木造住宅は何年住める?耐用年数や寿命を伸ばすコツまとめ

木造住宅は何年住める?耐用年数や寿命を伸ばすコツまとめ

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 木造住宅は何年住める?解説
  2. 木造住宅は何年住める?耐用年数は何年か紹介
  3. 木造住宅は何年住める?寿命をのばす為に出来ることまとめ

先日、築100年の木造住宅にお邪魔しました。立派な邸宅でしっかりしていました。実際に木造住宅ってどのくらい持つのでしょうか?

事務員

浜崎編集長

一般的に木造住宅の寿命は30年といわれています。しかし、30年経過したから住めないというわけではありません。

木造住宅が築何年まで住めるのか興味がわきました。

事務員

昔ながらの木造建築で明治時代や江戸時代などの木造住宅が現存しているなかで、実際に日本の住宅寿命はどのくらいなのでしょうか?

また、どのようなメンテナンスを行えば木造住宅の寿命を伸ばすことができるのでしょうか?

この記事では木造住宅の寿命についてスポットを当てて、メンテナンス方法やリフォームの内容などについて解説します。

木造住宅は何年住める?|寿命は30年と言われている

木造住宅は何年住める?|寿命は30年と言われている  

前述しましたが木造住宅の寿命は30年といわれているのが一般的です。

しかし30年しか住めないというわけではありません。30年という数字は統計的に木造住宅が取り壊された年数の平均を表しています。

前述しましたが作り方次第では100年以上も現存している木造住宅もあるので、使い方によっては非常に長持ちする建物なのです。

また30年経過した木造住宅をリノベーションして引き続き住居として利用することよりも、取り壊して新たに新築することを選択する人が多いことも原因の一つといえます。

出典:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について

上記表によると年数に開きはありますが、およそ30年から80年の範囲で耐用可能とされています。

大きな開きがあることから30年の寿命というのもあながち間違いではありません。しかし建物の造り方によっては100年以上持たせることもおかしくはないといえるでしょう。

木造住宅の法廷耐用年数は22年と定められている

木造住宅は法定耐用年数では22年定められています。

法定耐用年数とは税制上、建物がどの位使用できるかを国税庁が定めたもので、木造住宅の場合、22年後にゼロとなるように建物の価値を償却しているのです。しかし実際の使用には全く関係ありません。

ポイント
つまり税制上の耐用年数がゼロと評価される建物においても使用上は何の問題もなく何十年も存在し続けているということなのです。

木造住宅の寿命が30年と言われる理由

木造住宅は何年住める?寿命が30年と言われる理由

取り壊し年数の平均や税制上の耐用年数など耐用年数は違った捉え方をされるんですね。

事務員

浜崎編集長

そうですね。ただ先ほども言いましたが30年程度の寿命というのが広く認知されている数字です。

他にはどのような理由から30年という数字が出ているのでしょうか?

