- 「築年数」「立地」「管理状況」「構造」などによって、リノベーションに向くかどうか変わってくる
- おすすめは、資産価値が落ちづらい築年数20~30年で都市部など需要の高い地域にある中古マンション
- 「空室が多い」「管理が行き届いていない」「旧耐震」のマンションはデメリットが多いため避けたほうが良い
事務員
浜崎編集長
リノベーション向きの中古マンションとは?
浜崎編集長
- 築年数20~30年の中古マンション
- 都市部など需要の高い地域にある中古マンション
それぞれの特徴を解説していきましょう。
築20~30年の中古マンション
中古マンションの売買価格の下落は築20年程度で一旦落ち着くため、リノベーションをする前提であれば築20年超のマンションがおすすめです。
以下のグラフは、東日本不動産流通機構が出した2020年の首都圏における中古マンション・戸建ての築年数別の成約価格を表したものです。
中古マンションは築25頃年まで右肩下がりに値下がりした後、横ばいとなります。こういったマンションを購入すれば、数年後に何らかの事情で手放すこととなった場合でも、購入時と同等の価格で売却できる可能性も少なくありません。
なお、中古マンションの中には、室内のリノベーションを行っている物件と、一度も手をいれていない物件があります。リノベーションを行っていない物件は見栄えが悪く見えますが、割安に購入することができます。
築20年超のマンションを購入する場合、トラブルの起きやすい給排水関係の設備は更新したほうが望ましいですが、老朽化していないような設備は再利用することも可能です。買主に過去の修繕履歴を確認し、必要な部分のみリノベーションするようにしましょう。
都市部など需要の高い地域にある中古マンション
不動産は子孫にも受け継いでいく重要な資産です。購入する上では、「需要が高い地域か」という視点は必ず持つようにしましょう。
立地で重要なポイントは「交通の利便性」と「周辺環境」です。
交通の利便性では、個人の生活においては職場や学校への通勤・通学時間が重要となりますが、資産価値という点においては都市部により近い方が望ましいでしょう。
周辺環境では、物件周辺の居住環境が優れていることが重要となります。例えば周辺にスーパーやドラッグストア、病院などの日常利用する施設がどれほど充実しているか、物件前の道路の交通量は多すぎないかなどは確認しましょう。また、子供がいるご家庭であれば、小学校・中学校の学区にもこだわりたいところです。
それぞれのニーズを満たしつつ、資産価値を維持できる需要の高い地域の物件を購入しましょう。
なお、立地が良いほど購入価格は高くなります。築年数など他の要素とバランスを取りながら、最適なものを選びましょう。
中古マンションを購入する前に必ず確認しておきたいこと
浜崎編集長
ポイントは5つです。
- 構造
- 修繕履歴
- 管理規約
- 長期修繕計画
- ハザードマップ
順番に解説していきましょう。
マンションの構造
構造上の理由で、リノベーションできる内容が限られてしまうマンションは少なくありません。変更することができない構造体や配管がどの程度あるかは確認しましょう。
壁や柱などの構造体は、それにより物件を構造上支えており変更できないものと、撤去しても問題のないものとがあります。間取り変更を行う場合は支障する構造体がないか確認しておきましょう。
電気・ガス・水道などの配管は、立ち上げ位置を変えることはできず、立ち上げ以降の配管を分配することで設備の位置を変更することとなります。
一般的に立ち上げ位置より離れるほど工事費用は上がります。設備の位置変更を行う場合はそれが可能か、いくらかかるのかを確認しておきましょう。
マンションの修繕履歴
中古マンションの場合、適切にメンテナンスされていないと築年数以上に傷んでいる可能性があります。特に、配管などの目に見えない部分は老朽化が進んでいることも多く、住んだあとにトラブルが発生することもあります。築年数が浅い場合でも、オーナーに対して過去の修繕履歴を確認しておきましょう。
マンションの管理規約
マンションの管理規約により、リノベーションの内容に制限がかかる場合があります。
マンションの所有者は、所有者で構成する管理組合が作成した管理規約を守らなければなりません。管理規約ではリノベーションなどの工事にかかる規定もある為、事前に確認しておきましょう。例えば、リノベーションに関する規約には次のようなものがあります。
床仕上げ材
下階への騒音を防ぐ目的に、使用できる床材を規定する場合があります。
電気・水道・ガス容量
マンション全体の容量不足を防ぐため、電気・水道・ガスの容量を規定する場合があります。
