分譲マンションの内覧会の裏ワザとは?ひどい体験談やチェックリストまとめ

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 新築マンションの内覧会がひどい?体験談をご紹介
  2. 分譲マンションの内覧会の裏ワザとは
  3. 新築マンション内覧会のチェックリスト

新築マンション購入時は「内覧会」というイベントがあります。内覧会は共用部や室内を確認するイベントです。

「新築マンションの内覧会でひどい不具合が見つかった・・・」というがっかりする場合もあり得ます。

そのため、きちんとチェックしないと不具合を見落とすリスクがあるので注意しましょう。

この記事ではそんな内覧会に関する概要や裏ワザ、チェックリストについて詳しく解説していきます。新築マンションの購入を検討している人や、これから内覧会を控えている人はぜひ参考にしてください。

新築マンションの内覧会とは?

マンションの内覧会とは完成した新築マンションを確認する会です。一般的には、引渡しの1~1.5か月ほど前に売主が主催します。

内覧会の目的は設備の説明、および室内を含めた不具合を確認することです。たとえば室内に傷や汚れがあれば内覧会でその箇所を指摘します。指摘箇所が多ければ再内覧会を実施し、指摘箇所が改善されているか確認します。

一方、指摘箇所が少なければ引き渡し時に確認するという流れが多いです。内覧会で指摘しておかないと後から指摘しても修繕してもらえない…というケースがあるので注意しましょう。

へ~。内覧会ってすごく大事な会なんですね!

山口編集者山口編集者

小島解説員小島解説員

うん、その通りだよ!特に室内の傷や汚れは、内覧会で指摘しないと修繕してもらえないので注意しよう。
 

マンションの内覧会では誰も立ち会わないケースもある

一般的に内覧会は不動産会社(売主)や施工会社の担当者と一緒に室内や共用部を見て回ります。しかし誰も立ち会わない内覧会もあります。

具体的には大規模マンションなどの内覧会の場合、あまりに件数が多いので担当者が立ち会わない(立ち会えない)ケースがあるのです。

立ち会いがない場合はチェックシートを渡され不具合や気になる箇所があれば自ら記載していきます。そのチェックシートを売主や施工会社が確認して、引渡しまでに修繕します。

内覧会なのに…立ち会ってもらえないんですね…。

山口編集者山口編集者

小島解説員小島解説員

さすがに数百戸以上ある大規模物件だと、スタッフの人数的に立ち会いが無理なケースがあるんだよ…。ただ大規模物件くらいなので、一般的に立ち会いはあると思って問題ないよ。

分譲マンション内覧会の裏ワザと持ち物

次にマンションの内覧会の所要時間と持ち物、裏ワザを解説します。所要時間や持ち物は物件によって異なりますが一般的な基準として以下を参考にしておきましょう。

マンションの内覧会に必要な持ち物

マンションの内覧会に必要な持ち物
  • メジャー:採寸のため
  • 間取り図のコピー:採寸結果などを書き込む用
  • 水平器:水平かどうか確認できる
  • カメラ:室内写真の撮影用(スマホでも良い)
  • タオル:水を拭き取る

特に家具の配置を確定させるために採寸が必要なのでメジャーは必須です。

上記は売主側が用意してくれることもあるので、事前に確認しておくと良いです。

マンションの内覧会所要時間は1時間~2時間程度

内覧会にかかる時間は大体1時間~2時間ほどです。こちらも売主に聞いておくと良いでしょう。

上述したように内覧会はマンションの買主にとって非常に重要なイベントです。そのため、新築だから不具合はないだろう…と思わずに、じっくり時間をとって見学することが重要です。