事務員

木造住宅の耐用年数は30年というのが一般的なのですが実際には30年以上の木造住宅があることは前述しました。

また構造上の違いによっても耐用年数は異なります。例えばツーバイフォー住宅や建売住宅、中古住宅などもそれぞれ寿命は異なるでしょう。

これらの耐用年数を平均して30年といわれるのにはいくつかの理由により一般化しているといえるのです。ここからは30年の寿命といわれるゆえんについて解説します。

耐久年数から計算された数字

前述しましたが純粋な耐久年数から算出された数字ではありません。

30年程度で取り壊して新築を建てる人が多いのが最も大きな理由です。30年程度でさまざまな箇所に傷みが現れ、建て替えるといった理由が最も多いでしょう。

リフォームやメンテナンスの契機

躯体は30年以上の耐久であっても、設備機器や建材といった部分は30年で劣化してしまいます。

いろいろと不具合が出て、さすがに改修しなければいけないと感じるのが30年程度ということになるでしょう。

しかし30年経過して、いざリフォームや改修工事を行おうと考える際に費用がどんどんかさんでしまい、今後の手入れを考えると新築した方がいいとの心情になるのです。

また築年数が30年以上の木造住宅は住宅メーカーの営業マンにとって格好のターゲットです。

最新の設備やデザイン力に富んだ住まいを提案されることにより、新築を建てる意欲が増すことも挙げられるでしょう。

事務員

家族構成の変化や老後による間取りの変更によるもの

30年も経過すると30年前とは明らかにライフサイクルが変わります

MEMO
子供の独立や自分たちも高齢化することが考えられ、30年前の間取りが今のニーズに合わない場面も多くなるでしょう。

例えばバリアフリーの設置やネット環境の設置など、今のニーズに合わせて間取りを変更しようとすると、構造上の問題などでできない場合も考えられます。

無理やりリフォームすることも可能なのですが、当然ながら費用が大きくかさんでしまうのです。

すると、どうせお金をかけるならば新しく家を建てようという考えに変わり、新築するのが30年前後といったことに繋がります。

耐震改修工事

特に東日本に居住している人は耐震について敏感です。

耐震改修工事とリフォーム工事を同時に行うケースが多いのですが耐震改修工事には各自治体の補助金制度が整っています。

耐震工事に対して補助金が利用できるので、耐震工事に関心を持つ人が増えているのです。

しかし耐震改修工事の補助金を利用する場合、いくつかの条件に適合していなければいけません。

その中で築30年以上の木造住宅に耐震改修工事を行おうとする場合、耐震基準に適合しない建物が非常に多いのです。

そのため、耐震改修とリフォーム工事を同時に行うよりも耐震設計の新築を建てようと考えます。

MEMO
耐震改修工事も耐用年数が30年であるといわれる大きな理由の一つです。

結局木造住宅は何年住める?耐用年数は?

結局木造住宅は何年住める?耐用年数は?

木造住宅の耐用年数が30年といわれるのにはさまざま理由があるのがよくわかりました。

事務員

浜崎編集長

特に近年は、30年程度で建て替えられる位の強度しかない建物が増えていますので、30年を一つの基準としているといえるでしょうね。

実際に木造住宅はどの程度まで住めるのでしょうか?

事務員

30年といわれる理由についていくつかの理由を述べてきましたが実際にはどのくらいまで耐用年数はあるのでしょうか?

ここからは実際に住める年数についてスポットを当ててみましょう。

実際は80年まで住める

実際に木造住宅に住むことができる年数は80年程度と見込んでおきましょう。

躯体に使う木造の耐用年数から算出した年数です。

ただし躯体に使われている木材の腐食が進むと80年も住めないかもしれません。逆に躯体に使われている木材がしっかりした状態を保つと80年以上住むことも可能なのです。

躯体の木材にしっかりした材料の素材を利用することにより長寿化に期待が持てます。また湿気があまり多くない場所などに建っている家も長寿化に期待が持てるといえるでしょう。

木造住宅のアピールポイントで「100年住める」といったうたう商品もある

近年は建築技術が格段に進歩しており「100年住める」をアピールした木造住宅も現れています。

特に2010年以降の木造建築は大幅に技術が進歩しましたので、さらなる長寿化にも期待が持てるといえるでしょう。

木造住宅の寿命をより伸ばすためにできること

木造住宅の寿命をより伸ばすためにできること

木造住宅でも80年も持てるのはすごいことですね。

事務員

浜崎編集長

しかし、どんな木造住宅も適切なメンテナンスをしなければ、長持ちできずに終わります。

どうすれば長持ちするんでしょうか?

事務員

木造住宅は80年もの間、住み続けることも可能です。更に躯体がしっかりしていると80年以上持つこともあります。

しかし木造住宅の長寿化を目指すのであれば必ず行わなければいけないことがありますが、それはなんでしょうか?

A:メンテナンスです。

では木造住宅の寿命をより伸ばすために行う適切なメンテナンスとはどのようなメンテナンスなのでしょうか?

ここからは家を長持ちさせる方法について解説します。

日常的にこまめに掃除する

最も簡単なメンテナンスはこまめな清掃です。

こまめな清掃は単純で簡単なメンテナンスですが最も大切といっても過言ではありません。

特に掃除部分で大切な個所は水回り部分です。

掃除しながら水漏れによるシミがないのか、不明な場所からの水たまりはないか、配管から異臭はしていないのかといった点に注意しておきましょう。

また外周部分も掃除しながらチェックすることをおすすめします。壁のひび割れ、樋の詰り、などといった箇所をチェックしましょう。

まめな掃除で不具合箇所が早い時間で見つかりやすく早めのメンテナンスが可能です。

適切な時期にメンテナンスとリフォームをする

住まいを長持ちさせるためには適切な時期にメンテナンスを行うことがポイントです。

メンテナンスにおける適切な時期を表にまとめました。

メンテナンス箇所時期内容
外壁10年~15年おき外壁塗装や目地打ち
屋根10年おき表面塗装やサビ落とし、美装
ベランダ防水10年おき張り替えなど
クロス10年おき張り替えなど
フローリング5年おきワックスがけ
キッチン20年おき交換
シロアリ対策5年毎薬剤の散布

