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公務員は住宅ローンをいくらまで組める?教員や地方公務員は?金利まとめ

公務員は住宅ローンをいくらまで組める?地方公務員や金利まとめ

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

公務員の住宅ローンまとめ
  1. 公務員は「失業することがない」「収入が安定」といった面で審査に有利である
  2. 公務員の場合、共済住宅ローンを利用できる特権がある
  3. 信用情報と健康状態には注意が必要

公務員や教員、地方公務員などは福利厚生などの各種サポート制度が充実しています。

住宅についても低家賃で入居できる官舎などを利用することができ、また賃貸住宅に入居した場合は手厚い家賃補助が支給されます。

したがって定年退職まで官舎や賃貸住宅を利用し定年退職後に住宅を購入される方も多いです。

 

しかし公務員は「住宅ローンで有利な立場にある」のをご存じですか?

 
 

金融機関は公務員に対して優遇金利にて住宅ローンの貸出しを行う傾向にあります。

 

多くの住宅に関する相談事や悩みを解決してきた不動産コンサルタントが公務員は金利優遇され易い立場にあることや、借入可能額の早見表、融資審査に落ちる可能性、共済住宅ローン、住宅購入後の注意点について解説します。公務員という立場を活かして想定される様々なライフイベントなどに配慮しながら、住宅ローンを組むことにより、ゆとりのある生活を送ることができます。

公務員は住宅ローン審査や金利で優遇されやすい

公務員は住宅ローン審査や金利で優遇されやすい
 

公務員が住宅ローン審査で優遇され易いのは何故ですか?

 
 

失業する恐れが無いことや給与収入・ボーナス支給が、安定して見込める点にあります。

 

優遇され易い理由
  • 自己都合退職以外失業することがない
  • 景気に左右されず収入が安定している
  • 定年退職で2,000万円以上もらえるので一括返済も可能

自己都合退職以外失業することがない

公務員のメリットは自己都合退職以外に失業する心配が無い点にあります。業務上での重大な過失や犯罪でもしない限り失業する可能性はありません。

また公務員は福利厚生などの各種サポート制度が充実しており、病気・ケガ・介護・お産・育児などを理由として、長期休暇を取り易い環境下にあります。公務員の場合、長期休暇を最長3年取ることができ、身分保障されます。

MEMO
民間の場合、長くても1年が一般的となります。様々な逆境に遭遇しても民間と比較して各種制度がサポートしてくれますので、失業する可能性は極端に低くなります。それ故に住宅ローンの審査が通過し易い立場にあります。

景気に左右されず収入が安定している

公務員の場合、景気に左右されることはなく、不景気であったとしても安定的に給与収入を見込める立場にあります。また公務員の給与は民間企業の正規雇用の給与水準を参考にして決められており、平均給与水準は高くなります。

リーマンショック時やコロナ感染拡大に伴う経済不況により、公務員に対してもボーナスの減少が生じました。ただ民間企業の場合にはボーナス全額カットされている社員が少なからず生じましたが、公務員の場合、ボーナスの引き下げは生じても全額カットされることはありません。

 

民間企業と比較しても安定的にボーナス支給も見込める立場にあります。したがって住宅ローンの審査が通過し易い立場にあります。

 

定年退職で2,000万円以上もらえるので一括返済も可能

公務員の場合、定年退職で約2,000万円の退職金をもらうことができます。したがって住宅ローンの残債があるとしても一括返済することが可能です。公務員の退職金は民間企業の退職金と同様に減少傾向にあります。国の方針により民間企業との格差是正による施策です。民間企業の場合、定年退職するまで勤め上げたとしても退職金の無い会社があります。

MEMO
しかし公務員の場合、法律により退職金の支給が規定されているため、無くなるという状況になることはありません。したがって住宅ローンの審査が通過し易い立場にあります。

公務員の住宅ローン借入金額は年収から計算する|教員・地方公務員など職種で違いはある?

公務員の住宅ローン借入金額は年収から計算する|教員・地方公務員など職種で違いはある?
 

