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相続登記にかかる費用とは?安くする方法や必要な書類、登録免許税と司法書士に依頼した方が良いケースについて

この記事を書いた人
直江編集者
不動産コンサルタント・FP

大学卒業後、一部上場企業に勤め、退職後は大手不動産会社で賃貸物件入居者のコンサルタント業務に従事。アパート経営もしており、これまでの経験とファイナンシャルプラナーの観点から住宅ローンや税制の執筆をメインに担当。

この記事のざっくりしたポイント
  1. 相続人が少ない場合や相続手続きに手間暇をかけられる人は自分でも申請が可能
  2. 相続登記は一般的には司法書士に依頼する
  3. 司法書士に依頼する場合6万円〜10万円かかる

土地や建物など不動産の相続が発生した場合、どのように手続きをしたら良いのかほとんどの人はわからないのではないでしょうか?土地や建物の所有権を公示するためには登記が必要です。しかし相続をそう何度も経験する人はいないので、ほとんどの人は登記をどのようにしたら良いのか悩むことと思います

相続登記は一般的には司法書士に依頼しますが、自分でも手続きをすることもできます。この記事では登記に必要な書類や費用・自分でするときの注意点・専門家に依頼した方が良い場合などについて解説します。

相続登記の費用はいくらかかる?

 

相続登記はまだしたことがないのですが、自分でもできるのですか?

 
 

一般的には司法書士に依頼する人が多いが、自分でも相続登記はできるんだよ。それでは相続登記に必要な費用や書類などについて説明しよう。

 

司法書士に依頼する場合6万円〜10万円

司法書士に登記を依頼する場合には実費のほかに報酬を支払わなければなりません。報酬額については不動産評価額や不動産の数・地域・難易度によって異なりますが、通常の住まいであれば6万円〜10万円が相場です。司法書士に支払う報酬額の規定はないので、あらかじめ確認しておきましょう。

相続登記に必要な書類とかかる費用

相続登記に必要な書類及び費用について一覧表にまとめました。通常すべての費用で2,000円~3,000円程度見ておけば良いでしょう。

◎相続登記に必要な書類

 必要書類内容入手先費用
登記事項証明書
(登記簿謄本)
不動産の所在地や面積・所有者・抵当権などを確認するもの管轄の法務局不動産1個あたり600円程度
相続登記申請書相続登記を申請するための用紙管轄の法務局無料
住所証明情報不動産取得者の住所を証明する書類
(下記のいずれか)
住民票の写し
印鑑登録証明書
戸籍の附票


所在地の市町村役場
所在地の市町村役場
本籍地の市町村役場


300円~400円程度
300円程度
300円~450円程度
固定資産税評価証明書登録免許税額計算のための書類所在地の市町村役場300円程度
名寄帳被相続人の不動産の一覧表所在地の市町村役場300円程度

なお遺産分割協議で相続人が確定した場合には遺産分割協議書が必要になります。また遺言で相続人が決まっている場合には遺言書および検認済証明書が必要です。

MEMO
登記事項証明書と登記簿謄本:かつては登記関係は登記簿謄本により行われていましたが、コンピュータ化されている場合には登記事項証明書となっています。基本的にはどちらも同じ。

相続した不動産登記には登録免許税がかかる

 

相続登記をする際には税金を納めなければならないのですか?

 
 

不動産を相続した時には、所有権の移転登記という手続きを行い、名義を変更しなければなりません。その時に納める税金を登録免許税と言い、放置しておくと、いろいろな問題が起きるリスクがあるんだよ。

 

登録免許税は固定資産税評価額×0.4%で割り出す

登録免許税は次のようなステップを踏んで算出します。

固定資産税評価額を確認する

まず固定資産税評価額を確認しますが毎年市町村から送られてくる納税通知書に記載されています。また固定資産課税台帳の縦覧制度により各市町村で閲覧が可能です。

MEMO
固定資産税評価額:固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税などの基準。市町村が決定し、3年ごとに評価替えが行われます。

登録免許税税率を求める

次に相続による所有権の移転登記の登録免許税額は次の式により算出します。

固定資産税評価額×税率(0.4%)

なお不動産評価額は1,000円未満、算出した税額については100円未満を切り捨てます。

算出例

登録免許税の計算の仕方について例をあげて説明しましょう。

下記の固定資産税評価額の不動産を相続

  • 土地=8,267,840円
  • 建物=4,326,850円を相続した場合。

不動産評価額の1,000未満を切り捨てるので土地=8,267,000円、建物=4,326,000円で計算します。課税格の合計は、8,267,000円+4,326,000円=12,593,000円

これに0.004%を掛ける

12,593,000円×0.004%=50,372円

100円未満は切り捨てるので登録免許税は50,300円になります。

MEMO
なお区分マンションの土地の評価額は区分所有する敷地権割合に按分した額となります。

相続登記を自分で手続きする場合の注意点

 

自分で相続手続きをする場合、どのようにすればよいのでしょうか?また注意する点があれば教えてください。

 
 

自分で手続きをすれば、司法書士への費用を支払わなくて済むね。それでは自分で手続きする場合の流れ及び注意すべき点について説明しよう。

 

自分で登記申請をする場合の流れ

自分で登記申請をする場合の流れ
  1. 登記事項証明書などの必要な書類を揃える
  2. 名寄帳により不動産の明細を確認する
  3. 遺言のない場合には遺産分割協議書を作成する
  4. 相続登記申請書を作成する
  5. 法務局へ申請

