重要事項に係る調査報告書の費用や負担は?取得は義務?

重要事項に係る調査報告書の費用や負担は?取得は義務?

この記事を書いた人
中村 昌弘
不動産コメンテイター

都内の私立大学を卒業後、新卒採用で不動産ディベロッパー勤務。 不動産の用地仕入れや、分譲マンションの販売・仲介などを手掛ける。 2016年に独立して以降、不動産関係のライティングも業務の1つに。

重要事項に係る調査報告書まとめ
  1. 重要事項調査報告書の費用負担は誰?解説
  2. 重要事項調査報告書の取得は義務?
  3. 重要事項調査報告書の費用はどのくらいか解説

中古マンションを売買するときには、周辺エリアや相場、建物に関することなど色々チェックすべき項目があります。その中で、特別重要な資料が「重要事項に係る調査報告書」です。

重要事項に係る調査報告書は管理に関する項目が記載されているので、中古マンション売買時には必ずチェックしておきましょう。

この記事では、重要事項に係る調査報告書の概要や何が記載されているか?そして、どのような点をチェックしたら良いか?について詳しく解説していきます

重要事項調査報告書とは|義務?費用負担は誰?

重要事項調査報告書とは|義務?費用負担は誰?

まずは、重要事項に関わる調査報告書について以下を知っておきましょう。

調査報告書について知っておくこと
  • 調査報告書の概要
  • 調査報告書を取得する際の注意点

調査報告書の概要

重要事項に関わる調査報告書にとは、そのマンションの管理に関する説明書のような書類です。

よく勘違いされやすいのですが、重要事項に関わる調査報告書は、マンションの売買契約を結ぶ際の「重要事項説明書」とは別の書類になります。

重要事項説明書との違い

重要事項説明書はマンション管理に関わる以外の、「建築に関すること」「法令上の注意」「マンション価格に関すること」などが網羅されています。

一方、重要事項に関わる調査報告書は管理に特化しているイメージです。

重要事項に係る調査報告書に記載されている項目

重要事項に係る調査報告書には以下のような項目が記載されています。

調査報告書に記載されている項目
  1. マンション全体の修繕積立金総額
  2. 管理組合の金融機関からの借入額
  3. 売却依頼主の管理費や修繕積立金
  4. 上記の滞納額
  5. 共用施設の費用や滞納額
  6. 管理組合全体の収支(管理費や修繕積立金の滞納額含む)
  7. 管理費や修繕積立金の増額予定
  8. 竣工年次や共用部分の修繕実施履歴
  9. 大規模修繕工事の予定の有無
  10. マンションの管理体制
  11. 共用施設(駐輪場、バイク置場など)の有無やルール
  12. アスベスト使用調査や耐震診断実施の有無
  13. その他(ペット飼育、フローリング等)

 

こんなに色々記載があるんですね。管理規約とは違うんですか?

 
 

管理規約と被っている内容もあるけど、たとえば「滞納額」などは管理規約では分からない項目だね。

 

調査報告書を取得するのは義務?費用負担は誰?

利害関係者(所有者・買主・仲介会社など)から照会を受けたときに、管理会社は重要事項に係る調査報告書を発行する義務があります。

一般的には、売主側の仲介会社が費用負担して発行しますが、注意点としては「発行日が古い可能性がある」という点です。

というのも、重要事項に係る調査報告書の発行には数千円の手数料がかかるため、基本的には売り出しはじめに取得するだけです。

注意
仮に、半年前に売り出していれば、その半年間で「管理費の滞納があった」などもあり得るので、その場合は不動産会社に再発行してもらえないか相談しましょう。

チェックポイント1:売買される住戸に関するランニングコスト

チェックポイント1:売買される住戸に関するランニングコスト

前項までで、重要事項に係る調査報告書の概要が分かったと思います。この章からは、具体的にどの部分をチェックするべきか?について解説していきます。

重要事項に係る調査報告書1つ目のチェックポイントは、売買される住戸に関する以下のランニングコストに関することです。

住戸にかかるランニングコスト
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • その他の使用料
 

ランニングコストが高いと、安価な物件を購入しても結局は支払い額が高くなるから要注意です。また、ランニングコストの滞納があるとトラブルの原因になるので必ずチェックしましょう。

 

管理費や修繕積立金の注意点

管理費や修繕積立金については以下を確認しましょう。

管理費や修繕積立金の注意点
  • 滞納がないかどうか
  • 今後上昇する予定がないかどうか

◎滞納がないかどうか

管理費や修繕積立金の金額はもちろん、滞納がないかどうかも記載があるので必ずチェックしましょう。仮に、売主が滞納している分はそのまま買主(新所有者)に引き継がれます。

