玄関の使いやすい寸法はいくつ?開放感を出す方法や狭いと起こるデメリットを解説

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 玄関の広さ平均は「3畳前後」だが、家全体の大きさや家族構成などとバランスを取ることが大切
  2. 玄関に収納したいものや宅配の利用頻度、家族構成に合わせて寸法を決める
  3. 狭すぎる玄関は後悔しやすいので注意が必要

新築一戸建てを建てるときは、部屋の広さや間取りなど悩むポイントが多いですよね?

なかでも悩みやすいのが、マイホームの顔とも言える「玄関」です。家族だけでなく来客の際にも使用する場所となるので、使いやすい寸法がイメージしづらいもの。

そこで今回は、玄関の使いやすい寸法についてご紹介していきます!

開放感を出す方法や玄関が狭いときに起きるデメリットについても解説していくので、玄関のサイズ感で悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。

玄関の寸法はどれくらいあればいい?

新築住宅において、玄関の広さ平均は「3畳前後」だと言われていますが、家全体の大きさや家族構成などとバランスを取ることが大切です。

例えば、ベビーカーを使う小さなお子さんが多い大家族と夫婦2人で住んでいる場合は、玄関に必要となる広さも違うもの。

ご家族ごとの生活スタイルがあるので、毎日生活していくうえで十分な寸法を確保できるかをチェックする必要があります。

浜崎編集長

ここからは、玄関に必要な寸法やおすすめの広さについてご紹介していきますが、マイホームとのバランスを比較しながら、参考にしてみてください。
家族構成や住宅の大きさに加えて、「子供の自転車や荷物を置きたい」「宅配便をよく頼む」など、日々の生活の中で玄関をどれくらい使用するのかも重要なポイントですね!

事務員

人が二人並んで立つことのできるように横幅は1m以上確保

玄関の横幅(間口)は、最低でも1m以上を確保するのがおすすめ。

1mあれば、ギリギリ人が2人並んで出入りできるサイズとなるので、家族が同時に出発する朝でも安心です。

玄関にゆとりを持たせたい場合は、横幅が1m50cmほど横幅があると、荷物を抱えて帰ってきても通りやすくなります。

家の広さ別に、おすすめの玄関寸法をまとめました。

家の坪数(住宅面積)玄関の寸法
〜30坪1.5畳〜2.5畳
30坪〜40坪2畳〜3畳
40坪〜50坪3畳〜4畳
50坪〜5畳以上

狭小住宅など家が30坪以下の場合は、玄関が広すぎて他の居室のスペースが狭くならないように、最小限の寸法にすることが大切です。

新築住宅で平均的な30坪〜40坪となると、3〜5人家族が多め。

家族が少ないのであれば、玄関が3畳以下でも問題ありませんが、平均的な玄関寸法の3畳前後なら快適に過ごせます。

40坪〜50坪の住宅は、家族が5人以上いるケースが多いので、横幅(間口)を1m50cm以上とって、玄関にゆとりを持たせることをおすすめします。

浜崎編集長

住宅面積が50坪以上ある大きめの家の場合、家全体の大きさやデザインとのバランスを重視して、広々とした玄関にしましょう!

玄関が2畳以内なら三和土と玄関ホールは同じくらいの広さがおすすめ

玄関というと、靴を脱がずに土足で入れる部分だけをイメージする方が多いのではないでしょうか?

実は、土足で入れる部分に加えて、廊下につながるスペース(玄関マットなどを敷く部分)も玄関に含まれるのです。

玄関の構造

三和土(たたき) → 土足で入る部分

玄関ホール→靴を脱いで上がる空間

玄関にあまりスペースを確保できず、2畳以下の寸法になるときは、生活スタイルに応じて「たたきと玄関ホールの配分を調整」することが大切です。

例えば、土足で入れるたたきの部分に、子供の遊び道具や傘立てなどを置きたい場合は、たたきの寸法を大きめにする必要があります。

一方で、玄関で宅配便を受け取ることが多い方や友人とお話をする機会が多い方は、玄関ホールの寸法を大きめにした方が快適に暮らせます。

MEMO

同じ2畳以下の広さの玄関でも、横幅(間口)が広い方がゆとりをもったスペースに見えやすいです。

玄関の奥行きは必要最低限の寸法にして、横幅を優先することをおすすめします!

