土地探しのコツを完全ガイド!土地探しに必要な知識と買わない方がいい土地の特徴とは

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. 手間と時間をかけ丁寧に行い続けますと、希望条件に適合する土地を見出し易くなる
  2. 事前に土地に関する知識も身に付けておく必要がある
  3. 希望条件の優先順位を考慮しながら、土地探しをするのが良い

マイホーム建築のために立地にこだわる場合、土地探しから始めることになります。しかし希望条件に適合する土地を見つけることは、容易ではありません。「土地をどの様に探せばよいのだろうか?」「避けた方がよい土地の特徴は、あるのだろうか?」と、悩んでおられる方はいませんか?

実は土地探しにはコツ・ノウハウがあります。数多くの不動産に関する相談事や悩み事を解決してきた不動産コンサルタントが、土地探しのコツや事前に準備しておくこと、買わない方がよい土地の特徴について解説します。土地購入に際して希望する住宅を建築することを見据えて希望条件を列記し、その優先順位を決めることの大切さを理解することができます。

土地探しのコツ

 

土地探しのコツは、何ですか?

 

 

 

WEBサイトや希望地域周辺の不動産会社、折込みチラシなどをこまめにチェックしながら、希望地域周辺を歩いて探すことも大切です。時間と手間をかけた分、希望条件に合う土地を見出す確率が上がります。

 

ネットだけでなく周辺の不動産会社もチェックする

WEBサイト上でも土地を検索することができますが、希望条件に適合する土地を見いだすことは、容易ではありません。その場合は希望する地域周辺の不動産会社に直接訪問し、抱えている土地情報を点検・確認するのも一つの方法です。地域密着型の不動産会社には、まだWEBサイト上に土地情報を掲載していない案件を所有しています。その中には、希望条件に適合する土地情報が含まれている可能性も少なからずあります。

希望条件に適合する土地情報が無い場合は希望条件・連絡先を記した書類を不動産会社に手渡し、情報が入手された時に連絡をもらえるなどの工夫をします。その様な行動を、数軒の不動産会社で行えば、意外と早く連絡がくることもあります。同時に工務店やハウスメーカーなどがあれば訪問し、建築費の見積作成をする際の依頼先候補の一つにしておきます。また、そこから思わぬ土地情報を入手できることもあります。

折込みチラシの情報もしっかりチェックする

希望条件が自宅の近所の場合、新聞紙やミニコミ誌に挟んである折込みチラシなどの土地情報も、しっかり点検・確認します。不動産会社がWEBサイト上で広く案内する前に、地域限定情報として地元の方に優先で案内する方法です。希望条件に適合する土地情報が含まれている可能性もありますので、こまめに点検を行います。

実際に希望する地域周辺を探索する

希望する地域周辺を、実際に歩きながら探すことも一つの方法です。売却中の土地の中には、広告経費削減のためにWEBサイトや折込みチラシを利用せず、現地にて「売地」の看板だけを立てているケースもあります。この様な土地情報は、その土地周辺の方か、土地の前を通過した人にしか知られることはありません。したがってWEBサイトや折込みチラシでは決して知りえない土地情報となります。

 

希望する地域周辺を歩いてみることは地域環境を肌で感じる上でも、決して無駄にはなりません。

 

土地の価格について調べる

希望条件の予算以内の土地が、なかなか見つからない場合、土地価格を調査してみるのも一つの方法です。国土交通省が、情報提供する「土地総合情報システム」は、土地価格を調査可能です。例えば「不動産取引価格」「地価公示・都道府県地価調査」となります。

売却物件として掲載されている土地価格は売却希望価格であり、実際の相場よりも高めの設定です。周辺の売却済の取引価格と比較しますと、価格差が判明し、おおよその相場を知ることができます。そこから、希望する土地情報を入手できることもあります。

