アイランドキッチンのメリット・デメリット!失敗しないポイントや費用の相場も紹介

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のざっくりとしたポイント
  1. アイランドキッチンのメリットには一体感や開放感、高い自由度がある
  2. トータルのリフォーム費用の目安は150~250万円ほど
  3. アイランドキッチンに近いタイプの「ペニンシュラキッチン」「セパレートキッチン」もある

近年、オープン型キッチンは幅広い世代に人気ですが、その中でも代表格といえるのが「アイランドキッチン」です。おしゃれな空間を作ってくれるアイランドキッチンにリフォームしたいという方も多いのではないでしょうか。

しかし、キッチンのリフォームとなると大掛かりで費用も高額になるため、簡単には決められませんよね。

そこでこの記事では、アイランドキッチンのメリット・デメリットや費用の相場、失敗しないための注意点などを紹介します。アイランドキッチンを導入してみたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

アイランドキッチンとはどんなキッチン?

アイランドキッチンの画像

アイランドキッチンとは、調理台やシンクといったスペースが独立しているタイプのキッチンです。アイランド(island)とは、英語で「島、島に似たもの、孤立した丘、(路上の)安全地帯、孤立したもの」という意味があります。

キッチンの形状は大きく分けて、オープン型、セミオープン型、独立型の3タイプです。簡単に言えば、ダイニングルームとキッチンとの隔たりがどの程度あるかで分類できます。

アイランドキッチンはオープン型に分類され、ダイニングやリビングとの隔たりがなく広々としたおしゃれなキッチンタイプです。




アイランドキッチンのメリット

まずはアイランドキッチンのメリットについて、具体的に紹介していきます。アイランドキッチンが人気な理由はいろいろと考えられますが、大きなメリットとして一体感や開放感、高い自由度があげられます。

開放感がある

アイランドキッチンの最大の特徴は、調理台やシンクといったスペースが独立しているレイアウトです。ダイニング・リビングとキッチンの隔たりがないため、部屋の一体感と開放感が生まれます。実際に、洋画や海外ドラマでは、アイランドキッチンの周りで子供たちが走り回ったり、遊んだりするシーンを見かけるほどです。

特に日本は、アメリカと比較すると一人当たりの床面積が極端に狭くなります。そのため限られた面積を有効活用し、なおかつ広く見える間取りが求められるのです。その点、アイランドキッチンは開放感があり広々とした空間が目の前に広がるので、閉塞感がないのがメリットです。

複数人で作業ができる

アイランドキッチンは広いスペースが確保されており、キッチンを中心に円形の動線が可能になります。複数人で作業する場合でも窮屈に感じることなく、ぶつかったり怪我をしたりするリスクも減るので、家族で料理をするときも安心ですね。

近年、「食育」の大切さが説かれ、お子さんと一緒に料理をしたい方も多いでしょう。しかし、閉塞感のあるキッチンでは人の動線が限られてしまうため、複数人で作業すると窮屈さを感じます。

コロナ禍で家食をする機会が増え家事の負担が増えてしまったご家庭でも、料理の際に作業や配膳など、家族の手を借りやすくなるのは大きなポイントですね。

事務員




コミュニケーションを取りやすい

アイランドキッチンは対面式のため、家族とコミュニケーションをとりながら料理を楽しめます。特に小さな子供がいる家庭であれば、子供の様子を見ながら調理をしたり、あやしながら調理をできるので便利ですね。

閉塞感があるキッチンでは、調理中どうしても孤立しやすくなってしまいます。アイランドキッチンであれば、リビング・ダイニングと繋がっているので孤立感もありません。

浜崎編集長

アイランドキッチンはお客様を招いた時にも便利です。
確かに、友人を招いてパーティをするときなども、閉塞感のあるキッチンでは作業中どうしても孤立してしまいますが、アイランドキッチンならみんなで会話しながら料理ができますね。

事務員

レイアウトの自由度が高い

前述の通り、アイランドキッチンの最大の特徴は調理台やシンクといったスペースが独立しているレイアウトです。そのため、さまざまなレイアウトができ、場合によっては部屋の間取りを大きく変えることもできます。

