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マンション売却でハウスクリーニングは必要?メリット・デメリット、業者に依頼する相場や注意点について

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. 内覧や写真のことを考えるならハウスクリーニングした方が良い
  2. マンションを売り出す際に「ハウスクリーニング済」とアピールできる
  3. マンション売却でハウスクリーニングするデメリットとは

マンション所有者ができるだけ高く売却したいと考えるのは当然のことです。その場合にハウスクリーニングやリフォームをどこまですれば良いのか迷われる方は多いです。お金をかけて果たして希望金額で売却できるのか迷うところです。しかしお金を少しだけかければ解決できることが大半です。

リフォームせずにハウスクリーニングだけを重点的に行えば、希望金額で売れる可能性が高まります。多くのマンション売却のアドバイスに携わってきた宅地建物取引士が、必要最小限度でのお金をかけることによってスムースにマンション売却ができるコツを解説します。

1.マンション売却でハウスクリーニングはした方が良い?

 

マンション売却でハウスクリーニングやリフォームはした方が良いのですか?

 
 

購入希望者が内覧する場合や売却のための案内広告に掲載する写真の見栄えを考えると、ハウスクリーニングをした方が良さそうです。ただし、リフォームまではしなくても良いです。

 

1-1.ハウスクリーニングとは?

掃除のプロで構成されている業者が専門技術や道具・機材を使用して家を掃除してくれるサービスです。浴室・洗面・トイレ・キッチンといった水回りやリビング・寝室・玄関など家中を綺麗にしてもらえます。家全体の掃除から一部分の掃除まで、広さ・箇所を指定することもできます。 料金は間取り、 広さ、設備の種類、汚れの度合いなどにより異なります。

1-2.義務はないが内覧や写真のことを考えるならハウスクリーニングした方が良い

内覧者の印象や案内写真の見栄えを良くするためにもハウスクリーニングをした方が良いといえます。売却する際、購入希望者は必ずと言っていいほど内覧を希望しますし、内装・設備・器具の点検・確認をしたがるものです。

また大半の方が不動産仲介業者を通して売却しますが、WEB広告や案内チラシに掲載する住戸内の写真掲載が必要になります。購入希望者に対して少しでも良い印象を与えるために 、綺麗で清潔感のある状態の写真を準備することは大切なことです。

1-3.リフォームや修繕はしなくても良い

売却する側は余計なことをしない方が良く、リフォームや修繕は購入者に任せた方が良い場合が多々あります。マンション購入希望者の購入理由は多種多様です。事前にリフォームや修繕工事をしなくても購入者がしたがる場合があります。

例えば自身のライフスタイルに合わせたリフォームやリノベーションを行うことを前提に、マンション探しをしている購入者です。その購入者にとってみれば、事前にリフォームや修繕工事をする位なら、その工事費分を値下げしてもらった方が喜びます

2.マンション売却でハウスクリーニングするメリット

 

ハウスクリーニングするメリットは何ですか?

 
 

第一印象が良くなり、内覧者が増えて早期売却が可能になり、売れ残りリスクが小さくなります。

 

2-1.売るマンションの第一印象が良くなるので内覧希望者が増える

ハウスクリーニングをして住戸内が見違えるように綺麗になった場合、WEBサイトや案内ちらしの室内写真も良くなります。それを見た購入希望者の印象も良くなるので、内覧希望者は増えます。最初の 見た目や第一印象は非常に重要です。第一印象が悪くなると後から詳しく説明を聞かされても話の内容が購入希望者の頭の中に入ってこない場合があります。

要するにそのマンションは購入希望者に拒絶されています。またペットなどの臭いも残っていると、ペットを飼ったことが無い内覧者にはすぐに嫌がられます。見た目・臭い対策には細心の注意が必要となります。

2-2.早期売却が可能になったり、売れ残りや購入後のクレームを抑える

内覧者が増えると実際の購入希望者も増えます。購入希望者が増えれば、早期売却の可能性は高くなり、売れ残る可能性は低くなります。

2-2-1.売れない期間中、毎月の出費は平均3~4万円

マンション売却を開始して売れない期間が長引くと、出費が嵩みます。管理費・修繕積立金・固定資産 税・都市計画税などはマンションごとに設定費用が異なりますが、概ね3~4万円/月の出費となります。

仮に半年間売れ残るとしますと、それだけで18~24万円の出費となります。それに住宅ローンが加算されますと、半年間の出費が70~90万円になる場合もあり得ます。また売れない期間が半年以上になりますと「売れ残り物件」と思われてしまい、益々不利な状況に陥ります。

