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マンションはローン残債が残っていると売却できない?抵当権やローン残債があるケースの注意点

この記事を書いた人
平野 直樹
不動産コンサルタント・一級建築士

関西大学工学部卒業後、首都高速道路の設計や戸建設計など建設コンサルタントとして活躍。川を活かした街づくりや土地有効活用を掲げるシンクタンクを経た後、現在は有限会社エクセイト研究所の取締役を務める。 保有資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士

この記事のざっくりしたポイント
  1. ローン残債が残っていてもマンション売却は可能
  2. マンション売却益でローンが完済できない場合はどうする?
  3. マンション売却でローン残債がある時の注意点とは

マンション売却を検討する場合「ローン残債が残っていると売却できないのではないか」と不安になります。金融機関の抵当権が設定されていると「ローン完済するまで売却できないのではないか」と困惑するのも無理はありません。しかし売却できる方法は意外といくつもあるものです。

多数のマンション売却案件に関わってきた宅地建物取引士が、その売却方法や注意点などを解説します。ローン残債がどの様な状態で残っていようとも最も有利な状態で売却できる方法を知ることができます。

ローン残債が残っていてもマンション売却は可能

 

ローン残債が残っていてもマンション売却は可能なのですか?

 
 

マンション売却益でローン残債を返済できる見通しが立てれば可能です。

 

マンション売却と抵当権の関係

マンション売却の際、住宅ローンの残債があれば抵当権が設定されています。残債を完済すれば抵当権を抹消できマンション売却は可能となります。残債を完済できなければ、抵当権を抹消することができず、マンション売却はできません。

大半の人はマンションを購入する際、金融機関から住宅ローンなどの借入れをして購入資金に充てます。金融機関は融資を実行すると同時にマンションの土地・建物に抵当権を設定します。抵当権は住宅ローンが完済されるまで抹消されずに残ります

抵当権とは?

抵当権は金融機関が住宅ローンなどの融資をする際、万が一ローン返済が滞り返済できなくなった場合に、金融機関や保証会社が抵当権者となって不動産を担保として取る権利です。

ローン残債が残っていてもマンション売却は可能

ローン残債が残っていてもマンション売却益でローン残債を返済できればマンション売却は可能です。ローン残債を完済できれば抵当権を抹消することができるからです。

マンション売却益でローンが完済できない場合

 

マンション売却益でローンが完済できない場合、どうすればいいのですか?

 
 

不足分を自己資金で補ったり、住み替えローンを利用する方法があります。ローン返済が滞っている場合には、任意売却を利用する方法もあります。

 

自己資金を用意する

マンション売却益がローン残債よりも少なくなる場合も多々あります。その場合は不足分を貯金などの自己資金で補うことにより住宅ローンを完済し、抵当権を抹消することによりマンション売却が可能です。

住み替えローンを利用する

「住み替えローン」はマンション売却した場合に売却金額よりも住宅ローン残債の方が多くなり、返済しきれない場合(担保割れ)に利用するローンです。返済しきれない残債と新しく購入する住宅の購入資金をまとめて融資するサービスです。「買い替えローン」といわれることも金融機関によってはあります。

【事例】住宅ローン残債:2,500万円、売却価格:2,200万円、新居購入価格:3,500万円の場合
  • 返済しきれない金額=2,200万円 ― 2,500万円 = -300万円
  • 住み替えローン  =300万円 + 3,500万円  = 3,800万円

金融機関が「住み替えローン」融資を行う条件の一つに、売却日と購入日の決済日を同日にする必要があります。この条件を満たさなければ、金融機関は融資ができなくなりなす。

メリット・デメリット

住み替えローンを利用するメリット・デメリットは下表の通りです。

メリット デメリット
マンション売却してもローン完済ができない場合に、自己資金を使用することなく住宅の住み替えができます。自己資金の使用を抑えたい人には効果的なローンです。 売買の決済日を同日にしないといけないため、売買のスケジュールがタイトになり、余裕が無くなります。新居を探す期間が限られる可能性があります。

住み替えローンを利用するメリット・デメリット

注意点

金融機関による「住み替えローン」の融資審査が通ったとしても、必要以上に借りすぎてはいけません。そもそも「住み替えローン」を利用している段階で、売却するマンションは「担保割れ」が生じています。新居はその不足分をプラスしての融資による購入ですから、将来「担保割れ」が同様に生じる可能性が高くなるといえます。

注意
また家計の負担も以前より増す可能性が高くなります。

任意売却も検討してみる

住宅ローン返済が滞っている場合や間もなく滞りそうな場合には、「任意売却」という方法も検討してみると良いです。「任意売却」は住宅ローン融資をしている金融機関と調整して、売却価格が住宅ローン残債よりも低くても売却を許可してもらうことです。

仮に住宅ローン返済を滞納し続けると金融機関により「競売」にかけられ、大半のマンションが相場よりも安く売却されます。「競売」になるのを避けるために先に自らの意思で「任意売却」に踏み切ると、相場価格で売却することができローン残債を減少できます。「競売」は裁判所が介入することになり、強制的で融通が利かなくなります。

MEMO
「任意売却」は自らの意思で取引きを行うことができます。

「競売」になる前に「任意売却」を選択した方が良い理由を下表にまとめます。

理由1 「任意売却」なら「競売」よりも売却価格が高くなります。
理由2 「任意売却」ならローン残債を少しずつ返済できます。「競売」は一括返済を求められます。
理由3 「任意売却」なら引っ越し代を経費として認めてもらえる可能性があります。「競売」は認めてもらえません。
理由4 「任意売却」なら引っ越しのタイミングを相談することができます。「競売」は強制退去させられます。

「競売」よりも「任意売却」を選択した方が良い理由

マンション売却益でローンを完済するために高く売るべし

 

マンション売却益でローン完済するためになるべく高く売りたいのですが、どうすればよいですか?

