- シロアリ予防は被害が発生する前に、シロアリの発生しにくい環境作りを日常的に行うことが重要
- シロアリ駆除はシロアリ被害を受け、被害箇所を特定してシロアリを駆除すること
- シロアリ予防は自分で行うよりも、専門業者に依頼した方が効果的
日本は温暖多湿な気候風土であるため、シロアリの生息としては適した環境にあります。なおかつ木造住宅の割合が多いため、シロアリ被害は国内全域に及び予防や駆除が必要になります。「鉄筋コンクリート造の家だから大丈夫!」「鉄骨造の家だから関係ない!」と、安心しておられる方はいませんか?実は、建築構造に関係なくシロアリ被害は発生します。
多くの住宅に関する相談事や悩み事を解決してきた不動産コンサルタントが、シロアリ予防・駆除の概要や新築・建築構造に関係なく発生すること、シロアリ予防工事の種類・費用、業者への依頼費用を安くするコツ、業者の選び方、自分でできるシロアリ予防について解説します。
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シロアリ予防とは
シロアリ予防はシロアリ被害に遭う前に、被害を受けないための対策を事前に施すことです。
シロアリ駆除との違い
シロアリ駆除はシロアリ被害を受け、被害箇所を特定してシロアリを駆除することです。被害状況によっては駆除作業に要する時間・技術・作業手間・処理範囲が変りますので費用も大きく異なります。シロアリ予防とシロアリ駆除の違いを下表にまとめます。予防と駆除とでは作業工程や費用に大きな違いが生じます。
比較項目 | シロアリ予防 | シロアリ駆除 |
目 的 | シロアリ被害に遭う前に対策を施すこと。 |
シロアリ被害に遭ってから、駆除すること。
|
作業工程 | シロアリが発生しそうな場所を確認シロアリが発生しそうな場所に薬剤を散布または設置 |
シロアリの被害箇所を確認シロアリ発生箇所の駆除処理被害箇所や周辺に薬剤を散布または設置被害状況により被害箇所の修繕工事
|
費 用 | 軽微なシロアリ駆除よりも割安 |
被害状況により大きく異なる
|
シロアリ被害を発見した場合、迅速に駆除することが重要です。既に床下に数万匹ものシロアリが発生している可能性があるからです。またシロアリ被害が深刻な場合、住宅強度や見た目にも影響するため、被害箇所の修繕工事が必要となり費用は高騰します。シロアリ被害に遭う前にシロアリ予防を行った方が、長い目で見た場合、割安になります。
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シロアリ予防は新築でも鉄筋コンクリート造でも必要
新築でも鉄筋コンクリート造の家でもシロアリ予防は必要ですか?
必要です。鉄筋コンクリート造の家でも、木材が大量に使用されているからです。
新築にシロアリ予防が必要になる時期は5年目
新築住宅でも5年を経過すればシロアリ予防が必要になります。理由は新築時に散布したシロアリ予防の薬剤の有効期限が5年だからです。一般的な木造戸建住宅の場合、シロアリ予防として新築時に薬剤が散布されます。公益社団法人日本シロアリが対策協会が散布する薬剤を認定しますが、防除効果の保証機関は5年です。薬剤を散布してから5年経過しますと効き目が無くなり、その時点でシロアリ予防をしなければ、古い家同様に被害を受ける可能性が高くなります。そのため新築の家でもシロアリ予防を5年目に行う必要があります。
鉄筋コンクリート造にシロアリ予防が必要な理由
鉄筋コンクリート造の家でもシロアリは発生し予防を行う必要があります。
理由はなどです。
- 鉄筋コンクリート造の家の中にも、シロアリのエサとなるものが豊富にある
- コンクリートのヒビによる隙間からシロアリが侵入可能
- 鉄筋コンクリート造の床下は、気密性・保湿力が高く、シロアリの住みよい環境が整う
