- 頭金なしで住宅ローンを組むのは審査が厳しい?
- 住宅ローンで頭金なしの場合のメリットやデメリット
- 住宅ローンで頭金なし(フルローン)は後悔する?
住宅の購入を検討しているとき、どのように住宅ローンを組んで支払いをしていけば良いのか迷ってしまいますよね。住宅ローンの中でも頭金を支払うか、フルローンにするかどうかは悩む人が多い部分です。
「頭金なしで住宅ローンを組みたいけど、審査は厳しくなる?」など、様々な疑問を持っている方もいるでしょう。
頭金なしで住宅ローンを組むのはメリットとデメリットがあります。後から後悔しないように、十分に検討することが大切です。。
この記事では頭金なしで住宅ローンを組むメリットやデメリットを徹底解説します。記事後半では頭金を用意できないときの対策についても解説していくので、ぜひ最後までご覧くださいね。
【住宅ローン】頭金なしは審査が厳しい?デメリット
頭金なしの住宅ローンは一気に貯金がなくなる心配がなく手元に資金を残しておけますが、もちろんデメリットもあります。頭金なしで住宅ローンを組むデメリットは以下の4つです。
- 住宅ローンで頭金なしだと審査が厳しい
- 利息負担・総返済額・返済期間が大きくなる
- 変動金利で金利上昇が起きると月々の返済額が増える
- 売却がしにくくなる
それぞれ詳しく解説します。
住宅ローンで頭金なしだと審査が厳しい
頭金なしで住宅ローンを組む場合、頭金を支払うときと比べると住宅ローンの審査が厳しくなります。住宅ローン審査難易度が上がるのは頭金の用意が難しい資金繰りを行っていると判断されるためです。不測の事態が起きたときに対応するための資金がないと捉えられてしまいます。そして金融機関はもうひとつ考慮すべき点があります。あなたが住宅ローンの支払いをできなくなった場合のことです。住宅ローンの完済までは、金融機関が家や土地に抵当権を設定します。
あなたが住宅ローンの支払いをできなくなった際に金融機関は購入された家や土地を売却して資金を回収するのです。頭金の支払いがない住宅ローンの場合、家や土地の売却価格が住宅ローンの残高よりも安くなってしまう可能性があります。金融機関も住宅ローンを回収できないリスクを抱えなければいけません。
リスクを考慮した上で住宅ローンの審査を行う必要があるので、頭金を支払う場合に比べて審査が厳しくなりますね。
利息負担・総返済額・返済期間が大きくなる
頭金なしで住宅ローンを組むと利息負担や総返済額が大きくなります。返済総額が大きくなるに伴って返済期間も長くなる可能性が高いです。頭金を支払わずに住宅ローンを組むのは住宅の購入代金を金融機関から全て借入れるということ。つまり頭金を支払う住宅ローンと比べて借入総額が大きくなり、利息負担や総返済額が大きくなります。
「借入金額が大きくなっても、月々の負担を減らしたい…。」と考えると、返済期間が長くなってしまうのですね。
月々の負担や総返済額が大きくなることは、住宅の購入者にとって負担です。だからと言って、返済期間が長くなるのも避けたいですし…これは、大きなデメリットでしょう。
変動金利で金利上昇が起きると月々の返済額が増える
住宅を購入する際、ローンを変動金利で借りることもありますよね。変動金利で住宅ローンを組む場合は特に注意が必要です。前項までで頭金なしで住宅ローンを組むと総借入額が多くなるとお伝えしました。総借入額が多くなると変動金利の金利上昇が起きた場合に受ける影響も大きくなります。「借入当初の予定額では問題なく返済していける予定だったけど、金利が上昇したことで首が回らなくなってしまった…」と後悔することになりかねません。
売却がしにくくなる
頭金なしで住宅ローンを組んでいると購入した家を売却しづらいのもデメリットでしょう。住宅ローンを借りている途中で家を売却する場合、家を売却した代金を使ってローンを完済するのが一般的です。頭金を入れずにローンを組むと総返済額が大きくなるので、家の売却代金だけでローンを完済できない可能性が高まってしまいます。売却代金だけで住宅ローンを完済できないとなると住宅ローンの残りの残高を貯蓄などから捻出しなくてはなりません。
