結局、マンションは何年住める?「寿命と建て替え」の本当を不動産のプロが解説

マンションの購入を検討している人の中には、「マンションには何年住めるのか?」と思う人もいるでしょう。マンションが住める年数によって、購入するマンションの築年数の上限を決める人もいると思います。

この問いに対しての明確な答えはありませんが、マンションの寿命は何年か?実際の建て替え状況はどのようになっているか?を知ることで、どのくらいの期間マンションに住めるのかを予測することは可能です。

そこで今回は、マンションの寿命、現在の建て替え状況など、マンションは何年住めるのか?…そして寿命の長いマンションをどのように判断すべきか?というテーマで解説していきます。

マンションの寿命は何年か?

マンションの寿命はマンションごとに違います。また、「寿命」といっても、本当に住めなくなるまでを寿命というのか、明らかに劣化してきている状態を寿命というのかでも年数は異なってくるでしょう。

そこでこの記事では、マンションの寿命を「一般的に『住む』のに適した住居でなくなった状態」と定義します。まずは、国土交通省が出典している資料で、以下項目によるマンションの寿命をみていきましょう。

  • 躯体部分
  • 設備部分

躯体と設備は寿命が違うんですか?

そうだね。躯体は外壁や基礎部分になるので、基本的に鉄筋コンクリート造になっているから寿命は長いんだよ。一方、設備は配管や水まわり関係がメインなので、素材的に劣化しやすいのと、水に触れる点でも劣化しやすいんだよ。

躯体部分

結論からいうと、躯体部分は50年以上の寿命があります。躯体部分とは、基礎部分や外壁など、マンションでは主に鉄筋コンクリートが使われている部分のことです。

ただし、国交省が定めているように、以下のようなメンテナンスは必要です。

出典:国土交通省資料より
修繕の目安
  • マンションの屋根部分:塗装や補修は11~15年、防水工事は21年~25年
  • 外壁:塗装は11~18年、タイル貼り報酬は12~18年
  • 階段や廊下:鉄部塗装は4~10年、防水工事は11~18年

このように、メンテナンスによって寿命は変わるものの、躯体部分は鉄筋コンクリート造なので、比較的寿命は長いといえるでしょう。

設備部分

次に設備部分の寿命について解説します。国交省の資料によると、設備面での長期修繕計画のイメージは以下の通りです。

特に、上記の「交換」がその設備の寿命ということができます。給排水管なら26~30年、給湯器は11年~15年、浴室やキッチンも部分的に交換する必要があります。

いくら躯体部分が50年以上もったとしても、上記の設備部分に不具合が起これば、その時点でそのマンションの寿命といえるでしょう。

つまり、躯体部分だけでなく寿命の短い設備部分にも注目し、その部分をきちんと整備しているかがマンションの寿命を左右します。

RC造の寿命は100年超えという研究結果も

上述したようにマンションの躯体部分は50年以上の寿命がありますが、実はRC造の寿命は100年以上という研究結果もあります。これは国土交通省の報告書「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」に記載されており、その理由としては以下が挙げられています。

RC造の寿命は100年超えと言われる理由とは
  • 最近建築されている住宅は性能が向上している
  • アメリカやイギリスでは木造住宅でも100年以上もっている
  • 基礎や躯体に関しても大規模修繕で一部更新することができる

へ~!アメリカやイギリスでは木造でも100年以上もっているんですね!

