- よく起こる騒音の種類をきちんと理解することで、自分が音を出すときに少し注意することができる
- 騒音問題に巻き込まれたらまずは賃貸のオーナーや管理会社に相談するのが良い
- 部屋を決める前には騒音についての予防策を講じることが大切なポイント
アパートで起こりがちな騒音問題ですが、そのまま放っておくと近隣同士が不仲になってしまうだけではありません。不信感が高まり傷害事件へと発展するような事例も見受けられます。
では、どのような音を騒音として感じることが多いのでしょうか?また騒音問題を引き起こしてしまった場合や、巻き込まれた場合の対処方法にはどのようなものがあるのでしょうか?この記事では騒音問題について詳しく解説していきます。
アパートに住んでいる友人から隣人の騒音で悩んでいるとの相談を受けました。
賃貸アパートなどでは、騒音が原因で警察沙汰に発展することもあり、騒音は非常に悩ましい問題ですね。
騒音問題が起きる原因や解消方法が知りたいですね。
アパートのよくある騒音問題
まずはアパートにおける騒音問題で原因となっている騒音の種類を見てみましょう。よく起こっている騒音の種類をきちんと理解することで、自分が音を出すときに意識的に注意することができます。
日常における生活音(掃除機や洗濯機の音など)
日常の生活音を騒音と感じ取られるケースがあります。特に掃除機や洗濯機の音がトラブルとなることが多いようです。掃除機の場合はそもそもそれなりに大きな作動音が出るため、夜間や深夜などに利用すると近隣からうるさいと思われるケースが見受けられます。また部屋の四隅を掃除するときに、どうしても部屋の角に掃除機があたってしまい、その音を隣の人が不快と感じるケースも多いです。
洗濯機は時間帯によって騒音と感じられるケースがあります。掃除機と同じように普段の使用でもそれなりに大きな音が出ますので、夜間や深夜に利用するときにトラブルが起こりやすいのです。また洗濯機の使用には大量の水を使います。水の排水音が階下に伝わり、夜間や早朝だと不快だと感じるケースもあるようです。
テレビや楽器の音
テレビや楽器の音も騒音問題の原因となりがちです。大音量でテレビを見たり音楽を聴いたりすると音が漏れて近隣へ伝わるケースがあります。また自分で楽器を演奏している音はテレビや音楽の音よりもトラブルになりやすく、実際にアパートによっては賃貸借契約に禁止と明記しているところもあるのです。
静かに生活している人や赤ちゃんをやっと寝かしつけた人にとっては、連日近隣から音が聞こえてくるのは相当なストレスになります。テレビや音楽は意識的に音量を抑えること、オーディオ機器を使用する際は窓を閉めこと、またスピーカーの位置を変えてみるなどの対策で解消することもあります。
子供の足音や話し声、ペットの鳴き声
子供の足音や話し声も騒音問題を引き起こしやすい原因のひとつです。小さな子供は基本的に声が高いため、大きな金切り声が近隣に響いて騒音トラブルへと発展するケースが見受けられます。意外に多い騒音トラブルが子供の足音です。子供はかかとから床へと足を下ろすため、ばたばたとした歩き方になってしまいます。すると振動音で階下へ伝わり騒音問題へと発展するのです。
アパートの騒音問題が起きる原因
いろいろな音が原因となるんですね。 騒音問題で悩んでいる友人は深夜と早朝の音楽の音がうるさいといっていました。
そ うですね、単純に音を出したのが原因というわけではありません。
前述したような時間帯によって出す音が原因となることもありますし、他にもいくつかの原因があるのです。騒音問題が起きる原因としては単純に大きな音が出ていたから起こったというものだけではありません。
騒音問題が起きる原因について、他にどんなものが挙げられるか考えてみましょう。
建物の設備・構造による要因
建物の設備・構造が要因となるケースがあります。鉄筋コンクリートのマンションは防音性が高いのですが、鉄骨造、木造になるにつれ防音性は落ちていきます。つまり鉄筋コンクリート造ではあまり感じない音が木造になると非常に大きな音と感じられてしまいます。
