マンション査定方法はいくつある?査定額に影響する要因と依頼する際のポイントについて

この記事を書いた人
中村 昌弘
不動産コメンテイター

都内の私立大学を卒業後、新卒採用で不動産ディベロッパー勤務。 不動産の用地仕入れや、分譲マンションの販売・仲介などを手掛ける。 2016年に独立して以降、不動産関係のライティングも業務の1つに。

この記事のざっくりしたポイント
  1. マンションの査定方法は4種類ある
  2. マンションの査定方法の中では一括査定サイトを利用する方法が無難
  3. 「立地」や「築年数」「間取り」などが、マンションの査定額に影響を与える要素であることも念頭に入れておくのが良い

マンションの売却を成功させるためには売却価格を適切に設定することが重要です。そのためにはマンションの査定方法を知ってくことが重要ですが実はマンションの査定方法は1種類ではありません。

そこでこの記事では「マンションの査定方法」「マンションの査定額に影響する要因」「マンションを査定するときに知っておきたいポイント」について解説します。

マンションの査定方法

マンションの査定方法は以下4種類あります。

マンションの査定方法
  1. 不動産一括査定サイトを使って査定する
  2. 不動産会社への査定依頼をする
  3. 不動産鑑定士への査定依頼をする
  4. シミュレーター、AI査定を使う

 

そもそもマンション査定ってどうやるんですか?

 
 

基本的には「取引事例比較法」という手法を使うよ。取引事例比較法は、直近で成約した物件価格を元に、査定額を算出する方法だね。

 

不動産一括査定サイトを使って査定する

1つ目の査定方法は不動産一括査定サイトを使って査定依頼する方法です。不動産一括査定サイトとはパソコンやスマホから情報を入力するだけで、複数の不動産業者に一括で査定依頼できるサイトです。

不動産一括査定サイトは無料で利用でき、かつ査定依頼が早いので相場価格を掴むのには最適な手法であると言えます。

 

へ~こんなサイトがあるんですね!というか、査定依頼って一社じゃダメなんですか?

 
 

そうだね。一社だと不動産会社同士を比較できないから、査定依頼は4~5社くらいにした方が良いよ。ちなみに、最近では不動産一括査定サイトから査定依頼する人が一番多いかな。

 

不動産会社への査定依頼をする

2つ目の査定方法は不動産会社へ査定依頼する方法です。この方法は不動産会社に直接訪問して担当者に査定依頼します。一般的に不動産会社に査定依頼しても費用はかかりません。というのも不動産売却の媒介契約を獲得するために、サービスで価格査定をしてくれるからです。

不動産会社への査定依頼はじっくり話を聞けるというメリットがあるものの、複数社へ査定依頼するときに面倒な点がデメリットです。

 

一括査定サイトを利用したときの査定結果は変わるんですか?

 
 

正直変わらないね。不動産会社に一社一社訪問するのは手間がかかるので…動産一括査定サイトを利用した方が良いかな!

 

不動産鑑定士へ依頼する

3つ目の査定方法は不動産鑑定士へ依頼する方法です。そもそも不動産鑑定士とは国家資格をもつ不動産の専門家のことです。そのため不動産鑑定士なら精度の高い査定が可能ですが、不動産鑑定士の価格査定は何十万円もの相談料や査定料などが必要となります。

したがってマンションの価格査定を不動産鑑定士に依頼するのは、コストパフォーマンスの面からおすすめできません。

 

そもそも不動産鑑定士へ査定依頼するときは、相続時や法人が不動産を売却するときだね。だから一般的なマンション査定で使うことはほぼないよ。

 

シミュレーター・AI査定を使う

4つ目の査定方法はシミュレーターやAI査定を使う方法です。上述した「一括査定サイト」は不動産業者の担当営業者が査定します。一方、シミュレーターやAI査定は、システムやAIが査定価格を算出する査定方法になります。

AIの進化に伴って価格査定の精度は高くなってきましたので、周辺エリアの相場価格を知りたい場合には有効です。

 

ここまでで査定依頼方法を4種類解説しました。次章からはマンションの査定額に影響する要因を解説していきます。

 

マンションの査定額に影響する要因

マンションの査定額に影響する要因は以下6点です。

マンションの査定額に影響する要因
  1. マンションの立地や階数、方角
  2. マンションの間取りや広さ、規模
  3. マンションの築年数や設備、構造、品等
  4. マンションの管理状況や共有施設のグレード
  5. マンションの専有部分と内装の劣化具合
  6. 駐車場の有無と管理費、修繕積立金

それぞれ詳しく解説します。

マンションの立地や階数、方角

まずマンションの立地・階数・方角について、それぞれ解説していきます。

 

特に「立地」はマンションの査定価格に最も大きな影響を与えるよ!