裏ワザは専門家に依頼すること

分譲マンション内覧会の裏ワザとして、住宅診断士に同行を依頼する方法があります。

住宅診断士は住宅に関する専門的な知識を持ち、住宅の状態や品質について診断・アドバイスを提供する資格を持つ専門家のことです。

素人では気づく事の出来ない不具合を見抜くことができ、購入者にとって重要な相談相手となります。

ただし内覧会で第三者の動向を禁止している場合もあるので、専門家を同行する場合は事前に売主に確認を取った方がスムーズでしょう。

マンション内覧会の流れ【施工会社か売主が立ち会うケース】

マンションの内覧会の流れは以下の通りです。

STEP1
内覧するマンションのエントラスで受付と説明を聞く
STEP2
部屋の案内をされ、最初は室外設備の説明を受ける
STEP3
室内設備の説明を受ける
STEP4
内覧会シートを受け取り、室内をチェックする
STEP5
内覧会シートの記入と再内覧の確認
STEP6
説明を受ける

なお、上記は施工会社か売主が立ち会うケースです。また売主によって共用部の流れは多少異なります。

小島解説員小島解説員

以下よりSTEP1~STEP6までを解説していきます。事前に内覧会の流れを頭に入れておきましょう。

STEP1:内覧するマンションのエントラスで受付と説明を聞く

まずは内覧するマンションのエントランスで受付して、簡単な説明を聞きます。そして内覧時の注意点や担当者を紹介されます。なお内覧の担当は営業担当者と別のケースも多いです。

STEP2:部屋の案内をされ、最初は室外設備の説明を受ける

次に自分が購入した部屋に案内され室外設備の説明を受けます。室外設備とはメータボックスなどのことです。

STEP3:次に室内設備の説明を受ける

次に室内に入り室内設備の説明を受けます。室内設備とは、給湯器をはじめとした水回り関係の設備です。ほかには警備システム・食洗器・ディスポーザーなどがあれば、これらの使い方の説明を受けることもあります。

STEP4:内覧会シートを受け取り、室内をチェックする

室内設備の説明が終われば担当者から内覧会シートを受け取り室内のチェックをします。各居室やリビング・ダイニング、玄関などを見て回り、傷や汚れがあれば担当者に指摘するという流れです。担当者の手元には書き込みができるように大きな間取り図があるので、担当者は買主から指摘された事項を記入していきます。

小島解説員小島解説員

この「室内のチェック」が内覧会のメインイベントになります。

STEP5:内覧会シートの記入と再内覧の確認

次に前項で担当者が記載したシートのコピーを受け取ります。そのシートを見て、指摘した項目がすべて網羅されているか確認します。また内覧会で指摘した事項が改善されているかをチェックするため、ここで再内覧会の予定を決めることが一般的です。なお上述したように指摘箇所が少なければ再内覧会はなく「引き渡し時にチェック」というケースもあります。

引き渡し時にチェックして、もし改善されていなかったらどうするんですか?

山口編集者山口編集者

小島解説員小島解説員

その場合は引き渡し時に営業担当者に相談するという流れだね。そうすれば売主が施工会社に連絡して、施工会社が修繕してくれるよ。

STEP6:共用部の説明を受ける

室内の内覧が終われば以下共用部の説明を受けます。

共用部の説明
  • エントランス(鍵の開け方など)
  • メールボックスの使い方
  • 駐輪場や駐車場
  • ゴミ置き場

MEMO
共用部の種類はマンションによって異なります。特に使い方が分かりにくい箇所…たとえば機械式駐車場の使い方などはよく聞いておきましょう。

ひどい?新築マンション内覧会の体験談

新築マンションの内覧会がひどい?体験談まとめ

新築マンションの内覧会に参加して、ひどい不具合を発見したパターンはあるのでしょうか。

結論から言えば、大きな修繕が必要なほどの不具合は滅多にありません。ただ、「指摘する箇所が何もない」というのも稀です。

この章では内覧会に参加した方の声をご紹介します。

新築マンション内覧会の体験談
  • フローリングの色が一部違った
  • ドアの建付けが悪かった
  • 説明だけで2時間30分かかった
  • 不具合は少なからずある
  • 専門家に同行してもらった
  • 細かすぎる指摘をする人もいる

