礼金は高い?交渉できる?2ヶ月の違法性や礼金ありのメリットを解説

礼金が高い理由5つを徹底解説!相場や2ヶ月の違法性と値下げ交渉のコツとは

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

礼金が高い理由まとめ
  1. 礼金が高い理由を解説
  2. 礼金を交渉することはできる?
  3. 礼金2ヶ月は違法って本当?

引っ越しにはさまざまな費用がかかりますが、その中でも礼金の高さに驚いた経験はありませんか?

礼金は退去時にも返ってこないお金なので支払う事は意味不明、中には礼金は頭がおかしいと感じている人もいます。

ですが、礼金の「礼」は文字のとおり、大家さんに部屋を貸してもらうことの感謝の気持ちを伝えるものです。

大家さんの利益が増えることでマンションの管理なども行いやすくなり、清潔で綺麗な物件に住み続けられます。

他にも礼金には希望条件を多く満たす人気の物件だから、家賃を安く見せたいから、支払い能力に不安がある人を入居させたくないからなどの理由があります。

小室解説員

それでも礼金を支払いたくない!という方のために、礼金の金額を抑える方法も紹介します。
礼金の仕組みや相場を正しく理解すれば、礼金を抑える方法も見えてきますよ。

山口編集者

礼金は高い?礼金ありにメリットは?相場は?

礼金ありにメリットはある?相場は?

物件を契約する際に支払う礼金は、オーナーに対してお礼を伝えるためのお金です。

賃貸住宅がまだ少なかったころに部屋を貸してもらったことへの感謝をお金という形にして渡した名残が今も続いています。

その為、礼金の風習を時代遅れだ、高いと捉える方もいると思います。

礼金はその名の通りお礼として渡すお金であり、敷金のように退去時に返ってくるお金ではありません。

その為、入居者にとっては礼金を払うメリットは特にありません。

また、礼金は昔の名残が今でも続いているだけのもので、法律で礼金を支払わなければならないと定められてはいません。

従って、「〇円以上支払わなければならない」「〇円以上取ってはいけない」といった明確なルールも存在しません。

小室解説員

その物件のオーナーが独自に設定できるものですが、相場は家賃1か月分程度です。
次いで家賃2か月分に設定されているところも多いです。

山口編集者

MEMO

礼金に明確なルールはありませんが、一般的に、新築マンション、分譲マンション、都心部のマンションなど、良い条件が揃っている物件ほど高くなる傾向です。

礼金払いたくない!交渉する方法

礼金払いたくない!交渉する方法

何かと費用がかかる引っ越しでは、できれば返金されない礼金の支払いは抑えたいですよね。

山口編集者

小室解説員

礼金を払いたくない!という方のために、礼金を安く済ませる3つの方法を紹介します。
礼金を安くする方法
  • 値下げ交渉をする
  • 不動産会社に値下げ交渉してもらう
  • 礼金なしの物件を選ぶ

3つの方法を詳しく解説します。

礼金が相場より高い時は値下げ交渉する

礼金が相場よりも高い場合は大家さんに直接値下げ交渉をする方法があります。

周辺エリアの似た条件の物件よりも礼金が高く、礼金を高くしている理由が見当たらない場合は交渉の価値は充分にあります。

他にも、空室が続いている物件や築年数が古い物件、近隣に便利な施設がない、アクセスがよくないなど、悪い条件がある場合はそれらも交渉材料にできます。

礼金は全額が大家さんの利益となるため場合によっては値下げ交渉しにくいものの、不可能ではありません。

全額無料にするのは難しいですが、設定された金額の半額程度までなら値下げは可能です。

「この金額まで下げてくれたら契約する」「〇年間は入居する」といった条件を提示することで交渉しやすくなります。

ですが、礼金は入居希望者の支払い能力を確認するためにあえて高めに設定されているケースもあります。

注意

あまり値下げ交渉をしすぎると支払い能力がないとみなされる可能性もあるため注意が必要です。

礼金の値下げ交渉に強い不動産会社に依頼する

自ら値下げ交渉を行うのではなく不動産会社に礼金の値下げを依頼する方法もあります。

不動産会社の中でも実績が豊富な会社は大家さんとの取引にも精通しており、交渉術にも長けています。

小室解説員

また、大家さん側としても不動産屋とは良好な関係を続けていきたいため、交渉に応じてくれる可能性が高くなります。
値下げ交渉の経験がない、上手く交渉できる自信がない方は、不動産屋に正直に相談してみることをおすすめします。

