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マンションの「専有部」「共用部」の違いをしっかり解説

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

専有部と共有部の違いまとめ
  1. 専有部と共用部は区分所有法とそれに基づく標準管理規約によって区分されている
  2. 所有権のある専有部でも管理規約等によってルールが定められている
  3. リフォーム工事は管理組合等に事前に申請が必要

 

分譲マンション等の契約書内によく出てくる「専有部」と「共用部」。それぞれ分かれているけど違いや境界線がイマイチわからない。これって大事なことなの?

 
 

分譲マンションでの暮らしを快適に過ごすなら、専有部と共用部の区別はしっかりつけておくことをおすすめするよ!

 

分譲マンションを購入したにもかかわらず両者の違いや境界線が分からずにいると、あとでトラブルになったり損をする可能性があるので、これを機に専有部と共用部の違いや境界線についてしっかり理解しておきましょう。

マンションの専有部と共用部の違いとは

マンションのように1つの建物内にそれぞれ独立した複数の住居等(部屋など)がある建物を「区分所有建物」と言い、それに付随して「区分所有法」や「区分所有権」が定義されています。

 

まずはじめにマンションの専有部分と共用部分の違いや、見分け方について解説していきます。

 

マンションにおける「専有部」とは

マンションにおける「専有部」とはコンクリートの躯体で区画された内側である居住スペースが専有部分に該当します。つまり壁や床、天井に囲まれた空間を指しています。

MEMO
より具体的に専有部分について知りたい人は管理規約を確認すると詳細な内容が理解できます。

また分譲マンションであれば専有部分は購入した居住者の所有物になるため、部屋の扉やクロスやインテリアの変更など、リフォームや模様替えは自由にすることができます。

マンションにおける「共用部」とは

マンションにおける「共用部」とは専有部分(居住スペース)以外の居住者や賃貸人が共同して使用する空間を指しています。

さらに共用部は区分所有法によって定められた「法定専有部分」と、管理組合の管理規約によって定められた「規約共用部分」とに分類することができます。ただし専有部と同様に所有マンションの具体的な共用部について知りたい人は、管理規約やマンションの管理会社に事前に確認しておくことをおすすめします。

共用部については専有部とは異なりマンションに居住するすべての住人が共有する空間のため、原則的には管理組合等の総会の決議なしでは変更することはできません。

注意
共有部は自身の一存で勝手にリフォームや修繕することはできません。

区分所有法と標準管理規約によって区分されている

分譲マンションの部屋ごとに、区分所有法(区分所有権)が設定されています。また区分所有法に基づいて国土交通省が作成したマンション管理規約のガイドラインのことを(マンション)標準管理規約」と言います。

MEMO
標準管理規約には共用部の管理及び変更、管理規約の改正、暴力団等の排除規定、災害時における応急的補修等の内容が規定されています。

また専有部・共用部についても具体的に記されており「玄関扉は錠及び内部塗装部分は専有部分とする」や、「窓枠及び窓ガラスは専有部に含まれないものとする」などが明記されています

そうはいっても専有部と共用部の線引きは曖昧

再三お伝えしていますが専有部と共用部の線引きは管理規約などによって異なるため、とても曖昧なルールでもあります。そのため自身だけで勝手に判断すると、原状回復や工事停止などトラブルに巻き込まれる可能性が高いため、リフォームや修繕を行うのであれば、事前に管理会社に問い合わせを行い、必ず確認するようにしましょう。

専有部と共用部に含まれる範囲

ここでは専有部と共用部に含まれる範囲について一部抜粋して紹介していきます。

所有するマンション(部屋の中)だからといって専有部とは限りませんので、これを参考に覚えておきましょう。

専有部に該当する範囲

専有部に該当する範囲
  1. 居住スペースの内装
  2. 躯体部分(天井、床、壁)
  3. 玄関扉(錠及び内部塗装部分)
  4. メーター以降の配管、配線
  5. 住宅用火災警報器

共用部に該当する範囲

共用部に該当する範囲
  1. 躯体のコンクリート
  2. 躯体部分(柱、外壁など)
  3. エントラスホール
  4. エレベーター
  5. バルコニー(ルーフバルコニーも含む)
  6. 宅配ボックス
  7. 共用で利用する廊下や階段
  8. 電気設備
  9. 消防用設備
  10. 駐車場、駐輪場
  11. メーターボックス