他にもいくつかの設備がありますが主要な部分についてのメンテナンスについてまとめています。

それぞれメンテナンス時期やメンテナンス方法は大きく異なりますが、適切な時期に適切なメンテナンスを行うことで長寿化に期待が持てます。

設計段階で綿密な居住計画を立てる

メンテナンス時期をしっかりとにらんで居住計画をたてると長持ちする住まいに期待が持てます。

また設計段階においてしっかりとした躯体を設計することもポイントです。

間取りもライフスタイルの変化にも対応できるような間取りにしておきましょう。

例えば可変間仕切りなどを用いて間取りの変更が出来るようになっていると、長期間の生活でも問題ありません。

長く住むポイントは、以下の通りです。

長く住むポイント
  • 快適で便利なエリアに家を建てる
  • ライフスタイルの変化に対応出来る間取りにする
  • 使いやすさを心がける

これらを頭に入れたマイホーム造りが大切です。

リフォームと建て替えの選ぶ基準

先ほどまで木造住宅の耐久年数は30年が多くリフォームより建て替えが多いのが要因と述べました。

しかしマイホームを建築しなおすとなると解体費用や、建築中の仮住まいの確保など新築の工事費とは別の費用がかかります。

では実際に30年経過した時点でリフォームと建て替えでは、どちらが費用がかかるのでしょうか?また、リフォームと建替えの費用はそれぞれどのくらいの金額がかかるのでしょうか?

それぞれの費用を計算し、比較してみましょう。

ここからは30年経過後の木造住宅に対するリフォーム費用と建て替え費用について解説します。

リフォームの費用

30年経過後の全面リフォームで行う箇所は以下などが必要です。

30年経過後の全面リフォームを行う箇所
  • 外壁塗装
  • 屋根の張り替え
  • 外周部分の補修
  • 水道やキッチンなど水廻りの交換
  • クロス張り替え
  • 床補修
  • 配管補修
  • 防蟻処理

家の広さや住んでいる人数にもよりますがリフォーム中に仮住まいを探す必要があるかもしれません。

しかし基本的には居住したままリフォームする人が多いので、引越しなしと仮定します。

注意
およそ30坪程度のリフォーム費用と想定すると約1,200万円程度のリフォーム費用が必要です。

建て替えの費用

次に建て替えの場合における費用を見てみましょう。

建て替えの場合は住まいが解体されるので仮住まいをする必要があります。つまり建築費の他に解体費、引っ越し代が必要です。

では同じく30坪での建て替え費用を算出してみましょう。

解体費用約200万円~250万円
建築費約1,600万円~1,700万円
仮住まい費用約100万円

合計すると約2,000万程度必要なことが分かります。

MEMO
登記費用や住宅ローン手数料といった費用も別途必要なことから2,400万円程度見ておけばいいでしょう。

そうなるとリフォームと建て替え費用で約2倍の差が出ることが分かります。コスト面とお互いのメリットなどを比較して、どちらを選ぶかの選択が必要です。

まとめ

木造住宅の耐用年数は一般的に30年といわれています。しかしメンテナンスやそもそもの強度次第ではありますが80年程度長持ちさせることも可能です。

あくまでも30年というのは建て替える時期や耐震改修工事における補助金の関係などが絡んだ結果だといえるでしょう。

事務員

浜崎編集長

また税制上の耐用年数は22年であることもしっかりと理解しておくことが必要です。躯体がしっかりしていると100年以上経過してもなお現存している木造住宅も存在します。

木造住宅を長寿化させる秘訣は適切なメンテナンスやこまめな掃除です。またライフスタイルの変化に対応出来る間取りなども長持ちさせるコツといえるでしょう。

建て替えた場合の費用とリフォームした場合の費用比較もこの記事に記載していますので参考になれば幸いです。