そもそも滞納があるなら売主は進言する必要がありますが、仮に進言せずに気づかずに売買契約を結んでしまえばトラブルになるリスクがあります。

◎今後上昇する予定がないかどうか

管理費が上昇するケースは少ないですが、消費増税によって値上げするケースはあります。また、修繕積立金が上昇することはよく起きることです。

というのも、修繕積立金は「段階積み上げ方式」を採用しているマンションが多く、この方式は定期的に修繕積立金が上昇していく方式です。

ただ、ランニングコストが上昇するときは管理組合(入居者)で決議を取ります。そのため、突然値上げはありませんが、すでに値上げが予定されている可能性があるので、その点もチェックしましょう。

その他の使用料

その他の使用料とは、具体的には以下のような費用になります。

その他の使用料
  • 専用庭の使用料
  • ルーフバルコニーの使用料
  • インターネット使用料

専用庭とは、主に1階住戸にある専用庭にかかる費用であり、ルーフバルコニーは上層階にある下階の屋根(ルーフ)を利用した広いバルコニーのことです。

これらの使用料は、管理費・修繕積立金とは別に設定されています。また、インターネット料金がランニングコストに組み込まれている場合もあるので、これらも合わせてチェックしておきましょう。

チェックポイント2:マンションの全体の収支や計画に関して

チェックポイント2:マンションの全体の収支や計画に関して

重要事項に係る調査報告書2つ目のチェックポイントは、マンション全体の収支や計画に関する以下のことです。

マンション全体の収支や計画に関すること
  • 大規模修繕の予定
  • 管理費と修繕積立金の収支
 

「収支」と聞くと何か難しそうに聞こえますね…。

 
 

そうだね。ただ、収支といっても単純な資料だから、読み取るのは簡単ですよ。

 

大規模修繕の予定

まずは、大規模修繕の予定をチェックしましょう。大規模修繕とは、大体12年周期に行われる、外壁や外部廊下などの共用部を修繕することです。

大規模修繕をすでに行った場合は、実施した日と内容を確認します。仮に、まだ実施しておらず予定が決まっていれば、実施日を確認しましょう。というのも、大規模修繕に合わせて修繕積立金が増額することは多いからです。

また、段階積み上げ方式ではなく一時期方式を採用している場合は、大規模修繕に合わせて一時金を徴収することが多くなります。

管理費と修繕積立金の収支

管理費と修繕積立金は管理組合で管理しています。そのため、管理組合の収支をチェックすることで過不足をチェックできるので、調査報告書で管理組合の収支をチェックしましょう。

収支の記載方法は報告書によって異なりますが、「貸借対照表」「管理組合の収支および財産状況」という項目です。これらには、管理費や修繕積立金の総収入額や総支出額、不足金などが記載されています。

チェックポイント3:専用使用部分の費用やルールについて

チェックポイント3:専用使用部分の費用やルールについて

重要事項に係る調査報告書3つ目のチェックポイントは、専用使用部分の費用やルールについて以下を知っておくことです。

専有部分の費用やルールについて
  • 費用の上昇を確認
  • 使用上の注意点を確認
 

専用使用部分って何ですか?

 
 

専用使用部分っていうのは、共用部なんだけど専用使用権が与えられている部分のことだよ。たとえば、駐車場とか駐輪場、あとはバルコニーや専用庭も専用使用部分になります。

 

費用の上昇を確認

専用使用部分のうち、以下の部分の使用料については、過去に料金が上昇していないか?を確認しましょう。

調査報告書で確認する点
  1. 駐車場使用料
  2. 駐輪場使用料
  3. バイク置き場使用料

というのも、上記の部分は「稼働率」の想定が定められており、その稼働率を下回ると料金が上昇する可能性があるからです。

たとえば、駐車場の稼働率が80%の場合、その駐車場は80%稼働(使用料を徴収できる)という前提で管理費を算出してるので、それを下回ると管理費が足りなくなります。そうなると、管理費の上昇か駐車場の使用料上昇で対応するので、駐車場の使用料が上昇しているということは過去に稼働率を下回った可能性があるということです。

