和室リノベーションにかかる費用と工期の目安は?

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 戸建てとマンションではリノベーションに使用される素材や工法が変わる
  2. メンテナンスの方法や、劣化の進み具合など素材の違いも把握しておく
  3. リノベーション業者にも得意不得意があるため、事前の相談や見学が大切

現代のライフスタイルに合わないと和室から洋室へのリノベーションを検討されている方がいる一方で 、洋室から和室へのリノベーションを希望される方もいらっしゃいます。

落ち着いた雰囲気や、室内の一角に和を用いたスペースを配置したいといった希望をお持ちの方を中心に、近年では「和モダン」のテイストを取り入れたリノベーションの人気が高まっています。

浜崎編集長

今回の記事では、和室のリノベーション・リフォームにかかる費用、工期の目安について紹介していきます。リノベーションを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

和室のリノベーションにかかる費用の相場は?

リノベーション内容費用の目安工期の目安
畳をフローリングへ変更(6~8畳)約9~35万円約1~7日
壁・天井の変更(6~8畳)約10~30万円約1~4日
押入れをクローゼットに変更約8~25万円約1~3日
建具の変更約3~22万円約2~5日
和室全体を洋風に変更(6~8畳)約25~100万円約1週間~1ヶ月

まず、和室のリノベーション・リフォームにかかる費用を項目別に紹介していきます。

上記はあくまでも目安で、部材のグレードや施工方法、解体の状況、補強の有無などによって、費用や工期は変化します。

MEMO

マンションなど集合住宅のリノベーションでは、ルールや規約を遵守する必要があるため、決まった床材の使用や防音対策等が必要となり、費用がその分高額となる場合もあります。

戸建てとマンションではリノベーションに使用される素材や工法が変わるのですか?

事務員

浜崎編集長

マンションではルールや規約に基づいた素材選びや対策が必要となります。また、施工業者が頻繁に出入りし、作業の音が発生するため、事前にマンション管理会社・組合への届け出や、工事期間の案内などを告知・掲示しておく必要があります。そして、工事しても良い時間や曜日が決まっている場合もありますので注意が必要です。

【和室→洋室】費用と工期の目安は?

6~8畳の和室を洋室へ変更する場合、約25~100万円かかると考えておきましょう。原則として、予算は50万円以上を見込んでおくと安心です。工事は1~2週間程度で終わることが多いですが、大規模なリノベーションを行う場合には、1ヶ月以上かかることもあります。

【洋室→和室】費用と工期の目安は?

6~8畳の洋室を和室へ変更する場合、約40~60万円の費用かかるのが一般的です。既存のフローリングの上に、畳を敷き詰めるだけの簡易リフォームであれば、下地の処理をする必要がないため、工期や費用を大幅に抑えることも可能です。工期は1~2週間程度を目安にしておきましょう。

【和室→和室】費用と工期の目安は?

畳は「表替え」や「新調」といった変更方法があり、1畳あたり表替えで約5,000~20,000円・工期約1日、新調で約10,000~35,000円・工期約2~10日が目安です。襖や障子の張り替え費用は約2,000~25,000円・工期は約3~5日、グレードや装飾のあるものはさらに高額となります。

また、リビングの一角に小上がりを設け和室にする場合は、3~4.5畳で約15~50万円・工期約4~7日が目安。小上がりに合わせて、掘りごたつを設置するケースもあり、6畳ほどのスペースであれば約25~30万円・工期約2日程度で完成します。

和室リノベーションのポイントとは?

基本的な和室リノベーションのポイントとして、和室と洋室では構造が異なることを把握しておく必要があります。床の構造や真壁・大壁の違いなど、リフォームを行う際にどの部分を残し、どういった補強が必要かを検討しなければなりません。また、素材の違いによって、メンテナンスの方法や、劣化の進み具合も異なります。

例えば、畳はメンテナンスを怠ると、カビやダニなどのハウスダストやアレルギー物質の温床にもなります。そして、襖や障子、畳は経年劣化が目立ちやすく、定期的な表替えや張り替えなどのメンテナンスを必要とします。

和室リノベーションにおける注意点とは?

高齢者のいる家庭で、和室のリノベーションを行う場合には注意が必要です。小上がりなどの段差が負担となるケースや、車椅子を使用されている場合は、畳などが向かないこともあります。

また、小さなお子さまがいらっしゃる場合は、畳や建具の傷みや劣化が早まる可能性があるため、使用する素材のグレードを低く抑え、安価で補修できるもの選ぶとよいでしょう。

ライフスタイルや家族構成によって、どのようなリノベーション・リフォームがご自身にマッチしているか、しっかりと調べておきましょう。

MEMO

これは和室リノベーションに限った話ではありませんが、リノベーション業者にも得意不得意があります。どうしても和モダンのテイストを取り入れたいといったこだわりがある場合には、それを得意とする業者に依頼するのが一番です。ホームページなどで好みに近い施工事例を載せている業者が見つかった場合には、積極的に相談や見積もりをお願いしてみると良いでしょう。

和室のある暮らし~リノベーション事例を紹介~

ここでは「和室リフォーム」の事例を紹介していきます。

【2世帯での同居を機に和室の寝室をアジアンリゾート風にリノベーションした事例】

主なリノベーション内容寝室用和室の床、壁、天井、押入れの仕様変更
工事期間約1カ月
予算約200万円

2世帯同居のために、もともと和室であったお部屋を、アジアンリゾートのイメージに変更した事例です。真壁など木のぬくもりを残し、あえて傷みのあるアンティーク調の無垢フローリングを使用しています。既存の柱や枠材を深い色合いで塗装し、天井とフロアの色調を合わせることで、統一感のある空間づくりに成功しています。

天井には間接照明、要所には調光可能なダウンライトを設置しリゾート気分で生活できる寝室となっています。

参照元:住まいるオスカー

【家族との関わり・繋がりを重視したフルリノベーション事例】

主なリノベーション内容部屋の間取り変更・増築・耐震補強・基礎補強
断熱施工・内装・外装の変更・オール電化
総工事床面積111.92㎡
築年数36年(中古物件)
工事期間約3カ月

5DKの間取りを3LDK+畳スペースを設け、家族が顔を合わせ、共有できる時間や空間を意識したフルリノベーション事例です。

1階部分は、印象的な大きな丸太梁を現しに、空間を広く感じられる工夫がされています。和室として利用されていたお部屋を大きなリビングに間取り変更し、動線を自由に確保できるアイランドキッチンや、小上がりのある畳スペース、構造上取り除くことができない柱には壁を設けアクセントのある仕上がりとなっています。

参照元:住まいるオスカー

リノベーションで和室を上手に活用しよう

一言で和室のリノベーションといっても、さまざまなパターンや方法があり、どのような素材を選ぶかによっても、費用や工期が大きく変わってきます。

ライフスタイルや生活様式の変化によって、和室は必要ないと考える人も増えていますが、古い住宅において和室は、ダイニングスペースの隣や日当たりの良い場所など、家の中でも特に使いやすい場所にあることがよくあります。そんな使い勝手の良いスペースを有効に活用するためにも、いまいちど、和室の在り方について考えてみてはいかがでしょうか。

リノベーションを専門に行う業者は増加傾向にあり、各社が独自の専門性をアピールしています。和室の扱いに特化した業者もあるため、見学会への参加や、問い合わせ、相談をしてみてはいかがでしょうか。