初めてアパートに住む人は騒音を起こしやすい
はじめてアパートに住む場合には騒音問題を起こしやすいようです。鉄筋コンクリートのマンションからアパートに住み替えた場合、戸建て住宅から初めて一人暮らしでアパートに引っ越した場合などです。
鉄筋のマンションや戸建ての時と同じ感覚で生活していると、気づかぬままに騒音問題を起こしてしまいトラブルに発展するケースも多々あります。騒音を出しているという感覚がありませんので指摘されるまでは改善されません。つまり騒音問題に発展するまでは気づかないのです。
季節的な要因
季節的な要因が騒音問題へと繋がるケースも見受けられます。夏場はエアコンをつけることが多くなりましたが、エアコンをつけるまでもない暑さの場合は窓を網戸にして生活する人も多いでしょう。すると音が近隣へ漏れやすくなります。
また春先や年末には歓迎会や忘年会といったイベントが増える時期には二次会・三次会を家で行うこともあります。夜通し騒いでしまい警察に通報されるなど騒音トラブルへつながることも多いようです。
アパートの騒音問題に巻き込まれた場合
日々の生活の中で繰り返される騒音問題は毎日のストレスが積み重なりますので、少しでも早く改善したいものです。では実際に騒音問題に直面した時にはどのような騒音対策を行えば良いのでしょうか。
なるほど、色々な要因が重なって騒音問題へと繋がっていくんですね。
そうです。自分が騒音を起こしているとは全く思っていなくて、指摘されてはじめて気づくことも多いようですよ。
では実際に自分が騒音問題に巻き込まれてしまった場合にはどう対処したらいいのでしょうか。
賃貸のオーナーや管理会社に相談する
いきなり騒音先に直接出向くのはおすすめできません。感情的になってしまい後々、しこりが残る場合もあるからです。まずはオーナーや管理会社へ相談してみましょう。発生時期や音の種類、音が気になる時間帯や頻度、どこから音が発生しているのかといった情報をきちんと伝えて対処を依頼しましょう。
オーナーや管理会社も直接騒音を出していると思われる先に直接訪問する前に、アパートの入居者全員へ注意喚起のチラシを投函・掲示し注意を促します。それでも改善されなければ直接注意するといった対応を行うことが多いです。
改善しない場合は弁護士に相談する
オーナーや管理会社に相談してもなかなか改善しないケースも見受けられます。オーナーや管理会社の対応が悪いほかに騒音先が全く改善しようとする意思がないためです。
いくら管理会社が対応して改善しないとしても直接のやり取りは控えた方がいいでしょう。どうしてもお互いに感情的になることがあり、最悪の場合傷害事件へとつながる可能性もあるからです。費用も時間もかかってしまいますが弁護士へ依頼することも検討しなければいけません
しかし裁判まで発展することはおすすめできません。費用も時間もかかってしまい得られるメリットが多くはないからです。まずは弁護士名で内容証明郵便により警告してもらうなどといった依頼をしてみてはいかがでしょうか。
受忍限度を確認してみる
騒音問題において、どの程度の基準で騒音と認定されるのでしょうか。例えば過去の騒音における裁判事例において受忍限度は「社会生活を営むうえで我慢するべき限度」とされています。この程度は各自治体で若干異なりますが、おおよそ40から60デシベルが一般的な受忍限度です。
家庭用エアコンの室外機の音やデパート店内程度の音と認定されれば60デシベル程度の音と認められることが多いです。明らかに60デシベルを超えているような音に関しては、受忍限度を超えているとみなされ、過去の判例から見ても騒音と認定されるといえます。
自分がアパートの騒音問題を引き起こした場合
音の感じ方も人によって異なるので、どのレベルが騒音と認定されるのかは非常に難しいですね。
そうですね。明らかに騒音とみなされるもの以外の生活音での騒音などは受忍限度を超えるかどうか難しい部分があるかもしれませんね。
実際に自分では気づかないうちに騒音を引き起こしていた場合の対処方法はどのようなものがあるのでしょうか?
