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マンション売却に最適な築年数とは?資産価値との関係性や損しない売り方のポイントについて

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. マンション売却は築年数10年以内を目安にする
  2. 築年数別で中古マンションを売却するにはコツがある
  3. 中古マンションを売却するときに知っておきたい大事な注意点とは

マンション売却のタイミングはいつ頃が妥当なのか、悩んでいませんか? マスコミ報道でも不動産価格が横ばい状態に入ったとのことで、これからは下げの局面に入るのではと心配される人もいると思います。

実はマンション売却には築年数に応じてコツがあります。 そこで今回は多くのマンション売却の相談に応じた宅地建物取引士が最良な売却タイミング・コツ・ポイントなどを紹介します。マンション売却のコツ・ポイントを掴むことにより、費用をかけずに売却利益の最大化を図ることができます。

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マンション売却は築年数10年以内を目安に

中古マンションの買い手は物件の価格・立地・周辺環境などの条件以外にも、築年数を気にします。築年数の長い物件よりも短い物件の方が好まれるのは当然です。建物や設備、内装などの傷み具合を気にするからです。築年数10年以内であれば感覚的にはそれほど古さを感じさせない範囲内といえますので、マンション売却のタイミングの目安になります。

 

マンションの資産価値と築年数の関係

マンションの資産価値は築年数とともに下がります。マンション建築後、約30年経過するまで資産価値は下がり続けます。その後は下げ止まるか、中には価格が上がる物件もあります。

築10年以内の築浅マンションが買い手から人気の理由

 

築浅マンションが、買い手から人気の理由は何ですか?

 
 

新築価格の70%~80%の価格で購入できる割安感と、金融機関の融資期間の最長期間を利用できる点です。

 

築10年以内であれば、価格の70%~80%を維持できる

下図は公益財団法人東日本不動産流通機構が公表しているグラフです。

左側のグラフは中古マンションの築年帯別平均価格を、右側のグラフは中古マンションの築年帯別平均㎡単価を表します。 両グラフともに築年数が10年以内であれば、購入価格の70%~80%を維持していることがわかります。

MEMO
上記「1-2」にも理由を挙げましたが購入直後の価格の下降率が一番大きくなります。

逆に買い手側から見れば築年数10年の中古マンションが新築価格の70%~80%の価格で購入できることになり、割安感を感じる人もいます。

築12年以上になると35年ローンが組めなくなる

築12年以上のマンションの場合は、最長ローン期間の35年を組めないので買い手から敬遠されやすくなります。

理由はローン完済が、法定耐用年数内でなければならないため。

マンションの法定耐用年数は、通常の場合47年です。35年ローンの場合は47年(法定耐用年数)-35年(ローン年数)=12年(築)なので、築12年以内のマンションを購入しないと、35年ローンを組めなくなってしまいます。

マンションは築30年目で価格が下がりきるが、資産価値はゼロではない

上記2-1で示したグラフでもわかるように築30年経過しても価格は購入価格の30%~40%を維持します。築30年以上になると中には下がるどころか上がる物件もあることがわかります。

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【売り手目線】大規模修繕工事の費用やトレンドなどを考えてもマンション売却は築10年以内がおすすめ!

 

築10年以内にマンション売却した方が良い点は、他にもありますか?

 
 

大規模修繕工事の費用や間取り・設備のトレンドなども関わってきます。

 

12~15年周期で行われる大規模修繕工事とは?

大規模修繕工事は建物全体もしくは複数の箇所において行う大規模な計画修繕工事のことです。マンション開発会社が作成した長期修繕計画に基づいて行われます。 時期は概ね12~15年周期で行われます。
「第3編 長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」 国土交通省住宅局

通常、管理組合が管理会社を通して工事会社に業務委託します。その費用を所有者が管理組合に対して、毎月「修繕積立金」として積立をします。主な工事内容は下記の通りです。

大規模修繕工事の内容
  1. 外壁の修繕工事(タイル張替え、吹付塗装など)
  2. 屋根・屋上の修繕工事・防水工事
  3. 共用部分(エントランス、廊下、階段など)の修繕工事・改修工事
  4. 給排水管の修繕・取替工事(受水槽、浄化槽など)
  5. エレベーターの修繕・取替工事
  6. 機械式駐車場の修繕・取替工事