例えば、
・長期間に亘り売れ残っているのは何がしかの瑕疵があると思われ内覧を敬遠されます。
・購入希望者が現れても足元を見られ数百万円以上の値引きを要求されます。
・購入希望者が現れるのを諦めて不動産会社に「買取り」を依頼するも数百万円以上の値引きを要求されます

MEMO
そうならないためにもハウスクリーニングをしっかりと行って早期売却に備えることが必要です。

2-2-2.空き家にならないために

ハウスクリーニングを行わずに汚れが酷い状態で売却を行いますと、「売れ残り」を通り過ぎて「空き家」になる可能性もあります。下図は総務省統計局のデータですが、平成30年時点での「空き家率」は13.6%、「空き家数」は846万戸あり年々増加しています。

空き家数及び空き家率の推移(出所:総務省統計局) 

2-2-3.購入後のクレームを抑える

購入後のクレームを抑えることもできます。ハウスクリーニングを行って第一印象が良くなると、マンション所有者の人柄も良く見えたりするものです。所有者はきちんと家を管理されているという印象を内覧者は勝手に抱いてくれたりします。そうなると、購入後に不具合が仮に生じたとしてもクレームまで至らずに、温和に解決できたりします。

2-3.売却金額の値下げ交渉がされにくくなる

マンションの値引き交渉は100万円以下の端数が対象になることが多いです。例えば、
  販売価格:2,480万円 → 2,400万円に値下げ交渉
  販売価格:3,280万円 → 3,200万円に値下げ交渉

という具合です。その端数の値下げ交渉をするために、何がしかの具体的な理由を見つけ、住戸内の「あら捜し」をする内覧者もいます。

最初からハウスクリーニングをしっかりと行い、内覧者に悪い個所
を指摘されることが無ければ、値下げ交渉はされにくく
なります。
少し本文の趣旨と違ってしまいますが、値下げ交渉されることを前提として、当初の販売価格に100万円ほど上乗せしておく方法もあります。

例えば、
 希望売却価格:2,480万円→販売価格:2,580万円に設定       → 2,500万円に値下げ交渉
 希望売却価格:3,280万円→販売価格:3,380万円に設定       → 3,300万円に値下げ交渉
という具合です。

2-4.マンションを売り出す際に「ハウスクリーニング済」とアピールできる

部屋の主だった箇所に「ハウスクリーニング済」と貼り紙を貼って内覧者にアピールすることができます。例えば、玄関内に入ってすぐに目のつく箇所、水回り箇所、エアコンなどに貼ってあると効果があります。内覧者が貼り紙を目にすると、それだけで第一印象が違ってきます。第一印象が良くなれば、売却できる可能性も高くなります

2-5.業者に依頼すれば大体10万円前後でクリーニングしてくれる

標準的なファミリータイプ(3LDK~4LDK)の場合、住戸内の全てを業者にハウスクリーニングを依頼すると、料金相場は約10万円前後となります。広さ(㎡)や仕上げのグレード、設備の種類、汚れ具合によっても料金は違いますが、概ね8万円~12万円といった具合です。

3.マンション売却でハウスクリーニングするデメリット

 

ハウスクリーニングするデメリットは何ですか?

 
 

ハウスクリーニングを行う前に準備が必要になり手間がかかります。また業者に依頼すると
料金が発生しますが、売却価格には影響しません。

 

3-1.マンション売却は売主も忙しいので手間

特に共働き夫婦であれば、仕事・家事・育児に追われてハウスクリーニングに時間を割くことは困難となります。業者に依頼するにしても、夫婦どちらかが家に残らなければならなくなり、仕事にも影響を及ぼします。業者がハウスクリーニングにかかる前に、整理整頓など必要最小限の準備が伴いますので、何かと手間がかかりストレスが溜まる原因にもなりかねません。

3-2.業者に依頼した場合は料金がかかってしまう

ハウスクリーニングを業者に依頼すると、標準的なファミリータイプの場合で約10万円前後の料金がかかります。水回りだけを依頼すると約6万円前後といった具合です。ハウスクリーニングの仕上がり具合において、ある程度の基準をクリアできる自信があるならば、自身で行うことにより出費を抑えることができます。

3-3.ハウスクリーニングをしても売却価格に変動は基本ない

ハウスクリーニングをしたからといって、かかった費用を売却価格に上乗せできることはありません。むしろ「2-2.」で説明したように、早期売却や値下げ交渉されないためにハウスクリーニングを行うといった守りの要因の方が大きくなります。

4.マンション売却のハウスクリーニングは業者に依頼すべき?