フローリングの色が一部違った

フローリングの一部のみ違う色が貼られていた、という声です。

居住中に床を傷つけて修理したなら仕方がないですが、新築で最初から色が違うというのは納得できませんね。

ドアの建付けが悪かった

複数枚のドアの建付けが悪かったという声です。

指がすっぽり入るほどの隙間は空調の効きにも影響しますし、何より怪我が心配ですね。

説明だけで2時間30分かかった

新築マンションの内覧会は意外と時間がかかるものですが、説明を受けるだけで2時間半かかったいう体験談です。

時間が読めないので、内覧会の日は別の予定を入れない方が無難です。

不具合は少なからずある

大手が販売するマンションでも、少なからず不具合が見つかるという口コミです。

「不具合はあって当たり前」というスタンスで臨んだ方が気負わずに内覧会に参加できそうです。

専門家に同行してもらった

インスペクターとは、住宅診断士のことで、家の状態を専門家としてアドバイスしてくれます。

家は大きな買い物なので、多少費用が掛かっても専門家に見てもらえるのは安心です。

細かすぎる指摘をする人もいる

家は大きな買い物なので小さな不具合も気になるのは理解できますが、いつまでもそこに執着してしまうとせっかくの楽しいイベントが台無しになってしまいます。

あまり気負わずにリラックスして内覧会に臨むことが大切です。

マンション内覧会のチェックリスト

次にマンション内覧会で役立つチェックリストを紹介します。

内覧会でチェックするポイントをこのリストで抑えておきましょう。

新築マンション内覧会のチェックリスト

マンションの内覧会で使えるチェックリストはこちら

上記のチェックシートはこちらでコピー&ペーストしてご利用いただけます。このチェックシートを見てチェックポイント知った上で内覧を行いましょう。そうすれば内覧会での指摘漏れも少なくなります。

内覧会でがっかりしないための注意点

マンション内覧会でがっかりしないための注意点は以下の通りです。

がっかりしないための注意点
  • 気になる箇所は細かいことでも質問しよう
  • 所要時間に囚われず、気が済むまでマンションをチェックしよう
  • 内覧会予定日は日程を空けておこう

気になる箇所は細かいことでも質問しよう

1つ目の注意点は気になる箇所は細かいことでも質問することです。内覧者の中には「こんなに細かいことを質問しても良いのかな」と思う人がいます。たとえば以下のようなことです。

細かい質問の例
  • インターホンの開閉方法
  • メールボックスの暗証番号変更
  • 警備システムも設定方法

上記を質問すると担当者から取扱い説明書を見てください…と言われることもあります。しかし気になるなら聞いておきましょう。

マンション入居後に取り扱い説明を見ながら確認するのは面倒です。また内覧担当者は基本的に上記のようなことは知っています。そのため担当者にとっては、そこまで難しい質問ではないのです。

所要時間に囚われず、気が済むまでマンションをチェックしよう

2つ目の注意点は所要時間にとらわれずに気が済むまでマンションをチェックすることです。

上述の通り内覧会の時間は1~2時間です。とはいえ、特に室内のチェックは時間を気にせず行って問題ありません。

上述したように内覧会で指摘せず、その後に修繕依頼すると有料になることもあります。また内覧会は売主や施工会社に色々質問できる最後のチャンスです。

というのもマンションの引渡しを受ける前は、営業担当者へ気軽に相談できていたでしょう。

しかしマンションが完売すればマンションギャラリーもなくなり、担当者も次の物件へ配属されます。そのため今までのように気軽に問い合わせできる体制ではなくなるのです。

内覧会は入居前に必ずやることの大事な一つとして捉えてください。

MEMO
内覧会後に質問事項が出てこないよう、気の済むまでチェックしましょう。

内覧会予定日は日程を空けておこう

3つ目の注意点は内覧会予定日は日程を空けておくことです。その理由は以下の通りです。

内覧会予定日は日程を空けておく理由
  • できるだけ日中に内覧するため
  • 予想以上に時間がかかる可能性があるため

詳しく解説していきます。

できるだけ日中に内覧するため

まず内覧会を行うならできるだけ日中にすべきです。というのも、新築マンションの照明はダウンライトのみ設置されており、シーリングには簡易的なライトしか設置されていません。