工事時間・搬入経路
工事中、住民の方の生活を支障しないため、工事時間やリノベーションにかかる材料や器具の搬入経路などを規定する場合があります。
マンションの長期修繕計画
管理組合が策定するマンションの長期修繕計画を確認することも重要です。
居住者全員が利用するエレベーターや階段、廊下、外壁、植栽、ゴミ捨て場などは共用部と呼ばれています。
共用部は長期修繕計画を策定し、住民から毎月徴収する修繕積立金により修繕を実施します。その為、長期修繕計画でどの程度修繕費を負担する必要があるかは確認が必要です。
なお、その際は、住民からの修繕積立金がどの程度貯まっているいるのかや、滞納がないかなども確認しておきましょう。共用部の修繕に協力的でない家主が多い場合、マンション全体が寂れ、物件の資産価値も落ちていく恐れがあります。
中には、購入後すぐにマンション全体の取り壊しが決まってしまってしまうという例もあります。マンション全体の長期修繕計画は必ず確認しましょう。
ハザードマップ
国土交通省が発表する「ハザードマップ」も必ず確認しましょう。
マンションを検討されている方の中には、「マンションは戸建てと違って鉄筋コンクリート造で丈夫だし、1階ではないから安心」と考えている方もいるかもしれません。しかし、地震や津波、土砂崩れなど、災害のリスクが低い家に住むことは、家族の命を守ることにもつながります。
ハザードマップは、インターネットで簡単に確認することができます。土砂災害や津波のリスクがある場所や、避難場所などがマップ上に分かりやすく色付けされています。まずは「ハザードマップ お住まいの地域」で検索してみましょう。
避けた方が良い!リノベーションに向かない中古マンションとは?
浜崎編集長
旧耐震の中古マンション
1981年に建築基準法が改正され、新たな耐震基準が定められました。2022年現在で築30年超の物件は耐震基準をクリアしていない「旧耐震物件」の可能性があるため、必ず確認するようにしましょう。
旧耐震物件には安全面以外にも、様々なデメリットがあります。
まず、マンションなどの集合住宅は戸建てと異なり、自分だけで建て替えや耐震補強工事の判断を行うことができません。これらの物件は耐火性も低い場合も多く、せっかくリノベーションを行っても建て替え決議がなされるリスクもありますので、避けた方が無難です。
また、耐震基準を満たない物件の場合、住宅ローン控除も利用できない可能性があります。
住宅ローン控除は耐火建築物の場合で25年、耐火建築物以外の場合で20年以内に建築された住宅であることが条件で、この築年数を超えた物件の場合は耐震診断を実施し耐震基準に適合していることを証明しなければなりません。耐震基準を満たさない物件は住宅ローン控除の対象外となる為、注意しましょう。
空室が多い中古マンション
空室が多いマンションも避けましょう。近年は高齢化などの理由で空室が目立ち、ゴースト化しているマンションが問題となっています。空室が多いと管理費や修繕積立金を所有者から集められなくなり、適切な管理や修繕ができなくなります。
結果、マンションは寂れて資産価値が下がるだけでなく、既存居住者が負担する管理費や修繕積立金も額が多くなってしまうリスクがあります。
管理がずさんな中古マンション
適切な管理ができていないマンションも避けましょう。
マンションの共用部は管理費や修繕積立金を財源に管理修繕されています。共用部の管理が行き届いていないマンションは管理会社が粗悪である可能性や、管理費や修繕積立金の滞納が発生している可能性があります。
現地で目視確認し、以下のような項目が多くあてはまる物件は避けるようにしましょう。
- 廊下やエレベーター、階段などの清掃がされておらず汚い
- ゴミ捨て場の清掃がされておらず汚い
- 植栽が伸びっぱなしになっている
- 廊下や外壁等に大きなひび割れがあるのに修繕されていない
チェックポイントを理解して、リノベーションに向く中古マンションを探そう
今回は、リノベーション向きの中古マンションの特徴をご説明しました。
リノベーションを前提とした場合、築年数20~30年で都市部など需要の高い地域にある中古マンションであれば、資産価値が落ちづらいためおすすめです。反対に、空室が多いマンションや管理が行き届いていないもの、旧耐震のものはデメリットが多いため避けるようにしましょう。
一見似たように見えるマンションでも、築年数や立地、管理状況、構造などによって、リノベーションに向くかどうかは変わってきます。
今回ご紹介したポイントを理解して、リノベーション向きのマンションを探すことが、リノベーションで失敗しないための第一歩です。理想の住まいづくりを目指しましょう。