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マンション管理費とは?修繕積立金との違いや相場と変動の関係、安いデメリットについて

この記事を書いた人
中村 昌弘
不動産コメンテイター

都内の私立大学を卒業後、新卒採用で不動産ディベロッパー勤務。 不動産の用地仕入れや、分譲マンションの販売・仲介などを手掛ける。 2016年に独立して以降、不動産関係のライティングも業務の1つに。

この記事のざっくりしたポイント
  1. 管理費の金額とマンションの管理レベルは比例しやすくなっている
  2. 管理費が高いほど設備やサービスが充実している
  3. 管理費が安すぎる場合は管理レベルに問題がある可能性もある

マンションを選ぶうえで「管理費」は意外と重要なポイントです。というのも管理費は毎月支払いが発生しますが「安ければ良い」という費用ではないからです。

そこでこの記事では管理費の相場や管理費の変動傾向、安い管理費のデメリットまで、管理費について詳しく紹介します。マンションの購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

マンション管理費とは 

マンション管理費とはマンションを維持管理するために必要な費用です。まずはマンション管理費について以下を知っておきましょう。

マンション管理費で知っておくべきこと
  1. 修繕積立金との違い
  2. 新築マンション購入時には管理準備金がかかる

 

修繕積立金っていう言葉もよく聞きますね。

 
 

そうだね。修繕積立金と管理費は全然違うものだから注意しよう!

 

修繕積立金との違い

管理費・修繕積立金はどちらもマンションの維持管理に充てられるお金です。ただし、利用用途はそれぞれ異なります。管理費は日常的に必要となる費用に充てられるお金です。例えば管理委託費や共用部分の水道光熱費といった費用になります。

一方、修繕積立金は将来的に必要となる大規模な修繕や不測の事態に備えて行う積立金のことです。具体的には次のようなものが修繕積立金で賄われています。

修繕積立金で賄われている事項
  • 定期的に行われる外壁補修などの修繕
  • 台風や地震など自然災害による損傷の補修

一般的に修繕積立金は長期的な計画に基づいた修繕のために充てられます。ただし自然災害などによりマンションが損傷するなど、不測の事態が発生して資金が必要となった場合にも修繕積立金から資金が充当されます。

 

管理費と修繕積立金は、一緒に使うことはできません。例えば、管理費で賄わなければいけない共同設備の維持費に、修繕積立金を充てることはできないということです。

 

新築マンション購入時には管理準備金がかかる

新築マンションを購入する場合に限り管理準備金を支払わなければいけません。マンションの維持管理は住人が支払う管理費で賄われています。しかし新築マンションの場合は管理費が一切ない状態から始まるため、早急に資金を集めなくてはいけません

特に新築マンションの場合は備品の購入や保険の加入など多額の費用が必要です。そこで資金を集めるために管理準備金として住民から一時的にお金を徴収しています。

 

新築マンションを買うときの「諸費用見積り」などに記載があるので、必ずチェックしておこう!

 

マンション管理費は何に使われる? 

マンションの管理費は日常的なマンションの維持管理に充てられています。具体的には次のようなものがマンション管理費で賄われています。

マンション管理費で賄われている事項
  • 清掃などの管理委託費
  • 保険料
  • エレベーターなど共同で利用する設備の維持費
  • 共用部分の水道光熱費
  • 防犯カメラなどの設備点検費用
  • 補修費用

マンション管理費を滞納するとどうなる?

管理費を滞納すると最悪の場合訴訟を起こされることもあるので注意してください。マンションを維持管理するための費用は住民が支払う管理費から捻出されています。そのため1人でも滞納者が出ると、マンションの維持管理に支障が出ます。

マンションを適正に管理するためには管理費は必要不可欠であり、滞納した場合には管理組合からあらゆる手段で請求が及ぶことになるのです。一般的にはじめは文書での通告や電話での呼びかけなど、強制力の強くない手段が用いられます。

しかし督促しているにもかかわらず通告を無視して滞納を続けた場合は、裁判を起こされ強制執行に遭う恐れがあるので注意してください。

 

管理費の支払いが厳しい場合は、最悪の事態になる前に早めに管理組合に相談しましょう。滞納金の支払いが免除されることはありませが、支払い方法に関しては相談に応じてもらえるケースもあります。