自分の貯蓄を削ってまで売却しないといけないと考えると、なかなか家を売却しづらくなってしまいますね。
【住宅ローン】頭金なしで後悔しない?メリット
デメリットが多く後悔すると思われがちな頭金なしの住宅ローンですが、じつはメリットもあります。頭金なしで住宅ローンを組むメリットは以下4つです。
- 住宅の買い逃しを防ぐことができる
- 早期契約なら完済年齢が早くなる
- 資金が手元に残った状態で住宅を購入できる
- 住宅ローン控除の恩恵が大きくなる
それぞれ詳しく解説します。
住宅の買い逃しを防ぐことができる
頭金なしで住宅ローンを組む場合、住宅の買い逃しを防げます。頭金が貯まるのを待たなくていい分、すぐに住宅ローンを組めるためです。たとえば、あなたは理想の家を見つけたとします。頭金を支払う住宅ローンの場合は頭金の貯蓄ができるまで待たなくてはなりません。「頭金が貯まるころには、既に売れてしまっていた…」というのは、よくある話ですが、頭金なしで住宅ローンを組む場合は、理想の家に出会ったらすぐに購入できます。
早期契約なら完済年齢が早くなる
早い段階で頭金なしの住宅ローンを組むと完済年齢が早くなります。頭金を貯めるのに時間を費やさない分、フルローンは貯蓄の時間を待たなくて良いので、契約が早まる傾向にあります。早期契約になると住宅ローンの支払い開始が早まるため、完済年齢も早いです。
資金が手元に残った状態で住宅を購入できる
頭金なしで住宅ローンを組む最大のメリットは手元に資金を残せることでしょう。手元に資金を残した状態で住宅ローンを組めると不測の事態に備えることが可能です。長い人生では、急な出費が重なることがあります。もしかしたら、自分が働けなくなることもあるかもしれません。いつでも滞りなく支払いができる可能性は100%ではないのです。
頭金を支払って住宅ローンを組むと月々の返済は楽になる反面、一度に多くの貯金を失ってしまうリスクがあります。資金を手元に残した状態で住宅を購入できるのは、フルローンの大きなメリットですね。
住宅ローン控除の恩恵が大きくなる
頭金なしの場合、住宅ローン控除を大きく受けられる可能性があります。住宅ローン控除とは、住宅借入金等特別控除のこと。条件を満たしていると年末時点における住宅ローン借入残高の1%を所得税と住民税から控除してもらえる制度です。最高で4,000〜5,000万円の借入残高が対象となり、年間最大40万〜50万の控除が受けられます。
頭金なしの住宅ローンだと、総借入額が大きくなるため、年末時点での借入残高が多くなりますね。
利息より控除の増加分が上回る場合、借入金額を増やした方が住宅ローン控除では得をすることもありますよ。
控除期間中は繰上返済を控えて資金を貯め控除期間が終わった後に繰上返済を行うと最大限の控除を受けられる可能性もあります。金銭的な負担が少なくて済むのは、ありがたいですよね。しかしながら、住宅ローン控除には 自分が支払う所得税額と住民税の一部が限度という定めがあり、控除しきれない場合もあるので注意してください。
所得や家族構成によっても変わってくるので、税理士や税務署に相談するのがおすすめです。
頭金なし(フルローン)で住宅ローンを組むのはおすすめしない
頭金なしで住宅ローンを組むメリットは多くありましたがフルローンはおすすめできません。フルローンは審査が難しいうえに、長期的に考えるとリスクが高いです。総借入額が大きくなると、結果として自分の首を締めてしまうことになりかねません。家を購入する際は家の購入代金以外にも諸費用がかかるもの。準備しないといけない費用は頭金だけではないので、無理のない計画的な返済プランを立てて、購入しましょう。
それでは頭金と諸費用はどのように用意したら良いのでしょうか?ここからは頭金と家を購入する際の諸費用について詳しく解説していきます。
頭金は物件価格の8%〜18%を用意するのが平均
住宅ローンの頭金を用意する場合は物件価格の8%〜18%を用意するのが一般的です。住宅金融支援機構が行った調査結果(2019年度のフラット35利用者調査)を、以下の表にまとめました。
手持ち金 | 融資金 | その他資金 (親、勤務先など) |
|