注意
特に、「駐車場の稼働率90%」など高い数値で見込んでいると、昨今の車離れの影響もあり、今後も管理費・駐車場使用料の値上げも考えられるのです。

使用上の注意点を確認

前項のように、専用使用部分の費用や費用の上昇履歴のほかに、使うときのルールも確認しましょう。たとえば、一世帯当たりに使用の上限が設定されている場合もありますし、現在の空き状況によっては借りられない場合もあります。

基本的に、売主が利用していた共用施設は売却時に管理組合へ返還するので、買主は承継できないケースが多いですが、一応その部分も確認しておきましょう。

仮に、駐車場を借りたいものの借りることができなければ、近くの月極駐車場を借りることになるので、場所や費用の確認が必要です。

チェックポイント4:過去のトラブル歴について

チェックポイント4:過去のトラブル歴について

重要事項に係る調査報告書4つ目のチェックポイントは、過去のトラブル歴について以下を知っておくことです。

過去のトラブル歴について
  • 過去のトラブル歴とは?
  • 天災地変についてリスクを調べる
  • リスクによって保険への加入を検討

MEMO
購入時に気になるのはお部屋が事故物件ではないかという心配ですが、上記のトラブル歴は管理会社が把握していることが記載してあるので、この項目欄が『特になし』であれば信用して購入して問題はありません。

過去のトラブル歴とは?

過去のトラブル歴とは、具体的には以下のような項目です。

過去のトラブル歴とは
  • ゲリラ豪雨の際に駐車場車路の冠水被害があった
  • 敷地内でのタバコのポイ捨てなどの注意喚起があった
  • 共用部での自殺や不審死などの有無や詳細
  • 過去の火災や雨漏りや地震による被害の有無や詳細

天災地変についてリスクを調べる

たとえば、ゲリラ豪雨による冠水被害があれば、室内への浸水や所有している車の破損などがあり得ます。また、火災や震災による建物の損傷は、マンションの資産価値を下げるでしょう。

そのため、仮に上記のような被害履歴があれば、一層以下のような調査は必要といえます。

購入前に調査すべき天災地変の項目
  1. 土地の高低差を調べておく
  2. 豪雨時の洪水リスクを調べておく
  3. 火災や地震による建物損傷リスクを調べておく

土地の高低差はネットで標高を調べることができますし、洪水リスクは行政のハザードマップで確認できます。また、地震時の建物損傷リスクなども、行政が出典しているのでネットで確認することが可能です。

リスクによって保険への加入を検討

上述したリスクを調査し、リスクが高いもののどうしても購入したい…と思ったときは保険などを検討すると良いでしょう。

ローンを組むと火災保険には必須加入なので、家財保険の保障をどこまで付保するか?地震保険には加入するか?という点です。これは、災害などのリスクと保険料を加味した、「費用対効果」を考えて判断するという流れです。

チェックポイント5:その他のルールについて

チェックポイント5:その他のルールについて

重要事項に係る調査報告書5つ目のチェックポイントは、その他のルールである以下を確認することです。

その他のルールについて
  • ペットの飼育について
  • リフォーム工事について
  • 楽器の演奏について

ペットの飼育について

新築マンションでは、ペットの頭数や大きさなどが決められています。たとえば、「犬・猫は二匹までで、首から尾までの長さが50cmまで」のようなイメージです。

要は、犬は小型犬まで二匹以上は飼育できないということなので、ペットを飼っている人は詳細を確認しなければいけません。

リフォーム工事について

マンションの専有部分(≒室内)は、構造耐力上問題のある部分(コンクリート部分の柱や梁など)以外はリフォーム工事が可能です。

ただし、以下のようなルールが定められているマンションが多いです。

定められているルール
  • リフォーム工事のときは管理組合への届け出が必要
  • 近隣住戸への告知が必要
  • 床の張り替えは現状の遮音等級を維持する必要がある

特に、今は「中古マンションを購入後に自分の好きなようにリノベーションする」というのが流行っているので、リフォーム前提で購入する人は必ず確認しましょう。

楽器の演奏について

また、楽器に付いても制限しているマンションは多いです。マンションによってルールは違うので、楽器自体が禁止なのか?禁止でなくても時間帯の制限があるのか?をチェックしましょう。

ほかにも、重量のある楽器を持ち込むときには、床の補強が必要になることもあるでしょう。仮に、楽器を持ち込む予定がある人は、必須確認事項といえます。

まとめ

このように、重要事項に係る調査報告書には、重要事項説明書や管理規約には記載されていないことが書いてあります。

また、記載されている内容は管理費や修繕積立金の内容など、非常に重要な要素も含まれているので、マンション売買時には必ず確認しましょう。