リノベーション済み中古マンションの購入時の注意点とデメリット

この記事のざっくりしたポイント
  1. 最近はリノベ物件の売行きが好調
  2. リノベ物件が売れている理由
  3. リノベ物件の検討時の注意点

SUUMO等を見ていてもリノベーション物件が最近は増えてきており、実感としても成約となる割合は既存内装のお部屋よりもその割合は増えつつあります。

自分たちなりのリノベーションルも人気ですが、リフォーム業者が企画施工して完成されたリノベーション済みの中古マンションは人気が集まっています。

とはいえ、リノベーション済みマンションといっても中古は中古。流行りにのって安易にリノベーション済み中古マンションを買って「失敗した!」とならないためにも、リノベ済みマンションを購入する際の注意点やデメリットをしっかりと理解しておきましょう。

増加するリノベーション済み中古マンション

中古マンションの取引が増えている

国土交通省の発表によると分譲マンションの総戸数は644.1万戸であるのに対して、新築マンションの戸数は10.6万戸程度で、新築マンションが占める割合はわずか1.6%とマンション市場は中古マンションであふれていることになります。

 

2013年に東京オリンピックの招致が決定して以来、首都圏を中心に中古マンション市場の需要は強く、成約件数・価格ともに上昇を続けています。

 

平成初めのバブル期に迫る勢いで価格が高騰し、ミニバブルとかプチバブルなどと呼ばれて中古マンションが飛ぶように売れたわけですが、今回の「中古マンションに人気が集まった状況」の中で登場したのがリノベーション済み中古マンションです。

大手の不動産情報ポータルサイトSUUMOで東京23区内の中古マンションを検索すると、13,967件がヒットし、さらにここで『リノベーション』を検索条件に追加すると3,496件がヒットします。

MEMO
つまり、中古マンション市場では4件に1件はリノベーション済み物件ということになります。

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リノベーション済み中古マンションが人気を集める理由

 

なんでリノベーション済み中古マンションが人気を集めているんですか?

 
 

中古マンションに対する不安や不満を大きく解消して「新築同様で価格に割安感がある」という点が人気を集めている理由です。

 

なぜリノベーション済み中古マンションが人気を集めているのでしょうか?

「リフォーム済み中古マンション」では人気が集まらないのに「リノベーション済み」というだけで上質な住まいのイメージがあるのはなぜでしょう?まずはその用語の定義からご説明をいたします。

修復だけでなく「用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりする」行為も含むため、より良く作り替えるという目的が含まれている。工事の規模も、間取りの変更を伴うような大規模なものを指す。

Wikipediaより
 

上記がリノベーションの堅い定義ですが、平たい言葉では「室内は従前の古い部材を残さないで内装・設備等の改装工事をする」ということになります。

 

対して「リフォーム物件」とは室内の一部に従前の古い部材が残しつつ、具体的には扉や壁の下地などの箇所が古いまま工事をしたお部屋となります。

 

実務でも、不動産会社が作成する販売図面ではこの二つを正確に使い分けているので、その点は信用をして購入の検討をしても大丈夫です。

 

次の章では、リノベーション物件の販売が好調な理由を3つ解説します。

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理由① 2年間の瑕疵担保責任が義務付けられているから

リノベーション済み中古マンションの多くが、個人から中古マンションを買い取ってリノベーションする再販業者によるものです。

再販業者は宅地建物取引業者であるため、販売する物件には瑕疵担保責任を持つことが義務付けられています。

 

宅地建物取引業者 の免許を持つ売主業者が仮に手抜き工事をして販売した場合、個人の買主は裁判では有利な立場となるため、実務では手抜きのまま販売しているリノベーション工事はほぼありません。

 

売り主が個人の仲介物件になると瑕疵担保責任は約束されず、仮に瑕疵担保責任を売買契約書に盛り込んだとしても、引き渡しから3か月間のみなどの限定的な条件になることが多いため、住まいの保証があるという点は人気を集める重要な要素だといえます。

理由② リノベーション費用もローンに組み込んで購入ができるから

リノベーション済み中古マンションは、販売価格にリノベーション費用が含まれているため、住宅ローンに組み込むことができ購入しやすいというメリットがあります。 居住者が退去した後の中古マンションを購入すると、リノベーションとまではいかなくても少なからずリフォームを施す必要があります。

 

古いままのマンションを買って、自分でリフォームをしたいと夫は考えているんですが…。

 
 

リフォーム代はもちろん、設計費、工事期間中の管理費やローン返済もあるので、既にリフォーム工事がしてあるお部屋は高そうに思えますが、計算をしてみるとお得です。

 

すると、中古マンションの価格に加えてリノベーション・リフォーム費用がかさむことになりますが、銀行の住宅ローンは物件の価格のみをフォローするため、工事費用は別にリフォームローンなどを申し込むことになります。

リフォームローンは住宅ローンよりも金利が高く設定されていることが多く、住宅ローンの返済との2重の返済で購入後が苦しくなるのは必至です。

その点、リノベーション済み中古マンションなら物件価格にリノベーション費用が含まれているので、住宅ローン一本で購入できます。

別々にローンを組むよりもずっと楽に購入できるという点も、リノベーション済み中古マンションが人気を集めている理由のひとつだといえます。

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理由③ 新築同様の最新設備で買主の期待度が高まるから

リノベーション済み中古マンションなら、システムキッチンやユニットバスなどに最新の設備を導入している物件が多くあります。

「まるで新築」の状態でしかも新築マンションよりは割安感はあるので、物件価格が高騰している都心部では有力な候補になります。

リフォーム済み中古マンションだと、新築当時の機能性を回復させていればいいわけですから、最新の設備までは導入する必要がありません。

 

