどデメリットがたくさんあります。そのため活用または処分するのがおすすめです。

 

遊休地と遊休土地は微妙に言葉の定義が異なります。チェックしましょう!

 

遊休土地との違い

遊休地の中でも取得後2年以上経過しているにもかかわらず適正な利用を行っておらず、都道府県知事が利用促進の必要性を認めた土地を「遊休土地」と言います。遊休土地に当てはまるのは以下のような土地です。

遊休土地に当てはまる土地
  • 国土利用計画法による土地取引の許可または届け出をして取得した一定規模以上の土地
  • 取得後2年を経過
  • 低・未利用な状態
  • 周辺状況から利用を特に促進する必要性

引用元:土地・建設産業:遊休土地制度 – 国土交通省

要件に該当すると都道府県知事より通知が行われます。通知を受けた土地所有者は、6週間以内に利用処分の計画の届け出を行わなければいけません。都道府県知事は利用処分の計画に対して必要な助言や勧告を行い、土地の利用促進を図ります。もしも勧告に従わなければ、地方公共団体による買取協議に入ります。

遊休地は活用しないと損

繰り返しになりますが遊休地は活用しないと損です。遊休地のまま放置することはデメリットしかありません。

遊休地を所有しているだけで維持費(税金・費用)がかかる

遊休地も立派な土地ですから当然ながら毎年固定資産税がかかります。しかも遊休地は住宅用地の6倍もの税金がかかります。住宅用地の場合固定資産税の課税標準額が6分の1になるためです(小規模住宅用地の場合)。さらに市街化計画内であれば都市計画税もかかります。

税制面でデメリットがたくさんある遊休地ですが、さらにそれだけでは済まない可能性もあります。土地に生じた問題は土地所有者に責任があります。隣家に伸びた草を刈る、土砂崩れが起きないように整備するといった費用もかかるでしょう。

土地が荒れたり、不法投棄などリスクに見舞われる

先ほども触れましたが更地のままでは雑草が伸び放題となってしまいます。さらにはそこに野良猫が棲みついたり、害虫が発生したりというリスクもあります。防犯上の問題も生じかねません。近隣住民からクレームが入ることは容易に想像できます。

また管理していないことが一目でわかるような荒れた土地は不法投棄のおそれもあります。不法投棄されてしまうと、犯人を特定できない限り所有者が処分するほかありません。そうするとさらに費用がかかります。遊休地の所有には費用と手間がかかることを知っておきましょう。

 

うちの近所にも遊休地があり、夏場は草が生え放題です。私は一度市役所に電話したこともあります。

 
 

荒れた土地の近隣住民にとっては迷惑でしかないですよね。遊休地を抱える人は知っておくべき事実でしょう。

 

遊休地の活用方法

 

一刻も早く遊休地を活用したい!そんな方に向けて活用方法を紹介します。比較的簡単に始められるものもあるので、ぜひ参考にしてください。それぞれの活用方法を手軽さ、費用、収益性の面から評価しています。

 手軽さ初期費用ランニングコスト収益性
駐車場
賃貸住宅
商業施設
高齢者施設
市民農園/貸農園
太陽光発電
トランクルーム

駐車場経営

駐車場経営は比較的簡単に始められる遊休地の活用方法です。建物を建てたりする必要がないため、転用等に柔軟に対応できるのも魅力です。駐車場は月極駐車場とコインパーキングに大別できます。立地条件などによってどちらが適しているかは変わります。

例えば住宅地やオフィス街であれば月極駐車場がおすすめです。月極駐車場なら、更地に砂利を敷き紐などで区切るだけでも良いでしょう。近隣に商業施設や繁華街、駅などがある遊休地はコインパーキングの方が収益性が見込めます。精算機などの設置やコンクリートによる整地が必要ですが、土地を専門業者に貸し出すだけなら費用はかかりません。

駐車場経営のデメリット

駐車場経営は、どこでも成り立つとは限らないのがデメリットです。前述した住宅地、オフィス街、商業施設や繁華街、駅の近く、または観光地などであれば、駐車場の需要があるでしょう。しかしそれ以外の地域では現実的に駐車場経営で収益を上げるのは難しいかもしれません。

賃貸住宅経営

賃貸住宅経営もおすすめの活用法です。建物を建設するので固定資産税や都市計画税の節税になりますし、長期的に安定収入が期待できます。一見すると建物を建設するには費用がかかりすぎると思われるかもしれません。しかし金融機関から融資を受けることも可能なので大きな初期投資は要らず、しかも家賃収入でローンの返済計画が立てられます。