また修繕積立金の徴収方法ですが数年ごとに増額する段階増額型方式を採用しているマンションが多いです。

大規模修繕工事費用が高いと買い手は不安になる

長期修繕計画に基づく大規模修繕工事が予定通りに行われるためには、所有者から毎月募っている修繕積立金が滞りなく確保されていなければなりません。 修繕積立金の滞納がありますと大規模修繕工事の資金不足に陥ります。

毎月の修繕積立金が高くなる

大規模修繕工事の資金不足対策として所有者から不足分を一時金として徴収するか、管理組合が金融機関から融資を受けることになります。 したがって、所有者の修繕積立金への負担は増すことになります。

注意
毎月の修繕積立金が高くなりますと売却する際にランニングコストが高くつくという理由で、買い手に敬遠されがちになります。

重要事項説明の義務が発生

大規模修繕工事の計画が始まりますと修繕委員会が発足され、工事内容・金額などの検討に入ります。 工事金額が決まってからのタイミングでマンション売却を始めると、買い手に対して重要事項説明の義務が発生します。

そうなりますと買い手に対して大規模修繕工事の負担も併せて請求する形となり、売り手・買い手の両者ともに不利な立場になります。

大規模修繕工事が始まる2~3年前に売却検討

マンション売却を有利な立場で進めるためには大規模修繕工事が始まる2~3年前、つまり築10年前後が一つの目安となります。 開発会社が作成する長期修繕計画が甘く作成されていれば、さらなる修繕積立金の増額や一時金の徴収が想定されます。早く手を打つことが大切です。

耐用年数と減価償却の関係

減価償却は有形固定資産において使用度・時間経過により次第に価値が減少するため、価値の減少分を費用として損失計上する経理処理のことです。 耐用年数は、固定資産の使用可能年数のことです。

分譲マンションの建築構造は鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が大半になりますが、いずれも耐用年数は47年になります。

減価償却資産 法定耐用年数 減価償却率(定額法)
鉄筋コンクリート造 47年 0.022
鉄骨鉄筋コンクリート造 47年 0.022
重量鉄骨造 34年 0.038

減価償却資産の法定耐用年数と減価償却率(定額法)

人々の生活スタイルや部屋へのこだわりは5年~10年で変化していく

トレンドが目まぐるしく変化するように人々の生活スタイルや部屋へのこだわりも概ね5年~10年で変化します。 マンションも同様に、間取りや設備・器具にトレンドがあります。

間取りについては和室の無い物件も増えていますし、収納は単なる物入から広くこだわりのあるクローゼットタイプに変化しています。 設備・器具に関しても便利で快適な生活を過ごせるアイテムが投入されています。

SUUMOがマンション・一戸建ての購入者を対象として、設備に対するアンケートを実施しました。 各設備の「使える度」をランキングしたものです。上位にランキングした設備・器具を下表にまとめます。

24時間ゴミ出し可能 宅配ボックス カメラ付きインターホン
太陽光発電 屋根裏収納(一戸建て) ウォークインクローゼット
ビルトイン食器洗浄乾燥機 ディスポーザー IHクッキングヒーター
床暖房 複層ガラス 乾きやすい風呂床
室内用物干し 浴室暖房乾燥機 高効率給湯器

「使える度」ランキング:上位に入った設備・器具(SUUMO)

人気設備・器具が供えられたマンションであると買い手にアピールすることができますので、売却には有利に働きます。築10年までのマンションであれば可能性が高くなります。

マンションを売却するときの知っておきたいポイント

 

マンションを売却する際、知っていたら良いポイントはありますか?

 
 

下手にリフォームなどの手を加えないことです。自身の生活スタイルに合う部屋にカスタマイズする人が多くなったからです。

 

基本的にリフォームをしない!リフォームを買い手がする場合もある

リフォームする費用分を下げて価格設定した方が早く売却できる場合もあります。 最近は自身の生活スタイルにこだわって、部屋をカスタマイズする人が増えています。

仕事面ではクラウドソーシングなどを活用して在宅で業務をこなしたり、PCを数台並べて株式投資・FX・投資信託などの金融取引をする人もいます。

趣味面では映画・音楽鑑賞などでスクリーン・音響機器にこだわる人や、蔵書を収めるために壁一面造り付けの書棚を設置する人もいます。 そのような人たちにとっては安くマンションを取得して、リフォーム(*1)やリノベーション(*2)にお金をかける傾向にあります。

