- ペアローンと収入合算はどっちがいい?
- ペアローンと収入合算の違いは?
- ペアローンと収入合算のメリット・デメリット
今後新居を購入するにあたって多くの家庭では住宅ローンの融資を受けることになります。しかし住宅の購入には多額の費用がかかるため、「自分(世帯主)だけでは返済しているか不安」「そもそも審査に通らないのではないか?」など住宅ローンの審査や融資自体に不安を抱く人も多いでしょう。
そんな時に活用したいのが親子や夫婦間の収入を合算、またはそれぞれが契約者となり住宅ローンを契約する「収入合算」や「ペアローン」と言った選択肢があることをご存知でしょうか?本記事では住宅ローンを契約する際の方法である収入合算やペアローンの特徴や違いをはじめ、メリットやデメリット、利用した方が良い人の特徴について解説します。
ペアローンと収入合算のどっちがいいのか、比較・検討してみてください。
ペアローンと収入合算はどっちがいい?違いを比較
通常の住宅ローンを組む場合は夫婦または親族間の代表者が住宅ローンの契約者となり、単独で住宅ローンを契約することになります。その際は契約する人の年齢は収入、勤続年数、健康状態などの項目から借入可能額や審査が行われます。
では収入合算やペアローンとは、どういう方法でどういった違いがあるのでしょうか。収入合算やペアローンのどっちがいいのか比較・検討してください。
収入合算とは?
住宅ローンにおける収入合算とは一定の収入のある親族または夫婦間など、自分だけではなく、2人(複数人)の収入を合算してローンを借りる方法を指します。したがって、従来1人で住宅ローンを組むことが難しいケースや、より多くの借入額を必要とする場合に用いられる方法と言えるでしょう。また収入合算できる金額は金融機関によって異なりますが一般的には合算者の収入の1/2に相当する金額と言われています。
ペアローンとは?
住宅ローンの収入合算と類似した借り入れ方法に「ペアローン」があります。住宅ローンにおけるペアローンとは一つの物件に対して、夫婦それぞれがローンを契約する方法を指します。夫婦でペアローンを契約する場合、それぞれ住宅ローンを個別で契約するため金額や期間、借り入れ条件は異なります。
ペアローンと収入合算のデメリット
ここからは収入合算とペアローンのデメリットについてみていきます。
収入合算のデメリット
○連帯保証人になる必要がある
住宅ローンを夫婦の収入合算によって取得する場合、どちらか一方を連帯保証人にする必要があります。仮に契約者(債権者)がローンの返済ができなくなった場合、収入合算した相手にローンの返済義務を負わせることになります。収入合算することで、単独で住宅ローンを契約する場合と比較して借入額が大きくなりがちです。
○収入合算は連帯保証人が死亡しても住宅ローン返済義務がある!
収入合算の場合、団体信用生命保険に加入できるのは債務者(契約者)だけになります。そのため連帯保証人が死亡しても残債分の住宅ローンの返済義務が免除されることはありません。
ペアローンのデメリット
○事務手数料や諸費用が2倍かかる
住宅ローンを契約する上では融資や斡旋にかかる事務手数料やローン保証料をはじめ、各種保険料、印紙税などの諸費用が発生します。住宅ローンの諸費用は新築及び中古物件によって相場は異なるものの、おおよそ物件価格の4~10%程度と言われています。したがって住宅ローンをペアローンで契約する場合、収入合算と借入額が同額でも契約にかかる諸費用が2倍と割高になってしまいます。
ペアローン・収入合算共通のデメリット
○住宅ローンの収入合算・ペアローンは離婚時にトラブルに?
夫婦で収入合算・ペアローンで住宅ローンを契約した場合、離婚など夫婦が離れる際にトラブルや問題になるおそれがあります。離婚するとなると、どのように住宅を財産分与するのか、どちらがその住宅に住み続けるのか、どちらがローンを返済するのか、借入形態の変更などさまざまな問題が発生します。
○収入合算・ペアローンを組む相手がブラックリストに載っていたら?