上記のうち「最近の住宅は性能が向上している」という点は大きいだろうね。ただし、特に設備部分に関しては、適切なメンテナンスをされていることが前提という点は認識しておこう。

税法の定め上耐用年数は47年なのでそれが寿命と考える人もいる

ただし税法で定められている耐用年数は47年なので、47年を寿命と考える人もいます。たとえば金融機関の担保評価では、この耐用年数が重視される傾向にあります。
しかし次項で解説するように築47年以上のマンションは日本にも存在しますし、上述したようにアメリカでは築100年を超える木造住宅も珍しくありません。この点を加味すると税法上の寿命と「住める」という観点から見た寿命は異なるといえるでしょう。

現在のマンション状況をチェックしてみる

前項までで、マンションの躯体部分と設備部分の寿命の目安、およびマンションの寿命にはメンテナンスが重要であることが分かったと思います。

次に、実際に現在のマンションの建て替え状況について、以下を見ていきましょう。

現在のマンションの建て替え状況
  1. マンションストック数
  2. 築古マンション数
  3. 建て替え状況
  4. 修繕金の徴収状況

マンションの状況をチェックして、どのくらいの築年数のマンションが存在するのか?を知るということですね!

そうだね。前項で寿命の目安が分かったと思うけど、実際にどのくらいの築年数のマンションがあるか?を知ることで、より現実的な寿命が分かるからね。

マンションストック数

国土交通省の資料によると、平成30年末時点でマンションのストック総数は約657万戸です。

国勢調査によると、1世帯平均2.33人なので、この数字を掛けると約1,523万人の人がマンションに住んでいるという計算(国民の約1割)になります。

地方で一軒家が多いことを想定すると、都内や地方都市だけをピックアップすると、マンションの居住率はもっと高くなると思われます。

築古マンション数

出典:国土交通省資料より

では、その中で築30年以上の、いわゆる「築古マンション」に分類される物件数は以下の通りです。

項目 2018年末 2023年末 2028年末 2038年末
合計 197.8万戸 275.3万戸 366.8万戸 560.2万戸
築30年超 116.4万戸 137.2万戸 169.万戸 193.4万戸
築40年超 75.1万戸 95.8万戸 116.4万戸 169.万戸
築50年超 6.3万戸 42.3万戸 81.4万戸 197.8万戸

2023年末以降は予測ではありますが、少なくとも現時点で197.8万戸…つまり全マンションの30%以上が築30年を経過しています。

そして、築40年以上は11%以上存在し、築50年以上も1%弱存在しています。

実際に築50年のマンションも少ないながらも存在するので、やはり「躯体は50年以上もつ」というのはマンションによっては実現しているということだね。

建て替え状況   

さて、このように築30年以上の築古マンションは意外と多いのですが、次に以下の点を知っておきましょう。

  • マンションによる建て替え意思
  • 実際に建て替えているマンション数

マンションによる建て替え意思

マンションの建て替えは、管理組合という入居者全員で組成される組合の意志で決まります。そんな管理組合に行ったアンケートによると、「建て替えや修繕したい」と思っているマンションの割合は以下の通りです。

  • 建て替えや修繕、改修の方向性が出た:21.9%
  • 議論はしたが方向性が出ていない:16.6%
  • 議論していない:56.3%

仮に、議論をしたマンションだけに絞ると、「建て替えや修繕、改修の方向性が出た」マンションは約57%にのぼるということです。

実際に建て替えているマンション数

そして、実際に建て替えているマンション数を見てみると、2019年4月1日時点で以下の通りです。

  • 工事完了済み:244棟
  • 実施中:23棟
  • 実施準備中:20棟

このように、建て替え準備中のマンションを入れても、わずか287棟しかありません。

上述したように、現在日本にはマンションが657万戸あるので、仮に1棟50戸で計算すると13万棟です。その棟数を前提にすると、たったの0.004%しか建て替えが完了していないということです。築30年超に絞っても、わずか0.6%になります。

もちろん、建て替えの意志が全くないのであれば良いですが、前項のように建て替えの方向性の話は出ているので、実際に建て替えたいけど話が進まない…というマンションが多いと考えられます。

このデータから「建て替えたいけど、建て替えの話が実際に進まない」というマンションが多い…言い換えると、マンション住民の中には「マンションの寿命を迎えそうだから建て替えたい…」という人もいるということが分かるね。

なるほど。築30年超のマンションは多数存在するけど、実際には「もう限界」と思っている人達もいるということですね。

寿命の長いマンションとは?

