空き家に火災保険はあったほうが安心?加入すべき理由と補償内容、注意点について

この記事のざっくりしたポイント
  1. 空き家だからこそ火災保険に加入することをおすすめ
  2. 空き家の火災保険に加入する場合、住宅の扱いではなく店舗などの一般物件扱いになり費用も高額になる
  3. 賠償責任特約を付保しておくと良い

 

空き家に侵入して放火されたというニュースを目にしました。空き家に火災保険は入れないでしょうから、持ち主は大きな損害ですね。

 
 

そんなことはないですよ。空き家でも入れる火災保険はあるし、空き家だからこそ火災保険に入っていた方が良いですよ。

 
 

そうなんですか 空き家の火災保険について知りたいですね。

 

空き家は年々増加し平成30年の住宅・土地統計調査によると、平成30年には総住宅数の13.6%が空き家だという結果です。今後も空き家率はどんどん上昇し、平成45年には30.2%まで上昇するともいわれています。今後も空き家の増加が想定される中、気になるのが火災などのリスクです。

火災に対する備えとして火災保険の加入が考えられますが、空き家状態でも火災保険に加入した方が良いのでしょうか?そもそも火災保険に空き家は加入できるのでしょうか?空き家と火災保険の関係や注意点などについて詳しく解説します。

空き家でも火災保険に加入した方が良い理由

結論から言えば空き家でも火災保険に加入することは可能です。また空き家だからこそ火災保険には加入しておくべきといえるでしょう。空き家にはさまざまなリスクが伴います。そのリスクに対する被害をなるべく少なく済ませるためにも火災保険には加入しておくことがおすすめです。では、どのような被害が考えられるのでしょうか?空き家に対するリスクについて解説します。

放火等の犯罪に空き家が巻き込まれる被害の対策

出典:総務省消防庁「平成30年版消防白書

平成30年の出火件数39,373件のうち最も多いのはたばこの不注意です。しかし空き家において最も心配する失火原因は、第2位に挙げられる放火に注目してしまいます。第5位に放火の疑いが入っていますので、放火、放火の疑いを合計すると煙草を大きく引き離し最も火災が起きやすい原因となるのです。

空き家の場合、誰もいないことから犯罪などに巻き込まれる可能性が高く、放火されやすいといえるでしょう。もし放火された場合、空き家の損害はもちろんですが、延焼により近隣に対して被害が出た場合には賠償問題も発生します。当然ながら火災保険は建物で火災が起こった場合に保険金によりリスクを担保する保険です。

MEMO
特に放火などの犯罪に巻き込まれてしまう可能性が高い空き家は火災保険に加入しておきたい理由の一つとして挙げられます。

転勤等で一時的に空き家になってしまう場合も加入しておくと安心

転勤などで一時的に空き家となる場合にも火災保険に加入しておくことをおすすめします。というのも転勤の期間が終わると再び住むことになるので、万が一火災などにより焼失してしまうと転勤後の住まいが無くなってしまいます。火災だけではなく、その他の自然災害があった場合も同様です。

短い期間だからと言って費用を抑えるために火災保険に加入していないと、万が一のトラブルに対し全くの備えがありません。転勤の短い期間だから大丈夫と思わずに短い期間でも火災保険に加入しておくと安心です。

建物の老朽化による倒壊に被害の対策

空き家状態になってしまうと建物の老朽化が一気に進みます。そのため廃墟化してしまい、倒壊の恐れもリスクとして考えておかなければいけません。きちんと管理ができればいいのですが田舎の実家などなかなか出向けない場合に起こりやすいケースです。建物が倒壊し、近隣などに被害を起こしてしまうと、火災の時と同様、賠償責任が発生してしまいます。

倒壊となると、近隣への被害も甚大になってしまうことにもなりかねません。被害者に対する賠償が非常に高額になってしまうことも考えられるでしょう。このような倒壊リスクへの対策として火災保険は火災だけではない損害に対しても対応可能です。このような点からも火災保険に加入しておくことをおすすめします。

他にも衛生・景観の観点からも加入をおすすめします!