 

立地

マンション立地の中でも特に駅からのアクセスはマンションの査定価格に大きな影響を与えます。というのも駅距離が近ければ利便性が高い上に、競合物件が少なくなるからです。

MEMO
また駅の規模が大きい点や複数の路線の駅が使える点も、利便性が高いと評価される要素になります。

階数

階数もマンションの査定額に影響を与えます。眺望にもよりますが一般的には防犯の観点から3階以上が有利で、上に行くほど価格が高くなる傾向があります。

方角

バルコニーの向きは南方向であれば評価は高くなります。また西向きの居室は夏に西日が射し込むため、室温が上がりやすくなるため、評価が低くなる傾向にあります。

マンションの間取りや広さ、規模

マンションの間取り・広さ・規模も査定額に影響を与えます。間取りは「柱が室内に入っていない」「梁がない」など、空間が広く見える間取の方が査定額は高くなる傾向にあります。

広さは4人前後のファミリーが多いエリアには専有面積が70㎡超の物件が人気です。一方、単身者が多いエリアには専有面積が30㎡~40㎡の需要が高いです。要はエリアの特性に合った広さかどうかが、マンションの価格に影響を及ぼします。

規模は小規模よりも大規模の方がマンションの査定額は高くなりやすいです。というのも大規模の方が共用施設は充実しているため、入居者の満足度が高いからです。

マンションの築年数や設備、構造、品等

次にマンションの築年数や設備・構造・品などです。

 

特にマンションの築年数は重要なので必ずチェックしておきましょう!

 

築年数

マンションの価値を大きく変える要因の一つが築年数です。というのも1981年6月の建築基準法の改正により「耐震基準」が現在のレベルまで上がったからです。建築基準法の改正以前に建築許可が下りた物件は「旧耐震基準」の物件とされ、耐震強度に不安があると見なされています。

注意
旧耐震物件だと金融機関も住宅ローンが組んでくれない事が多くなり、需要も低くなります。

構造や品

マンションは「鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造」や「鉄筋コンクリート(RC)造」が多いです。SRCやRC造は強固で遮音性に優れているため、鉄骨造よりも評価が高くなります。

「品」とはブランド価値のことだと思ってください。大手デベロッパーが施工したマンションはブランド力が高いために、高く販売できる可能性があります。

マンションの管理状況や共有施設のグレード

マンションの管理状況は管理会社のクオリティに左右されるところです。管理がしっかりしているマンションは販売しやすい傾向があります。マンションの管理状況についての主なチェックポイントは以下の通りです。

マンションの管理状況についての主なチェックポイント
  • 管理会社のスタッフが常駐しているか?
  • 共有部分の清掃・メンテナンスは十分か?
  • 共用部分に不要なものが放置されていないか?

共有施設のグレードや使い方も査定額に影響を与えます。たとえば、駐輪場の使い方が雑…や、エントランスは豪華だけど汚れている…などは、査定額がマイナスになる要因です。

マンションの専有部分と内装の劣化具合

マンションの専有部分で最も査定額に影響を与えるのは水まわり設備です。というのも設備が古いと使い勝手が悪く、他物件と比較した時に見劣りする可能性があるからです。

内装の劣化具合はクロス・フローリングの傷・汚れが最も査定額に影響を与えます。というのもクロスやフローリングは面積が広いので、目に入りやすい箇所だからです。

駐車場の有無と管理費・修繕積立金

次に駐車場の有無と管理費・修繕積立金について解説します。

駐車場の有無

分譲マンションの駐車場には賃貸方式と分譲方式があります。賃貸方式は専有部分が売却されると利用権が消滅されます。そのため次の入居者が駐車場を利用したい場合は、改めて管理組合に利用を申し込む必要があります。もちろん、状況によっては駐車場の区画を借りられない可能性もあります。

