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鉄筋コンクリート(RC造)の防音性能はどのくらい?騒音トラブルを避ける選び方やうるさい物件の特徴について

鉄筋コンクリートの防音性はどのくらい?

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 鉄筋コンクリート造の防音性能はどのくらい?絶対に防音性が高いというわけではない
  2. 鉄筋コンクリート造なのにうるさい?実際に内見をして自身で防音性を確かめる
  3. 高い防音性を望むのであれば鉄骨鉄筋コンクリート造がおすすめ

住宅やマンションを選ぶ際に、建物の構造は確認しておきたいですよね。

鉄筋コンクリートは丈夫なだけでなく防音性も高いことから、小さな子どもがいるファミリー層にも人気の構造です。

コンクリートを鉄筋の枠組みに流し込んでいるため、木造の柱や床、天井よりも厚く、防音性が高くなっています。

耐久性も高く、近年はマンションだけでなく戸建てや賃貸アパートにも鉄筋コンクリートを用いた建物が多いです。

一方で、鉄筋コンクリートだから子ども連れでも安心!というわけではありません。

構造によっては鉄筋コンクリートでも生活音が響きやすい可能性もあります。

物件を探す際は実際に防音性の高さを自分で確認してください。鉄筋コンクリート造の防音性能はどのくらいあるのかはご自身で体験してみるのが一番早い方法です。

山口編集者

小室解説員

本記事では鉄筋コンクリートの基本的な情報から、防音性の高い物件の見極め方、鉄筋コンクリートでも防音性が低い物件の特長を紹介します。

鉄筋コンクリート(RC造)とは?特徴、防音性はどのくらい?

鉄筋コンクリート(RC造)とは?特徴、防音性はどのくらい?

鉄筋コンクリートは、建物を支える枠組みを鉄筋で作り、その周囲に枠を立ててコンクリートを流し込んだものです。

木造などの建築構造と違い、柱や壁、床、天井に隙間ができにくく、防音性を高める効果があります。

隙間ができにくく、断熱性も高く、冬でも比較的暖かい室温を維持できます。

さらに鉄筋コンクリートは耐久性、耐震性の高さも魅力的なポイントです。

MEMO

鉄筋は引っ張る力に弱い分押される力には強い特長を持ち、コンクリートは引っ張る力に強く押される力に弱いという、正反対の特性を持っています。

そのため地震の際にも双方の弱点を補い合い、建物全体を守ってくれます。

鉄筋コンクリートはどのくらい防音性が高い?

鉄筋コンクリートは壁に厚みがあるため、木造や鉄骨造に比べて防音性が高いです。

木造、鉄骨造では一般的に、木材や鉄骨の枠組みに石膏ボードを貼り付けて壁にしています。

そのため壁の厚みは100mmから150mm程度が一般的です。

一方で鉄筋コンクリートは枠組みをコンクリートで固めており、壁の厚みは15mmから200mmのものが一般的です。

壁の厚みが150mm以上あれば防音性は充分に高いです。

(参考:http://best.life.coocan.jp/k-rei/rei03/)

小室解説員

さらに詳しく、遮音等級から鉄筋コンクリートの防音性を解説します。
遮音等級は数値が低くなればなるほど防音性が高いことを意味します。

山口編集者

小室解説員

主な建築構造と遮音等級、どれくらいの音が聞こえるのかを下記の表にまとめました。
L-50鉄筋コンクリート生活音は漏れないレベル。振動はやや響く。大きな泣き声などは聞こえる。
L-60重量鉄骨造足音、洗濯機の音など、振動するタイプの音が漏れやすい。
L-65軽量鉄骨造生活音はほとんど聞こえる。木造よりややマシになる。
L-75木造テレビの音、ドアを開く音、洗濯機の音など生活音がかなり漏れる。