出典:国土交通省|土地総合情報システム

土地探しをする前に準備しておくこと

土地探しをする前に準備しておくことは希望条件を具体的に書き出してみることです。
次に書き出した項目の優先順位を決めます。希望条件の全てをかなえることは困難となり見つけ出すには相当な時間も要します。したがって優先順位の低い項目については諦める覚悟も必要になります。

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土地の希望条件(立地や広さなど)を明確にする

希望条件の具体例を挙げますと下表の通りです。

希望項目希望内容優先順位
土地情報・敷地面積:〇〇㎡以上
・用途地域:〇〇地域
・建蔽率:〇〇%以上、容積率:〇〇%以上
〇位
〇位
〇位
購入予算・土地取得費:〇〇万円未満
・建築費:〇〇万円未満
・総予算:〇〇万円未満
〇位
〇位
〇位
立地条件・交通の便:最寄り駅から徒歩10分以内
・教育環境:進学校のある地域・校区
・生活の便:商店街やスーパーなどが近隣に充実
・現時点の自宅周辺
・斜面地上にあり、見晴らしが素晴らしく、自然環境が良好
〇位
〇位
〇位
〇位
〇位

全てを叶えるのは現実的ではありません。優先順位を決めて探しますと程よいところで妥協点を見出すことができ、無駄がなくなります。

建築条件付き土地とは?建物完成までの流れとメリット・デメリット、値引きやトラブルについて

建ぺい率や容積率、用途地域など土地の知識を身につける

注文住宅を建てる場合、必要最小限の建築知識が必要になります。建築知識が全くない状態で土地探しを自身だけで行いますと、最悪の場合、建築不可の土地を購入することになります。また不動産仲介会社を通して土地を購入するケースが大半となりますが、その際に土地情報を説明されても全く理解できない状態になります。悪徳業者の場合、相手の建築知識の理解度に応じて、建築不可の土地をすすめてくる場合もあります。その様な状況に対処するためには少なくとも建ぺい率や容積率、用途地域、前面道路、道路幅員、接道義務、接道幅、道路斜線規制、建築基準法上の道路か否か、などの建築基準法の用語理解が必須といえます。

また土地の希望条件だけでなく家の規模・階数・間取りの簡易なイメージだけでも想定しておく必要があります。希望条件に合う土地を見出したとしても、建築基準法などの様々な規制により、希望条件に合う家を建てられない場合があるからです。その際、不動産仲介会社の建築基準法の知識に豊富なスタッフのアドバイスを参考にしながら、探すようにします。

買わない方がいい土地の特徴

 

買わない方がいい土地の特徴は何ですか?

 
 

災害などのリスクの高い土地、建物を建てられない土地、別途費用を要する土地などです。

 

盛土を斜面にした造成地

山や丘陵地などの斜面を利用して盛土を施した造成地は、買わない方がいい土地の一つです。盛土は土砂などを盛って平らに造成し、建造物などを建て易くするために行われる施工方法です。盛土をした後、建設機械などで締固めを行いますが、それでも沈下現象は生じます。沈下現象が生じなくなくまでに、約10年を要するともいわれています。

特に盛土をして数年以内に中規模以上の地震が発生しますと、地面にひびが発生し、盛土の造成地が崩れる事例が少なからずあります。また近年多く発生している線状降水帯に遭遇しますと、盛土した土砂が多くの水分を含有し、土砂崩れの原因にもなります。したがって盛土を施した造成地は避けた方が賢明です。

境界確定されていない土地は地主とトラブルになることも

土地の境界確定は成されていなくても売買可能です。しかし境界確定されていない土地は、買わない方がいい土地の一つです。境界確定は土地の隣地所有者との立会や行政などが所有する図面に基づいて、土地の境界を全て明確にさせることです。

境界確定されていない土地は隣地所有者と境界をめぐって揉めている可能性があります。知らずに購入しますと、トラブルに巻き込まれる可能性があります。

MEMO
どうしても、その土地を購入したい場合には売主に境界確定をしてもらうことを条件として売買契約することをおすすめいたします。境界確定できない場合、売買契約を破棄することができるからです。

