リノベーション投資とは?リノベーション投資で成功する秘訣を解説!

この記事を書いた人
徳田 倫朗
宅地建物取引士

株式会社イーアライアンス代表取締役社長。 宅地建物取引士。 国内では、アパート・マンション、投資用不動産の売買や不動産ファンドの販売・運用を手掛けるほか、海外不動産(アメリカ・フランス)についても販売仲介業務を行うなど、不動産・リノベーションに関して幅広い経験と実績を有する。

この記事のざっくりとしたポイント
  1. リノベーション投資とは、主に築古のアパートやマンションをリノベーションし、付加価値を付けたうえで投資物件として活用することをいう
  2. リノベーションをすることで、賃料アップと早期の空室解消を同時に実現することができる
  3. 投資予算に対してどのぐらいの投資効果があるかという点や、工事中の機会損失を十分考える必要がある

不動産投資において、老朽化した設備を更新して賃貸募集をしやすくする方法はかねてよりよく行われているものです。一方で、最近ではアパートやマンションの物件価値を上げるためにリノベーションして賃貸する方法も一般的になりつつあります。

今回は「リノベーション投資」について、その内容や注意点、成功の秘訣について解説します。リノベーション投資について理解することで、不動産投資の幅がぐっと広がるはずです。

リノベーション投資とは?

リノベーション投資とはどのような投資ですか?

事務員

徳田編集者

リノベーション投資とは、主に築古のアパートやマンションをリノベーションし、付加価値を付けたうえで投資物件として活用することをいいます。

現在では建材の質やデザイン性が向上し、安価で洗練されたリノベーション工事をすることが可能になりました。内装が新築と見違えるほどきれいになるために、他の物件との差別化が図られ、入居者からの人気が高まっています。

「リフォーム」という言葉もよくつかわれますが、リフォームは老朽化した設備や部屋の内装を部分的に修復して元の状態まで回復させるという意味合いが強いのに対して、リノベーションは現代のライフスタイルに適合するような改修工事をして物件の価値を上げていくという積極的な意味合いが込められています。

リノベーション投資は、物件の知識に加えリノベーションに関する知識が必要な中上級者向けの投資手法であるといえるでしょう。リノベーション部分の投資コストがプラスされるためリスクもありますが、高い利回りを狙うことができます。

リノベーション投資のポイント

同じ築年数ならばきれいでデザイン性のある物件を選ぶ人がほとんどでしょうし、室内がきれいに改装されていれば、築年数の割に家賃が高いのにも納得できます。そのため、リノベーションをすることで、賃料アップと早期の空室解消を同時に実現することができるのです。それがリノベーションの狙いです。

また、新築物件と比べ、リノベーション物件は物件の価値下落のスピードが遅いといわれています。築年数が経過した物件は、新築に比べ価格の下落スピードが遅くなるのが一般的ですが、これは、リノベーションによって付加価値をつけた物件についても同様です。

リノベーション投資の注意点は?

リノベーション投資を考える上で理解しておきたい注意点にはどのようなものがありますか?

事務員

徳田編集者

リノベーション投資は効果的な不動産投資の手法といわれますが、費用対効果を考えてリノベーション工事を行わないと失敗してしまいます。リノベーション投資を行うときには、投資予算に対してどのぐらいの投資効果があるかという点や、工事中の機会損失を十分考える必要があります。

費用負担と収益は比例しない

リノベーション後の投資効果は、必ずしもリノベーション費用に比例してアップするわけではありません。大幅な収益アップを見込んでリノベーションしたにもかかわらず、予想通りの賃料設定にならなかったということもあります。

リノベーション工事の内容は投資家の好みで決められることもありますが、採算性を特に意識してリノベーションを行う必要があるでしょう。例えば、中古物件をリノベーションすることで確かに収益アップは見込めますが、そのアップ分はリノベーション費用に見合ったものかについて見極めなければなりません。

物件購入分とリノベーション費用を合わせた投資金額に対して、リノベーション前よりも利回りが上昇すれば価値の高いリノベーションであるといえます。同程度の利回りであったとしても、入居者がつきやすい分リノベーション効果があったといえるでしょう。

リノベーション中は家賃収入が途絶える

リノベーション工事中は家賃収入が入ってこないため機会損失が生まれます。その機会損失分も考慮したうえで収益性がアップするかどうかについても重要なチェックポイントです。

大規模なフルリノベーションであれば工事費がかかる上に工期も長引くために機会損失が増大します。リノベーションをした場合としなかった場合とでキャッシュフローがどれだけ違うのかをきちんと計算してみることで、投資効果を比較することができるのです。

また、リノベーション工事中は収益を生まないために、その間の経費や融資の元利払いをまかなうことができるかという点についてもきちんと検証しておかなければなりません。

また、一棟マンションやアパートのリノベーションの場合には、リノベーションのスケジュールもその後の賃貸募集に影響してきます。

MEMO

全部屋を同時にリノベーションすると工事費が安くなったり、騒音等でクレームが出るリスクを回避できたりするメリットがあります。もっとも、同時に賃貸募集するとたくさん空室があることで賃料交渉されやすくなるなどのデメリットも想定されます。

どちらが良いかは難しいところですが、投資リスクを小さくなるために、入居者の反応を見ながら時期を分けてリノベーションをするのがおすすめです。

リノベーション投資で成功する物件の選び方

リノベーション投資にはどのような物件が向いているのでしょうか?

