- 築50年のマンションは買っても大丈夫?メリット・デメリット紹介
- 築50年のマンションはいつまで住める?建て替えの可能性は?
- 築50年のマンションの購入&リノベーション事例を紹介!
新築マンションが次々に建設されるなか、中古マンションの人気も上昇しています。
新築マンションよりも手頃な価格で購入できるほか、立地条件の良さやバリエーションの多さも人気の理由です。築年数を重要視しなければ、1000万円程度の掘り出し物件に出会えることもあるでしょう。
平松編集者
岸田解説員
築50年マンションは買っても大丈夫?知られざるメリット
首都圏の新築マンションの市場動向によると、2023年5月現在1戸あたりの平均価格は8,000万円を超えており、一般家庭では“高嶺の花”といえるほど手の届かない存在になりつつあります。
一方、若い世代の中古マンションに対する苦手意識も減りつつあるなか、築50年マンションは買っても大丈夫なのでしょうか?まずは、築50年ほどの中古マンションに関するメリットを紹介します。
- 資産価値がないぶん購入価格が安い
- 立地条件が良い
- リフォームやリノベーションしやすい
- 管理状況がわかりやすい
資産価値がないぶん購入価格が安い
中古マンションは、築浅・新築マンションよりも物件価格が安いです。
さらに、東日本不動産流通機構のデータによると築5年以下の物件に比べ、築30年を超えた物件の価格が3分の1まで値下がりしていることもわかっています。
平松編集者
岸田解説員
鉄筋コンクリート造の法的耐用年数は47年なので、築50年マンションは“建物”の資産価値がほとんどなく、土地だけの評価になっています。販売価格は底値と言ってよいでしょう。
立地条件が良い
日本の分譲マンションは1960〜1970年代にかけて普及し、その後の建設ラッシュや融資制度の開始により大きな発展を遂げました。
この時期に建てられたマンションは駅周辺の好立地が多く、徐々に郊外へ広がるように建てられたことから、あとに建つマンションほど立地条件が悪くなります。
岸田解説員
平松編集者
駅周辺や都市部の再開発で新築マンションが建てられることもありますが、そうでない限り新築マンションが建てられる場所は限られています。
築年数にこだわらなければ、予算に合わせて利便性の良い物件を見つけやすくなるでしょう。
リフォームやリノベーションしやすい
築50年の物件は底値といっていいほど販売価格が安いため、フルリノベーションやリフォームにお金をかけやすくなります。
たとえば築50年のマンションをフルリノベーションする場合、50〜70㎡の相場は1000万円から1500万円ほどです。
平松編集者
岸田解説員
とはいえ、販売価格とリノベーション費用を含めれば、新築マンションの相場より1000万円以上安く購入できる場合もあります。
築50年マンションがリフォームやリノベーションでどこまで生まれ変われるのか、後半で実例をご紹介します。
管理状況がわかりやすい
マンションは、築後10〜12年に一度大規模修繕をおこないます。築浅のマンションだと大規模修繕を実施していない可能性がありますが、築50年マンションならすでに何度か大規模修繕をしているケースがほとんどです。
岸田解説員
平松編集者
築50年マンションに向いているのはこんな人
- 建物の資産価値にこだわらない
- リスクを考慮しても住みたいと思える魅力がある
- 不具合が出てもスムーズに対処できる
- 住居用だけでなく資産運用も検討している
- なにかあったときに住み替えができる資金力がある
販売価格が安く、立地条件の良い築50年のマンションはリノベーションやリフォーム費用が相場より高くなる可能性はありますが、それでもデザインや空間づくりを自由に手掛けたい人にはうってつけです。
築50年マンションはいつまで住めるかわからない?売れない?知っておきたいデメリット
平松編集者
岸田解説員
- 耐震性能に不安がある
- 資産価値が低く売却や相続に向かない
- 住宅ローンの審査に通りづらい
- 内装や設備が古い
耐震性能に不安がある
近年では地震をはじめとする災害が多く、建物の安全性が問われています。中古マンションの場合、1981年以前に建った物件は旧耐震基準であり、耐震性能の不安はゼロではありません。
もちろん、旧耐震基準が危険だとは断定できませんが、贈与税の非課税制度が利用できない、不動産取得税などの優遇が利用できないといった二次的なデメリットがあります。
岸田解説員
平松編集者
岸田解説員
平松編集者
資産価値が低く売却や相続に向かない
少子化で人口が減りつつあるなか、マンションの数は増加の一途を辿っており、売却の難易度は高いとされています。
法定耐用年数を過ぎた築50年のマンションは、建物としての資産価値がほとんどないので売れない可能性があります。
岸田解説員
平松編集者
住宅ローンの審査に通りづらい
築50年マンションは、物件の担保価値(資産価値)が評価されにくく住宅ローンに通りづらいことがあります。
先述の通り、1981年以前に建てられた旧耐震基準のマンションは担保評価額が低く、住宅ローンの審査に大きく影響します。また、災害などで住宅を失ったときに新しく建物が建てられない再建築不可物件も同様です。
岸田解説員
平松編集者
内装や設備が古い
築50年マンションをそのまま買って、リフォームやリノベーションをしないという選択肢もあるでしょう。
その場合、内装や設備が古いというデメリットがあります。デザイン性については好みもありますが、設備の機能性は確実に劣ります。また、間取りが古く現代のライフスタイルに合わないこともあるでしょう。
岸田解説員
築50年マンションの固定資産税や修繕積立金は安い?高い?