鉄筋コンクリートは主な建築構造である木造や鉄骨造と比較すると防音性は高いです。

一方で、完全に生活音を遮断できるわけではありません。

走る音、ものを落としたときの音、大きな泣き声などは隣や階下の家に響く可能性があります。

また、洗濯機を回す音、ドアを開閉する音など、振動するタイプの音は響きやすい特性があります。

山口 編集者

小室解説員

マンションや賃貸住宅に住むなら鉄筋コンクリート造だから大丈夫というわけではなく、生活音には充分配慮しなければなりません。



鉄筋コンクリートで防音性の高い賃貸物件の選び方・見極め方

鉄筋コンクリートで防音性の高い賃貸物件の選び方・見極め方

物件の防音性は、下記の4つの方法で確認できます。

物件の防音性の確認方法
  • 壁を軽く叩いてみる
  • 部屋の中で手を叩く
  • 騒音トラブルや苦情がないか確認する
  • 物件の構造を確認する

同じ鉄筋コンクリートでも、防音性の高い物件とそうでない物件があります。

賃貸住宅を選ぶ際は、内見でしっかり防音性の高さを見極めなければなりません。

壁を軽く叩いてみる

内見時の簡単な確認方法として壁を叩いてみる方法があります。

鉄筋コンクリートは、厚みがあり密度が高い方が防音性が高いです。

そのため、防音性の高い壁は壁を叩いたとき低く詰まったような音が聞こえますが、反対に薄くて密度が低い壁は叩くと軽くて高い壁の中で響くような音が聞こえます。

とくに隣の部屋との間の壁は、叩いたときの音の響き方をよく確認してください。

壁が薄いと生活音が漏れて近隣トラブルにつながる可能性もあります。

注意

賃貸住宅やマンションでは、基本の構造自体は鉄筋コンクリートでも壁は石膏ボードを貼り付けているだけという建物も多いので注意が必要です。

部屋の中で手を叩く

部屋の中で手を叩き、その音がどう反響するかを確認してください。

防音性の高い部屋で手をたたくと音が壁にしっかり跳ね返って耳に届きます。

窓やドアを閉めた状態で手を叩いた音が室内で響くようであれば、その建物の壁は防音性が高いです。

一方で、防音性が低い壁は音を外に漏らしてしまうため、大きく手を叩いても音が跳ね返ってきません。

広い部屋では実感しにくい方法なので、できれば寝室や子ども部屋にしたい部屋など、コンパクトな部屋の中で試してみてください。

山口編集者




騒音トラブルや苦情がないか確認する

さらに不安な方は住民からの騒音トラブル、苦情も確認してください。

すでに住んでいる方がその賃貸住宅をどう思っているのかがわかります。

直接近隣住民に騒音について問いただすのが難しい場合はインターネットで口コミを確認する方法もあります。

検討している賃貸住宅の口コミだけでなく、同じ建築会社が建てた賃貸住宅の口コミ、近隣エリアの条件が似ている賃貸住宅の口コミを確認すると、うるさく感じている人がどれくらいいるのかがわかりやすいです。

小室解説員

それ以外にも、隣や上下にどのような家族構成の住民がいるのかをオーナー、不動産会社に聞いてみるのもおすすめです。
小さい子どもがいる場合は生活音、騒ぐ声が聞こえる可能性があることも考慮しなければなりません。

山口編集者

さらに住宅だけでなく、近隣の施設にも注意が必要です。

音が響きやすい構造の建物の場合、近くに大きな道路、立体駐車場、商業施設があると室内にそれらの音が入ってきます。

MEMO

内見時には気付かずに住んでから周辺の施設の騒音に気付いて後悔するといったケースも少なくないため、事前に不動産会社、オーナーに騒音の原因になるものがないか確認してください。

物件の構造を確認する

鉄筋コンクリートとだけ記載されている場合、その物件の構造が鉄筋コンクリートの「ラーメン構造」か「壁式構造」かを確認すると、防音性の高さも確認できます。

ラーメン構造は鉄筋コンクリートの構造の一種ですが、鉄筋コンクリートで作った柱、梁で建物を支えているのが特長です。壁が薄くても耐久性が高いのが魅力ですが、その分防音性は下がります。

一方で壁式構造は鉄筋コンクリートの壁で建物全体を支えているため、しっかりと壁に厚みがあり防音性は高くなります。

詳しい建築工法を知りたいときは、不動産会社やオーナーに質問すると資料を確認するか、管理会社に確認してから返答してもらえます。




鉄筋コンクリートなのにうるさい賃貸物件の特徴

鉄筋コンクリートなのにうるさい賃貸物件の特徴

小室解説員

鉄筋コンクリートでも周辺の生活音が響いてうるさく感じる賃貸物件は多いです。
「鉄筋コンクリートだから大丈夫!」と油断せず、契約前に防音性の低い物件の特徴を確認してください。

山口編集者

建築方法が「ラーメン構造」になっている

鉄筋コンクリートにはラーメン構造と壁式構造があり、ラーメン構造の建物は防音性が低いです。

ラーメン構造は鉄筋コンクリート造の柱、梁を利用した建物で、壁自体は石膏ボードなど比較的薄いものが使用されているケースが多いです。

そのため鉄筋コンクリート造であっても周辺の生活音が響き、うるさく感じてしまいます。

壁式構造は鉄筋コンクリートの厚い壁で建物を支えているため防音性が高いです。

分譲マンションでは壁式構造が採用されるケースが多いですが、賃貸物件ではラーメン構造が採用されているケースが多いため、契約前に構造まできちんと確認する必要があります。