収入合算・ペアローンを行う際に、お互いがブラックリストに載っていないか確認することが大切です。
例えば夫単独名義で住宅ローンを契約・奥様が連帯保証人などにもならない場合、奥様がブラックリストに載っていても影響はありません。
ペアローンと収入合算のメリット
ここからは「収入合算」と「ペアローン」のメリットについて解説します。類似する借入方法ですが細かく可視化するとそれぞれには特徴的なメリットがあります。
収入合算のメリット
○住宅ローンの借入金額が増える
収入合算のメリットは1人で住宅ローンを契約する場合と比較して、住宅ローンの借入額を増やすことができます。住宅を購入する際に「欲しい家はあるものの、単独でローンを組めるかが心配」などの意見を多く耳にします。そんな時に夫婦等で収入合算することで、希望する物件や選択肢を広げることが可能です。
○節税できる
住宅ローンの借入金額を増やすことで、それに比例して住宅ローン控除の金額も増やすことができるため節税効果も見込むことができます。
ペアローンのメリット
○借入金額を増やすことが可能
住宅ローンを夫婦どちらかが単独で契約する場合と比較して住宅ローンの借入額を増やすことが可能です。この点においては収入合算と同じメリットと言えますが、ペアローンは夫婦それぞれが個別の住宅ローンを契約するため、ただ借入金額を増やすだけでなく、返済金額や金利、借入条件を柔軟に変えることができるため、将来的なリスクに対応することができます。
またペアローンでは夫婦双方が団体信用生命保険に加入することができます。したがって仮に夫婦のどちらかに返済義務が負えないようなことが起こってもローンの名義人が死亡した場合はローンの返済義務が免除されます。
○節税効果
ペアローンを組むことで節税効果を見込むことができます。ペアローンは収入合算とは異なり夫婦それぞれで住宅ローン控除を受けることが可能です。住宅ローン控除の最大控除額は「4,000万円×1%×10年=400万円」となっており、これを夫婦で受けることで10年間で最大800万円の節税効果を見込むことができます。
また平成26年(2014年)4月1日から令和3年(2021年)12月31日の期間に、住宅ローンを借り入れて住宅を取得する場合、取得者の金利負担を軽減する「すまい給付金」の制度も夫婦揃って活用することができるため、夫婦でペアローンを契約することで節税効果のメリットを受けることができます。
ペアローンと収入合算はどっちがいい?
では結局のところ住宅ローンを契約する際「収入合算」と「ペアローン」どっちがいいのでしょうか?ここではそれぞれの方法を利用した方が良い人の特徴を解説します。
収入合算を利用した方が良い人の特徴
収入合算を利用した方が良い人の特徴は次の通りです。
- 借入額を増やしたい人
- 住宅ローンにかかる手数料を抑えた人
- 返済リスクを抑えたい人
収入合算は金融機関に申告する収入を増やすことで住宅ローンの借入額を増やすことができます。また単に借入額を増やすだけでなく、夫婦の年収や働き方に応じて「連帯債務型」や「連帯保証型」の2種類から返済する形を選ぶことも可能です。また収入合算することで借入額が増えれば、その分住宅ローン控除の金額も増やすことができるため節税効果も見込むことができます。
ペアローンを利用した方が良い人の特徴
ペアローンを利用した方が良い人の特徴は次の通りです。
- 安定的に返済をしたい人
- 返済リスクを最小限に抑えたい人
- 最大限の節税効果を受けたい人
ペアローンは夫婦それぞれが契約者(債務者)となり住宅ローンを契約する方法で、個別に金額や期間、借入条件も設定できるため、単独で住宅ローンを組むことに比べ、安定的かつ継続的に返済することが可能です。またそれぞれ住宅ローンを組むことで、各自で住宅ローン控除やすまい給付金制度を受けられたり、団体信用生命保険に加入できるため、節税効果を受けつつリスクを最小限に軽減することができます。
収入合算には連帯債務型と連帯保証型の2種類がある
先ほど紹介した住宅ローンの収入合算には「連帯債務型」と「連帯保証型」の2種類が存在します。
連帯債務型とは
連帯債務型とは親族または夫婦間の連名で住宅ローンを契約し、夫婦それぞれが同等の返済義務を負うことを指します。したがって夫が債務者として4,000万円の借り入れをした場合、連帯債務者にあたる妻も4,000万円の返済義務が発生します。
連帯保証型とは
連帯保証型とは親族または夫婦間どちらかの名義で契約した住宅ローンを、どちらか一方が債務者になり、もう一方が連帯保証人になることで住宅ローン契約を締結します。したがって夫が債務者として4,000万円の借り入れを行い、なんらかの理由で返済義務が負えなくなった場合、連帯保証人に該当する妻が夫にかわり返済する責任を負うことになります。
まとめ
住宅ローンを契約する際は契約者(債権者)の収入等に応じて借入可能額が異なります。そのため自分の収入だけでは契約できない、または希望する借入額の審査に通過できない場合は、配偶者や親、子どもなど、安定的かつ継続的に収入が見込める者と収入合算やペアローンを組むことで、借入額を増やすことができるため、希望する住宅を購入することができます。
ただし、それぞれの方法にはメリットだけでなくデメリットも存在するため、借入希望額や責任の所在、どうやって返済していくかなど、購入時点だけでなく将来的な返済プランを立てながら検討するようにしましょう。