そのため夕方以降の内覧になると室内をチェックしにくいのです。

予想以上に時間がかかる可能性があるため

また、内覧は予想以上に時間がかかる可能性もあります。言い換えると時間に追われてチェック漏れしてしまうリスクを防ぐために、内覧日は時間に余裕を持たせておく必要があります。

たとえば内覧日の夕方に予定を入れてしまえば「後10分で出なければいけないから急いでチェックしないと…」という状態になるかもしれません。

MEMO
このようなことにならないように内覧日は終日空けておくことをおすすめします。

内覧会に参加した方が良い理由

マンションの内覧会には基本的に参加した方が良いです。というのも引渡し前に不具合をチェックできるチャンスだからです。

また引渡し前に状況を確認することで将来役立つこともあります。これらの点について、以下より詳しく解説していきます。

不具合をチェックできる最後のチャンス

マンションの内覧会に参加した方が良い1つ目の理由は内覧会は引渡し直前に不具合をチェックできる最後のチャンスだからです。

新築マンションとはいえ、たとえば以下のような不具合はあり得ます。

不具合の例
  • 床や壁紙に傷がついている
  • 壁紙の一部に黒ずみがある
  • 玄関ドアが開閉しにくい
  • 網戸が一部破損している

わたしは今まで何度も内覧会に立ち会っていますが、不具合(指摘)がゼロのケースはほぼありませんでした。

つまり、いくら新築でも何かしらの不具合があるということです。もちろん大きな不具合があることは少なく、細かい指摘が多いです。

とはいえ、せっかくの新築マンションなので、きちんと不具合はチェックしておきましょう。内覧会の後に不具合を発見しても基本的に売主は対応しません

その不具合が入居後の不具合なのか入居前の不具合なのか、判断できないからです。

小島解説員小島解説員

もちろん重大な不具合は売主も対応します。しかし「床に傷がある」などの小さな不具合は、引き渡し後に対応することはほぼないでしょう。

アフターサービス規準書には期限がある

マンションの内覧会に参加した方が良い2つ目の理由はアフターサービス基準書には期限があり無料で修理してくれないこともあるからです。

新築マンションは売主が「アフターサービス」の期限を設けています。期限は売主によって異なりますが、たとえば以下のように定めています。

「アフターサービス」の期限(例)
  • 室内建具の破損:2年間
  • 照明などの設備機器:2年間
  • ガス配管の破損:5年間

参考:一般社団法人不動産協会|中高層住宅規準

アフターサービスの期限を超えると基本的には有料の修理となるので注意が必要です。

内覧会で気づかなかったものの、後になって気づくこともあるので内覧会でしっかりチェックしましょう。

引き渡し前の状況を確認しておくことで将来役に立つ

マンションの内覧会に参加した方が良い3つ目の理由は引き渡し前の状況を確認しておくことで、将来的に役立つことがあるからです。

たとえば数年後に室内の床が傾いてしまったとしましょう。当然ながら工事の不具合が疑われるものの、原因を究明するまでに時間がかかります。しかし内覧会で床の傾きをチェックしておけば、その予兆に気づけたかもしれません。

予兆に気づければ施工会社や売主が調査することで将来的に傾くことを防げた可能性があります。

MEMO
このように引き渡し前の状況を把握しておくことで、将来発生する可能性のある「大きな不具合」を防げる可能性があります。

まとめ

このように新築マンションの内覧会は買主によって非常に重要なイベントです。特に室内の傷や汚れは内覧後に指摘しても無償で修繕してくれないでしょう。

そのため上述したチェックリストを参考に、内覧会でしっかりチェックすることをおすすめします。