 

ハウスクリーニングは業者に依頼すべきでしょうか?

 
 

場所にもよります。特に水回りは業者に依頼する方が無難といえます。

 

4-1.水回りは業者に依頼した方が良い

水回りは素人が汚れを落としきることが困難な箇所であり、業者に依頼した方が良いです。主な水回りの汚れの現象は下表の通りです。

素人が中途半端に汚れを取り除いたとしても、内覧者の中でも特に主婦は厳しく点検を行います。少しでも汚れが残っていると指摘され、値引き交渉や敬遠される可能性もあります。結局、業者に最初からハウスクリーニングをしてもらった方が良かったということになりかねません。

4-2.その他は自分で掃除しよう!

水回り以外の箇所は汚れがひどくなければ自身で掃除をしても見た目を良くすることができます。自身が内覧者になった気持ちで部屋を点検してみるのが良いです。

住戸内点検箇所と点検・確認項目

5.マンション売却のハウスクリーニングにかかる費用・相場

 

ハウスクリーニングにかかる費用・相場はどれ位ですか?

 
 

標準的なファミリータイプの場合、相場は約10万円前後となります。水回りごとの料金は下記で説明します。

 

5-1.全てを業者に依頼した場合の費用・相場

「2-5.」でも触れましたが標準的なファミリータイプ(3LDK~4LDK)の場合、住戸内の全てを業者にハウスクリーニングを依頼すると、料金相場は約10万円前後となります。

間 取 り平均料金料金の範囲
1R~1DK25,000円15,000円 ~ 40,000円
1LDK~2LDK50,000円40,000円 ~ 80,000円
3LDK~4LDK100,000円80,000円 ~ 120,000円
5LDK~120,000円~120,000円 ~

間取り別ハウスクリーニングの相場料金(目安)

ハウスクリーニングは、大都市と地方都市とでは料金格差が大きくなります。同じ地域でも業者間での料金格差が大きくなります。業者に依頼する場合には数社から見積を取り寄せ、掃除内容・掃除範囲・料金などの比較をしながら決めることが大切です。

5-2.水回りのみを業者に依頼した場合の費用・相場

水回りの箇所ごとの料金相場をまとめますと下表の通りです。広さや仕上げのグレード、設備の種類・汚れ度合いなどによっても料金に違いが出てきます。

水回り箇所平均料金料金の範囲
浴   室15,000円前後8,000円 ~ 40,000円
洗 面 所10,000円前後5,000円 ~ 45,000円
ト イ レ10,000円前後5,000円 ~ 25,000円
キッチン20,000円前後9,000円 ~ 35,000円
レンジフード12,000円前後8,000円 ~ 22,000円
合   計67,000円前後35,000円 ~ 167,000円

水回りのハウスクリーニングの相場料金(目安)

業者の中には水回りセットプランを準備している場合もあり、その料金は安くて40,000円台から提供されています。しかし安ければ良いというものでもなく、何事も「安かろう悪かろう」はありますので、事前の確認は必要です。

6.マンション売却でハウスクリーニングを業者に依頼するなら査定前にしよう

不動産仲介会社がマンションの価格査定をする前にハウスクリーニングを業者に依頼した方が、不動産仲介会社にも好印象を与えます。また査定価格にも影響しますし早期売却にも繋がります。汚いものを売るよりも綺麗なものを売る方が価格は高くなり、早く売れる道理と同じです。

MEMO
実際にマンションを汗をかいて売却してくれるのは不動産仲介会社ですから、売却し易い環境を整える努力を惜しんではなりません。

7.まとめ

マンション売却前さらには価格査定前でのハウスクリーニングの必要性やメリット・デメリット、料金相場、注意点などを解説しました。所有者は売却するにあたり、内覧者の立場になってみて、自身のマンションを再度購入したいと思えるか否かを確認する必要があります。

自身が購入したいと思えないものを、内覧者が購入したいとは思ってもらえません。内覧者はわずかな隙をも見つけるものだと自覚し、マンションの隅々まで総点検する必要があります。そのためにもハウスクリーニングを業者に依頼するにしても自身で行うにしても、厳しく行うことが重要です。売れ残りや値引き交渉をされないためにもハウスクリーニングに向き合うことをお勧めいたします。