家の主要構造部(基礎・床・柱・壁・屋根)は鉄筋コンクリート造ですが、それ以外の室内の造作には木材が大量に使用されます。また断熱材もシロアリのエサとなります。したがって鉄筋コンクリート造の家とはいえ、シロアリのエサは豊富に存在します。またコンクリートは築年数が長くなりますと、ひび割れが発生し、そのわずかな隙間からシロアリは侵入することができます。したがって予防が必要になります。
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シロアリ予防剤を使った工事は2種類ある
シロアリ予防の工法としてはバリア工法とベイト工法の2種類があります。いずれも薬剤を散布してシロアリを駆除する工法です。この2種類の工法は、シロアリが既に発生している場合の駆除としても有効な工法です。それぞれのメリット・デメリットと、使用する薬剤について解説します。
土壌部や家の木部に散布するバリア工法
バリア工法は土壌部や家の木部に薬剤を散布して、シロアリを駆除する方法です。メリットは発生箇所に直接薬剤を散布して使用できますので、即効性があることです。デメリットは人体やペットなどへの影響があることです。バリア工法で使用される薬剤を下表にまとめます。
薬 剤 | 薬剤の内容 |
木材保存剤水性アリシス4L無色 | ピレスロイド系の木部処理剤原液で散布可能でき、 低臭性で、木材の腐れ・カビ防止効果有 |
白アリミケブロック(木部処理用) | 有効成分ジノテフラン配合刺激臭少なく、蒸気圧が低く、 揮発しにくいので安全に使用可 |
ジノテクト水性防蟻・防虫・防腐剤(土壌用)3.2L | 遅効性のシロアリ駆除剤有効税分がシロアリ同志で伝播し、退治可能 |
シロアリに薬剤を食べさせて死滅させるベイト工法
ベイト工法は薬剤をエサとしてシロアリに食べさせ、巣ごと全滅させる方法です。家屋周辺に薬剤の入ったエサを配置しシロアリが捕食して巣まで運びます。メリットはシロアリの巣ごと全滅させることができます。デメリットはバリア工法と比較して即効性がなく定期的にエサの点検の必要性があり、時間も費用もかかることです。ベイト工法で使用される薬剤を下表にまとめます。
薬 剤 | 薬剤の内容 |
イカリ消毒シロアリハンター | 薬剤を散布せずに、巣ごと全滅させる新しいタイプ有効成分は、昆虫にだけ作用し、人・ペット・植物に優しい |
シロアリベイト工法ベイト剤レクイエム2kg | 環境基準に厳しい国々で使用されている製品日本しろあり対策協会の第1号ベイト工法 |
シロアリ予防にかかる費用
シロアリ予防にかかる費用はどれ位ですか?
自分で行うと数千円前後、業者に依頼しますと数十万円前後かかります。
自分でシロアリ予防をする際の費用は3,000円〜9,500円
自分でシロアリ予防を行う場合、薬剤を購入して床下に散布するだけですので、費用は3,000円~9,500円となります。上記で解説した薬剤を使用してシロアリ予防を行った際の費用を算出します。
【バリア工法の場合】
薬剤1本の価格は4,000円で、2本必要となります。また噴霧器の価格は1,500円ですので、
【ベイト工法の場合】
薬剤の価格は3,000円~4,000円となります。上記をまとめますと下表の通りです。
シロアリ予防の種類 | 薬剤・噴霧器などの費用 |
バリア工法 | 9,500円前後 |
ベイト工法 | 3,000円~4,000円 |
したがってシロアリ予防を自分で行う場合の費用は、3,000円~9,500円となります。
シロアリ駆除業社に依頼する場合の費用は30坪で20万円~30万円
専門業者にシロアリ予防を依頼した際、敷地面積が30坪の戸建住宅の場合に要する費用は20万円~30万円です。ただし実際の費用は業者や工法により異なりますので、事前確認が必要です。専門業者に依頼して、敷地面積:30坪の戸建住宅をシロアリ予防した場合の費用を算出します。
【バリア工法の場合】
坪単価は、6,000円/坪となりますので、
【ベイト工法の場合】