 

マンション管理費の相場について 

マンションの管理費を適正に把握するために条件別に管理費の相場をまとめました。相場と照らし合わせながら、管理費の金額が妥当であるのか考えていきましょう。

マンションが完成した年別の管理費相場

管理費の相場を年次別に見てみると管理費は年々高くなっていることがわかるでしょう。管理費が値上がりを続ける要因の一つに、深刻な人手不足が挙げられます。日本では少子高齢化の影響により、労働人口が年々減少し人手不足の状態が続いています。人手不足により人件費や修繕費用が高騰する傾向にありマンションの管理費も年々値上がりしています。

年次別管理費平均相場
平成元年14,346円
~平成6年14,997円
~平成11年16,862円
~平成16年17,318円
~平成21年18,327円
~平成26年18,138円
平成27年以降19,897円

引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000023.html

総戸数規模別マンション管理費相場

総戸数規模別に管理費の相場を見てみると総戸数が増加するほど管理費は安くなる傾向が見て取れます。戸数が増えれば管理費を負担する人も増加するため、戸数が増えることで1人あたりの負担が減るというわけです。

ただし非常に規模の大きいマンションは豪華な設備や充実のサービスがついており、元々の維持管理コストが高い場合があります。そのため戸数が増えても管理費の減少につながらないケースもあります。

表を見てみると戸数の増加に伴い減少していた管理は200戸を境に高額になっていることがわかります。

総戸数規模別管理費平均相場
20戸以下19,237円
21~30戸16,997円
31~50戸15,049円
51~70戸15,346円
76~100戸16,455円
101~150戸15,089円
151~200戸15,951円
201~300戸16,365円
301~500戸17,703円
501戸以上15,224円

引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000023.html

階数と団地のマンション管理費相場

単棟型のマンションでは階数が高くなるにつれて管理費が上がる傾向にあります。「3階建以下」 から「11~19階建」までは管理費にさほどばらつきはなく、金額の開きは2,000円程度に収まっています。

しかし20階建以上になると一気に管理費は跳ね上がり「3階建以下」から「11~19階建」の管理費と比べると1万円近く差が生まれています。

■単棟型

階数管理費平均相場
3階建以下 14,965円
4~5階建 16,892 円
6~10階建 15,307 円
11~19階建 16,155 円
20階建以上 25,069 円

引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000023.html

単棟型の管理費平均額は16,213円であるのに対し団地型は14,660円と団地型の方が管理費は安い傾向にあります。また団地型は棟数が増えるにつれて管理費が安くなっており、「~5棟」と「20~50棟」では2倍近く金額に差が生まれています。

■団地型

棟数管理費平均相場
~3棟15,128円
4~5棟15,937円
6~10棟12,582円
11~20棟12,335円
20~50棟8,845円

引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000023.html

地域別のマンション管理費相場

管理費の相場を地域別に見てみると各地域でそれほど大きな差がないことがわかります。時価が高いと言われる東京を含む関東も、抜き出た数字とはなっていません。管理費は北陸・中部が一番高く16,947円、中国・四国は最も安く14,590円となっています。

地域管理費平均相場
北海道15,190円
東北16,550円
関東16,096円
北陸・中部16,947円
近畿16,240円
中国・四国14,590円
九州・沖縄15,057円

引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000023.html

都市部のマンション管理費相場

管理費の相場を都市別に見てみると都市によってそれほど差がないことがわかります。わずかな差ですが、名古屋圏が最も高く16,893円、東京圏は最も安く16,442円となっています。

都市管理費平均相場
東京圏16,442円
名古屋圏16,893円
京阪神圏16,848円

引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr5_000023.html

 

ただ、マンションごとに大きく異なるので、あくまで参考程度に認識しておこう!