注意
共用部についてはマンションの規約によって異なることがあるため、事前に確認しておきましょう。
 

過去の事例からみる「専有部」と「共用部」の見分け方

専有部と共用部については線引きを知っていただいたところで、次に紹介するのはより具体的な専有部と共用部の見分け方についてです。

「〇〇の場合はどっちに属するの?」とならないよう、これを機会に覚えておきましょう。

玄関の扉を変更したい!

玄関の扉は内側と外側で区分所有権が異なります

玄関扉の場合、扉内側のみ色を変えることは専有部のため可能ですが「扉の色を変えたい」「扉自体を交換したい」となると勝手に変更してはいけません。玄関扉は単に出入口としての役目だけでなく美観や防火、防音の観点からも重要な役割を果たしていますので、勝手に変更するのではなく事前に確認することをおすすめします。

破損した窓ガラスを取り替えたい

先ほどもお伝えしましたが標準管理規約の規定によると、窓枠及び窓ガラスは専有部ではなく共有部になります。窓ガラスが破損した場合は自己負担によって取り替えることが許されますが、破損以外で変更したい場合は条件を満たした場合や必要性(防犯や断熱性の向上など)が認められる等の理由がなければ変更することはできません。

知っておきたい!専有部についてのルール

「分譲マンションを購入して専有部を自分の好みにリフォームしたい!」 しかし所有権がある部屋内の専有部でも管理規約等によってルールが定められており、勝手にリフォームや変更を加えてはいけません。 ここでは特に多く挙がる専有部のルールについて紹介しますので、参考にしてみてください。

リフォーム工事は事前に届出が必要

工事内容が専有部に限る場合でも、事前に管理組合等に届け出を出す必要があります。なぜなら工事に伴う騒音や配管の水漏れ等など、近隣住人等とトラブルにつながる可能性も高いためです。そのため工事等を行う際は設計図や工程表の提出、手続きの内容を管理会社や管理組合に確認しておきましょう。

犬や猫などペットの飼育方法

近年では犬や猫といったペットをマンション内で飼育できる建物も増えてきました。しかし分譲マンションの多くはペットの飼育に関する規約を細かく記載している建物も多く見られます。

MEMO
確認しておきたいのは飼育する頭数や種類、ペットの大きさ、汚物処理の方法など多岐にわたる内容が該当します。

専有部で飼育するからといって、どんな種類の動物でも飼えるわけではなく個々のマンションによって明確に規定が設定されている可能性があるため、飼育したい動物(ペット)がいる場合は事前に飼育できるペットのルール等を管理組合に確認しておきましょう。

ピアノやステレオなどの設置

ピアノやステレオを設置する際は壁面から少し離した位置に設置したり、防音マットなどを敷いて振動や音漏れを防ぐことが求められます。また演奏や音楽を聴く際も早朝や夜間といった時間帯に遠慮することや、日中利用する際も窓を閉めて行うなどの制約が設けられている場合があります。

これらの項目はマンションによって異なり、なかには搬入自体が禁止といったマンションもありますので事前に管理組合や管理会社に問い合わせを行いましょう。

 

当たり前にやっていることでも意外とルールがあるんですね。しかも共用部だけでなく専有部にも、意外と知らない規約やルールがあるなんて…

 
 

そうだね。特にこの規約やルールはマンションごとに内容が異なるため、トラブルを未然に防ぐためにも一度管理組合や管理会社に確認することをおすすめするよ。

 
 

まとめ

今回の記事ではマンションの専有部と共用部について解説していました。 しかし両者の線引きは曖昧かつマンションごとに異なるため、自己判断するのではなく事前に管理組合や管理会社に確認を取る必要があります。

「部屋の中は専有部だから好き勝手に使える」「部屋以外は共用部だから丁寧に使わないといけない」などと線引きをするのではなく、空間に関わらず一つのマンションをみんなで綺麗に使うことで住人全員が快適に過ごせる環境を作り上げましょう。