注文住宅 | 621.9万円(18.0%) | 2,743.2万円(79.4%) | 89.3万円(2.6%) |
注文住宅 (土地付き) |
443.2万円(10.4%) | 3621.2万円 (85.1%) |
192.5万円(4.5%) |
建売住宅 | 282.4万円 (8.1%) |
3005.0万円 (86.0%) |
206.9万円(5.9%) |
マンション | 736.2万円(16.3%) | 3601.7万円 (79.7%) |
183.2万円(4.1%) |
中古戸建 | 209.0万円 (8.1%) |
2,220.4万円 (86.3%) | 144.5万円(5.6%) |
中古マンション | 318.1万円(11.2%) | 2389.4万円 (84.0%) |
136.9万円(4.8%) |
(フラット35利用者調査:2019年度)
上記の表を見ても頭金は8%〜18%を用意するのが一般的だとわかります。
少し多いくらいの頭金があると心に余裕ができますね。
基本的に諸費用は現金で用意する
住宅を購入する際の諸費用は現金で用意するのが一般的です。住宅を購入する時の諸費用には以下のものがあります 。
- 不動産取得税登録免許税
- 印紙税
- 司法書士報酬
- 不動産仲介手数料
- 火災保険料
- 住宅ローン関係費用
- 引っ越し代
家の購入代金以外にも、たくさん費用が必要ですね…。
諸費用は住宅ローンではなく現金で用意することが一般的ですが、金融機関によっては住宅ローンに組み込めるところもあります。
借入総額が多くなると、返済負担も大きくなりますよね。担保割れや返済遅延のリスクも高くなる可能性があるので、現金で用意するのがおすすめです。
諸費用の支払いが負担にならないように資金を残した状態で頭金を支払うと良いでしょう。
頭金を用意できない人の対策
「頭金は用意できないけど、やっぱり家を購入したい…」という方もいらっしゃいますよね。ここからは頭金を用意できない人に向けて、どのように対策したら良いのかを解説していきます。ぜひ参考にしてくださいね。
身内に相談・援助して貰う
自分で頭金を用意できない場合、まずは身内に相談をしてみましょう。身内に相談することで、資金援助をしてもらえる可能性があるかもしれません。
じつは、身内に相談して援助してもらう方法は税金制度的におすすめなんです。
通常、身内から財産をもらう場合は贈与税がかかるもの。しかし住宅の購入のために資金援助してもらう場合は、一定の限度額まで非課税になります。普通に財産をもらうよりも税金がお得になるので、おすすめですよ。
頭金が用意できるまで貯金する
一般論ではありますが頭金の貯金ができるまでは物件の購入を見送るのも一つの手です。無理をして家を購入してしまうと月々の返済が難しくなるだけでなく、今までの生活水準を大きく落とさないといけない可能性も出てきます。返済が困難になった場合、フルローンを組んでいると、物件の売却もしづらいですよね。
住宅ローンは無理なく返せる計画をたてることが重要
住宅ローンを組む場合は無理なく返済していける計画を立てることが重要です。自分がいつまでも元気に働き続けられる保証はありませんよね。不慮の事故や病気になる可能性も考えましょう。不測の事態を考慮しない返済プランを立てていると、何かあったときに対応ができなくなってしまいます。
まとめ|住宅ローンで頭金なし(フルローン)は後悔する?
この記事では頭金なしで住宅ローンを借りることのメリットやデメリットについて解説をしました。頭金なしで住宅ローンを組むと資金を手元に残した状態で購入ができる反面、借入総額が上がることで月々の返済額が高くなり、あとから後悔する可能性があります。売却がしにくくなることもあるので住宅ローンは頭金を支払って組んだ方が安心ですよ。
住宅購入にかかる諸費用は住宅ローンに組み込まずに現金で用意するのがお得です。頭金と合わせて20〜30%程度を用意しておくといいでしょう。頭金の用意が難しい場合は、贈与税が非課税になる制度もあるので身内に資金援助を求めるのがおすすめです。無理せず自分のライフプランを守っていくためにも、しっかりと返済プランを練ることを大切にしてくださいね。