- マンションを購入する層の年収は400万~600万、年齢は30代が多く、勤続年数は10~20年が大半を占めている。
- 国土交通省の発表している住宅市場動向を参考にするとよい
- 現在、価格面は高いが住宅ローン金利の低下や税制面でのメリットなど購入には有利な条件が揃っている
マンションを購入するときって、時期によって相場が高い時期や安い時期があるって知っていますか。
いいえ、マンションなんて、地域による金額の違いはあっても、時期に関係なく同じ価格帯で買えるんだと思っていましたが違うんですか?
マンションの価格は、その国の経済状況や動向によって大きく異なるので、時期によっては安く購入できたり、すごく高くなっていたりする場合があるのです。
へぇーそうなんですね。では家を買うならいつの時期が良いんでしょうか?
マンションの購入にはタイミングがあり、時期による価格変動も購入の見極めとしてしっかりと理解しておかなければいけません。 特に新型コロナウイルスがマンション価格に影響しているのかといったところも気になります。
この記事ではマンションの購入タイミングや、知っておきたい制度などを掘り下げて詳しく解説していきます。
マンションの購入のタイミングについて
家を買うタイミングは人それぞれタイミングがあります。 タイミングに合わせて安い時期にマンションを購入することができると、今後の生活においても非常に有益だといえます。
まずはどのようなタイミングによってマンション購入を考えているかをチェックしてみましょう。
国土交通省住宅局を参考に他の人がどのタイミングでマンション購入を考えているかをチェック
平成29年度に国土交通省が発表した「住宅市場動向調査書」を基にどのようなタイミングで購入を考えているのかを分析してみましょう。 まずは世帯年収についてどのくらいの年収の人が分譲マンションや中古住宅の購入に踏み切っているのでしょうか?
平均年収
出典:国土交通省「住宅市場動向調査書p34」
図を見てみると分譲マンションの平均年収は798万円、中古マンションの場合は632万円と新築マンションの購入者の方が150万円超年収が高いようです。
購入層を見てみると分譲マンション、中古マンションとも年収400万円から600万円の所得層が最も多いようです。 次に購入者の年齢について分析してみましょう。 まずは初めてマンションを購入した年齢層です。
平均年齢層
出典:国土交通省「住宅市場動向調査書p31」
分譲マンションは39.5歳、中古マンションは44.2歳と分譲マンションのほうが購入層が若いことが分かります。 これは新築を購入して、長期間居住することを目的とした購入が多いからでしょう。
分譲マンションに関しては30代が圧倒的に多く、中古マンションは30代、40代が多く、中古マンションのほうが比較的広い年齢層で購入されていることが分かります。 次に住宅を2回以上購入した年齢層を見てみましょう。
平均年齢層
出典:国土交通省「住宅市場動向調査書p31」
2回以上購入した年齢層から見てみると分譲マンションのほうが年齢層は高く59歳で新築分譲マンションの購入に踏み切っています。 中古マンションも56.7歳と高い傾向で分譲、中古とも60歳以上の年齢層が多いのが特徴です。 居住人数から見る購入層も気になるところですね。
出典:国土交通省「住宅市場動向調査書p32」
購入時の居住人数は分譲、中古とも大きな変化はありません。 双方とも3名に満たない程度での購入となっています。
2人や3人の居住人数のときに購入するケースが多いってことは、結婚や出産の時期に合わせてマンションを買っているようですね!