土地の値引きはできる?交渉しやすい土地の特徴と時期、失敗しないための心得について

市街化調整区域の土地は原則家を建てられない

都市計画法により市街化調整区域に指定されている土地は、家を建てることはできません。市街化調整区域は、自然を保全する目的で指定される地域のため、田畑などが中心となります。例外的に、その田畑を耕作している農家や交通利便施設などを建てることはできますが関係者以外の住宅を建てることはできません。

自然災害(崖地・裏山等)のリスクが高い土地

自然災害が発生し易い以下のなどは買わない方がいい土地の一つです。

は買わない方がいい土地
  • 崖地や傾斜地
  • 背後に山(裏山)がある土地
  • 周辺よりも標高が低い土地

地震や大雨による土砂崩れに遭遇するリスクが高いため買わない方が賢明といえます。

土地の形がいびつ

土地形状が長方形や正方形などの整形地ではなく、三角形やL字型などの変形地の場合、買わない方がいい土地の一つです。先ず規格商品を扱うハウスメーカーや工務店では、対応することができません。また、建築設計事務所に依頼して住宅設計図を作製しても、住宅形状が敷地に合わせて変形する可能性が高く、建築工事が困難となり、建築費も高騰します。また、土地にも住宅にも無駄なスペースが生じやすくなり、希望する住宅にならない可能性が高くなります。

注意
変形地ゆえに土地取得費が安くついても建築費が高くつき、予算オーバーする可能性も高くなりますので、避けた方が賢明といえます。ここに文章

道路に接していない土地

道路に2m以上接道していない土地は住宅を建てることができませんので、買わない方がいい土地の一つです。また、土地が見かけ上、道路に接していたとしても、その道路が建築基準法上の道路として認定されていなければ、接道条件を満たしおらず住宅を建てることはできません。その様な土地で住宅を建てるためには建築基準法上の道路に2m以上接道するために、新たに土地を確保する必要があり、現実的ではありません。したがって、避けた方が賢明といえます。

抵当権が残った状態の土地

抵当権が残った状態の土地を購入する場合、注意を要します。抵当権は金融機関に借入れを行った人に対して、金融機関が不動産などを担保として返済不能に陥った場合に売却などが可能となる権利です。抵当権の残った土地を購入する場合、売主や貸出をしている金融機関に対して返済状況を確認する必要があります。

注意
また売買契約の際、抵当権を外した後に購入することを条件として、契約書に記す必要があります。万が一、抵当権を外すことができない場合、売買契約を破棄することができるからです。

土地売買契約書とは?記載内容や必要な理由と流れ、チェック項目について

水はけが悪い土地は雨で浸水のリスクもある

隣地が高く水はけの悪い土地や上下水道が未整備の土地は、雨水による浸水リスクが高くなるため、買わない方がいい土地の一つです。水はけが悪い土地に住宅を建てますと、カビなどが発生し易くなります。またシロアリ被害も発生し易くなります。上下水道が未整備の土地の場合、給水管・排水管の本管引込工事を自費で賄わなければならない場合もあり別途多額な費用が生じます。したがって、その様な土地は避けた方が賢明といえます。

まとめ

以上、土地探しのコツや事前に準備しておくこと買わない方がよい土地の特徴について解説しました。土地探しは手間と時間をかけ丁寧に行い続けますと、希望条件に適合する土地を見出し易くなります。その際、希望条件の優先順位を事前に決めておき、書類に列記することが大切です。不動産会社に土地探しを依頼する場合、その書類を渡すことにより、不動産会社も探しやすくなるからです。

また事前に土地に関する知識も身に付けておく必要があります。知識があれば土地情報を正確に掴むことができ、建築不可の土地などを避けることができます。理想とする住宅を建てるには、先ず希望条件に適合する土地探しから始まります。必要最小限の建築知識を身に付け、希望条件の優先順位を考慮しながら、土地探しを行われますことをおすすめいたします