*1 リフォーム:キッチンや洗面などの水回り設備を取替えたり、天井・壁・床のクロスを張り替えたりする作業。

*2 リノベーション:間取りを変更して水回りの給排水管の位置を取替えたり、2部屋を1部屋に造り替えたりする作業。中には住戸内を完全撤去してスケルトン状態(コンクリートむき出し)にし、一から間取りを造る場合もあります。

立地が良いマンションほど、買い手がリフォームしたがるので考慮する

立地にこだわってマンションを探されている人も多くいます。 立地が良ければ下手にリフォームをせずにその分の費用を反映させた価格設定にした方が、手間をかけずに早く売却できます。

MEMO
立地にこだわる買い手であればリフォームを越えてリノベーションまでする人もいます。

どうしても売れない時は、複数の不動産会社に査定を依頼し、買い取ってもらう

売却を開始しても売れない時は「仲介」ではなく「買取り」を不動産会社に打診してみるのも一つの方法です。 その際、1社ではなく複数社に依頼することが大切です。

不動産会社の中には中古マンションを仕入れて市場の傾向に合った間取り・設備にリフォーム・リノベーションして販売することを得意とする会社もあります。 その会社であれば、立地に合ったカスタイズができますので、相談されると良いです。

築年数別で中古マンションを売却するコツ

 

中古マンションを売却するコツは何ですか?

 
 

築年数別で異なります。いずれにしても中古マンション売却に関するコンサルタント機能を有する不動産会社に依頼することがコツとなります。

 

築1年目から5年以内のマンション売却のコツ

上記で新築マンション購入と同時に価格は10%~20%下がると記しました。 しかし築5年以内であれば立地・周辺環境によっては価格が下がらないどころか、上がるマンションも見受けられます。

立地・環境が良い築5年以内のマンションは市場になかなか出回ることがないため、希少価値が高くなります。売却価格を高くしても買い手が数人現れることもあります。 売却のコツは売り手・買い手双方の高いニーズに応えてきた実績のある不動産会社を選択することにあります。

築5年から10年以内のマンション売却のコツ

築10年までは築浅と捉えられるため買い手にも人気がありますが、競合物件も数多く出てきます。設定価格を間違えると売却に苦戦を強いられることになります。

売却のコツは売却物件ならびに競合物件の市場性を正確に比較・分析することができ、確固たる販売戦略に則って売却できる不動産会社を選択することにあります。

築10年から15年以内のマンション売却のコツ

通常、築12年を目安に大規模修繕工事にかかりますので工事前後で売却の困難度合いが違ってきます。 修繕積立金が長期修繕計画通りに蓄えられていて、一時金などが発生しなければ問題ありません。

しかし修繕積立金が予定通りに蓄えられず一時金が発生するようであれば告知義務が生じます。 また築12年を過ぎますと金融機関による最長融資期間35年が徐々に短くなりますので、買い手にも少しずつ負担が増えてきます。

売却するにあたり不利となりますので、売却価格・売却期間に影響します。 売却のコツは買い手に対して告知内容が増えますので、正確な情報収集・情報提供や交渉などに優れた不動産会社を選択することにあります。

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築15年から20年以内のマンション売却のコツ

1回目の大規模修繕工事が終わっているマンションの割合が多くなります。 ここでも修繕積立金が順調に蓄えられているか否かが売却に影響します。 修繕積立金が不足した状態で大規模修繕工事に臨んだ際、管理組合がローンを組む可能性が高くなります。

すると毎月の修繕積立金がアップしますので、買い手側としては負担が大きくなります。 また住戸内の専有部分の設備・器具も傷んできますので、メンテナンスができているか否かも売却に影響します。

さらに金融機関の融資期間も、築年数が長くなる分だけ徐々に短くなります。 売却のコツは大規模修繕工事による共用部分の建物・設備状況や専用部分である住戸内の設備や内装のメンテナンス状況などを正確に把握して、買い手に伝えることが大切になります。

また、修繕積立金や融資などの金銭面も買い手に納得した形で伝えられるかが鍵となります。 その様な正確な情報提供や交渉などに優れた不動産会社を選択することが大切になります。

築20年から30年以上のマンション売却のコツ

ポイント1は築24年前後で2回目の大規模修繕工事を迎えるマンションになります。 1回目の大規模修繕工事よりも建物・設備の劣化・損傷が進んでいるため、工事費も増額します。