基本料金は16万円前後となり総費用は26万円~30万円となります。上記をまとめますと下表の通りです。
シロアリ予防の種類 | 総費用 | 備考 |
バリア工法 | 18万円~20万円 | 単価:6,000円/坪 |
ベイト工法 | 26万円~30万円 | 基本料金:16万円 |
専門業者に依頼した際、費用は高くなりますが、自分で行う場合と比較して行き届かない箇所までムラなく確実に散布しますので予防効果は高くなります。
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シロアリ駆除業者に依頼する費用を安くするコツ
自分でシロアリ予防を行う場合と専門業者に依頼する場合とでは費用面で格段に差が生じます。しかし、自分で行いますと、以下などがあります。
- 散布にムラが生じやすく予防効果が減少
- 床下に入り込みますので、怪我や家屋の部材を傷めるリスク
そこで専門業者に依頼する場合の費用を安くするコツを解説します。
最低でも3社以上から見積もりとろう
シロアリ業者により予防する工法や費用に違いが生じます。それらを比較検討するためにも最低3社以上から見積もりを取る必要があります。また見積書の中身を吟味し工事内容や費用に対して疑問が生じれば、質問を行うようにします。その受け答えからも業者の傾向(業務の丁寧さ・姿勢)をうかがい知ることができますので、業者選びの参考にします。価格だけで判断を行わないようにします。
3月~4月の繁忙期前に見積もり依頼する
シロアリ業者に価格交渉を行い易いのは繁忙期前の3月~4月となりますので、その期間に見積り依頼するのが賢明といえます。シロアリ業者にも繁忙期・閑散期があります。シロアリが活発に動き出す5月~7月の期間は、シロアリ予防や駆除の依頼が多くなります。その期間に依頼をしても、他にも依頼者が多数いますので、価格交渉は難しくなります。場合によっては、依頼を断られる可能性もあります。
したがって、価格交渉を行うのであれば、繁忙期前の3月~4月に依頼するのが良策です。業者の中には「春のシロアリ割引キャンペーン」を打ち出し、30%割引などの特典を提示する会社もあります。その様な情報を捕まえて利用するのも方法の一つです。
シロアリ予防は5年おきに行い、同じ業者に依頼しよう
上記でも解説しましたがシロアリ予防薬剤の有効期間は5年間であるため、5年おきに予防を行うようにします。予防を行ってから5年が経過し放置しますと、シロアリ被害を受ける可能性があるからです。また多数のシロアリ業者はリピーター向けのサービスとして、2回目以降の工事費用を割引する傾向にあります。したがって最初に依頼した業者の仕事内容が良ければ、2回目以降も同じ業者に依頼しますと、費用が安くなります。
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シロアリ駆除業者の選び方
シロアリ業者を選ぶ場合、シロアリ駆除の専門業者に依頼しなければ予防工事が有効になるとは限りません。シロアリ予防を行う業者は他の業務と兼ねて付属的に行っている場合があるため、予防工事を行っても効果が薄い可能性があるからです。そこでシロアリ業者の選び方を3点解説します。
しろあり防除施工士の資格保有業者に依頼する
シロアリ駆除の資格として公益社団法人日本しろあり対策協会が定める「しろあり防除施工士」があります。シロアリ駆除は、資格がなくてもできますが、資格保有者は必要な専門知識・技術を身に付けている証明となります。したがって「しろあり防除施工士」の資格保有者に依頼するのが、安心・安全といえます。
施工完了後の保証サービス選ぶ
多数のシロアリ業者は施工完了後の保証サービスを行っています。その保証サービスの充実度合いにより業者を選択しますと後々安心できますので、良策といえます。長期的に家屋を維持することに繋がるからです。シロアリは日本中に生息していますので、一度駆除できたとしても、異なる原因により再度発生する可能性があります。そのため、保証サービスの内容が重要になります。保証サービス内容を下表にまとめます。