一方で分譲方式は所有権と駐車場利用権が一体となりますので、次の入居者に駐車場の権利が引き継がれます。そのため駐車場の区画が確保されている分譲方式の物件は、人気が高くなります。

 

最近のマンションは賃貸方式が多いです。そのため次の入居者に駐車場は引き継がれず、希望者が多ければ抽選になります。

 

管理費・修繕積立金

管理費や修繕積立金はランニングコストになるので周辺のマンションと比べて金額が高いと売りにくいです。なお、もし管理費や修繕積立金を滞納している場合には、その滞納分は次の入居者に引き継がれるので一層売りにくくなります。

マンションを査定するときに知っておきたいポイント

マンションを査定するときに知っておきたいポイントは以下の点です。

マンションを査定するときに知っておきたいポイント
  • マンション査定は必ず複数社に依頼する
  • マンションは机上査定ではなく、訪問査定で行う
  • マンション査定時に必要な情報や資料をまとめる
  • リフォームではなく修繕にし、業者にクリーニングは依頼しない
  • マンションの査定額だけで不動産会社を決めない

以下より詳しく解説します。

マンション査定は必ず複数社に依頼する

上述したようにマンションの査定は必ず複数社へ依頼しましょう。複数の不動産会社の査定内容を比較することで、良い不動産会社を見つける事ができます。

マンションは机上査定だけではなく、訪問査定で行う

査定方法には「机上査定」と「訪問査定」があります。

机上査定は物件を実際に見ないで、周辺の相場などを参考に価格を提示します。一方、訪問査定は実際に現地を見た上で価格を提示します。「百聞は一見にしかず」のことわざにあるように訪問査定を行ったほうが、精度の高い価格が算出できます。

マンション査定時に必要な情報や資料をまとめる

マンションを購入したときの契約書や管理規約・パンフレットがあれば、手元に置いておきましょう。これらの資料はマンション売却時の営業資料になります。

リフォームではなく修繕にし、業者にクリーニングは依頼しない

一般的には売却活動の最中にリフォームする必要はありません。なぜならリフォーム費用以上に高く売却できる保証がないからです。そのため室内で傷や破損した部分があれば、リフォームではなく「修繕」を依頼すると良いでしょう。ただ当然修繕もお金がかかるので、修繕すべきかは不動産会社に相談してから判断するのがオススメです。

また業者を入れてのハウスクリーニングも基本的には不要です。というのも、リフォームと同じで価格の割に査定額がアップするか分からないからです。ただしペットの飼育状況や、あまりにもゴミが放置されているなど、臭い・汚れが取れないような特殊な場合には減額の対象となりますので、ハウスクリーニングを行ったほうがよいでしょう。

 

不動産業者はプロですから、傷みが価格に影響するか否かを見抜くのが仕事です。そのため修繕すべきか?ハウスクリーニングすべきか?は、どんどん相談しましょう。

 

マンションの査定額だけで不動産会社を決めない

マンションの査定額は査定額が一番高い不動産会社を選べば良いとは限りません。相場価格よりも査定額が離れている金額が提示された場合には、必ずその根拠を伺ってください。その根拠に納得できなければ、いくら査定価格が高くても結局売却価格は下がる可能性があります。

そのため査定額と一緒に査定額を算出した根拠をヒアリングし、その根拠を比較してから売却を依頼する不動産会社を選定するようにしましょう。

まとめ

今回はマンションの査定方法について解説しました。まずマンションの査定方法の中では一括査定サイトを利用する方法が無難という点を認識しておきましょう。ただ、一括査定サイトに登録していない不動産会社もあるので、その不動産会社には直接問い合わせる必要があります。

また「立地」や「築年数」「間取り」などが、マンションの査定額に影響を与える要素であるという点も頭に入れておくことをオススメします。そうすれば不動産会社が提示した査定額の根拠を比較するときに、材料が多く優良な不動産会社を判断しやすいです。