空き家となると害虫の発生などによる衛生面の不安もリスクとして考えられます。また建物が廃墟化することや、敷地内の草なども伸び放題になってしまうことにより景観が見苦しくなり、近隣に迷惑をかけてしまうでしょう。特に衛生面のリスクは深刻です。ゴキブリなどの害虫からネズミやシロアリが発生することにさらに倒壊のリスクも高まってしまいます。

MEMO
衛生面や景観といった観点からも火災保険に加入して万が一に備えておくことが大切なポイントです。

空き家の火災保険は一般物件として加入するのが基本

 

なるほど。空き家にはさまざまなリスクがあるんですね。特に放火されてしまう可能性は非常に高いので、火災保険に加入して安心したいですね。

 
 

そうですね。しかし空き家の保険は加入の仕方を間違えると保険金が下りない場合があります。

 
 

空き家の場合、火災保険はどのように加入すればいいのでしょうか?

 

火災保険は家の状況によって金額は大きく異なります。建物の構造や用途が全く同じだったとしても、住所が違うだけでも火災保険料は異なるのです。また木造と非木造でも火災保険料は大きく異なります。他に火災保険の種類や金額が異なる要件として住居用か店舗事務所用なのかによってそれぞれ、住宅物件と一般物件に分かれています。

住宅物件料率よりも一般物件料率の方が高いため一般物件は住宅物件よりも保険料は高くなる点が大きな違いです。空き家は住居用だから住宅物件として火災保険に加入すればいいと思う人が多いでしょう。しかし空き家で住宅物件に加入していると保険が下りないかもしれません。空き家における火災保険は一般物件として加入しなければいけないのです。

MEMO
空き家の場合、火災保険は店舗や事務所と同じ一般物件扱いだということをしっかりと認識しておきましょう。

空き家の火災保険で補償内容をどうするべきか

 

なるほど。加入の仕方を間違えてしまうとせっかく加入しても全く火災保険が出ないこともあるんですね。きちんと注意しておかないといけませんね。

 
 

そうですね。きちんと対象となる火災保険に加入するのはもちろんです。あとは、補償内容をしっかりと決めておかないといけませんよ。

 
 

空き家の火災保険はどのような補償内容にしておけばいのでしょうか?

 

空き家の補償内容は空き家の状態によっても若干異なりますので一概にこれがいいとはいえません。基本的に空き家の状態が続いており、今後も住む予定がいないのであれば、空き家での火災保険は一般物件扱いです。人が住んでいる住宅物件は住宅火災保険や住宅総合保険に加入でき、空き家の場合は、一般物件となるため普通火災保険や店舗総合保険への加入となります。

そもそも加入できる火災保険のタイプが全く異なるのです。一般物件扱いで補償内容をシンプルにしておくならば普通火災保険。補償範囲を広い範囲でカバーしたければ店舗総合保険への加入をおすすめします。補償範囲が広い店舗総合保険も不必要だと思われる保証は外すことができる商品もありますので、水災の恐れが少ない場合は水災保証を外すなど個別に選択しましょう。また一般物件扱いになれば地震保険への加入ができません。

MEMO
一般物件によるデメリットもしっかりと理解した上で、保険の範囲や補償内容をしっかりと選択しましょう。

空き家の火災保険加入で注意しなければならないこと

 

空き家と分かっているのに住宅物件用の火災保険に加入していると保険金が下りないこともあるんでしょうか?

 
 

そうです。保険料が安いからと言って、住宅火災保険に入ってはいけません。

 
 

他に空き家の火災保険で注意しておくことはありますか?

 

空き家の火災保険は普段住んでいるときに入る火災保険とは違う面があるので十分注意しなければいけません。先ほど一般物件扱いで入らなければいけないことは述べました。他にもいくつかの注意点がありますので、空き家で火災保険に入る場合の注意点をいくつかまとめました。

第三者への賠償責任に備えた保険にも加入しておく

空き家は管理責任を問われてしまうことがあり、火災の原因が放火であったとしても空き家の管理状態が悪いと判断されてしまうと賠償責任を負ってしまうケースがあります。火災により第三者に被害を与えてしまった場合に備え賠償責任特約などを付保していると安心です。

賠償責任特約とは賠償責任が生じた場合に出る保険のことで、リスクを大きく軽減することが可能です。しかし、管理状態があまりに悪いと賠償責任保険に入れない場合もあります。

MEMO
空き家といえども管理をしっかり行うことが最も大きなポイントです。

一般物件は地震保険に加入できない

先ほど空き家の場合に入る火災保険は一般物件扱いだと述べました。一般物件のデメリットとして、地震保険に加入できないことが挙げられます。一般的に普通に家にきちんと住んでいる場合は、火災保険とセットで地震保険に加入するのですが、空き家の場合は地震保険のセットができません。これは地震保険の目的が大きく影響しています。地震保険の目的は地震が起こった場合の生活を補償するという位置づけです。

