- 既存設備を再利用することで費用が抑えられる
- 再利用時は耐用年数と交換部品の有無をよく確認する
- 再利用して不具合が起きてもメーカーは保証してくれないので注意が必要
事務員
浜崎編集長
キッチンやユニットバスを再利用することはできるのか?
リフォームでキッチンやユニットバスを再利用することは、可能です。
キッチンやユニットバスはそれ自体が高価なため、使える場合は再利用することで、大幅にリフォーム費用を抑えることができます。
ただし、どんな状態でも再利用できるという訳ではありません。
例えば、キッチンやユニットバスに故障がなく、綺麗な場合はそのまま再利用が可能です。不具合が出ている場合でも、点検で一部の部品を交換することで再利用が可能な場合もあります。もし汚れや傷が気になるだけであれば、表面のみ綺麗にするという選択肢もありますよ。
浜崎編集長
設備を再利用することで費用を抑えられた事例
事務員
株式会社フジケンハウジングの施工の事例として、キッチンの取り換えとフローリングの貼り替えが合計50万円でできたと紹介されています。
キッチンのシンクからの水漏れが原因で、フローリングがダメになってしまっていたため、キッチンの交換に加えてフローリングを張り替える必要性が生まれた事例です。この事例ではリフォームをより安価で仕上げるために、ガスコンロとレンジフード、キッチンパネル、水栓を再利用しています。
もし新品のキッチンと交換する場合、キッチンだけで50万円程度の費用が必要となります。
例えば、マニカホーム(株)の施工事例で、マンションのキッチンをリクシルの「アレスタ」に変えるために60万円の費用がかかったと紹介されています。
参考:LIXIL | リフォーム | リフォーム事例と費用の相場 | キッチンのリフォーム事例 | N様邸(キッチン)
続いては、ユニットバスの再利用の事例を紹介しましょう。
ユウシード東洋株式会社の施工事例では、汚れが固着し防水コーキングが剥がれたユニットバスを再利用することでユニットバスのリフォームが22万円でできたと紹介されています。ユニットバスそのものは取り換えず、浴室全体を塗装することで防水性を高めています。また、壁一面にダークトーンの浴室用フィルムを貼ることで雰囲気を変えることに成功しています。
参考:ユウシード東洋株式会社
もしユニットバスを新品のものに入れ替える場合、40万円程度は必要となります。株式会社ヤマショウの施工事例では、マンションのユニットバスをリクシルの「リノピオ」に変えるのに42万円かかったと紹介されています。
参考:LIXIL | リフォーム | リフォーム事例と費用の相場 | 浴室のリフォーム事例 | Y様邸(浴室)
浜崎編集長
キッチンやユニットバスを再利用するデメリットと注意点
紹介したリフォーム事例のように、キッチンやユニットバスの位置を変えずに再利用する場合、コスト面のメリットは大きいでしょう。しかし、キッチンやユニットバスを移動させる場合には、さまざまなデメリットが考えられます。そこでここからは、どのようなデメリットや注意があるのかを解説していきます。
費用が高くなるケースも
キッチンやユニットバスの状態が悪い場合や、移動を伴う場合などは、新品に入れ替えるよりも費用が高くなる場合があります。
特にキッチンやユニットバスの状態が悪い場合は、再利用するための修繕や美装が必要なため、その人件費の分だけ費用が高くなります。
また、キッチンやユニットバスを移動する場合は、移動で傷つけることのないよう、通常の撤去よりも手間がかかります。一時保管の場所への移動費や保管費も発生するため、工期が長くなればなるほど費用はかさむ傾向にあります。
事務員
キッチンやユニットバスの耐用年数は10~20年
キッチンやユニットバスの設備は10~20年で寿命が来て入れ替えが必要になることが一般的です。
浜崎編集長
一般的に、キッチンの保証期間は取り付けから2年・防水性能(壁・床から浴室外部への漏水を防ぐ性能)は取付日から5年とされています。
もちろんこの期間を過ぎても設備は問題なく使えますが、リフォームに際してメーカーは保証してくれませんので、水漏れなどが起きた場合は原則自己責任となることを理解しておきましょう。
なお、キッチンに用いられるガスコンロやIH、レンジフードや食洗器などの設備はいずれも耐用年数が10年程度で、これを過ぎると故障や不具合が発生しやすくなります。
キッチンの場合は長年の使用でシンクまわりのコーキングが劣化したり、排水溝の詰まりが発生する場合もあります。不具合がでている箇所は部品交換することも可能です。