最後に、勤続年数から見る購入層を分析してみましょう。
全国 | ||
5年未満 | 2015年度 | 13.3 |
2014年度 | 11.5 | |
5~10年未满 | 2015年度 | 27.6 |
2014年度 | 26.9 | |
10~20年未満 | 2015年度 | 33.8 |
2014年度 | 32.9 | |
20~30年未満 | 2015年度 | 11.6 |
2014年度 | 15.6 | |
30年以上 | 2015年度 | 11.6 |
2014年度 | 10.8 | |
平均勤続年数 | 2015年度 | *** |
2014年度 | *** |
出典:政府統計の総合窓口「世帯主の勤続年数」
2014年度と2015年度の購入時期の世帯主勤続年数です。 10年から20年程度の勤続年数で購入している人が多いことが分かります。
10年以上勤務して、ある程度会社でのポジションも確立して年収などの推移も計算できるようになった段階から住宅を購入していることが分かります。
マンション購入のタイミングをケース別で解説
マンションの購入に関しては、それぞれのタイミングと将来の年収もある程度見こせるようになってから購入する人が多いようです。 年収や勤続年数以外のタイミングでの理由によるマンション購入にはどのようなケースがあるのでしょうか。 いくつかの考えられるケースを検証してみましょう。
結婚や子育てでマンションを購入するタイミング
結婚や子育てで購入するタイミングについて、考えられるメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは子供が生まれて小さいときに購入する場合や学校に通うようになった後にマンションを購入する場合において、メリットやデメリットを考えてみましょう。
子供が生まれて小さいときにマンションを購入するメリット
子供が小さい早いうちからマンションを購入すると、子供にとってふるさとと呼べる場所ができ近所の子供たちとも長い友人関係を築き上げることができます。
ご家族も長い期間、同じ場所に住むことができるので根をかざして住みやすい環境をつくることができます。
子供が生まれて小さいときにマンションを購入するデメリット
子供が生まれたばかりや小学校入学前にマンションを購入してしまうと、ライフサイクルが変えにくいといった点が挙げられるでしょう。 子供が生まれて間もない時期というのは家族全体のライフサイクルがまだ安定していない時期でもあるのです。
例えば第2子が誕生したり、急な転職で職場の場所が変わったりなどといった場合にマンションを持っていると臨機応変な対応がやりにくくなるのです。 マンション購入の失敗談として子供が増えて、購入したマンションを買い替えないといけなくなった話なども良く耳にします。
子供が学校に通ってからマンションを購入するメリット
では学校に通うようになってからマンションを購入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか? 子供がある程度大きくなってからのマンション購入なので、将来のライフスタイルが見えやすい点が大きなメリットでしょう。
子供が学校に通ってからマンションを購入するデメリット
逆に、ある程度子供が大きくなってからの引っ越しは新しいコミュニティつくりに苦労する場合があり、新しい環境になじみにくいタイプの人には少し窮屈さを感じることが多いかもしれませんね。
転勤や長期出張でマンションを購入するタイミング
次に転勤や長期出張が多い場合、なかなかマンションを購入するタイミングがつかみつらいですよね。 転勤が多い場合、マンションを購入するときに考えなければいけないことは人に貸す可能性があるかもしれないということです。
転勤などが多くてもマンションを購入した場合、あくまでも住み続けるのか?人に貸すという選択肢もあるのか?という2つのケースについても考えてみましょう。
転勤があっても家族だけはマンションに住み続けたい
転勤があっても家族は住み続けたい場合はご主人が単身赴任して家族が住み続けるといったパターンになるでしょう。 できることなら家族全員で生活したいということであれば、ご主人が転勤がないところに転職するのか、定年してから購入するという選択肢が考えられます。
また転勤により単身赴任先の家賃とマンションのローンの2重払いといった金銭的な負担も考えなければいけません。 転勤先の家賃は会社が負担する場合は単身赴任であってもマンション購入に差しさわりはないかもしれません。
転勤期間は他の人に貸して家賃収入を得る
転勤があっても、その場合は他の人に貸して家賃収入を得るというパターンも考えられます。 この場合はなるべく入居が決まりやすいマンションを購入しておいた方がいいでしょう。
転勤によってマンションを貸す場合、入居が決まらなければ転勤先の家賃とマンションのローンを2重で負担しなければいけません。 転勤が多い人は他の人に貸しても入居が安定している場所選びが肝心です。
転勤が終わって戻るときにすぐにマンションに住めるように賃貸借契約も考えておかなければいけません。 あらかじめ契約期間を定めている定期借家契約にして、転勤が終わった後にスムーズに自分のマンションに戻ることができるようにしておきましょう。
経済状況でマンション購入のタイミングを図る
将来を見越したうえで購入しなければ、まさかのタイミングで売却しなければいけなくなったり、マンションが原因で思うように物事が進まなくなったりとマンションを買ったがために起こるデメリットを受けてしまいます。
そうなると値下げしてでもマンションを売らないといけなくなるかもしれませんね。
せっかく買ったマンションをすぐにマイナス要因で売らないように家族のタイミングも含めた検討が大切ですね。
では実際に2022年の今、マンションは果たして買い時なのでしょうか?