強制退去になるリスク
もしも自分が騒音を引き起こしてしまっていた場合、禁止事項を守らずに騒音を出しているとき、最悪の場合は賃貸借契約を解除され強制退去に繋がる可能性もあります。賃貸借契約では騒音に対する部分に関して、少しあいまいな表現をとられている場合が多いです。
しかし楽器禁止のアパートで楽器を弾いて騒音になっているといった場合には改善されなければ強制退去へ繋がる可能性が高くなります。ペット禁止のマンションでペットを飼っていて、鳴き声が騒音となっているようなケースも同様です。
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騒音問題を起こさないよう防音対策をする
騒音トラブルを起こしてしまっていることを認識した後は直ちに改善の措置を取りましょう。テレビの音や音楽の音を指摘された場合は今後は小音量で鑑賞するといった対策や、子供さんの足音に関する騒音はフローリングにカーペットを引くなどの対策を取りましょう。
被害者に謝罪することも重要
基本的に騒音トラブルは管理会社が間に入り解決へと動きます。しかし苦情を言われた場合に明らかに自分に非があるならば、きちんと自分の非を認め謝罪することも大切です。今後の防音対策を伝え誠意を持った謝罪を心がけましょう。
騒音問題に巻き込まれないアパート・マンションの選び方
騒音問題には巻き込まれたくないし、引き起こしたくもないですね。
そうです。入居前に自分が選んだ部屋の騒音について、少し注意しながら部屋探しした方が良いでしょうね。
騒音問題に関わることが少ないマンションやアパートの選び方ってあるんですか?
騒音問題は関係者全員が疲弊しきってしまうので、できることならば引き起こしたくありません。では、どのようなマンションやアパートならば騒音に対するトラブルを避けやすいのでしょうか?
鉄筋コンクリート造の物件をなるべく選ぶ
建物の構造上、防音に優れている物件を選ぶことも大切なポイントです。前述しましたが一番防音が優れている順に並べてみましょう
鉄骨鉄筋コンクリート造>鉄筋コンクリート>鉄骨造>木造
と分類されます。
つまり構造上は鉄筋コンクリート造のマンションタイプを選ぶ方が、騒音問題を回避しやすいといえるのです。しかし鉄筋コンクリート造といっても万能というわけではありません。足音などの振動音は鉄筋コンクリート造のマンションでも音が響いてトラブルになることがあります。
事前に騒音によるトラブルがないか確認する
実は騒音問題に関しては騒音被害を受けている側の音に対する認識でも大きく異なるのです。例えば上の階が子供さんのいる若いご家庭。下の階が年配のご夫婦2人のアパートだったとしましょう。
普段2人で静かな生活をおくっているご年配のご家庭では上の階の子供の声などが非常に不快に感じて騒音問題に発展するといったケースも見受けられます。これが下の階も同じような境遇の子供さんがいる若いご家庭ならばお互いさまと感じて騒音問題まで発展しません。
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角部屋や最上階は騒音問題の影響を受けにくい
最上階や角部屋に関しては騒音の影響を受けにくい部屋だといわれています。最上階の場合は上階がありませんので上からの足音や生活音を気にする必要がありません。角部屋ならば片方には住まいがないので、騒音のリスクが少なくなります。
実際に騒音がイヤだから最上階しか住みたくないという人も多いです。静かな暮らしを望んでいる人にはそもそも騒音の元となるものが少ない最上階や角部屋がおすすめです。
夜に内見したり少し壁を叩いてみて判断する
夜の内見により昼の内見ではわからなかったところが分かることがあります。昼の内見時には近隣の住人が仕事などで全く家にいない場合も多く夜だと住人がほとんど帰宅しているでしょうから、騒がしさが確認できます。また少し壁を叩いてみて音の響き具合を確認する方法も効果的です。
まとめ
騒音問題は自分には降りかからないと考えている人も多いかもしれません。しかし思わぬところから騒音問題に苦しんだり引き起こしたりすることがありますので、部屋を決める前には騒音についての予防をあらかじめとっておくことが大切なポイントです。
万が一、騒音問題に関わってしまうことになったら解決はそう簡単にはいかないケースも多いです。しかも管理会社やオーナーといった仲裁を頼らずに当事者間でのやりとりは感情的にしこりを残してしまうことがあります。
また更にこじれてしまって近所仲が険悪になることもしばしばあります。最悪の場合は引っ越しして新たな環境で生活をスタートさせるといった選択肢も良いのではないでしょうか?この記事が騒音問題で悩んでいる人の参考になると幸いです。