住宅ローン借入金額の目安を教えてください。職種ごとに違う可能性もあるのでしょうか。

 
 

公務員、教員、地方公務員などの職種に限らず返済比率が20%以内であれば安心レベルです。

 

返済比率の計算式

返済比率は年収に対する住宅ローン返済額の割合のことです。金融機関は住宅ローン審査に返済比率を利用する場合があります。ローン返済をするにあたり無理のない支出となっているか否かの参考データとして利用されます。

返済比率の計算式は下記の通りです。

返済比率の計算式

返済比率(%)= 年間返済額 ÷ 年収 × 100

例えば年収500万円の公務員が住宅ローン年間返済額120万円の場合、返済比率は以下のようになります。

返済比率120万円 ÷ 500万円 × 100 = 24%

返済比率の上限は金融機関で異なるがおよそ30%〜35%

金融機関や住宅ローンの種類によっても異なりますが、返済比率の上限の目安は30%~35%に設定されている場合が多いです。ちなみにフラット35の場合は、どの金融機関を通しても返済比率は同じです。

フラット35の返済比率
  • 年収400万円未満の場合:返済比率は30%
  • 年収400万円以上の場合:返済比率は35%

年収から見る返済比率と借入可能額早見表

金融機関は住宅ローンの場合、返済比率が年収の約20%以内に収まっていれば、安心して返済できると判断します。しかし返済比率を一律に設定するのではなく、年収の大小により細分化されている場合が多くなります。

具体的に安心して返済が可能な20%と、借入限度である35%のケースに分けて借入可能額を算出し、下表にまとめます。

年  収20%
(安心できる返済可能額)
35%
(借入限度額)
300万円1,633万円2,841万円
400万円2,155万円3,788万円
500万円2,710万円4,735万円
600万円3,266万円5,715万円
700万円3,788万円6,662万円
800万円4,343万円7,609万円
900万円4,899万円8,556万円
1,000万円5,421万円9,504万円

*1 借入期間:35年、金利:1.5%にて上記金額を算出

*2 住宅保証機構株式会社WEBサイトに掲載されているプログラムを利用(※1)

上表からわかることは返済比率20%の金額と返済比率35%の金額を比較しますと、約1.75倍の差額が出ます。年収300万円の場合でも1,208万円の差額が出ます。

注意
返済比率につきましては希望する住宅価格と返済比率とのバランスを見極めて、決める必要があります。

※1住宅保証機構株式会社|「住宅ローンシミュレーション」

公務員でも住宅ローン審査に落ちることはある

公務員でも住宅ローン審査に落ちることはある

 

 

公務員でも住宅ローン審査に落ちることはありますか?

 
 

カードなどの支払い遅延・滞納記録が残っている場合や団体信用生命保険に加入できない場合には、公務員といえども審査に落ちます。

 

審査に落ちる理由
  • 信用情報に傷がついている
  • 健康状態が悪く団体信用生命保険の加入不可
  • 購入する物件に問題がある

信用情報に傷がついている

過去にクレジットカードなどの支払い遅延や滞納などの形跡がありますと、信用情報に傷が付き、住宅ローン審査に落ちることがあります。公務員だからといって、必ずしも住宅ローン審査を通過するわけではありません。注意を要するのは日常生活での支払いに関する延滞です。その積み重ねにより、個人信用情報に傷が付き、ブラックリストに掲載されます。

注意
そうなりますと一定期間住宅ローン審査の通過が不可となります。日頃のこまめな引き落とし期限の確認や口座残高の確認が必要です。

健康状態が悪く団体信用生命保険の加入不可

住宅ローン申請者の健康状態が悪い場合、団体信用生命保険(団信)に加入することができなくなり住宅ローン審査が通らなくなります。団体信用生命保険は金融機関が住宅ローン審査の通過条件に設定している場合が多い生命保険です。借主が死亡や高度障害者になった場合、住宅ローン残債全額を保証会社が支払ってくれる仕組みです。

患っている病気やけがの状態によっても異なりますが一定の条件に該当しますと、団体信用生命保険に加入することはできません。しかし住宅ローン審査を通過させるために虚偽申告をしないことが大切です。

 

虚偽申告をしても、そのことがあからさまになった場合、住宅ローン審査は通過しなくなります。

 

購入する物件に問題がある

物件に建築基準法違反や登記内容に不備などの問題がある場合、住宅ローン審査が通らなくなります。中古物件を購入する場合に多く見られるケースです。具体例を挙げますと、以下の通りです。