 
 

先ずは無料一括査定サービスで価格相場を知ることです。それから高い査定価格を出した不動産会社を吟味しながら依頼することです。

 

無料一括査定で価格相場を知る

マンション売却価格の相場を知るためには不動産の無料一括査定サービスを利用すると、簡単に早く価格相場を知ることができます。一括査定サービスを利用すれば、マンション情報を入力すると複数社の不動産会社に対してマンション売却価格の査定を無料で依頼できます。

入力は数分でできますので、自身で調査するよりも正確で早く知ることができます。 価格相場を知ることができれば売却価格でローン残債が払えるか否かを前もって知ることができ、その後の対処の仕方も違ってきます。

信頼できる不動産会社を選ぶ

マンション売却査定価格がメールなどで送られてきましたら、査定価格の根拠や売却マンションの周辺相場を知ることができます。その情報提供を基にして最も信頼できそうな不動産会社を選択し、実際に依頼をして媒介契約を締結する流れとなります。不動産会社を選択するポイントは、立地周辺の情報に精通しているかどうかです。

MEMO
また売却査定価格が高く査定されることです。マンション売却する際にローン完済する必要があるため、少しでも高く売却する必要があります。

マンション売却でローン残債がある時の注意点

 

マンション売却でローン残債がある時の注意点は何ですか?

 
 

ダブルローンにしないこと、売却時諸費用の把握、金融機関への連絡、不動産会社との連携などがあります。

 

できるだけダブルローンしないようにする

マンション売却をする前に新居での住宅ローンを別途組んで購入する場合もありますが、ダブルローンとなりリスクが高くなります。販売価格よりも成約価格が低くなる可能性もあります。売れない期間が長引くと、管理費・修繕積立金などの出費も毎月嵩みます。

注意
最悪の場合ローン返済が滞り新居も売却しないといけなくなりますので、ダブルローンは避けた方が賢明といえます。

マンション売却に関わる費用などを全て把握する

マンション売却に伴う売却時諸経費も加味しておかないと、マンション売却益が全て手残り額になるわけではありません。マンション売却価格はローン残債を上回ったけれども、売却時諸経費を差し引くとローン残債を下回ったということにもなりかねません。売却時諸経費を下表にまとめます。

売却時諸経費 内   容
仲介
手数料
不動産会社に支払う売買手数料の上限額:
成約価格×3%+6万円消費税は別途
ハウスクリーニング プロの清掃業者に住戸内全ての掃除を依頼した場合一般的な間取り:3LDK~4LDKで10万円前後
収入
印紙代
不動産売買契約書に添付する収入印紙代、
成約価格により異なる概ね5,000円~30,000円の範囲内
登記
費用
抵当権抹消費用、所有権移転費用、司法書士に
依頼すると1万円~5万円、司法書士事務所により
価格差があります。
一括
返済
手数料
一括繰り上げ返済に伴う金融機関への手数料:
1~3万円
引っ越し代 運搬距離、運搬量、季節、業者により価格差が
あります。
繁忙期は料金が平常時の1.5~2倍になることもあります。
譲渡
所得税
一般的なマンションは「3,000万円特別控除の特例」があるため、かかりません。

マンション売却に関わる売却時諸経費の内容

ローン残債があるマンションを売却するときは金融機関に連絡する

ローン残債がある場合は事前に金融機関に連絡して、正確なローン残債額の把握やそれ以外に要する費用などを把握する必要があります。また物件引渡し日の通知や金融機関による抵当権抹消手続きを依頼しなければなりません。

さらに「住み替えローン」を利用する場合、売却と購入の決済を同日に行う必要があるため、金融機関の協力も必要になります。「任意売却」を利用する場合も金融機関の許可が条件となりますので事前の連絡が不可欠となります。

マンション売却では不動産会社と連携が必須

ローン残債がある場合には不動産会社との連携も必要になり、一緒に戦略を練る必要があります。先ずは自身のマンション売却に対する希望条件を優先順位を付けて正確に伝えることです。第一に売却価格を優先する必要があります。

また売却時期や住戸内の劣化・損傷個所なども正確に伝える必要があり、それらによっても売却戦略が微妙に違ってきます。 「住み替えローン」を利用する場合には、それなりの高度なスケジュール管理が要求されます。

MEMO
不動産会社との緊密な連携なしでは利用できないことになります。

まとめ

ローン残債がある場合のマンションの売却方法や注意点などについて解説しました。いずれにしてもマンションをより高く売却する必要があり、不動産会社の選択が鍵を握ります。そのためにも様々な事例で実績があり所有するマンションの立地に精通し、コンサルタント機能も有する不動産会社を選択したいのは言うまでもありません。

無料一括査定サービスの利用は不動産会社を選択する一つの手段として活用できますのでお勧めいたします。