たとえば、キッチンの向かい側にダイニングテーブルを設置してくっつけてしまう形や、カウンターのようにするデザインが人気です。またキッチンにあると便利なのが収納棚です。収納棚を組み合わせて取り付けることもできるので、好みに合わせてさまざまなスタイルを実現できます。

家族構成やライフスタイルはそれぞれの家庭で異なります。せっかくリフォームするのであれば、自分自身のライフスタイルに合わせたり、好みをふんだんに取り入れたりしたいですね。

事務員




アイランドキッチンのデメリット

後悔先に立たずという言葉がある通り、リフォーム後に後悔しても、もはや手遅れです。後悔しないリフォームにするためには、メリットだけでなくデメリットについても把握しておく必要があります。

浜崎編集長

デメリットを知らずにリフォームしてしまうのは、あまりにもリスクが高いですね。実際、アイランドキチンにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

広い空間がないと導入できない

キッチンを壁から独立させるアイランドキッチンは、キッチンの周囲に通路となる空間を確保しなければなりません。そのため、そもそもスペースに余裕がない住宅ではアイランドキッチンを導入できない可能性があります。

注意

仮に施工可能な場合であっても、キッチンにスペースを取りすぎて、開放的になるはずのリビングが逆に窮屈になってしまうこともあるので注意が必要です。

施工可能かどうかはどのように見極めたらよいのでしょうか。

事務員

浜崎編集長

物件によっても異なるため、一概には言えません。専門知識が必要なので、知識と経験が豊富な専門業者に相談するのが確実ですね。



汚れや匂いが広がりやすい

ダイニングやリビングと一体感があるアイランドキッチンは、良くも悪くも遮るものがありません。そのため調理時の水や油が飛び散ってしまうというデメリットがあります。また、料理をしている時に発生する匂いや煙も部屋中に広がります。調理中に発生する煙は油煙(ゆえん)といって油分が含まれているため、煙に乗って部屋に広がると床や壁、家具へと付着してしまうのです。

更に、アイランドキッチンは防火等の観点から、IHクッキングヒーターを採用している場合がほとんど。IHクッキングヒーターはガスコンロと比較すると上昇気流がおきにくいため、換気扇を稼働しても匂いや煙が排出されにくいのです。その結果、排出されずに残った匂いや煙が部屋中に広がっていきます。

部屋の清掃・メンテナンスについても、しっかりと対策をしておく必要がありますね。

事務員

価格が高い

従来の壁付けタイプのキッチンと比較すると、リフォーム費用が高額になるのもデメリットです。壁からキッチンが独立している分、キッチン台すべての面に化粧パネルを設置するため費用が高額になってしまいます。リビング・ダイニングと一体になって設計することも多いので、内装を統一するなど総合的なリフォームをすれば、さらに費用がかさんでいくでしょう。




アイランドキッチンで失敗しないためには

リフォームはその後の維持管理を含め、快適に利用できるかどうかを考慮しなければいけません。費用に関しては後ほど解説するので、まずはリフォームやその後の維持管理において気を付けるべきポイントを紹介します。

換気設備を整える

デメリットの項目で匂いや煙が部屋に広がりやすいという点について説明しましたが、これを解決するためには、より強力な換気扇を設置することが重要です。匂いや煙がリビングへと広がっていく前に、換気扇で排出してしまいます。

実際には、どのようなメーカーの換気扇をチョイスすれば良いのでしょうか。

事務員

浜崎編集長

例えば、パナソニックや富士工業などがあげられます。パナソニックは言わずもがな、世界的なメーカーです。富士工業は、実は日本の換気扇業界におけるトップメーカーです。換気扇のタイプによって設置可能かどうかも変わってきますので、詳細は専門業者に相談すると良いでしょう。

油はね防止のパネルを設置する

油や水の飛び散りを防止するためには、遮蔽物を作ってしまうのが一番効果的です。例えば、油はね防止パネルが代表的です。

せっかくおしゃれで開放的なアイランドキッチンにリフォームしたのに、遮蔽物を設置しないといけないのでしょうか。

事務員

浜崎編集長

一昔前まで、コンロパネルといえば薄いアルミでできた防止パネルが一般的でした。しかし現在では、実に様々なパネルが販売されています。
MEMO

例えば、強化ガラスでできたパネルは、遮蔽効果を発揮しながらも視野に与える影響は少ないため、リビングでの家族の様子を見ながら調理ができます。また、折り畳み式のパネルも販売されているので、調理中のみパネルを設置し、調理が終われば片付けるということもできます。