保証項目 | 保証内容 |
シロアリ防除保証 | 再度シロアリが発生し駆除する必要がある場合、無料もしくは割引価格で駆除を実施 |
建物修復費用補償 | 再度シロアリが発生することにより、建物被害が生じた場合、建物の修繕費用を補償 |
シロアリ駆除の保証期間は5年間に設定してあるのが一般的となります。また、その期間に年1回の無料定期点検が行われます。
シロアリ駆除・予防の実績が多い業者を選ぶ
シロアリ駆除・予防の実績が多い業者を選択することも重要です。実績が多いということは実力の結果となりますし、顧客への対応も良い傾向にあります。さらに親切丁寧な業者であれば事前説明もしっかりしており、写真や動画での解説なども充実しています。事前にWEBサイトなどを利用して確認することが大切です。
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自分でできるシロアリ予防について
基本的に素人が薬剤散布を伴うシロアリ予防を行うことは、様々なリスクがあるため、止めた方が賢明です。予防作業には、専門知識や技術が必要となり、素人が行っても効果を得るのは困難なためです。例えば、家の床下に入り、ほふく前進しながら薬剤散布を行わなければなりません。その際、家の一部を誤って損傷させるリスクもありますし、薬剤も昆虫を殺傷する毒であるため、自身にも害になることもあるので極力行わない方が良いです。しかし素人でもシロアリが生息しにくい環境づくりを行うことはできます。以下で解説します。
シロアリの餌になる木材を放置しない
まず住宅の周辺にシロアリのエサとなる木材を放置しないことです。シロアリがエサとなる木材を見つけると、仲間に知らせて一度に数百という単位で呼び寄せるので、一匹でも敷地内に侵入を許すとそこから一気にシロアリが繁殖する恐れがあります。また意外と盲点になりやすいのが段ボールです。段ボールは木材を主原料としているので、シロアリの格好のエサとなります。したがって住宅周辺に木材や段ボールを放置しない様に注意する必要があります。
住宅の風通しと日当たりを確保する
シロアリは湿気が多く暗い地中を好んで巣を作ります。したがってシロアリが嫌う環境づくりのためにも、基礎まわりの風通しを良くし、日当たりも良くする必要があります。家の基礎には換気を図るための通気口があります。基礎回りに物を置いたり、植物が生えていたりすると、風通しが悪くなり床下に湿気がこもります。そうなるとシロアリが繁殖しやすい環境が出来上がってしまいます。また、日当たりも遮断されますので暗くなり、よりシロアリが好む環境となります。
住宅の周りに物を置かない
シロアリは風通しの良いところと明るい環境を嫌います。整理整頓して不要な物は廃棄し、極力物を家の周りに置かない心がけが大切です。
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まとめ
シロアリ予防・駆除の概要や新築・建築構造に関係なく発生すること、シロアリ予防工事の種類・費用、業者への依頼費用を安くするコツ、業者の選び方、自分でできるシロアリ予防について解説しました。シロアリ予防は自分で行うよりも、専門業者に依頼した方が効果的ですが、高額な費用を要します。被害が発生する前に、シロアリの発生しにくい環境作りを日常的に行うことが重要です。
そこで以下などが大切になります。
- 業者の閑散期や割引キャンペーン実施期間などの時期を狙った依頼
- アフターサービス保証の充実した業者の選定
- 豊富な実績に基づいた親切丁寧な対応を取る業者の選定
また新築の家・古い家や建築構造に関係なく、シロアリ被害は発生します。鉄筋コンクリート造であろうが鉄骨造であろうが、木造の家と同様にシロアリ被害が発生しますので、シロアリ予防を定期的に実施されることをおすすめいたします。