- 受けられる補助金は申請が締め切られても延長されることが多い
- ねらい目は地方自治体が実施している補助金
- 2023年の最新情報を掲載
事務員
浜崎編集長
今回は、リノベーションを検討している方に向けて、国や自治体の補助金を解説していきます。後半では、補助金を活用するために知っておきたい注意点もご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
リフォーム・リノベーションで活用できる補助金とは?
まずは、リノベーションで活用できる補助金にはどのようなものがあるのかご紹介します。
補助金は国や自治体から様々な種類のものが出ていますが、いずれも日本に優れた住宅環境を整えることを目的にしており、以下の内容を含むものが一般的です。
- バリアフリー化
- 省エネルギー化
- 子育て環境の向上
- 同居対応
浜崎編集長
なお、2023年現在、応募を受け付けている国の補助金は以下の通りです。
補助制度(リフォーム) | 条件 | 金額 |
こどもエコすまい支援事業 | こどもエコすまい支援事業者と契約した上で対象となるリフォーム工事を行う場合 | 最大30万円(60万円*)/戸 *補助上限60万円の場合もあり |
既存住宅における 断熱リフォーム支援事業 | 住宅に高性能な断熱材や窓等を用いた断熱改修を行う場合 | 最大120万円/戸 |
先進的窓リノベ事業 | 窓の断熱性能を高める工事を行う場合 | 最大200万円/戸 |
各自治体の補助制度 | 各自治体による | 各自治体による |
事務員
浜崎編集長
リフォーム・リノベーションで補助金を活用するために知っておきたい注意点
浜崎編集長
注意点①申請・工事のタイミング
原則、補助金を活用したい場合には着工前に申請が必要です。工事着工後や完了後に申請をしても受理されないため、ご注意ください。また、補助金によっては「〇月〇日までに工事を完了させること」などの条件付きである場合が多いため、工事日の調整も重要となります。
注意点②予算上限がある
補助金は、あらかじめ予算が設定されているため、予算の上限に達すると申請を締め切られます。多くの補助金が年度初めの4月頃から始まり、早いものでは年内に応募が締め切られるものもあります。予算が尽きる前に、早めの申請手続きを心がけましょう。
注意点③税金滞納者は利用できない
各自治体の補助金では、市町村の各種税金やその他の収入金を滞納していないことが条件として課せられることが一般的です。もし滞納がある場合は、まずその滞納を無くしてから、自治体へ受給資格があるか確認するようにしましょう。
【全国共通】2023年度リフォーム・リノベーションで活用できる主な補助金事業
浜崎編集長
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業では、子育て世帯や若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や住宅の省エネ改修等に対して補助することで、住宅取得に伴う負担軽減を図り、省エネ性能を有する住宅ストックの形成を図ることを目的としています。
- こどもエコすまい支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする方
- リフォームする住宅の所有者等であること
対象となるリフォーム工事に関してはこどもエコすまい支援事業HPを確認してください。
最大30万円(60万円*)
※一定の条件を満たすと上限が60万円まで引き上げられます。
- 交付申請の予約:2023年3月31日 ~ 予算上限に達するまで(遅くとも2023年11月30日まで)
- 交付申請期間:2023年3月31日 ~ 予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
この制度は高性能な窓枠や断熱材を使用することで、エネルギー効率を高め、脱炭素化社会への推進力にするため制定されました。「断熱リノベ」という呼称だった支援事業が今年度も継続される形です。
一定の要件を満たす「断熱改修工事」に対して国から補助金が交付されます。
- 国が定めた補助対象製品を用いて、一定の省エネ効果(15%)が見込まれる改修工事を行う事
- 完了実績報告書を提出期限内に提出すること
補助対象経費の1/3以内、最大120万円*
※高性能建材(ガラス・窓・断熱材)を用いた戸建て改修工事の場合
リフォーム会社の指定は無く、自由に業者を選ぶことができます。また、省エネ効果も実際に測定して報告する義務はないので、目安として施工業者に相談するといいでしょう。
- 公募: 令和5年3月20日(月)~令和5年6月16日(金)17時メール必着
- 完了実績報告書提出期限:令和5年12月15日(金)必着
先進的窓リノベ事業
先進的窓リノベ事業は、窓の断熱性能を高める工事への保証として、最大200万円まで補助される制度です。
エネルギー価格高騰への対応(冷暖房費負担の軽減)などを目的としています。
この補助金はリフォーム事業者が申請しますが、全額住宅所有者等に還元される仕組みとなっています。
- 交付申請期間: 令和5年3月31日~遅くとも令和5年12月31日まで
参照:先進的窓リノベ事業
※現在受付終了:こどもみらい住宅支援事業
子育て世帯や若者夫婦の世帯を中心に「省エネ改修工事」を行った住宅に対し補助が受けられる制度ですが、現在は受付終了しています。
目的は既存住宅の長寿命化や省エネ化、また、子育てしやすい環境の整備を目的としています。子育て・若者世帯は補助金額が優遇され最大60万円まで受けられますが、そうでない世帯の人も最大30万円まで制度を使うことができる制度でした。
- 国が定めた「①開口部の断熱回収②外壁屋根・天井・床の断熱改修③エコ住宅設備設置」いずれかのリフォーム工事を実施すること
- 施工者との間に「工事請負契約」が結ばれていること
最大30万円(60万円*)/戸
※子育て・若者夫婦世帯が中古住宅取得と同時に改修する場合