なお相続登記は管轄の法務局法務局窓口で行いますが、郵送やインターネットで申請する方法もあります。

自分で申請するときに注意する点

相続登記は自分で行うこともできますが必要書類を揃えたり登記申請書を作成したり大変な労力を要します。またある程度専門的な知識も必要です。特に相続人が何人もいたり遠方に住んでいるような場合・遺産分割協議書を作成しなければならない場合には、各相続人の戸籍謄本や住民票なども用意するなど手間暇がかかります。

それでもスムーズに申請が通ればよいですが、修正すべき点が出れば、各相続人にいちいち連絡を入れたり法務局や市町村役場に何度も足を運ぶことにもなりかねません。したがって相続人や不動産が少ない場合、手間暇が十分ある人は良いですが、それ以外は司法書士に依頼した方が無難です。

専門家に相続登記を依頼した方が良いケースについて

 

自分で相続登記をするのは大変そうですね。

 
 

そうだね、相続人が一人の場合は良いが、難しい場合もあるんだよ!それでは専門家に登記を依頼した方が良いケースについて解説しよう。

 

不動産の種類と数が多い場合

次のような不動産が対象の場合には手間暇がかかります。十分な時間や専門的知識がないと対応ができないので司法書士に依頼した方が良いでしょう。

司法書士に依頼した方が良い不動産
  • 不動産の用途が細分化していて複雑な場合
  • 対象となる不動産が多くあり、スタミナがかかる場合
  • 共有にするため、各相続人と調整が必要である場合
  • 不動産の用途が不明の場合
  • 不動産が遠方にあり、法務局に出向くことが難しい場合
  • 不動産が分散していて、一つの法務局ではまとめて申請できない場合

相続内容が複雑すぎて自分ではわからないケース

下記のようなケースでは相続人同士では、なかなかうまく調整できないこともあるので専門家に手続きを依頼した方が良いでしょう。

専門家に手続きを依頼した方が良いケース
  • 相続人が多数の場合
  • 相続人が遠方に住んでいる場合
  • 相続人同士が不仲の場合
  • 登記内容が複雑で専門的な知識を要する場合

相続した不動産には4つの選択肢がある

 

相続によって得た土地や家屋はどのように扱ったらよいのでしょうか?

 
 

そうだね、受け継いだ不動産をどうするかは、相続人や不動産の数近くに住んでいるか同課などの状況を考えて決めよう。

 

相続した不動産には所有していれば固定資産税や都市計画税が、貸し付けをし得た不動産には所得税や住民税がかかります。受け継いだ土地や家屋をどのようにするかは、次の4つの方法があります。

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自分で居住する、または家族や親族で住む

亡くなった被相続人と一緒に家族が同居していた場合には、引き続き居住すればよいでしょう。しかし、建築して何十年も経っているケースも多く、新たに住む時にはリフォームやリノベーションが必要なこともあります。リフォーム費用がかさむ場合には、住み替えを視野に入れた方が良いかもしれません。住んでいた住宅が高額で売却できるならば、むしろ積極的に住み替えを検討した方が良いでしょう。

注意
また親が遺していった持ち物をだれが受け継ぐかは大きな課題となるでしょう。

相続した不動産を売却する

不動産を多くの相続人で相続する場合には売却して得た現金を分配すると良いでしょう。一人が高額な不動産を相続し、少ない現金を分けようと考えると相続人同士でもめることになります。そのため不動産は売却し現金化し分ける方が良いでしょう。

また住宅が老朽化している場合には不具合箇所を直したり補修工事を行えば、高額の費用が発生します。また住宅には耐久年年数があり、補修してもいずれ住めなくなる時期が訪れます。住宅が老朽化しているケースでは、むしろ積極的に売却を検討した方が良いかもしれません。相続人が被相続人と同居していた財産を受け継ぐ場合には居住財産とみなされ譲渡所得の特例が適用になります。

注意
しかし同居していない場合には、特例が適用にならないので高い所得税や住民税が課される可能性があります。

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不動産を賃貸や施設にし利益を出す

相続人が一人だけで別に住んでいる住宅がある場合には、その不動産を有効活用して利益を出す方法もあります。アパートやマンション・事務所・駐車場などとして貸して利益が出れば大きなメリットになるでしょう。しかし不動産を賃貸や施設として利用する場合には、立地を考える必要があります。立地条件を考えずに、賃貸すればお客が付かず借金だけが残ってしまったということにもなりかねません。

注意
不動産業は立地産業、不動産投資をする場合には相続した不動産は立地が良いのか調査し検討しなければなりません。

おすすめはしないが放置

不動産を遺産分割できないので共有にしてそのまま放置しておくというケースがあります。しかし共有にした場合には全員の同意がないと売却できません。2次相続・3次相続が起こると共有者がさらに増え、一層売却できない事態になりかねません。

この間、固定資産税や都市計画税も継続してかかり、空家の管理が悪いと景観が悪化したり倒壊などの恐れが発生し「特定空き家」に指定されることもあります。その場合には固定資産税や都市計画税の優遇措置が解除され、多額の税金を支払わなければなりません。それでも改善されない場合には、強制的に建物の解体が行われかかった費用を負担しなければならないことに…。

MEMO
したがって相続した住宅をそのまま放置しておくのは絶対に避けるべきです。自分で済むことができなければ、売却する・活用するなどの方法を考えましょう。

まとめ

以上述べたように相続登記にかかる費用を安くするために自分で手続きを行う人もいます。相続人が少ない場合や相続手続きに手間暇をかけられる人は、自分でも申請ができます。しかし相続登記は複雑であり専門的な知識を必要とするほか、相続人が何人もいる場合・不動産が多い場合・相続人が遠方に住んでいる場合にはおススメできません。そのような場合にはお金はかかりますが、司法書士に依頼した方が無難です。