周辺の鉄筋コンクリート物件と比べて安い

周辺の鉄筋コンクリート造の物件と比べて家賃が安い場合、そもそもの建築コストが安い可能性があります。

建築コストを抑えるために壁に石膏ボートを使い、建物表面のみを鉄筋コンクリートで覆っている建物は多いです。

注意

同じ鉄筋コンクリートで家賃が安いとお得に感じますが、家賃の安さにはそれだけの理由があることも理解しておく必要があります。

部屋と部屋の間が隣り合わせになっている

隣の部屋と契約する部屋が隣り合っている場合、生活音が漏れやすいです。

ワンルームなどコンパクトな賃貸物件では、コストを抑えるためにすべての部屋が同じ間取りになっているケースが多いです。

隣がすぐに別の部屋だと生活音が丸聞こえになりうるさく感じてしまいます。

部屋と部屋の間に収納スペースやキッチン、トイレなどがあると、これらが隣の部屋の生活音を抑えてくれます。

契約する部屋の間取りだけでなく、隣り合う部屋の間取りも見せてもらうことをおすすめします。

山口編集者

築年数が古い・壁が薄い・共有部分が汚れている

鉄筋コンクリートの建物でも、築年数が古いとコンクリートにヒビが入ったり空洞ができたりして、音が響きやすくなっている可能性があります

古い建物は昔の防音性の低い素材を使っていたり、そもそも防音材を使っていなかったりするケースもあります。

また、壁が薄いとその分生活音は漏れやすくなります。壁の薄さは内見の際にも確認できるので、よくチェックしてください。

内見時には部屋の間取りだけでなくエントランス、エレベーター、駐車場などの共有部分も確認することをおすすめします。

小室解説員

共有部分の汚さでその建物に住んでいる住民の質がわかります。
夜遅くまで騒ぐ住人がいたり、騒音を注意するとトラブルに発展したりする可能性もあるため、共有部分に違和感を覚えたらその物件は避けることをおすすめします。

山口編集者




鉄筋コンクリートの防音性を自身で高くするポイント

鉄筋コンクリートの防音性を自身で高くするポイント

ここまで解説してきたとおり「鉄筋コンクリートだから防音性が高い」とは言い切れません。

しっかり確認しても、住み始めてからやっぱり生活音が気になってきた、「子どもの騒ぐ声などが近隣に迷惑になっていないか不安…」と感じることもあります。

そのような場合、自身で室内の防音性を高めることも可能です。

防音シートはインターネットでもホームセンターでも簡単に購入でき、インテリアとして楽しめるおしゃれなデザインも多いです。

また、厚手のカーペット、ラグマットを敷くだけでも階下への生活音を抑えられます。

生活音の中でもとくに振動による音は響きやすいので、洗濯機などは壁から離して設置することも意識してください。

窓は壁よりも薄く、室内の音を通しやすいですが、厚手のカーテンで防音対策ができます。

山口編集者

小室解説員

遮音性に優れたカーテンや遮音に特化した窓ガラス用のシートもあるので、気になる方はこれらのアイテムも取り入れてみてください。



防音性を重視するなら鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が最もおすすめ!

防音性を重視するなら鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が最もおすすめ!

鉄筋コンクリートよりも防音性の高い物件を選びたいのであれば鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)がおすすめです。

鉄筋コンクリートの遮音等級がL-50であるのに対して、鉄骨鉄筋コンクリート造の遮音等級はL-40で、走り回る音や落下音もわずかに聞こえる程度です。

鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄筋コンクリートをさらに鉄骨で補強した素材を基礎利用しています。

素材自体が200mm以上の厚みがあり、非常に防音性が高いことから、とくに小さな子どもがいるファミリー層向けのマンションで人気です。

小室解説員

ワンルームや古い賃貸物件では鉄骨鉄筋コンクリート造を採用した物件は少ないですが、防音性を重視するなら探してみる価値は充分にあります。

SRC造のデメリットは家賃が高め

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は家賃が高いというデメリットがあります。

部屋数や立地などの条件にもよりますが、鉄筋コンクリートの物件に比べて家賃が5万円以上高い物件も珍しくありません。

分厚く丈夫な基礎を作るためにはコストも時間もかかり、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物自体も少ないため、家賃は下がりにくいです。

ですが、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は防音性が高いだけでなく耐震性、耐久性も高く、長く快適に、安心して住み続けられます。

MEMO

毎月高い家賃を支払い続けるだけの価値があるか、鉄筋コンクリート造の建物で独自に防音対策をしてしのぐか、どちらの方が現実的かをよく検討して決める必要があります。




まとめ

鉄筋コンクリートは建築構造の中では防音性が高い部類ですが、完全に生活音を消してくれるわけではありません。

同じ鉄筋コンクリートでも、構造や素材、築年数によっては音が響きやすい物件もあります。

内見の際に簡単に確認できる方法もあるので、事前にきちんと確認した上で防音性の高い物件を選ぶようにしてください。

小室解説員

自分で防音性を高める方法もたくさんありますが、さらに防音性の高い物件を選びたい場合は鉄骨鉄筋コンクリート造の物件を探すこともおすすめです。
家賃が高くなり選択肢が少なくなるというデメリットはありますが、防音性を重視するなら鉄骨鉄筋コンクリート造も検討してみてください。

山口編集者