多く見られるケースの具体例
  • 敷地が接道規定を満足していない。(戸建て住宅の場合、敷地が2m以上、前面道路と接する規定有)
  • 建蔽率・容積率違反(増築などで、規定の建蔽率・容積率を超過した住宅)
  • 用途変更未登記(事務所や店舗を改装して住宅にした際、法務局への未手続)

公務員なら共済住宅ローンが使える特権がある

公務員なら共済住宅ローンが使える特権がある

公務員の場合、共済住宅ローンを利用できる特権があります。共済住宅ローンは公務員ならではの制度となっており、相互扶助や生活向上のために設けられた住宅ローンです。

民間の住宅ローンと比較しながらメリット・デメリットを解説します。

共済住宅ローンのメリット

共済住宅ローンのメリットは下表の通りです。

項目共済住宅ローン民間住宅ローン
住宅の抵当権設定不要必要
連帯保証人の設定不要必要
保証料の支払い不要必要
融資審査易しい厳しい
被災時の追加融資限定して有

住宅の抵当権設定がありませんので差押えの心配がありません。また連帯保証人をつける必要が無く保証料の支払いもありませんので、購入時諸経費を安く抑えることができます。融資審査も民間住宅ローンと比較しますと、簡単に通過しますので心理的にも楽になります。

MEMO
さらに民間住宅ローンの不足分に共済住宅ローンの融資額を充てることができます。

共済住宅ローンのデリット

共済住宅ローンのデメリットは下表の通りです。

項目共済住宅ローン民間住宅ローン
申請提出期限月単位
住宅ローン限度額低い高い
住宅ローン金利高い安い
担保定年退職時の退職金他の所有不動産など

メリットは魅力的な内容となっていますが、デメリットにも注意すべき点があります。先ず貸付限度額が低い点が挙げられます。これは住宅の抵当権設定が無いことや担保が定年退職時の退職金になることが要因と考えられます。退職金が担保となるため、勤続年数により貸付限度額は上下します。したがって申請時の年齢により、貸付限度額は変動します。

また貸付金利も民間住宅ローンと比較しますと高くなります。これも上記の担保不足によるリスクヘッジが要因と考えられます。さらに申請提出期限が月単位であるため、期限に間に合わない場合、貸付までに約2か月間を要することもあります。

注意
提出期限を確認し計画立てて申請する必要があります。

公務員と住宅ローンの注意点

公務員と住宅ローンの注意点

住宅ローンは金融機関による住宅ローン審査を通過すれば良いのではありません。大変になるのは住宅ローン返済が始まってからとなります。

 

完済するまでにはライフイベントや思わぬ事件・事故などが発生します。

 

 

 

想定される出来事を事前に把握し準備しておくことが大切です。

 

公務員と住宅ローンの注意点
  • 返済比率で計算している年収は額面である
  • 完済年齢は65歳にしておく
  • ライフイベントによる支出が増えることを想定する
  • 夫婦ペアローンなども検討する
  • 購入した物件の維持費を把握しておく
  • 公務員の金利は全期間固定金利がおすすめ

返済比率で計算している年収は額面である

返済比率で計算している年収は手取り年収ではなく額面年収です。額面年収は税金を差し引かれる前の給与やボーナスなどの総収入となります。そのため額面年収と手取り年収とでは差額が生じるため、ローン返済額の負担が想定していたよりも重くなります。できれば額面年収ではなく手取り年収による返済比率で計算したローン返済額を割り出し、そこから融資金額を算出しますと、より安全性が増します。

MEMO
想定外の支出に対応できる家計を構築するためにも余裕を持った返済額の算出が大切です。

完済年齢は65歳にしておく

住宅ローンの完済は65歳までの資金計画にすることが大切です。金融機関の中には住宅ローンの完済年齢を75歳~80歳に設定している銀行などがあります。しかし年金支給額は年々減額傾向にあります。年金から住宅ローン返済額を支出しますと、老後生活が困窮しかねない状況に陥る可能性があります。いわゆる老後破綻です。