事務員

リノベーションを前提に物件を購入する場合であっても、立地や間取り、需要と供給のバランスなど、不動産投資の基本的な要素が重要であることは変わりません。リノベーションという選択肢が加わったことで投資対象となる物件が広がって物件を探しやすくなることは確かですが、どのような物件でもリノベーションをすれば期待通りの利回りが得られるわけではない点については、留意しておきましょう。

リノベーションを行う物件を選ぶ3つのポイントを紹介します。

需要の高い立地の物件を選ぶ

リノベーションを前提とした物件購入の場合も、駅近である、住宅地で環境がよい、緑が多いなど人気の高い立地の物件を選ぶことが大切です。入居希望者が物件を選ぶときには、リノベーションがされていることは「付加価値」であって、物件を選ぶときの最優先ポイントにはなりにくいものです。

需要の高い立地にある物件だからこそリノベーション済みの物件は差別化が図られ、数件の物件候補のなかから選んでもらえる可能性が高くなるのです。

需要の高い広さ・間取りの物件を選ぶ

リノベーション物件を選ぶときには、物件の広さやリノベーション後の部屋の間取りが所在エリアの賃貸需要に合っているのかが重要になってきます。

物件がある立地やエリアによって、賃貸需要は大きく変わります。学生に人気の街なのか、ファミリー層が多く住む住宅街なのか、あるいは都心部や繁華街など多忙なビジネスマン・ビジネスウーマンに人気のエリアなのかによって、おのずと人気のある広さ・間取りは変わってきます。

MEMO

このような情報は、公的な統計情報(国土交通省が発表する住宅に関する調査報告など)をインターネットで検索したり、エリアの物件を扱う不動産業者に聞いてみたりすることで得ることができます。

事前の綿密な調査によって入居者になりうる人を想定し、想定に合わせた物件を選択することで、より高い投資効果を期待することが可能となります。

投資回収しやすい物件を選ぶ

物件を選択するときには、あくまで物件費用とリノベーション費用の合計投資額に対する投資効果を考えて、投資回収しやすい物件を選ぶことが大切です。

フルリノベーションしなければならないような老朽化した物件は物件価格が安い点は魅力的ですが、大規模なリノベーションの費用を回収できるだけの効果が望めるかは、物件によりけりです。利回りは築浅物件に近いところまで回復できたとしても、その後の売却や耐用年数を考えると割に合わない投資であったと後悔することもあるでしょう。

少ない工事費用で最大限の投資効果を引き出すには、どのような物件であればよいのかという視点が大切です。

費用対効果の高い投資物件におすすめのリノベーションとは?

費用対効果が高く投資リスクが少ないという点からリノベーションを考えれば、比較的低価格でのリノベーションがおすすめです。

ここでは一部屋当たり100万円から300万円程度、工期1か月程度を目安に、おすすめのリノベーション投資を紹介します。

和室を洋室に変更してスタイリッシュな空間に

工事内容・和室を洋室に変更・床の張替え
・押入れをクローゼットに変更
工事費用80万円程度

参照元:ニトリのリフォーム

和室があると落ち着きますが、築年数が古くなってくるにつれて時代に合わない建具や古びた畳が気になるようになってきます。和室から洋室への変更は定番のリノベーションで、事例も多いために費用もそれほどかかりません。

費用は少しかかりますが、和室を洋室にしたうえで、2DKを広めの1LDKに変更するようなリノベーションもよく見られます。

システムキッチンの交換・その他水回りの交換

工事内容・システムキッチンの交換とキッチン収納の増設
・タンクレストイレへの交換
工事費用・システムキッチンの交換工事とキッチン収納の増設 220万円
・タンクレストイレへの交換 30万円

参照元:ニトリのリフォーム / ハピすむ

キッチンやトイレ、バスなどの水回りは設備の老朽化が見受けられると入居者に敬遠されがちです。そのため、これらの設備を優先的に交換する必要があると考えられます。

水回りの交換は間取り変更が伴わないのであれば、それほど費用や工期がかからずにできるリノベーションです。

リノベーション投資を成功に導く考え方

リノベーション投資は物件の良し悪しのほか、リノベーション工事の内容や費用対効果を見極める必要があるために、中上級者向けの不動産投資であるといえるでしょう。

もっとも、リノベーションを前提に考えるならば、物件選びの幅が広がって不動産投資がしやすくなるのも確かですので、一般の不動産投資に慣れてきたら次のステップとしてチャレンジしてみることをお勧めします。

リノベーション投資は物件に付加価値をつけて賃貸するために、入居者が付きやすく賃料アップが見込めますが、物件選びの大切さは変わりません。エリア・立地や賃貸需要を十分に調査したうえで、物件を購入することで投資リスクを軽減することができます。

投資手法の選択肢にリノベーション投資を加えることで、不動産投資の成功確率を高めていきましょう。