- 転勤や海外赴任になった時、住宅ローンはどうする?
- 海外赴任期間中は、住宅ローン控除は受けることはできない
- どの対処法を選んでもリスクとコストを抱えている
夢のマイホームを手に入れて悠々自適の生活を送っていたところに、突然会社から遠方への転勤の辞令が…。
でもマイホームのローンはまだあと30年分残っている…となったらどのように対処をすれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか?
こちら記事はそんな方向けに、どのように対処をすればよいのかをまとめました。今回は以下について解説します。
- ローン返済中に転勤が決まった際の対処法4つ
- 転勤が決まった際にローン返済で気を付けたい注意点4つ
- 転勤のケースにおける住宅ローン控除の扱い
今、実際に転勤の辞令がでている方や、これからマイホーム購入を考えている方にも参考になる記事ですので、是非お読みください!
住宅ローンの返済中に転勤が決まった際にとるべき選択
以下の章では住宅ローンを組んだにもかかわらず返済途中で転勤が決まった場合の選択について4つ解説します。
住宅ローンを返済中に転勤となった場合、まず考えることがあります。
それは「家族全員で引っ越すのか」もしくは「単身赴任するのか」という点です。どうするかは家族で相談しましょう。
転勤になった場合の選択肢は「単身赴任する」「空き家にする」「売却する」「賃貸にする」という4つのパターンが考えられます。
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浜崎編集長
- 家族は家に住み続ける(単身赴任状態)
- 一旦空き家として管理会社に委託する
- 持ち家を売却する
- 持ち家を賃貸に出す
対処法① 家族は家に住み続ける(単身赴任状態)
対処法1つ目は単身赴任をして家族にずっと住んでもらうというパターンです。住宅ローンの契約は契約者本人が持ち家に住むことが条件となっています。ただ転勤や単身赴任といったやむを得ない事情がある際は、家族がそのまま住み続ける場合、住宅ローンを引き続き利用できる事となっています。
対処法② 一旦空き家として管理会社に委託する
対処法2つ目は再び住むまで空き家にしておき、管理会社に管理を委託するパターンです。この場合は住宅ローンの一括返済を求められる可能性があります。なぜなら住宅ローンは契約者本人が住むからこそ利用できるものであり、誰も住まないのは契約違反となるからです。
空き家にすることを検討している場合は金融機関に相談をしましょう。また、住宅ローン減税も空き家にする場合は受けられなくなるため注意が必要です。
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浜崎編集長
対処法③ 持ち家を売却する
対処法3つ目は持ち家を売りに出すパターンです。
この場合、住宅ローンが残っているときは、ローンを一括返済しなければ家を売却できません。
家を売り、その価格が住宅ローンの残債を超えていれば問題はありませんが、売却価格が残債を下回った場合は、手持ち資金で埋め合わせをする必要が出てきます。
手持ち資金が足りない場合は持ち家を競売にかけられる場合もあります。
住宅ローンが残る家を売る場合は専門の不動産会社に価格を査定してもらい、売れる価格を確認してください。
確認したうえで、ローンの残債と比較し、返済額が足りない場合は、手持ち資金で補えるかどうかも確かめましょう。
対処法④ 持ち家を賃貸に出す
この場合は他人が住む形となるので、契約違反となります。
貸し出す前に必ず金融機関に相談をしましょう。場合によってはアパートローンなどの住宅ローンより高いローンへの変更が必要となる可能性があります。
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浜崎編集長
住宅ローンの返済中に転勤が決まった時に注意したいこと
先ほどの章では住宅ローンの返済中に転勤が決まった際の選択肢を4つ提示しました。どの選択をしたとしても注意するべき点がありますので、この章では選択肢それぞれの注意点について解説をします。
転勤先が海外の場合は控除の対象外になることも
海外転勤の場合、住宅ローン控除が受けられないケースがあるため注意が必要です。住宅ローン控除とは年末時点でのローン残高の1%が10年間にわたって所得税から控除をされる制度です。
本来、住宅ローン控除を受ける条件は、住宅ローン契約者本人が持ち家に住むことです。しかし住宅ローン契約者本人が単身赴任等で、持ち家に住めない等のやむを得ない事情がある場合は引き続き住宅ローン控除が受けることができます。