 

マンションの管理費はグレードや景気に変動する傾向にある

管理費はマンションのグレードによって金額が変わるだけでなく、景気に左右されることもあります。また、管理費は途中で値上げされる可能性があるということも、頭に入れておきましょう。

この章では、以下の特徴を解説していきます。

この章で解説する管理費の特徴
  1. タワーマンションは管理費が高い
  2. バブル期など景気が良い時も管理費は高い傾向に
  3. マンション管理の委託先が変わると値上がりすることも

タワーマンションは管理費が高い

一般的にタワーマンションの管理費は高額な傾向にあります。ただし、単に高額なだけでなく、管理費に見合う設備やサービスがついているのがタワーマンションの特徴です。

そもそもマンションの管理費とは共有設備の維持や人件費に充てるお金であり、設備やサービスを充実させるとその分費用がかかるため管理費も高額になります。

タワーマンションにはスポーツ施設やコンショルジュサービス、24時間警備など、非常に充実したサービスがついています。その分一般的なマンションに比べて2割~4割ほど、管理費が高い傾向にあるというわけです。

MEMO
タワーマンションに住む人は管理費を度外視しても、サービスや設備の充実を求めたいという傾向が強いでしょう。

バブル期など景気が良い時も管理費は高い傾向に

マンションの管理費は新築価格に比例する傾向にあります。バブルの時期など、景気の良い時期に建てられたマンションは非常に値段が高額で比例して管理費も高額な傾向があります。景気の波に合わせて異常に高額な管理費については改善されています。

しかし景気の良い時代に建てられたマンションより耐震基準や設備の水準が高いのに、新築価格が安く管理費が安いマンションも珍しくありません。バブル期のマンションは今では管理費が改善されているとはいえ、相対的にみると割高な傾向にあるようです。

マンション管理の委託先が変わると値上がりすることも

管理費はいつまでも一律とは限らず、値上げされることもあります。値上げが起きるきっかけの一つとしてあげられるのが、マンションを管理している委託先の変更です。

管理会社の変更に伴い管理費の値上げが起きる可能性があることを、頭にしっかり入れておきましょう。ただしマンションの委託管理先は、簡単に変わるわけではないので安心してください。

というのもマンションの委託管理先については、総会での決議に基づいて決定されます。現状の委託管理会社に問題がなければ、契約期間が満了しても更新して同じ会社に委託管理してもらうことが多いです。

ただし管理会社の変更を求める声が組員から上がった場合は普通決議を行い、総会出席者の過半数が賛成すれば管理会社が変更になることもあります。

 

このような仕組みになっているので、意見がある場合は総会に出席し、しっかり主張を行いましょう。

 

マンションの管理費は安い方が良いわけではない

毎月支払わなければならない管理費は「できるだけ安く抑えたい」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、管理費が安ければ安いほど必ずしも良いわけではありません。契約してから後悔することがないように、管理費が安いマンションのデメリットを確認していきましょう。

管理費の安いマンションには理由がある

管理費が安いとお得に感じるかもしれませんが、管理費が安いことが必ずしもプラスに働くとは限りません。マンションの維持管理は住民から支払われる管理費を基に行われています。

つまり管理費が安いということはマンションの維持管理にかけられる費用が少なく、管理レベルが低い可能性があるのです。「清掃が行き届いていない」「セキュリティに問題がある」など、何かしら問題がある場合もあるので注意してください。

注意
住み始めてから後悔することがないように管理費の安さに飛びつくのではなく管理レベルについても入念にチェックすることが重要です。

マンション管理費が安いデメリット

管理費が安いマンションは管理が行き届いておらず住み心地に問題がある可能性があるので注意してください。「掃除が行き届いておらず全体的に汚い箇所が目立つ」「エレベーターがないなど設備が不十分で生活しにくい」「防犯対策がなくセキュリティに不安がある」など、不満を抱えながら生活することになるかもしれません。

また住み心地が悪いということは当然人気が低い物件となるため、売却時に高い評価を得られず資産価値も低くなってしまいます

 

管理費が安い場合は上記デメリット・リスクがあるので、管理ついてしっかりチェックすることが重要です。

 

まとめ

マンションを選ぶうえで管理費は必ずチェックしておきたい項目の一つです。というのも、管理費はマンションの維持管理のために使用されるので、管理費の金額とマンションの管理レベルは比例しやすくなっているからです。

管理費が高いほど設備やサービスが充実しており反対に管理費が安すぎる場合は管理レベルに問題がある可能性もあります。マンションを選ぶ際は、管理費と併せて管理レベルもしっかりしてチェックしましょう。