横幅と奥行きのバランスは置くものや誰が通るかで決める

横幅が広い玄関の方が、ゆとりを持ったスペースに見えやすいことが分かりましたが、状況によっては「奥行きを広くとらなければいけないケース」があります。

下記のように、大きめのものを玄関に収納したい場合は、これらの大きさが入る奥行きも考慮しながら、玄関全体の寸法を決めることが重要です。

場所をとるもの
  • 自転車
  • 車椅子
  • 外遊びの道具
  • 部活用品
  • 趣味のもの(ゴルフや釣り道具など)

来客用のスリッパや自転車の整備用品など、玄関に豊富な収納スペースが欲しいときは、「収納に何を入れたいか」をまとめてから玄関寸法を検討することをおすすめします。

さらに、玄関に誰が通るかも重要。家族に車椅子を使う方がいる場合は、車椅子でも十分通れるサイズの横幅と奥行きが必要です。

来客が多いご家庭の場合も、靴を脱いで置いておくスペースが多めに必要なので、家族の人数が少なかったとしても、一般的な広さよりゆとりのある4畳以上の寸法がおすすめです。

使い勝手の良い、開放感のある玄関にするためのコツ

せっかくなら「マイホームの顔となる玄関を開放感のある空間にしたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか?

同じ広さの玄関でも、コツを押さえておくだけで使い勝手や開放感が格段に違ってくるので、家族の生活スタイルに応じた工夫を取り入れるのがおすすめです。

玄関は家族が毎日使う場所であることはもちろん、来客者が最初に見る重要な場所となるので、実際の生活をイメージしながら、収納量や使いやすさを慎重に検討する必要があります。

浜崎編集長

ここからは、玄関の使い勝手が上がる方法や開放感を出すためのコツを3点ご紹介するので、マイホームの玄関を広々とした空間に見せたいという方はぜひチェックしてみてください。

電気は三和土の天井につけることで足元が見やすくなる

玄関の照明は、玄関ホール側やたたきとホールの間に取り付けることが多いですが、その位置に照明があると、靴紐を結ぶ時に影になりがちなので注意が必要です。

足元が見えやすくなるよう「三和土(たたき)の真上」にライトをつけるのがおすすめ。

もし照明の位置を調整できない場合は、たたき側にもう1つダウンライトなどをつけると、玄関全体が明るくなり、印象アップにも繋がります。

MEMO

たたきが明るいと、小さなお子様でも靴紐が結びやすくなるだけでなく、荷物などを持っている状態でも視界が良好なので、安全面でもメリットが多いです。

シューズボックスを壁収納にすることで清潔感のある玄関に

玄関が散らかりやすい原因で多いのは、靴の収納の少なさ。シューズボックスを広めにとって壁収納にすることで、ごちゃごちゃとした印象からすっきりと清潔感のある印象へと変わります。

靴以外にも、傘や自転車用品など、玄関に収納したいものは全て壁収納の中に入れられると、玄関にものが溢れる心配がありません。

ただし、収納が広い分、三和土(たたき)が狭くなってしまうため、収納の広さも考慮しながら横幅の寸法を設計する必要があります。

壁収納の中は全て下駄箱にするのではなく、子供の遊び道具や趣味のものなどを入れられる収納ボックスのようなスペースも作っておくと便利です!

事務員

窓を設置し、明るく開放感のあるイメージを演出

北向きに設置されることが多い玄関は、他の場所よりも暗くなりがち。

そこで、玄関ドアとは別に採光を取り入れる窓を設置すると、明るく開放感のある空間を演出できます。

注意するケース
  • 人通りが多い道に面している
  • 車の交通量が多い車道が近くにある
  • 風が強い地域や台風が多い地域

なお、上記のケースに当てはまる住宅は窓を設置しない方が良いケースもあるので、住宅の周辺環境を考慮しながらご検討ください。

特に、玄関に余裕を持った寸法を取れない場合は、天井に高さを出したり、鏡を置いたりして、実際よりも広く見える工夫を取り入れることをおすすめします。

玄関を狭くしてしまうと起こるデメリット

おすすめの玄関の寸法や開放感を出すコツに関してご紹介してきましたが、「玄関はできる限りコンパクトにしたい」という方もいるのではないでしょうか?

