住宅ローンの保証料の相場!返ってくる?計算方法は?

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 住宅ローンの保証料の相場まとめ
  2. 住宅ローンの保証料は返ってくる?返金されない?
  3. 住宅ローンの保証料の計算方法とは
  4. 住宅ローンの保証料はいつ払う?

マイホームを購入する場合、大半の方は住宅ローンを組まれます。その際に必要になるのが保証料です。「なぜ保証料が必要になるのか?」「繰上げ返済を行った場合に保証料は返ってくる?返金されない?」などという疑問を感じられる方はいませんか?「保証料の相場や支払い方法が気になる」と考えておられる方はいませんか?実は「一括前払い型(外枠方式)」と「金利上乗せ型(内枠方式)」の違いを理解できれば、保証料に関する疑問の大半は解決できます。

多くの住宅に関する相談事や悩み事を解決してきた不動産コンサルタントが、住宅ローンの保証料の概要や相場・計算方法、支払い方法やいつ払うのかについて解説します。支払い条件(返済期間・保証率・上乗せ金利など)に基づいて、ライフプラン上での様々な重要イベントを想定しながらシミュレーションができる様になりますと、最適な保証料を求めることができます

住宅ローンの保証料とは

住宅ローンの保証料とは

住宅を購入する場合、金融機関が提供する住宅ローンを利用します。その際、金融機関が保証会社を指定し保証料の支払いを求められます。保証料は住宅ローン申込者の信用保証を金融機関が保証会社に委託するために必要となる経費です。

保証料制度は住宅ローン審査のためにあるようなもの

保証料制度は住宅ローン審査をスムーズに流れる様に、審査期間の短縮を目的とした制度です。保証料制度は金融機関が指定する保証会社に保証料を支払うことにより、借入人のローン返済が滞った場合に保証会社が金融機関にローン残高の返済をする制度です。住宅ローン申込者が連帯保証人を立てる方法もありますが、保証会社の審査と比較しますと金融機関の審査は厳しくなります。また提出書類も多くなり時間も多くかかります。

連帯保証人を立てたからといって連帯保証人としての経済力などに難点がある場合も多くあります。したがって金融機関の大半が連帯保証人ではなく保証会社による保証料制度の利用を勧めてきます。金融機関はローン申込者に対して多額の金額を長期に亘り貸出ししますのでローン返済中に不測の事態になった場合、保証会社からローン残高が支払われますので安心です。

保証会社は基本選ぶことができない

金融機関はグループ会社である保証会社を指定しますので、大半の場合、選択することができません。グループ全体の利益になるケースが大半です。例えば金融機関と保証会社との提携関係をメガバンクを事例として挙げますと下表の通りです。

金融機関 保証会社
三菱東京UFJ銀行 三菱UFJ住宅ローン保証
三井住友銀行 SMBC信用保証
みずほ銀行 みずほ信用保証

住宅ローンの保証料相場と計算方法

 

住宅ローンの保証料相場は、どの様になっていますか?

 
 

住宅ローンの決まり方として「一括前払い型」と「金利上乗せ型」とがあります。実際の保証料を試算し比較してみます。

 

住宅ローンの保証料の計算方法

住宅ローンの保証料の計算方法は下記の通りです。

住宅ローンの保証料の計算方法
保証料=借入金額×各金融機関が定めた保証料率

この保証料率は、借入の期間によって異なり、基本的には期間が短ければ保証料率は高く、長ければ低いです。

また保証料の支払いには外枠方式と内枠方式があり、次の章で解説します。

住宅ローンの保証料の相場

保証料は各金融機関により異なりますがローン審査結果や支払い方法(「一括前払い型」or「金利上乗せ型」)、住宅ローンの借入金額、返済年数によって決まります。その中で支払い方法については「一括前払い型」の場合、保証料として採用されているケースが多いのは2%前後となります。「金利上乗せ型」の場合、上乗せ金利として採用されているケースが多いのは0.2%前後となります。実際に「一括前払い型」と「金利上乗せ型」の保証料を試算してみます。