ただ、2016年3月31日以前に住宅ローンの契約を行った方が海外へ単身赴任をする場合は、契約者本人が赴任中は住宅ローン控除を受けられなくなるため注意が必要です。
空き家にするとコストがかかる
持ち家を空き家にするとコストがかかることを留意してください。先ほど転勤の際に空き家にするケースを紹介しましたが、この場合は持ち家の老朽化等を防ぐために、管理会社に管理を委託することが良いでしょう。その際には空き家の管理費用や、固定資産税がかかってきます。持ち家がマンションなのであれば管理費や修繕積立金などの負担も発生します。
住宅ローンは賃貸用に購入するローンではない
先ほども記述しましたが住宅ローンは賃貸用にする住宅購入には利用出来ません。
住宅ローンのまま他人に賃貸物件として貸し出すと契約違反となります。
相談なく貸し出しを行った場合はバレると住宅ローンを一括請求されるなんてこともあるかもしれません。
賃貸に出したとしても住宅ローン控除が受けられなくなることも
金融機関に相談をし仮に住宅ローンで家を賃貸に出せたとしても、住宅ローン控除は受けることが出来なくなるケースがあります。
それは契約者本人含めて家族全員が家から出るケースです。本来、住宅ローン控除は契約者本人か、その家族が持ち家に住めば継続することができます。
しかし家族全員が出る場合は誰もいないので仮に賃貸物件として他人に貸し出しをし、人が住んでいたとしても家族ではない赤の他人なので、居住していないことと同じ扱いとなるのです。
住宅ローン控除と転勤で知っておきたいルールについて
住宅ローン控除は住宅ローンを組むと受けることが可能な、所得税の控除制度です。非常に便利な制度ですが控除が受けられないといった場合も発生します。以下の章では知っておいて損はない住宅ローン控除のルールについて解説をしていきます。
海外の単身赴任から戻ってきた場合の手続きが必要
単身赴任が国外の場合だと帰国後に住宅ローン控除制度を受けるには手続きが必要となります。海外で単身赴任が決まった際は持ち家に住まなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の提出書」等の必要書類を、自分の持ち家を管轄している税務署に提出する必要があります。必要書類を提出したとしても、海外赴任期間中は、住宅ローン控除は受けることはできません。
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浜崎編集長
住宅ローン控除を受けている中、転居し、また戻ってくる場合は?
住宅ローン控除は契約者及びその家族が持ち家に住んでいない場合、受けることができません。
例えば住宅ローン控除期間残り7年の時に転居したとします。そこで住宅ローン控除はストップしてしまいます。ただし2年後に再び持ち家に住むようになれば、住宅ローン控除は再開できます。ここで気を付けたいのは居住していない2年分の控除は受けることができないということです。残りの5年分のみの控除を受けることができます。
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浜崎編集長
住宅ローン返済中の転勤では結局どの対処法を選ぶべき?
これまで転勤になった際の選択肢や住宅ローン、控除制度の扱いについて解説をしてきましたが、結局最後はどの対処法を選ぶべきなのでしょうか。それぞれの対処法の住宅ローンや、リスク、コストについてまとめた表を作成しましたので、これから転勤を控える人は参考にしてください。
上記の図を見てわかるように、どの対処法もコスト、リスクともにゼロになるものはありません。転勤の可能性があるのなら、ある程度どのような対処法をとるのかを知っておく事も大切です。
家族のライフプランに合わせて良い選択をしよう!
普段から転勤の可能性を想定して子供の年齢や夫婦の働き方等を見つめ、5年先の生活まで想像をしてライフプランを立てて対処法を決めていきましょう。
まとめ
今回は住宅ローン返済中に転勤が決まった場合の対処法と、その対処法におけるリスク、コスト、住宅ローン、控除の扱いについてまとめました。
対処法として 下記の4つが代表的なものです。
- 単身赴任をする
- 空き家にする
- 売却する
- 賃貸物件にする
それぞれがリスクとコストを抱えているため、一概に「この対処法が良い!」と言い切れるものではありません。各家庭のライフスタイルに見合った形の対処法を家族で相談しながら決めることが最も大切なことです。