MEMO
つまり空き家で住んでいないので地震に被災したとはならず、生活に大きな影響がないと見なされることが大きな要因でしょう。

保険代理店だけでなく、保険会社にも詳しく話を聞く

保険代理店経由で火災保険に加入する場合も注意しなければいけません。保険代理店はあくまでも保険商品を取り扱う保険会社の代理店に過ぎず、保険の補償内容について保険会社と認識が異なるケースがあります。実際に代理店が保険の対象となるといわれたので安心していると、保険会社から保険金の支払い要件と認められなかったといったケースもあるのです。

特に空き家の取扱いは非常に難しく一時的な空き家状態だからと住宅物件扱いの保険に入り、実際に保険対象の事故が起こった場合保険金が出ないといったことが考えられます。

MEMO
空き家の火災保険に入る場合は代理店ではなく保険会社に連絡し確認していく必要があるでしょう。

空き家でも加入できる保険会社一覧

 

なるほど、空き家の火災保険は慎重に選択する必要があるんですね。

 
 

さらに注意するのが空き家の火災保険に加入できる会社とできない会社がありますので保険会社選びも慎重に行いましょう。

 
 

空き家の火災保険に入ることができる保険会社はどのような会社があるのでしょうか?

 

空き家の火災保険はどの保険会社も扱っているわけではありません。空き家でも入る保険会社を知っておくことも大切なポイントですね。空き家でも火災保険に加入できる保険会社をまとめました。

保険会社商品名水災害対応賠償責任特約
セコム損保安心マイホーム保険対応可能あり
楽天保険ホームアシスト対応可能あり
あいおい損保タフ・すまい保険対応可能付保済
東京海上日動東京日動火災保険対応可能あり
SBI損保住まいの保険対応可能あり

上記5社の商品に関しては空き家の場合でも加入することができます。5社とも水災害対応が可能です。さらに賠償責任特約など空き家に関する備えが十分できている保険ばかりといえるでしょう。

事業者向けの火災保険をと扱う会社もある

近年の空き家の増加に絡み不動産会社が新たに提供しているサービスが空き家管理サービスです。田舎の実家などの空き家に中々立ち寄れない場合、不動産会社が1ヶ月に一度程度訪問し、部屋の寒気や修繕箇所の報告などを行います。しかし空き家サービスを提供するということは、管理中に事故が起こってしまうことも考えなくてはいけません。

そこで新たにできた火災保険がMS&ADならびにあいおいニッセイ同和損保の空き家賠償責任保険。空き家管理をしている不動産会社や所有者が被る賠償損害等を補償する保険です。例えば簡易清掃中に壁を壊した場合や、点検中の不備により電気料や水道料が発生したという事故に対し保険が支払われます。

MEMO
これにより空き家管理に対して自分たちが管理できない場合、安心して不動産会社に任せることが可能です。

空き家だと加入できない保険会社一覧

次に空き家の場合は加入することができない保険会社についてまとめました。

保険会社商品名
損保ジャパン日本興和THE すまいの保険
ジェイアイ傷害火災保険iehoいえほ
全労済住まいる共済
ソニー損保ネット火災保険
コープ共済Coop共済
JA共済火災共済

これらの保険に加入している場合、空き家になった時点で保険契約は終了となり引き続き加入できません。基本的にほとんどの火災保険は空き家の場合や空き家となった時点で加入ができません。もし空き家となっても保険会社に通知せず、保険料を支払い続けたとしても、事故が起こり空き家と分かった時点で保険金は支払われません。保険会社は通知しない限り、空き家となっていることが分かりませんので基本的に保険料の返金もありません。

MEMO
住まいが空き家となった場合、必ず保険会社に連絡し空き家となる旨通知しましょう。

まとめ

空き家の場合、火災の恐れが少ないから火災保険に入らなくていいと思っている人も多いでしょう。しかし空き家だからこそ犯罪などに巻き込まれ、放火により焼失するといった事件も多いのです。空き家だからこそ火災保険に加入することをおすすめします。

空き家の火災保険に加入する場合、住宅の扱いではなく店舗などの一般物件扱いになり、費用も高額です。また管理状態が悪いと火災により第3者に被害を与えた場合、賠償責任が起こることがあります。このようなリスクを回避するために、賠償責任特約を付保しておくといいでしょう。

また多くの火災保険は空き家の場合、加入することができません。その中で、この記事では空き家の場合でも加入できる火災保険として5つの商品を紹介しています。是非参考にしてみてはいかがでしょうか?