マンションの遮音等級の調べ方とは?遮音等級の目安を知っておこう

この記事まとめ
  1. マンションの遮音等級の調べ方を解説
  2. フローリングの種類と音の伝わり方とは
  3. 床の衝撃音の値とは?遮音等級の目安を知っておこう

マンションは住空間としての快適性に優れているため、特に大都市では人気の不動産になっています。ただ仮にそれが新築で立派なマンションとは言っても、欠点がゼロかと言うとなかなかそうは行きません。

マンションには例えば「音」の問題があります。特に上の階から響いて来る音が神経に触る人も多いことでしょう。

そこで、ここでは特にマンションのフローリングを取り上げ、音の伝わりや遮音、そして遮音等級について解説します。

この間引っ越しして来たマンション、確かに良いマンションですが上の階からの音が気になるんです。

事務員

浜崎編集長

上からの音の伝わりですか。その部分は確かにマンションのデメリットとなるかも知れませんので解説しましょう。

遮音等級について

それでは遮音等級とは何でしょうか?

遮音等級とは?

遮音等級は上の階からの音の伝わりをどれくらい遮蔽するかを段階的に表した物です。表現としては前述のL値と級数を使います。

L値は30から80くらいまでが一般に使われます。また級数は特級から3級までの区分です。特級が性能が良く、3級は性能が落ちてしまいます。

遮音等級の目安

では、遮音等級の目安はどのような物でしょうか?

日本建築学会の「建築物の遮音性能基準と設計指針」によると、次の表の通りとなります。

浜崎編集長

床の音の伝わり方と遮音等級が分かったかな?

はい、分かりました。L値と等級がカギなんですね。

事務員

遮音等級の調べ方

では、フローリングの遮音等級が分からない場合はどのように調べればいいでしょうか。

新築分譲マンションの場合は、分譲時のパンフレットにどのような素材が使用されているかが記載されていますのでチェックしてみましょう。また管理規約でもフローリングの遮音性や使用する等級が決められていることがありますので確認してみてください。

MEMO
中古マンションの場合で分譲時パンフレットがない場合は売主に確認してみるとよいでしょう。

中古マンションをリフォームして再販している場合も売主が把握しているケースがほとんどですので仕様書などの確認を依頼してみましょう。

賃貸物件の場合はあまり防音に特化したフローリングを使用していないケースがほとんどです。稀に子育て世帯向けの物件の場合など、クッション性のあるフローリングを使用している物件もあります。いずれにしても貸主や管理会社に確認してみるといいでしょう。

マンションのフローリングにはどの様な物があるか?

まずはフローリングにはどの様な物があり構造がどうなっているかについて説明します。

フローリングの分類

マンションなどで使われているフローリング材は大きく分けて2つに分類することが出来ます。「単層フローリング」と「複合フローリング」です。

単層フローリング
天然木の無垢材などを使って一枚の板から構成します。特徴としては肌触りなどが良いことや、香りの良さなどがあります。また仮に傷がついたとしても、削って補修することも可能です。ただしコスト面はデメリットとなり、高めになることが多いです。

複合フローリング
合板などの表面に薄くスライスした天然木やシート材などを貼って作ります。単層のコストパフォーマンスに優れますが補修が難しいなどのデメリットもあります。

防音フローリングの構造

防音フローリングの構造は基本的に通常のフローリングの裏面に緩衝材を着けた構造となります。

MEMO
音を遮るメカニズムとしては床に落ちた物の振動をフローリング材裏面の緩衝材で吸収し、下の階への伝わりを阻害します。

浜崎編集長

防音フローリングの秘密は裏側の緩衝材にあるんだよ。フローリングの上の面に物が落ちた時の振動を、緩衝材で吸収するんだ。

床の音の伝わり方

次に音の伝わり方について説明します。

空気音と固定音

音は空気の振動と言われますが厳密に言うと空気だけの振動とは言えません。と言うのも空気では無く固体を伝わる音もあるからなのです。空気中を伝わる物を「空気音」、固体を伝わる物を「固体音」と呼びます。

床の音の伝わり方

それでは音の伝わり方について例を挙げて具体的に説明します。

空気音の代表例としては、人の声などが挙げられます。声は相手の耳まで空気を伝わって行くからです。

一方の固体音はマンションなどでのフローリングの打音やピアノの演奏などが良い例として挙げられます。大きな物を床に「ドスン」と落とすと下の階には床材やその下の構造材を伝わって、下の階に届きます。またピアノの場合は脚部から床に伝わり、そこからマンションの構造材を経由して下の階に届きます。

浜崎編集長

マンションの上からの音は固体音と言ってフローリングも伝わるんだけど、構造材なんかも伝わるんだよ。

床衝撃音の考え方

次に床の衝撃音の考え方について説明します。

床などの打音の状況を表す言い方としては「L値」という物が使われます。ここでは「L値」 について解説します。

L値とは?

L値とは遮音性能の呼び方です。マンションなどで上の階の人が床に物を落とした時に発生した音が、どのレベルになって下に聞こえるかを表します。

L値には2種類あり比較的軽い物を落とした時に使われるLLと、重い物を落とした時のLHがあります。

L値の高さの意味

L値はL-30、40、50…といった具合に数字を付けて表現します。この数字はどれくらいの音を遮断する能力があるかを表す数値で小さければそれだけ遮音性能がアップします。

MEMO
つまり、L-40とL-60を比べるとL-40の方が伝わりにくくなります

L値は推定値

L値は実際の床を使った実験値では無く推定値です。そのためL値を使っては保証が出来ません。

L値はJIS(日本産業規格)で取り決めた試験で得たデータから現場と照らし合わせて推定されます。そのため床の構造や床下の構造材によっても、バラつきが発生してしまいます。

まとめ

床の遮音等級についてフローリング材の構造や床の音の伝わり方なども取り上げながら説明して来ました。これによりフローリングの遮音等級がどの様な物か分かったと思います。

マンションは内覧が出来ても音の確認は難しいです。しかし遮音等級の知識があれば新居での生活状況も推測し得ます。マンションの閲覧の際に、もしも上からの音が気になった場合には遮音等級について聞いてみることをおすすめします。より良い家選びの貴重な情報として、有用となるでしょう。