事務員

礼金なしの物件を選ぶ

どうしても礼金を払いたくない場合は礼金なしの物件を探してみてください。

最初から礼金ゼロの物件を探してもらうよう不動産屋に依頼すれば、物件探しもスムーズに進みます。

ですが、駅から近い、築年数が浅い、ペット可など条件のいい物件には礼金が設定されていることがほとんどなので、物件選びにおいてある程度の妥協は必要です。

小室解説員

また、礼金がかからない分、家賃や共益費などが高く設定されている可能性もあるので金額はよく確認してください。

礼金が高い理由には5つの要因がある

礼金が高い理由には5つの要因がある

礼金は家賃1か月分が相場ですが、自分の住みたい物件の礼金が相場よりも高かった!という場合、大きな理由があるかもしれません。

礼金が高い理由としては、下記の件が考えられます。

礼金が高い理由
  • 希望の条件を多く満たしている
  • 大家さんの利益になるため
  • 家賃を相場より低く見せるため
  • 年収・収入が低い人を対象としていない
  • 法人契約が増える時期

それぞれ詳しい理由を解説します。

希望の条件を多く満たしている

礼金は、多くの人が希望する条件を多く満たすほど高くなる傾向があります。

新築のマンションや築年数が浅いマンションは人気があります。

他にもおしゃれなデザイナーズマンション、多くの人が憧れるタワーマンション、ペットと一緒に住める賃貸、音楽室など特別な部屋を完備している物件など、需要のわりに供給が少ない物件は礼金が高いです。

オーナーが指定する高い礼金を支払わなければその物件には入居できないので、好きなだけ礼金を上げやすいという理由もあります。

山口編集者

小室解説員

礼金を高く設定しても人気の物件はすぐに契約が決まります。

シャーメゾンの礼金が高い理由はここ! 

シャーメゾンは積水ハウスが提供している賃貸物件ですが、賃貸とは思えないようなデザイン性の高さ、充実した設備が人気です。

シャーメゾンは敷金、礼金ともに家賃2か月分と設定されている物件がほとんどです。

礼金が高い一方で、積水ハウスは「どこよりも高品質な賃貸住宅を」という思いでシャーメゾンを提供しています。

一度見てみるとわかるとおり、シャーメゾンは注文住宅のような外観、内観をしており、他の賃貸住宅では味わえない特別感を楽しめます。

デザイン、設備、品質に自信があるため、礼金も強気な金額に設定されています。

大家さんの利益のため

礼金は退去時に返金されないため、全額大家さんの利益になります。

とくに需要が増える新生活前の1月から2月は、入居者を集める努力をせずとも勝手に入居を希望する人が殺到します。

その分礼金を高くして、利益を多く出そうという考えがあります。

家賃を相場より安く見せるため

小室解説員

家賃を相場よりも安く設定し、その分礼金を高く取るケースもあります。

賃貸物件を探すとき、多くの人は毎月支払う家賃を重視します。

家賃が相場よりも低くて条件の良い物件があれば、その物件を選びたいですよね。

その分礼金を高く設定し、利益を出している大家さんもいます。

家賃が安いと一見お得に思えますが、入居期間が短いとトータルで計算したときに家賃が高い物件の方が、礼金が高い物件よりもお得だったというケースも少なくありません。

注意

短期間のみの入居を予定している方は、トータルで計算してお得な物件かどうか確認する必要があります。

年収・収入が低い人を対象としていない

そもそも年収や収入が低い人を入居者の対象にしていない物件では、礼金が高いです。

家賃2か月分などの高い礼金を支払える人は収入が安定している、収入に余裕があると判断できます。

礼金は、その人が支払い能力があるかどうかを見極めるために高く設定されることもあります。

小室解説員

高額の礼金を最初の段階で支払えない人は収入が不安定だったり余裕がなかったりする恐れがあり、家賃滞納の恐れもあります。
この場合は礼金の交渉自体も難しいため、支払えない場合は諦めるしかありません。

山口 編集者

法人契約が増える時期(3~4月・9~10月)