賃貸住宅経営のデメリット

賃貸住宅経営は安定収入が得られやすい一方で空室があると収入に大きな穴が空きます。また、老朽化は避けられないので継続的な管理が必要となります。

商業施設の出店

都心にある遊休地なら商業施設の出店も選択肢の1つでしょう。スーパーやコンビニ、飲食店などは需要が高いです。国道沿いなど大きな道路に面していれば、駐車場スペースを取ったコンビニにも活用できますね。商業施設の出店も長期的に安定した収益を見込めます。

商業施設の出店のデメリット

商業施設には当然ながら人が集まります。人が集まるところには騒音などのトラブルが生まれやすいです。店舗が大きくなるほど管理コストも嵩むため、手軽に始められる方法とは言えません。

高齢者施設の開設

高齢化社会にある日本において老人ホームやサービス付き高齢者住宅、介護施設などの高齢者施設の需要は年々増しています。賃貸住宅経営と同じく金融機関から融資を受けられますし、初期費用はある程度抑えられます。しかも賃貸住宅よりも収益性が高く見込めるのも魅力です。今後ますます高齢化が進むことを踏まえれば、需要がなくなる可能性は低いでしょう。

高齢者施設の開設のデメリット

介護人材の不足は社会問題の1つです。運営する事業者がなかなか見つからないおそれがあるのは問題点ですね。医療・介護が必要な高齢者を預かるわけですから、問題が発生しやすいのもデメリットです。また建物そのものが特殊な構造となるため、転用しにくいのも難点です。

市民農園や貸農園

遊休地の中でも元々農地だった「遊休農地」は駐車場や賃貸住宅経営を始める場合転用手続きが必要です。しかし市民農園や貸農園に活用するならその必要はありません。市民農園とは市民に土地を区画貸しして農業を楽しんでもらう施設です。国からの助成制度もあり、固定資産税も優遇されます。

市民農園や貸農園のデメリット

市民農園や貸農園は他の手段と比べると収益性の面でいまひとつです。より収益を得たいのであれば他の活用方法が向いています。

太陽光発電の設置

2009年に固定価格買取制度が始まり、太陽光で発生させた電気を電力会社に売ることが可能となりました。他の方法は立地条件を考慮しなければ難しい面もありますが、太陽光発電なら活用しにくい田舎の遊休地、山林や農地にも設置できます(ただし日当たりの良さは必須条件)。一度設置してしまえばランニングコストや管理の必要性もほとんどありません。

太陽光発電の設置のデメリット

太陽光パネルの購入・設置費用は安いとは言えないのはデメリットです。設置すれば安定した収入を生むものの、大きく稼げるとは言い難いです。遊休地として放置するよりはおすすめですが、条件が合えば選択肢の1つとして考えるのがよいでしょう。

最近ではトランクルーム経営もある

トランクルームも最近目にすることが多いですよね。それだけ需要が増しているという証拠でしょう。バイクや季節用品の収納などに活用する人が多いようです。トランクルーム経営も比較的簡単に始められる遊休地の活用方法です。

住宅街であれば一定の需要が見込めるでしょう。管理を専門業者に委託するだけなら初期費用もかけず簡単に始められますが、収益性は自分で経営するほうが高いです。

トランクルーム経営のデメリット

駐車場と異なりコンテナを置くだけでも建築確認が必要なので、少々手間がかかります。また第一種低層住居専用地域・第二種住居専用地域・第一種風高層住居専用地域ではトランクルームを設置できないので、経営できる地域が限られます。確認申請でトランクルームには適さないと判断されれば残念ながら諦めざるを得ません。

 

それぞれの活用方法は土地によって向き・不向きがあるので、まずは所有する遊休地の特性を確認してみましょう。不動産のプロに相談するのがおすすめです。

 

まとめ

遊休地をそのまま保有することはデメリットしかないので活用を検討しましょう。活用方法は駐車場、賃貸住宅、介護施設や店舗の開設、農園、太陽光発電、トランクルームなど多岐に渡ります。いずれも初期投資が必要であったり、将来にわたって管理が必要であったりしますが、遊休地として放置するよりはお得です。自分で活用するのが難しければ、土地を貸すことや処分することも考えてくださいね。