注意
仮に住宅ローン完済を75歳~80歳に設定しているのであれば、繰上げ返済をできる限り前倒しで行う必要があります。

ライフイベントによる支出が増えることを想定する

住宅ローン返済以外にライフイベント時には大きな支出が伴います。主に子供に要する費用となります。出産・育児・教育費用などです。子供が独立し夫婦だけの生活になりますと、老後の生活費や介護費用などを想定する必要が出てきます。

以上は各家庭によりタイミングが異なりますので、ライフイベント表やキャッシュフロー表などを作成して備えることも良策です。

下表にライフイベントごとの支出の概算をまとめます。

ライフイベント支出の概算
結婚費用(結納・結婚式・新婚旅行など)約470万円
出産に関わる費用約50万円
教育費用
(子供1人当たり:高校まで公立、大学は私立を想定)
約1,000万円
老後の生活費約26万円/月
介護費用約17万円/月

上記以外にも自動車購入や趣味に要する費用などがかかります。生活費・ライフイベント費用とのバランスを加味しながら住宅ローン返済額を割り出す必要があります。

夫婦ペアローンなども検討する

共働き世帯の場合、夫婦ペアローンを利用して希望する住宅を獲得することを検討してみるのも方法の一つです。メリットとしては、以下の通りです。

ペアローンのメリット
  • 住宅ローン借入額の増額
  • 住宅ローン控除を夫婦ともに受けられる

一方、デメリットとしては、以下となります。

ペアローンのデメリット
  • 住宅ローン借入額増加に伴う返済額の増加により、家計への負担増加
  • 事務手数料・印紙代などが、それぞれにかかり、購入時諸経費の増加
 

メリット・デメリットをよく検討して利用することが大切です。

 

購入した物件の維持費を把握しておく

住宅を購入しますと年間維持費だけでも数十万円を要します。公務員の場合、住宅を購入する前に入居していた住宅は官舎や賃貸住宅になります。いずれにしましても家賃が比較的低く抑えられ、家賃補助などが手厚く支給されています。したがって安い家賃・生活費・光熱費などの費用で済ますことができます。

しかし住宅を購入しますと家賃補助は一部自治体の例外を除いて、無くなります。官舎・賃貸住宅への入居時に要する費用以外に以下が加算されます。

必要となる維持費
  • 住宅ローンの返済額(毎月)
  • 分譲マンションの場合:管理費・修繕積立金(毎月)
  • 固定資産税・都市計画税(毎年)
  • 火災保険料・地震保険料(毎年or複数年一括)
  • 住戸内設備の維持・修繕費用(必要時)

これらを合算しますと年間数十万円になります。これまで入居していた賃貸住宅の家賃と購入した住宅のローン返済額が同額になりますと、上記の維持費が上乗せされて支出が増加します。

注意
事前に上記の維持費を把握して家計の負担を大きくしないように配慮する必要があります。

公務員の金利は全期間固定金利がおすすめ

公務員の場合、住宅ローン金利は全期間固定金利を選択することをお勧めします。景気変動に伴う給与の変動が少ないので公務員を辞めない限り、安定した収入となります。変動金利を採用しますと好景気の際に金利が上昇した場合、公務員の給与は、さほど上がることはありません。したがって上昇するローン返済額に対応できなくなる可能性が生じます。

MEMO
固定金利を採用しますと変動金利よりも貸出し金利が若干上がりますが、景気変動に左右されなくなります。

まとめ

以上、公務員は金利優遇され易い立場にあることや、借入可能額早見表、融資審査に落ちる可能性、共済住宅ローン、住宅購入後の注意点について解説しました。公務員の立場は金融機関からの住宅ローンに関する身元評価は、最高ランクに位置します。その立場を最大限に活かすために以下に注意する必要があります。

注意すべきこと
  • 日常生活でのカード払いの遅延・滞納
  • 健康状態
  • 瑕疵物件の選択

それらのマイナス要因を取り除けば容易に住宅ローンを優遇金利で利用することができます。また住宅購入後におきましても以下を事前に想定することで、家計に無理のない融資金額を割り出すことができます。

事前に想定すべきこと
  • 賃貸住宅入居時の家賃補助が無くなる
  • ライフイベントでの大きな出費
  • 管理費・修繕積立金・固定資産税などの維持費が加算

以上のことを踏まえて、余裕のある資金計画により快適な生活を実現されますことをお勧めいたします。