平松編集者
岸田解説員
築45年を超えると建て替えの問題が発生します。これまでの修繕積立金も明らかに不足するので、修繕積立金が一気に跳ね上がることが多いです。
販売価格が安くても、修繕積立金が高ければ購入後の維持費も高く付きます。よって、売却の難易度も上がるのです。
一方、固定資産税の評価額は建物の経年劣化で年々下がるため、築年数が古いマンションほど固定資産税の負担額が安くなります。
築50年のマンションは購入金額が安いという魅力もありますが、本格的に検討するなら未来を考えてシミュレーションしていくと良いでしょう。
築50年マンションはいつまで住める?建て替えの可能性と自己負担の費用
平松編集者
岸田解説員
マンションの建替えは管理組合が検討するところからスタートします。専門家を招いたり、勉強会を開いて検討を重ね、意見がまとまれば理事会を招集して建替推進決議をします。
その後は建替え計画を作成し、建替決議で5分の4以上の賛同が得られてはじめて建替えが決定するのです。
さらに、建て替える際は各段階で住民同士の合意が必要になるため、計画から実施まで長期化しやすく、建替えが進まないのが現状です。
メンテナンスにより建物の寿命は長期化できる事実
鉄筋コンクリート造の寿命は諸説ありますが、国交省の報告書(※2)によると120年程度あることがわかっています。さらに、メンテナンスを加えれば150年まで延命可能です。
岸田解説員
平松編集者
建て替えに必要な自己資金額
マンションの建て替えには、解体費用・建設費用・設計費用・事務費用などさまざまな項目で多額の費用がかかります。
立て直すマンションのグレードによって金額も大きく変わるため、高級マンションへ建て替える際はさらに費用がかかることでしょう。
建て替えの際の自己負担額は過去開示されているケースがほとんどありませんが、一般的に1000万円程度と言われています。
※1国土交通省「マンション建替えの実施状況」
※2国土交通省「中古住宅の促進・活用に関する研究会報告書」
この築50年マンションは買っても大丈夫!後悔しないポイント&注意点
岸田解説員
平松編集者
- 修繕履歴や長期修繕計画・建て替えの実施予定を確認する
- 耐震性能を確認する
- 管理状況を確認する
- 設備や配管の状態を確認する
- 売却や貸し出す選択肢があることも考慮する
修繕履歴や長期修繕計画・建て替えの実施予定を確認する
マンションの寿命は、適正なメンテナンスが行われているかどうかで大きく左右します。
これまでに起きた修繕履歴やその内容、今後おこなわれる予定の大規模修繕の時期や内容についてしっかり確認しておきましょう。
ちなみに、管理費や修繕積立金がなければ大規模修繕も実施できません。
滞納している住民の割合が多い、または滞納額が大きい場合は将来的に適切な修繕ができない可能性もあります。金額が相場と比べて適切かどうかも確認することをおすすめします。
耐震性能を確認する
築50年マンションは、原則的に旧耐震基準(震度5程度の中地震でも倒壊しないレベル)のため耐震性能の不安がゼロではありません。
とはいえ、過去に耐震補強工事が実施され新耐震基準に適合したマンションもあります。これは大規模修繕の記録から確認できるため、耐震性能にこだわる人はチェックしておきましょう。
管理状況を確認する
すべての物件で確認できるわけではありませんが、可能であれば管理組合の議事録を確認しましょう。
理事会での決議やその結果、質疑応答が記録されているので、過去に起きた近隣トラブルや共益費/管理費の滞納など、マンション全体の問題を知ることができます。
設備や配管の状態を確認する
50年以上前に使用された金属製の配管は劣化しやすいですが、リフォームすることで新しい素材の配管に変えることができるため、その後の暮らしも安心です。
しかし、築50年マンションのなかには配管類を建物のコンクリートに埋め込んでいるケースもあります。
この場合はリフォームで配管を変えることができず、水回りも移動できないため注意が必要です。
売却や貸し出す選択肢があることも考慮する
築50年マンションを購入しても、将来的に住み替えなければならなくなるときもあります。
しかし、資産価値の低い築50年マンションは簡単に売れない事情もあるため、売却益に頼らず住み替えるだけの資金力があると安心です。
また、将来的に売却や賃貸物件への転用を考えた際には、販売価格や家賃を相当低くしなければ成約しない場合があります。資産価値にこだわるのではなく、売却や賃貸の可能性も視野に入れておきましょう。
築50年マンションでも快適!購入&リノベーション事例
築50年マンションでも、リノベーションすることで新築マンションそっくりのデザイン性や居住性を生み出すことができます。
平松編集者
岸田解説員