こまめに整理整頓することを心がける

アイランドキッチンは従来のキッチンと比較すると、その構造上、収納スペースが狭くなってしまいます。また、開放感のあるキッチンなので、物を乱雑に置いていたり汚れをそのまま放置しておいたりすると、目立ってしまうのが難点です。

気持ちよく使用するためには、こまめな整理整頓と清掃を心がける必要があります。またリフォームの際には、必要な収納スペースを考え、場合によっては別途収納棚を設置することも考えましょう。




アイランドキッチンにリフォームする場合の費用相場

アイランドキッチンは、従来のキッチンよりも1.5~2倍ほどの価格になる傾向があります。もちろんメーカーや商品のグレード、オプション品やオプション工事によって費用は大きく異なってきますが、目安となるトータルのリフォーム費用は、150~250万円ほどです。

ハイグレードな設備や大容量の収納棚を設置するなど、大規模な工事が必要となる場合には250~350万円、あるいはそれ以上かかることも想定されます。ちなみに、こちらの金額にはキッチン本体の費用だけでなく、一般的には下記のような工事費が含まれています。

アイランドキッチンにリフォームする場合の工事費例
  • 解体工事費用:約5~15万円
  • キッチン取り付け費用:約15万~
  • 電気系統工事費用:約5万円~
  • 給排水管工事費用:約5万円~
  • 壁のクロス張替え費用:約5万円~
キッチン本体もそうですが、それ以外にもいろいろと費用がかさみますね。

事務員

浜崎編集長

あくまでも一般的にはということです。中には100万円程度で施工できた事例もあるので、予算重視という方でも、諦めずにリフォーム会社に一度相談してみましょう。



アイランドキッチンに近いタイプの対面キッチン

セパレートキッチンの画像

ここまでのメリットとデメリットを考慮して、既にアイランドキッチンを断念しようと思っている方もいるのではないでしょうか。

しかし、アイランドキッチンを諦めたとしても、「開放感のあるキッチン」へのリフォームを諦める必要はありません。アイランドキッチン以外にも開放感のあるキッチンはあるので、他のタイプを検討してみましょう。

片面が壁に面したペニンシュラキッチン

「ペニンシュラ(peninsula)」とは英語で、「半島」という意味です。その名の通り、キッチンのどちらか一方が壁に接しているキッチンのことをペニンシュラキッチンと呼びます。アイランドキッチンと同じく対面型キッチンに分類されるので開放感があるタイプです。

キッチンの片方は壁に接しているため、比較的省スペースでの設置が可能。面積や間取り的にアイランドキッチンの設置ができない場合でも、このペニンシュラキッチンであれば設置できる場合があります。また、一部ですが壁があるため、アイランドキッチンよりも匂いや汚れの飛散防止効果が期待できます。

コンロとシンクが分離したセパレートキッチン

次にご紹介するのは、コンロとシンク部分が別々になっているのが大きな特徴であるセパレートキッチンです。通常のキッチンはコンロとシンクが一列になっているため、Ⅰ型とも呼ばれます。セパレートキッチンは、シンクとコンロが向き合うような形で離れて存在しているため、Ⅱ型とも呼ばれています。

セパレートキッチンはコンロとシンクがそれぞれ別の作業台に設置されているため、広々としているのがポイント。例えば一人が調理をしてもう一人が洗い物をするなど、複数人で作業をしたい方におすすめです。

また、コンロ部分は壁側にあるため、油や煙が部屋に飛び散るのを防ぐ効果が期待できます。ただし、コンロとシンクが離れて存在しているので、移動中に水滴が垂れてしまうといったデメリットもあります。




まとめ

家族構成やライフスタイルが多様化し、それに伴ってキッチンに求める価値観も家庭によってさまざまになってきました。今回紹介したアイランドキッチンは、おしゃれで開放感のある人気のキッチンタイプです。

しかし、おしゃれだからと飛びつく前に、ご自身が一番重要視したいのはどういったポイントなのか、アイランドキッチンのメリットとデメリット、そして費用についても考慮してみましょう。