リノベーションだと新築時の機能性をさらに増強させる必要があるので、同等品よりも機能性が高い設備を導入することになります。

 

中古マンションで古さや不便さを感じやすいキッチン・バスなどの水回りに最新の設備が導入されていれば、物件に対する満足度と人気は格段に向上します。

リノベーション済み中古マンションを購入する際に注意したい3つのポイント

人気のリノベーション済み中古マンションですが、物件情報だけをみて「リノベ済みだから安心」だと判断するのは早計です。

ここ数年のプチバブルの中でリノベーション済み中古マンションを購入した方の中には「リノベーション済み中古マンションで失敗した!」という人もいます。

 

リノベ済みなら新築同様で最新の設備も整っている物件が多くて、しかも新築より安くなりますよね?不安要素なんてない気がするのですが…

 
 

リノベーション済み中古マンションの購入で失敗してしまわないために3つのポイントに注目してみよう。

 

ポイント① 売り主は業者か?個人か?

リノベーション済み中古マンションが人気を集めている理由のひとつが、先ほども登場した瑕疵担保責任の存在です。

ところが、瑕疵担保責任は売り主が誰なのかによって左右されるため、販売方法をしっかりとチェックしておく必要があります。

販売方法が『仲介』になっている場合は売り主が個人なので、オーナー個人がリノベーションして不動産会社に買い主探しを依頼していることになります。

注意
個人対個人の不動産売買では、瑕疵担保責任を設定する義務がないので、販売方法が仲介になっているリノベーション済み中古マンションは保証が弱まります。

リノベーション済み中古マンションで保証面の安心を求めるなら、瑕疵担保責任の設定が義務付けられている宅地建物取引業者から購入するほうが確実です。

業者による再販なら、個人の主観ではなく専属のデザイナーなどが設計していることも多く、リノベーションのプロによる住まいのプロデュースが期待できます。

 

併せて、ホームインスペクションの実施状況や一般社団法人リノベーション住宅推進協議会が定める『R1住宅』に適合しているかなどもチェックしておきましょう。

 

売買の仲介手数料無料のデメリット。購入時、売却時ではこの落とし穴に注意したい。

ポイント② 再リノベーションは可能か?

リノベーション済み中古マンションを購入しても、自分好みの住まいにしたい人にとっては「ちょっと違う」という出来栄えになっていることもあるでしょう。

そこで考えつくのが、リノベーション済み中古マンションをさらにお好みにリノベーションする『再リノベーション』ですが、物件によっては再リノベーションが不可の場合もあるので要注意です。

「リビングとダイニングキッチンの間にある壁を撤去して広いLDKに変身させる」などの間取り変更を伴うリノベーションは、マンション管理組合の規約で禁止されていることがあります。

注意
また、中・低層のマンションに採用されていることが多い壁式構造の物件だと、壁の撤去事態が不可能です。

人とは違うこだわりの住まいを実現したいという方は、再リノベーションの可・不可を事前にしっかりとチェックする必要があります。

まれに構造を無視して間取りを変更するリノベーションが施されている中古マンションがあり、壁式構造では柱や梁を使わず壁で強度を維持しているため、大規模な地震が起きれば室内が圧壊してしまう危険も否定できません。

500万円以下の工事は建設業許可が不要のため、正しい知識を学ばず経験則だけで工事している業者がごまんといることを覚えておきましょう。

 

「プロが施工したから安心」というわけではないことを頭に入れておき、構造などの基本情報もしっかりチェックしておこう。

 
 

中古マンション選びで必ずチェックしたい『リセールバリュー』

 

ポイント③構造などの基本情報もチェックする。

いくらリノベーションによって内部が快適になっていても、共用部分や外観のメンテナンスが行き届いていない物件は購入を避けるほうが賢明です。

「見た目なんて重要じゃない!室内が良質な空間ならそれでいい」と評価するのも間違いではありませんが、マンションの共用部分や外観は管理状態をチェックする重要なバロメーターです。

エントランスやエレベーターホール、廊下などの共用部分は、毎月支払う管理費と各戸の住人の意識によって美化に努める箇所です。

また、外壁や屋上・廊下の防水などは修繕積立金を徴収し、長期修繕計画に基づいて定期的なメンテナンスが加えられるべきです。

 

共用部分・外観のメンテナンスが行き届いていない=管理組合が正しく機能していないと評価するべきです。

 

もし長期修繕計画に沿って正しく改修・改良工事がおこなわれていない場合は、次回の大規模修繕工事の費用を賄うため修繕積立金の増額や管理組合の金融機関からの借入が予想されます。

なによりも、共用部分や外観の美化に対する意識が薄いマンションなんて、管理組合や住人の資質が疑われるのでよほど割安感がない限り、検討から外すのが無難です。

「リノベーション済み」というだけで安心しない

 

人気のリノベーション済み中古マンションといっても、瑕疵担保責任がなくて構造も弱く、しかも管理が不十分だとすれば、快適な暮らしは望めませんね。

 
 

そのとおり!単に「リノベ済み」という肩書だけにとらわれず、ここで紹介した注意点をクリアしている良質なリノベーション済み中古マンションを探すようにしてください。

 

中古マンション市場には、たくさんのリノベーション済み物件が流通していますが、一方で「リノベーション済み」という肩書ばかりが偏重されている感もあります。

リノベ済みという情報だけに安心せず、販売形態やマンションの構造、実際に現地を見ての感触などを総合的に判断することが必要です。