- 骨格がしっかりしている物件は築50年でもきちんとした空間に
- 管理体制もよくリノベーションで購入金額より高く売却できた
- 開口部が広いと築50年のマンションでも映える
- 築50年の物件をリノベーションしてスタイリッシュな空間に
- リフォームされた物件をさらにリノベーション
骨格がしっかりしている物件は築50年でもきちんとした空間に
築50年ほどのマンションの改修
基本の骨格がしっかりした建物は装飾を剥がすだけでちゃんとした空間にできます。#代々木上原 pic.twitter.com/ttPyeJ8CEn
— Yosiaki-Miyazaki (@ysakmyzk) July 19, 2023
築50年マンションの間取りは、現代のライフスタイルに合わないこともあります。
しかし、構造がしっかりしていれば快適な空間づくりも可能です。
壁を撤去してリビングや居室を広くする、キッチンを移動するなど、マンションの間取り変更がどこまでできるか事前に確認すると良いでしょう。
管理体制もよくリノベーションで購入金額より高く売却できた
中古マンションが資産形成に激アツ。先日ご縁があって千葉県の築50年中古マンションを買わせてもらったけど、昭和感漂う内装からか半年近くも売れ残っていた模様。気に入ったから500万円の売出し価格に対して250万円の指値で購入申込、内装ぜんぶ壊して350万円ほどのリノベして2LDKに。その結果、→(続 pic.twitter.com/N7W461bUEO
— たまちゃん|『リースバックで任意売却』のプロ。㍿リリィオフィス (@tamachan_1218) July 11, 2023
こちらの実例も、内装を剥がして間取りを変更しています。
築50年でも管理体制がよく、外壁塗装もこまめにおこなっていたことから原価650万円に対して850万円で売却できたとのことです。
売却目的で築50年マンションを手に入れるなら、立地条件や管理体制にも目を配りましょう。
開口部が広いと築50年のマンションでも映える
昨日の情熱大陸見てたら築50年のマンションのリノベが自宅として出てきたんだけど、このサッシすごい。
開口部が充実してるマンションであれば築古リノベも映えるな。やはりマンションは開口部。 pic.twitter.com/qvrDO13nTy— 池タヌ (@shinobazukun) May 15, 2023
リビングの開口部が広く、空間全体が開放感に包まれたリノベーション実例です。立地が良い物件なら眺望も期待できます。
築50年の物件をリノベーションしてスタイリッシュな空間に
我が家のリノベBefore After(2枚目がBefore)。築50年マンションだけれど、リノベ前の状態でも割と綺麗な状態でした。
3枚目は非常階段。こちらも比較的綺麗な状態。建物の寿命は、元々の建築に加えて、その後の手入れが大事なんだと痛感。 pic.twitter.com/jiO1sQ2p2J
— favvy (@favvy0702) April 26, 2022
白を貴重とした内装にリノベーションした築50年マンションです。
キッチンの写真を見ると、新築マンションと見間違うほどスタイリッシュに生まれ変わっています。また共用部である非常階段も状態がよく、適切にメンテナンスされている様子が伺えます。
リフォームされた物件をさらにリノベーション
\ 我が家の中古+リノベ /
10年ほど前にリフォームされていた物件を購入し、ユニットバスだけ残してフルリノベーションしました🌞
広さ45㎡、築50年ほどのマンションの一室です🏡① リノベ前(とてもシンプルな空間)
② リノベ後(同アングル / 家具なし)
③ リノベ後(同アングル / 家具あり) pic.twitter.com/nkUCLJY42t— Ayako Isetani(伊勢谷 亜耶子) (@ayakoisetani) November 18, 2021
築50年マンションで、前の所有者が10年ほど前にリフォームした物件を購入しリノベーションした実例です。
キッチンの場所を移動させクローゼットを造作しています。リフォーム時点でも古めかしさがありませんが、リノベーションすることでスタイリッシュかつ個性的な空間に生まれ変わっています。
まとめ|築50年マンションは買っても大丈夫!条件次第で長く快適に住める可能性も
- 築50年のマンションは買っても大丈夫?メリット・デメリット紹介
- 築50年のマンションはいつまで住める?建て替えの可能性は?
- 築50年のマンションの購入&リノベーション事例を紹介!
築50年マンションは買っても大丈夫?いつまで住める?という不安もつきものですが、実際には適切なメンテナンスで寿命を伸ばしているマンションも多く、立地条件の良さから人気があります。
岸田解説員
平松編集者