ここまでで分かったと思うけど、マンションの躯体は50年以上もつ…けどメンテナンスが必要だし、設備関係はもっと早い段階で交換が必要だね。また、実際に30年超のマンションは多いけど、マンションによっては建て替えを希望しているマンションも少なくないことも分かったね。

そうですね…。ということは、マンションの寿命はメンテナンスが重要になるということですね。実際に、築古マンションでも「建て替えたい」と思っている人は多いものの、全物件ではないでしょうし…。それは、メンテナンスの良し悪しが関係してそうですね。

このように、マンションの寿命は「○○年」と一概にはいえませんが、以下をチェックすることで寿命の長いマンションを判断することは可能です。

  • 長期修繕計画の年数と項目
  • 修繕積立金の積み立て状況
  • 新耐震か旧耐震か?

簡単にいうと、特に設備面において長期修繕計画を綿密に作っているマンション…、そして修繕積立金をきちんと徴収しているマンションが「寿命の長いマンション」といえます。

長期修繕計画の年数と項目

マンションの寿命を予測するために、まず長期修繕計画の以下の点を確認しましょう。

  • 30年スパンで作成しているか
  • 細かい項目にも言及しているか

長期修繕計画は一般的に20年~30年スパンで策定されていますが、30年スパンで策定している方が良いです。なぜなら、30年スパンでエレベーターや機械式駐車場の入れ替え工事が発生するからです。

つまり、20年や25年の長期修繕計画だと、これらの費用を読み込んでない計画ということです。

また、「細かい項目に言及しているか?」については、国土交通省が出典している長期修繕計画のフォーマットと見比べましょう。

特に築古マンションは、修繕部位や数量、単価などを計画に盛り込んでいないことも多く、それだと精度の低い計画になってしまいます。

修繕積立金の積み立て状況

国土交通省の資料によると実は修繕積立金が不足しているマンションは34.8%にのぼります。いくら長期修繕計画がしっかりしていても、修繕積立金が不足していれば十分な修繕はできません。

そうなると、結果的にメンテナンスが不十分で、寿命の短いマンションになってしまうということです。ただし、修繕積立金の状況はマンション内の機密事項なので、管理組合員(入居者)しか知り得ません。

そのため、マンション購入時は仲介会社経由で、売主に確認してもらいましょう。過去に管理組合総会で修繕積立金不足による積立金増額案が出ていたか?が分かれば不足額や理由が分かります。

注意
仮に、売主がこれらの点に関心がなくても、売主から管理会社に確認してもらえれば分かります。

中古マンションの購入は築20年~25年がおすすめ!

さいごに中古マンションの購入は築20年~25年がおすすめという理由である以下について解説していきます。

  • 価格下落率が高い
  • 新耐震物件

価格下落率が高い

1つ目の理由は価格下落率が高いからです。というのもレインズのデータによると、マンション価格は築20年を境に下落率が大きくなる傾向にあります。つまり買い手側からすると築20年を過ぎたくらいのマンションが「割安」なマンションということです。

新耐震物件

次に築20年~25年の物件は新耐震物件であるという点です。新耐震物件とは建築基準法が大きく改正された1981年6月以降に建築確認が下りている建物のことであり、それ以前は旧耐震物件といいます。

新耐震は震度6~7程度の地震に対して「倒壊しないレベル」としていますが、旧耐震はそもそも震度6~7の地震を想定していません。そのため、この点を加味すると新耐震基準をクリアしている築20年~25年のマンションが良いといえるでしょう。

つまり、築20年~25年くらいのマンションは価格下落率的に割安な上に、新耐震基準もクリアしているマンションということだね。

まとめ

このように、マンションの寿命が何年かは明言することはできません。また、躯体と設備によって寿命も違います。ただ1ついえるのは、躯体も設備もメンテナンスが重要ということです。

そのため、寿命の長いマンションに住みたいのであれば、上述した長期修繕計画や修繕積立金の徴収状況をチェックしましょう。それが、将来的なメンテナンスの精度を測ることにつながります。

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