【事例1】ある都市銀行にて住宅ローンを利用するとします。
・借入金額:3,000万円・4,000万円の場合
・返済年数:25年・35年の場合
・返済方法:元利均等返済、ボーナス返済無
・「一括前払い型」:保証率:融資金額の2%を採用
・「金利上乗せ型」:保証金に該当する金利:0.2%を採用

上記の条件に基づきまして住宅ローンの保証料一覧をまとめますと下表の通りです。

住宅ローンの保証料一覧(3000万・4000万の場合)

融資金額
返済期間
一括前払い型(外枠方式) 金利上乗せ型(内枠方式)
保証料に
対する割合
保証料 上乗せ金利 保証料
3,000万円
25年
2%
60万円
0.2%
63万円
35年 99万円
4,000万円
25年
80万円
84万円
35年 132万円

融資金額が3,000万円の場合「一括前払い型」での保証料は60万円となります。「金利上乗せ型」での保証料は返済期間が25年の場合には63万円となり、返済期間が35年の場合には99万円となります。融資金額が4,000万円の場合でも同様になります。したがって保証料は「金利上乗せ型」の方が高くなる傾向にあります。

注意
ただし返済期間が20年未満になる場合、保証料は「一括前払い型」の方が高くなる傾向にあります。金融機関の保証率や上乗せ金利によっても異なりますので、その都度の確認が必要です。

保証料なしの住宅ローンは審査難易度や高い融資手数料がかかる

ネット銀行などでは保証料なしの住宅ローンを謳う金融機関を見かける場合もありますが、融資審査の難易度が上がり保証料の代わりに高い融資手数料がかかることになります。保証料が無しの場合、万が一借入人のローン返済が滞った際には、金融機関にリスクが及ぶことになりますので融資審査の難易度が上がることになります。

また保証料の代わりに融資手数料という名目で同程度の費用がかかり、結果として合計費用は変わらないということになります。例えば、ある都市銀行とネット銀行の保証料と融資手数料の合計額を試算してみます。

【事例2】都市銀行の「金利上乗せ型」による保証料とネット銀行の融資手数料の条件を下記の様な一般的なものに設定します。
・借入金額:3,000万円
・返済期間:25年
・都市銀行の上乗せ金利:0.2%
・ネット銀行の融資手数料:2.2%

上記の条件に基づきまして保証料と融資手数料の合計額を算出しますと下表の通りです。

  保証料 融資手数料 合計額
都市銀行 63万円 3万円 66万円
ネット銀行 無料 66万円 66万円

都市銀行の保証料と融資手数料の合計額は66万円となりネット銀行の保証料(無料)と融資手数料の合計額は66万円となり変わらないことがわかります。ただし、返済期間が30年以上の長期に亘る場合、ネット銀行などが謳う保証料無料の方が、保証料と融資手数料との合計額が安くなる傾向にあります。

住宅ローンの保証料は返ってくる?いつ払う?支払い方法

住宅ローンの支払い方法

「一括前払い型(外枠方式)」と「金利上乗せ型(内枠方式)」のそれぞれの支払い方法やタイミング、メリット・デメリットついて解説します。

保証料を一括で支払う「一括前払い型(外枠方式)」

「一括前払い型(外枠方式)」は住宅ローン契約時に保証料を一括で支払う方式です。保証料として融資金額の2%前後に設定される場合が多くなります。したがって融資金額により数十万円から数百万円になる場合があります。後日繰上げ返済を行った場合には支払った保証料の一部が返ってくるという特徴があります。。それは繰上げ返済により返済期間が短縮し保証期間も短縮するためです。

金利を上乗せして支払う「金利上乗せ型(内枠方式)」

「金利上乗せ型(内枠方式)」は住宅ローン契約時の金利に、保証料に該当する金利を上乗せして支払う方式です。保証料に該当する金利として0.2%前後に設定される場合が多くなります。例えば住宅ローン金利が1%であり、上乗せ金利が0.2%の場合、締結されるローン金利は1.2%として金消契約を交わすことになります。