実際に、他の居室に広めの寸法を確保したい場合や家族が少ない場合など、生活スタイルによっては狭い玄関の方が最適なケースもあります。

しかし、玄関を狭くしすぎてしまうと、住み始めてから不便に感じて後悔することも。

玄関を最低限の広さにするときは、毎日の生活スタイルや将来の使い勝手などもイメージしながら、後悔しない寸法を確保しておくことが大切です。

浜崎編集長

ここからは、玄関を狭くしてしまうとどんなデメリットがあるのかについてご紹介していくので、玄関の寸法を狭めにする予定の方は、ぜひ確認しておいてくださいね。

荷物の搬入で通りにくいといった使いにくさが目立つ

人だけでなく物も頻繁に出入りする玄関。

十分な寸法が取れていないと、買い物帰りや宅配便を受け取る際に荷物が通りにくく、場合によっては搬入できないことがあります。

玄関が狭い場合は、下記のトラブルが起きる可能性もあるのでご注意ください。

よくあるトラブル
  • 荷物を壁に擦って壁が剥がれた
  • 搬入の際に荷物が壊れた
  • 靴を踏んで転んだ
  • 家族同士でぶつかった

大きな荷物を玄関から搬入できないと、他のベランダや窓から部屋に入れることになるので、手間がかかりかなり大変です。

宅配便をよく頼む方や大きな道具を使用する趣味がある方は、玄関の寸法(特に横幅)は広めにとっておくことをおすすめします。

さらに、玄関が狭いと、人とぶつかったり転んだりする可能性が上がるので、ケガをする危険性も高まります。

家族に小さなお子様や高齢者がいる場合は、未然にトラブルを防ぐためにも玄関の寸法はできる限り広くとっておいた方が良いですね。

事務員

荷物を置くスペースがないとリビングが散らかる

玄関はマイホームの中で一番外に近い場所。室内を清潔に保ちたい場合は、衣類についた汚れや外から持ち込んだものを一旦置いておくスペースがある方が便利です。

玄関ホールが狭く荷物を置くスペースがない場合は、外から持ち帰った荷物をリビングまで持っていくことになり、玄関だけでなくリビングまで散らかる可能性があります。

汚れやすいもの
  • 外遊びグッズ
  • ランドセル
  • 自転車の充電器
  • ヘルメット
  • ペット用品

特に小学生までのお子様が多いご家族の場合、それぞれのランドセルや泥のついた外遊びグッズなど、リビングに持ち込まれると困るケースが多いので注意が必要です。

さらに、自転車関連用品やペット用品も意外と汚れがつきやすいもの。玄関ホールで汚れを拭き取ってから、リビングへ持っていける動線を整えておくことをおすすめします。

浜崎編集長

もちろん収納が多い方が便利ですが、どうしても玄関に広い寸法を取れない場合は、少なくとも玄関ホールに荷物を置けるスペースだけは作っておきましょう!

まとめ

玄関の使いやすい寸法や開放感を出すコツについてご紹介しましたが、住宅面積や家族構成を考慮しながら、それぞれのマイホームにぴったりの寸法にすることが大切です。

同じ寸法の玄関でも、「横幅(間口)を広めにとる」「収納を多くする」「採光窓を取り入れる」などの工夫をすることによって、明るく開放感のある空間を演出できます。

ご家族が快適に生活できることはもちろん、来客の際に気持ちよく出迎えるためにも、明るく清潔な状態を保てる設計を意識してくださいね。

玄関の寸法を決めるポイント
  • 玄関に収納したいものがどれくらいあるか
  • 小さなお子様や高齢者がいるか
  • 宅配便の利用頻度
  • 将来的に車椅子を利用する可能性があるか

玄関の使用頻度はご家族によって異なるので、家族全員が毎日快適に過ごせる寸法であれば、標準より狭くても問題ありません。

なお、狭すぎる玄関は後悔しやすいので注意が必要。

最低限の広さの玄関にする方は、将来的な生活の変化もイメージしながら、後悔しない寸法を確保しておくことがポイントです。

浜崎編集長

マイホームの玄関寸法が決まったら、この記事でご紹介したコツを押さえて、使いやすく開放感のある空間を実現してくださいね!