法人契約が増える3月から4月、9月から10月は礼金が高くなる傾向にあります。

都心のビジネス街ではこの時期もっとも礼金が高く、家賃2か月分以上になることも珍しくありません。

MEMO

法人契約は個人との契約とは違って、値引きの必要がない、支払い能力が高い企業と契約できるなど、オーナーにとってもメリットが多いです。

礼金2ヶ月分は違法ではないが高い

礼金2ヶ月分は違法ではないが高い

2か月分の礼金は高すぎない!?違法じゃないの!?と感じることもありますよね。

山口編集者

小室解説員

ですが、礼金2か月分は決して違法ではありません。

礼金自体が法律で定められたものではないため、いくらに設定するかはオーナー次第です。

2か月分ではなく3か月分や半年分などの金額にしても、法律違反にはなりません。

MEMO

家賃や礼金には消費税はかからないため、家賃2か月分の場合は提示されている家賃をそのまま2倍にした金額を計算して支払います。

強気?礼金2ヶ月分もとる理由

礼金なし、家賃1か月分などの物件が多い中、礼金を2か月分もとるのには理由があります。

上記のとおり、デザイン性が高い、築年数が浅いなど、需要が高い物件は礼金を高く設定しても入居を希望する人が多いです。

その分高い利益を出すため、あらかじめ礼金は高く設定されています。

さらに、高い礼金には早期の退去を防ぐ目的もあります。

初期費用が安いと、数か月住んでみて不満があっても、気軽に別の物件に引っ越せてしまいます。

ですが早期に退去されると、オーナーは物件の原状回復や新しい入居者の募集などの業務を行わなければなりません。

高い初期費用を支払ったのだから引っ越しはもう少し我慢しようと入居者に思ってもらうためにも、礼金を高く設定している物件はたくさんあります。

山口編集者

大阪などの西日本では礼金が高い!?その理由

大阪などの西日本では礼金が高めに設定される理由

小室解説員

大阪などの西日本、九州の一部地方は、東日本やその他のエリアと比べて礼金が高めに設定されています。
関西では保証金、敷引きという文化が残っており、関西以外のエリアから引っ越す際には戸惑う可能性もあります。

山口編集者

保証金は敷金と似た性質を持っており、退去時には返金されることがほとんどです。

万が一退去時の原状回復などに費用が必要になった場合はこの保証金から差し引かれます。

一方で敷引きは礼金と似た性質があり返却されないお金ですが、保証金の中から差し引かれます。

保証金は家賃の3か月から6か月分が相場です。

敷金礼金が家賃2か月分ずつだったとしても、保証金敷引きを採用している関西、西日本の方が初期費用は高くなることがほとんどです。

一方で、全国チェーンの不動産会社が増えるに従い、関西や西日本の独自の文化である保証金敷引きのシステムはなくなりつつあります。

注意

保証金敷引きのシステムは敷金礼金の相場と比べても高額で、徴収される目的が不明慮なことや高額なお金を請求されてオーナーとの間でトラブルに発展することも多いため、保証金敷引きシステムの不動産屋に当たった場合は充分注意してください。

保証金・敷引き制度が採用される物件はトータルのコストで判断する

大阪や関西、九州などの西日本では保証金敷引きシステムが根強く残っているエリアもありますが、初期費用が高い分別の部分を安く抑えられるケースも多いです。

毎月支払う家賃が相場よりも安かったり、更新の際に費用がかからなかったりといったメリットがあります。

長期間住む予定があれば、高い保証金、敷引きを支払ってもトータルでお得になる可能性もあります。

山口編集者

小室解説員

保証金、敷引きの合計金額と、住む予定の期間の家賃、更新などにかかる費用を計算して、トータルのコストがお得かどうか判断しなければなりません。

礼金なしの物件を選ぶときは家賃相場と比較すること!

礼金なしの物件を選ぶときは家賃相場と比較すること!

礼金なしだからお得!とは一概に言えないため、家賃相場と比較することを忘れないでください。

山口編集者

小室解説員

礼金が無料の分、仲介手数料や保証会社利用料、管理費、共益費などを少しずつ高く設定している物件も少なくありません。

初期費用がお得に見えても、同じ年数住むことでトータルで損をしてしまう可能性もあります。

敷金礼金、仲介手数料などの初期費用だけでなく毎月必要な家賃の他、管理費や共益費も計算し、どちらの方が長期的に考えるとお得なのかを確認してください。

礼金なしの物件は少なくない!

敷金礼金はあるものというイメージが強いですが、近年は初期費用を抑えるために礼金を無料にしている物件もたくさんあります。

国土交通省による「令和2年度住宅市場動向調査」では、礼金を設定していない物件は全体の48.2%という結果が出ています。

礼金なしの物件は少ないのでは…、条件が悪い物件しかないのでは…と思っている方も、ぜひ一度礼金なしの物件を探してみてください。

意外と希望する条件が揃った物件が残っている可能性も高いです。

MEMO

条件が良い物件は埋まってしまうのも早いため、気になる物件は早めに押さえることがマストです。

礼金は交渉で安くなるかも!2ヶ月分も違法ではないが高い

礼金が高い理由まとめ
  1. 礼金は家賃の一か月分が相場
  2. オーナーに対するお礼金なので戻ってくるものではない
  3. 相場より高い礼金の場合は交渉をしてみることも一つの手段

物件を契約する際に必要な礼金の仕組みや相場を解説しました。

礼金は退去時に返金されない、オーナーへの感謝を伝えるためのお金です。

一方で、家賃2か月分など高額な礼金を設定している物件も多く、「礼金さえ安ければここに決めるのに!」ともどかしい思いをすることも少なくありません。

礼金には法律の定めがないためオーナーが自由に設定できますが、入居希望者側には金額を交渉する自由もあります。

小室解説員

相場より高い礼金を支払いたくない場合はオーナーに交渉する、不動産屋に交渉を依頼するなどして、少しでも出費を抑える工夫をしてみてください。
また、礼金を設定していない物件もたくさんあるため、最初から礼金のない物件に絞って探すこともおすすめです。

山口編集者