内枠方式の場合は、繰上げ返済を行っても外枠方式のように保証料が返ってくるということはなく、返金されないのでご注意ください。

「一括前払い型」と「金利上乗せ型」のメリット・デメリット

「一括前払い型」と「金利上乗せ型」のメリット・デメリットを下表にまとめます。

  一括前払い型(外枠方式) 金利上乗せ型(内枠方式)
メリット ・住宅ローン契約時に保証料を一括払いしますので、住宅ローン返済額を「金利上乗せ型」よりも抑えることができます。
・保証料は「金利上乗せ型」よりも少額で済みます。
・住宅ローン契約時の金利に、保証料に該当する金利を上乗せして支払う方式 ですので、「一括前払い型」よりも期費用を抑えることができます。
デメリット ・住宅ローン契約時に保証料を一括払いしますので、まとまった資金が必要になります。
・保証料は「一括前払い型」よりも多額になります。

住宅ローンの保証料はどっちで支払うべき?選び方のポイント

住宅ローンの保証料はどっちで支払うべき?選び方のポイント

 

住宅ローンの保証料は、どちらを選択すれば良いのですか?

 

 

安い保証料の方を選択する方法やライフプランを考慮して選択する方法、支払金額をシミュレーションして選択する方法などがあります。

 

基本的には外枠方式の方が支払い総額は安くなる傾向にあるが条件による

住宅ローンは一般的に借入期間が25年以上の長期に亘る場合が大半となります。上記「2-1.住宅ローンの保証料の決まりかた」でも解説しましたが、借入期間が長期に亘る場合には一括前払い型(外枠方式)の方が支払総額は安くなる傾向にあります。ただし借入期間が20年以内と比較的短く設定する場合には、逆に金利上乗せ型(内枠方式)の方が安くなる傾向にあります。

どちらの方式が高くなるか安くなるかについては保証率の違いや上乗せ金利の違いにより左右されますので、金融機関ごとに確認する必要があります。下図は「一括前払い型」の保証料と「金利上乗せ型」保証料の概念図を表したものです。

ダイアグラム自動的に生成された説明

ライフプランを考慮した上で判断する

一括前払い型(外枠方式)の場合、金利上乗せ型(内枠方式)と比較しますと、毎月の住宅ローン返済額が少なくなります。したがって中長期的に老後資金や教育資金などの積立をし易くなります。ただし住宅ローン契約時に一括して保証料を支払うため、自己資金に余裕がある人に向いている方式といえます。

一方、金利上乗せ型(内枠方式)の場合、住宅ローン契約時にまとまった保証料金を準備する必要がありません。したがって住宅ローン返済開始直後に子供の進学に伴うまとまった教育資金が必要になる場合、そちらに自己資金を充てるという方法も考えられます。その他にも冠婚葬祭による急な出費に対して備え易くなります。

ただしローン返済額が若干多くなるため将来において万が一住宅ローン返済が滞る事態になった場合のことも考慮する必要があります。教育資金や冠婚葬祭に備える資金を見直さざるを得なくなる場合もあります。

MEMO
ライフプランを考慮した上で毎月のローン返済額を検討し、どちらの方式を選択するのかを吟味する必要があります。

保証料支払い金額をシミュレーションして選ぶ

一括前払い型と金利上乗せ型を比較検討する場合、実際の保証料支払金額を金融機関が準備しているシミュレーションアプリなどを活用しながら、ローン返済計画を立案することが良策といえます。とくに自身のライフプランとも重ね合わせ様々なリスクを想定しながら、無理のない返済計画が必要となります。

まとめ

以上、住宅ローンの保証料の概要や相場、支払い方法とタイミング、選択するポイントについて解説しました。保証料は住宅を購入・建築する場合に多額になる諸経費の一つです。できれば少しでも安く抑えたいところです。しかし、あくまでもライフプランを鑑みた上で支払い方法を決定するべきであり、安易に金額の大小だけで選択することを避けなければなりません。金融機関が提供するシミュレーションアプリを上手に活用しながら、自身のライフプランに適した保証料の支払い方式を選択されることをお勧めいたします。