1回目と同様に一時金や新たな借入、修繕積立金の増額が生じる可能性があります。 したがって2回目の大規模修繕工事が始まる2~3年前が売却のタイミングとなります。

ポイント2は「住宅ローン控除」です。この制度を利用できる条件の一つが築25年までとなります。 買い手としてはこの制度を利用することにより、所得税の還付を受けることができます。 買い手目線に立ちますと、期限がくる1年前には売却したいタイミングとなります。

ポイント3は、1981年以降の「新耐震基準」に当てはまるか否かです。当てはまると、売却の可能性は多少なりともあります。 売却のコツは、上記3つのポイントを把握して、それに対応した情報収集・情報提示ができるか否かです。

MEMO
制度内容などに素早く対応して処理し、売却に繋げることのできる不動産会社を選択することが大切です。

中古マンションを売却するときに知っておきたい大事な注意点

 

中古マンションを売却するときの注意点は何ですか?

 
 

名義変更、住宅ローン残債、売却のタイミング、買い手の値下げ交渉対策などがあります。

 

不動産売却は、名義人しか手続きができない

特に相続でマンションを取得した場合に問題となることがあります。
例えばマンションの名義が亡くなった父親名義であった場合には、自身の名義に変更する手続きを取らないと売却できません。本当に遺産分割協議に基づいて取得できたマンションなのか否かが不明であるからです。

MEMO
手続きに関しては、司法書士に相談されるとよいです。

ローンを完済できるのか?利益が出るのか?を見極める

マンションを売却する際、気になるのが住宅ローンの残債です。 販売(成約)価格と住宅ローン残債を比較して販売価格の方が高ければ、利益が出て問題なく売却できます。

住宅ローン残債の方が高ければ、不足分を補填することにより売却することができます。 しかし補填できなければ売却することができずに住み続けなければなりません。

注意
特にフルローンで借入している場合には、住宅ローン残債の方が高くなる傾向にあります。

マンション価格は経済停滞の反動で微増から横ばいの見込み

下表は一般財団法人日本不動産研究所が、東京23区の標準タイプ(専有面積40~80㎡未満)の新築マンション価格(㎡価格)を予測したデータです。 2020年新型コロナによる経済停滞にもかかわらず、需要層の経済力が減少していないことと、経済停滞の反動から2021~22年は微増に転じ、その後は2025年まで横ばいの予想となっていることがわかります。

ワクチン普及により経済活動が活発化しだしたことで、先行きが見えマンション購入に動き出す人も増えるこのタイミングは、マンション売却の好機と言えます。

新生活が始まる4月に合わせて、2・3月に売却することをおススメします。

  2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
マンション価格 107.1 107.4 108.1 108.3 107.7 107.9
変動率 ー0.1% 0.3% 0.7% ―0.2% ー0.6% 0.2%

東京23区の標準タイプの新築マンション価格の予測(2020/11/26)

売却価格は値下げ交渉を考慮して余裕を持って決めよう

マンション売却の際買い手の値下げ要求は必至と想定し、あらかじめ対策を採っておくと余裕を持って値下げ交渉に応じることができます。

買い手としては先ず端数は切りたいところです。例えば不動産会社により販売価格が2,280万円と査定された場合、買い手としては80万円は切りたいところです。 そうなることを想定して販売開始価格を2,380万円に設定してみるのも一つの方法です。

マンション査定方法はいくつある?査定額に影響する要因と依頼する際のポイントについて

まとめ

マンション売却にあたり築年数10年が良いタイミングであることを解説しました。 買い手目線からですと築浅物件であり、住宅ローンも最長融資期間を利用することができます。

売り手目線からですと1回目の大規模修繕工事の準備が始まる前であれば、修繕積立金に影響が出ないからです。

また売却するに際して下手なリフォームをしないことや、売れないときは不動産会社の「買取り」を利用すると解決できます。築10年を過ぎ20年・30年と経過しても、売却するコツはそれぞれのタイミングであります。

さらに名義変更・住宅ローン残債・値下げ交渉対策などの注意点をあらかじめ知っていると、売却するにあたって想定外の出来事が少なくなります。いずれにしましてもコンサルタント機能を有する不動産会社の営業マンに相談されることをお勧めいたします。