参照:こどもみらい住宅支援事業
※令和4年度分は受付終了:長期優良住宅化リフォーム推進事業
良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、 既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行う事業ですが、現在は受付終了しています。最新情報は公式サイトをご確認ください。
- 国が定めた「劣化対策、耐震性、省エネ対策」の一定基準を満たすリフォーム工事を実施すること
- リフォームの場合は、実施前に専門家による調査(インスペクション)や、維持保全計画書の策定、実施後の定期点検を行うこと
補助対象リフォーム工事費等の合計の3分の1
一定の評価基準を満たした場合100万円、全ての評価基準を満たし長期優良住宅に認定された場合200万円、長期優良住宅に認定され、かつ高い省エネ基準を満たす場合250万円の上限があります。
三世代同居対応改修工事を実施する場合、若者・子育て世帯又は既存住宅の購入者が改修工事を実施する場合、支給限度額に+50万円が上乗せされます。
居住用であれば投資用不動産であっても対象となります。
※現在受付終了:グリーン住宅ポイント制度
グリーン社会の実現および住宅投資の喚起を通じて、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ経済の回復を図るため、一定の性能を有する住宅を取得する人に対して、様々な商品と交換できるポイントを発行する制度ですが、現在は受付終了しています。
- 「断熱リフォーム、エコ設備の設置」など所定のリフォーム工事を行うこと
- リフォーム工事ごとに定められたポイント(例:節水型トイレ設置で1台あたり14,000ポイント)の合計が5万ポイント以上になること
30万~60万ポイントを上限としたポイント
※「若者・子育て世代か」「住宅購入の有無」により上限が異なります。
居住用であれば、投資用不動産であっても対象となります。
※現在受付終了:ネット・ゼロ・エネルギーハウス支援事業(ZEH補助金制度)
ZEH(ゼッチ)とは、太陽光発電によるエネルギーの生産と高性能住宅による低い消費でエネルギーの収支が同じになる住宅のことです。この基準をクリアするための各種省エネ工事を実施することで、補助金がもらえます。
しかし追加公募に関しては、2023年3月24日で終了しております。
- 省エネ・創エネ・蓄エネ等の設備リフォームを行い、一戸におけるエネルギーの収支がゼロになるになること
(例:エコキュートなど高効率給湯器の設置・断熱リフォーム・高効率空調設備・LED照明・太陽光発電・蓄電システムなど) - 登録されているZEHビルダーが設計に関与すること
60万円~105万円(ZEHの性能によって補助金額が異なる)
「申請者が常時居住する住宅」が条件となっているため、投資用物件では活用できません。
参照元:ZEH支援事業 公募情報
※令和4年度分は受付終了:次世代省エネ建材の実証支援事業
省エネリフォームの促進が期待される次世代省エネ建材の効果を実証するため、これらの建材を用いた断熱リフォーム工事に対して補助金を助成していますが現在は受付終了しています。最新情報は公式サイトをご確認ください。断熱には内貼り工法と外貼り工法があり、どちらか選ぶことができます。
- マイホームに次世代省エネ建材を用いてリフォームを行うこと(例:高性能な断熱材や蓄熱・調湿などの建材)
- 外張り断熱工法の場合は、定められた期間に効果測定を行うこと
補助対象となる工事費の2分の1
※外張り断熱リフォームを選択した場合で300万円、内張り断熱リフォームを選択した場合で200万円の上限あり
「改修する住宅に常時居住していること」が条件となっているため、投資用物件では活用できません。
浜崎編集長
参照元:次世代省エネ建材の実証支援事業
地方自治体が独自に行っている補助金制度
浜崎編集長
北海道苫前町:定住促進空家活用助成制度
北海道苫前町では、町内の定住者を増やすことを目的として、空家の購入やリフォーム、家財道具等の処分や清掃に係る費用の一部を助成しています。
リフォームの場合、都道府県内の工事業者が施工する空き家の工事であれば、工事費の2分の1(上限30万円)の補助金を受けることができます。
参照元:北海道苫前町公式サイト
大阪府大阪市:民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度
大阪市では、令和7年における民間住宅の耐震化率を95%とすることを目標に、耐震診断や耐震リフォーム等の費用の一部を助成しています。
補助限度額や申請締め切りは、内容により異なるためご注意ください。
ご検討される方は公式サイトもご確認ください。
※現在受付終了 秋田県秋田市:多世帯同居・近居推進事業
秋田県秋田市では、子育て世帯や高齢者世帯が安心して暮らせる環境づくりを目的として、同居または近居を希望する方に対して、住環境を整備するための補助金を助成しています。
条件は市内の建築業者が施工する多世帯同居に必要な工事で、工事費の2分の1(上限額50万円)の補助金を受けることができます。なお、市外からの移住で同居する場合や、子育て世帯による同居の場合は、上限額が100万円に上がります。
参照元:秋田市公式サイト
まとめ
今回は、リノベーションに活用できる補助金についてご説明しました。
補助金は国と自治体で様々な種類がありますが、いずれも優良な住宅を日本に残すためのもので、対象となる工事は省エネルギー化、子育て環境の向上、同居対応などが挙げられます。
それぞれに予算の上限や募集期間があり、条件によっては受給できないこともあるため、補助金ありきで工事や資金の計画を立てることはおすすめできません。しかし、対象となりそうな工事を行うようであれば、条件に適合するよう工事内容を変更するのも良いでしょう。
なお、リフォームには、補助金以外にも、減税制度などの優遇制度もあります。常に情報収集を欠かさず、お得に良い住宅を手に入れましょう。