実際マンションの価格は上がっていて手が出しにくいといった報道も目にすることがありますが、オリンピックの誘致によって経済が好転したことは紛れもない事実でしょう。 だからマンションは高くなっていて今は買うべきではないというわけではないです。
コロナ以前からオリンピック誘致やアベノミクスによって経済は好転の兆しを見せていました。コロナが猛威を振るう中でも実際にマンションの価格は上がっています。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」
首都圏不動産の流通を見ていると2011年から2021年にかけて住宅の価格は上昇しています。 1㎡あたりの単価は2011年と2021年を比較すると18万円以上も上昇しています。
価格も同様で2011年と2021年を比較すると1,100万円近く上昇していることが分かります。 特に価格が上昇はマンション業者も絶好の売り出し時期だと見計らってどんどん売り出しています。
そんなにも大きな差があるんですか!なんだか高い時期に買うのは損な気がするのですが…
確かに価格が上昇しているのでこれだけを分析してみると安いタイミングとは言い難いかもしれません。価格が上がっているので本来オリンピックが開かれる予定だった2020年までは家を買うなという声も少なくありませんでした。 しかし、それだけでマンションの購入がダメなわけではないんですよ。
低金利だとマンション購入のタイミングとしては良い
多くの人はマンションを購入するときには現金一括で購入できません。 住宅ローンを利用してマンションを購入します。 ローンを組むときに最もチェックしておかなければいけないポイントがあります。
それは金利です。 金利が高ければローンの支払いが苦しくなります。 しかし、低金利であればあまり利息が付かないので比較的ローンの返済がしやすいのです。
2022年現在、日本の金利は非常に低いことが特徴といえます。 アベノミクスによる金融政策で金利は現在低い水準を保っており、非常にお金を借りやすい状態なのです。
金利による利息が低ければ低いほど当然ながら毎月の支払い負担は減ります。 金利が高いときには購入できないような資産価値の高いマンションも金利の低さから毎月の支払い負担が少なくなり購入しやすくなっています。
流通市場が低くても高金利の場合は手が出しにくいので、流通市場は高いとはいえ、金利が低い今は決してマンション購入に悪い環境ではありません。
価格が高いからといって購入するのに悪い時期だとは言い切れないのですね。
金利との関係や今後の不動産市況など多角的に判断する必要があるんですよ。
マンション購入で知っておきたい制度について
なるべくマンションの購入にあたり負担は減らせるものなら減らしたいのですが、何かマンションを購入するにあたりお得な情報はありますか?
いくつか税制面などでメリットがあるので、そちらを説明しましょうか。
是非、教えてください。
マンションを購入する場合税制面でメリットが得られる制度がいくつかあります。 それぞれの制度を紹介してみましょう。
控除期間が10年間→13年間に延長される「住宅ローン控除」
税制面から見てみると2022年はマンション購入において絶好のタイミングであるといわれています。 絶好のタイミングといわれるひとつに住宅ローンの控除が10年から13年に延びたことが挙げられます。
住宅ローンの控除とは年末における住宅ローン残高の1%が所得税から控除されるといった制度です。 住宅ローン控除が2019年の10月から2022年の12月31日までに入居すると適用されます。
年収が低い人は住宅購入すると最大50万円の給付金が支給される「すまい給付金」
先に挙げた住宅ローン控除は所得税が現在されるという点がポイントです。 つまり所得が低い人には恩恵が受けにくい制度であるといったデメリットも見逃せません。
低収入のご家庭でマンションを購入した場合に受けることができるメリットに住まい給付金という制度があります。 線引きした年収より低い人がマンションなどの住宅を購入する場合、最大50万円の給付金が受けられるという制度です。
これには消費税の増税が深くかかわっています。消費税の増税前年収の線引きは、510万円以下でした。 しかし増税後は年収775万円と大きく範囲が広がりました。住まい給付金の拡大にも入居時期が大きく影響するので注意しておきましょう。
贈与税の非課税枠は2,500万円まで拡大
マンションを購入するさい親の援助を受けて購入するケースが目立ちます。 援助を受ける上での注意点は贈与税です。 今までも住宅資金に関わる贈与税の非課税枠は少し拡大されていて700万円までは非課税枠の範囲でした。
しかし増税後は2,500万円と3倍以上も増加しています。 援助しやすくなっていますので大きなメリットを受けることができるのです。
まとめ
マンション購入にタイミングは人それぞれによってタイミングが異なりますが、国土交通省の発表している住宅市場動向をみると購入年齢や年収、居住人数など平均が分かりますので、マンション購入における参考として見ることができます。
また家族ライフスタイルにあったタイミングもあります。 購入時期には、それぞれのメリットやデメリットがあるので自分のタイミングに近いタイミングでのメリットやデメリットを参考にしてはいかがでしょうか。
2022年現在、コロナ禍にありながらテレワークの導入やおうち時間増加の影響を受け、あらたに家を買ったり広い間取りを求めてマンションの売れ行きは好調となっています。不透明な景気の先行きながら、マンションの価格推移だけ見ると高い時期だという位置づけになるかもしれません。しかし住宅ローン金利の低下や税制面でのメリットなど購入には有利な条件もそろっており、一概に高いとは言い切れません。
また地方などは価格の変動を受けにくく、そこまで価格が上がっていないという面もあります。 逆に金利が安く税制面の恩恵を受けることができるので、資産価値の高いマンションを購入できるといった側面もあり購入にはいい条件が揃っています。
本記事をマンション購入のタイミングを計る参考にしてみてはいかがでしょうか。