また、水回りのパッキンなどは消耗部品です。消耗部品をそのまま再利用すると水漏れなどのトラブルの原因になります。
使用の頻度や手入れの有無によっては、耐用年数より短い期間で不具合がでることもあります。再利用できたとしても早々に寿命を迎えてしまっては本末転倒ですので再利用の場合は耐用年数の10年を目安とし、工事業者の方に劣化具合を確認してもらった上で、判断しましょう。
部品がない場合も
古いキッチンやユニットバスの場合、修理する部品がない場合もあります。
一般的に、修理用部品の供給は、製品が製造中止になってから10年ほどで終了します。古い部品は廃盤になっている可能性もあるため、あらかじめ工務店からメーカーへ確認しておいてもらいましょう。
古い設備を再利用して、その設備に不具合が出てしまった際に、部品がなく修理ができない可能性も考えられます。そのため、設置から10年程度経っている設備の再利用はあまりおすすめできません。
新しい間取りに合わない場合も
間取り変更のリフォームも同時に行う場合、古い設備が新しい間取りに合わない場合があります。
既存のキッチンやシステムバスを再利用する場合、どうしても既存の設備を前提とした間取りにするしかありません。上述した通りこれらの設備は移動することでリフォーム費用が上がる傾向にあるため、結果として、満足のいく間取り変更リフォームを行うことができない可能性があります。
事務員
浜崎編集長
メーカー保証や衛生面の問題も
再利用や移設をした場合は、メーカー保証の対象外となります。
キッチン・ユニットバスとも、メーカーの保証は一般的に取り付けから2年・防水性能(壁・床から浴室外部への漏水を防ぐ性能)に関する部分は取付日から5年とされています。
しかしこれはあくまで新設の場合で、再利用したユニットバスで水漏れが起きてもメーカーは保証してはくれません。
特に、水回りの設備は見えない箇所が腐食しているケースも珍しくありません。老朽化したユニットバスでは劣化したコーキングの割れ目から漏水し、床下の木材が腐食たり、湿気からシロアリ被害が発生したりしていることもあります。
民法の定めによると、リフォーム工事後で不具合が生じた場合瑕疵担保責任により修補等を請求できるのは、引渡しから1年とされています (民法637条・契約書に特約がある場合はその定めによる)。
それを過ぎると補修工事の費用を全額自己負担しなければならないため、慎重な判断が必要です。
そういった意味では、多少値段が高いとしても、メーカー保証のつく新品を選ぶという選択肢の方が良いかもしれません。
メーカー | キッチン・流し台 | バス・お風呂 |
TOTO | キッチン商品本体は5年 電気・ガス機器は1年 水栓金具は2年 ※有償で延長保証制度あり | 防水性能・浴槽貯水性能は5年 電気製品は1年 製品本体、水栓金具は2年 ※有償で延長保証制度あり |
Panasonic | キッチン本体・水栓金具は2年 電気・ガス機器は1年 (※Lクラスのみ5年保証。) ※有償で延長保証制度あり | ユニットバス商品本体は2年 電気・ガス機器は1年 (※Lクラスのみ防水機能は5年保証) ※有償で延長保証制度あり |
LIXIL | キッチン商品本体は2年 電気・ガス機器は1年 ※有償で延長保証制度あり | ユニットバス商品本体は2年 電気・ガス機器は1年 ※有償で延長保証制度あり |
クリナップ | キッチン商品本体は2年 電気・ガス機器は1年 ※有償で延長保証制度あり | ユニットバス商品本体は2年 電気・ガス機器は1年 ※有償で延長保証制度あり |
TOCLAS | キッチン商品本体は2年 電気・ガス機器は1年 | ユニットバス商品本体は2年 電気・ガス機器は1年 防水性能 5年 |
タカラスタンダード | キッチン本体1年 その他の電気・ガス機器は1年 | ユニットバス本体は2年、 付属品(タオル掛けや照明など)は1年 メーカー施工時の防水機能保証は5年 |
Housetec | キッチン本体・電気・ガス機器共に1年 | システムバス本体・電気・ガス機器共に1年 ※有償で延長保証制度あり |
参考:激安水まわり
まとめ
今回は、キッチンやユニットバスを再利用する際のメリット・デメリットを解説しました。
キッチンやユニットバスはそれそのものが高価であるため、位置を変えずに美装する程度であれば再利用することでリフォーム費用を安く抑えることが可能です。
しかし、あまりに古い設備の場合や移動も発生する場合は新品を入れたほうが安くなる場合がありあす。水漏れが発生すると住宅の骨組みにまで被害が及ぶため、実施する前にきちんとプロの工事業者の意見を聞き、慎重に判断するようにしましょう。
浜崎編集長