不動産の仲介手数料を払うのはおかしい?買主・売主どちらが払う?

不動産の仲介手数料払うのはおかしい?仲介手数料無料にしてもらうには?

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

《この記事のまとめ》
  1. 不動産の仲介手数料を払うのはおかしい?からくりを解説
  2. 両手仲介は違法なのかを解説
  3. 仲介手数料無料でトラブルはある?

日本では不動産仲介手数料を売主と買主の双方が支払うのが一般的です。そのため、取引の当事者がそれぞれ支払うことを「おかしいのでは?」と声を上げる人はそれほど多くありません。

しかし、アメリカやシンガポールなどの諸外国では、買主が仲介手数料を負担しないのが常識となっています。

本記事では、「仲介手数料を支払うのはおかしいのでは?」という疑問、さらに両手仲介が違法なのかについて解説をします。仲介手数料が無料になるケースもご紹介しますので、これから不動産取引を行う予定のある方はぜひ、参考にしてください。

アメリカなど諸外国では、買主が仲介手数料を支払わないのが常識です!

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日本で仲介手数料が無料になるケースについてもご紹介します。

不動産の仲介手数料を払うのはおかしい?(両手仲介の場合)

仲介手数料を払うのはおかしい?(両手仲介の場合)

日本の不動産業界では「両手仲介」といって、売主・買主の両方から仲介手数料をもらうのが最大の利益を得る方法です。ただ、アメリカなどの諸外国では買主から仲介手数料をもらうという慣例はありません。

ここでは、「不動産の仲介手数料を売主・買主の両方が払うのはおかしい?」という疑問について解説します。

買主が不動産仲介手数料を払うのは日本だけ

あらためて考えてみると、不動産取引における買主は「お客さん」という位置付けです。

しかし、「お客さん」であるにもかかわらず、日本では買主も仲介手数料を請求されます。

物件の購入代金だけでなく仲介手数料までかかるのですから、不動産売買の買主の負担はかなり大きいといえます。

ところが、アメリカやシンガポールでは、買主が不動産仲介会社であるエージェントに仲介手数料を支払うことはありません。取引が成約したら売主が成功報酬として、エージェントに手数料を支払うシステムです。

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そのため、不動産仲介で仲介手数料を売主・買主の両方が支払うのは、日本だけの特殊なシステムであるといえます。

両手仲介では自社の利益に走りがち

日本の不動産会社の主な収益源は仲介手数料のため、いかに多くの手数料を得られるかということが各不動産会社の最大のミッションです。

そのため、売主・買主の両方から仲介手数料を得られる「両手仲介」は、不動産会社にとってはとてもおいしい取引です。

ただ、「少しでも高く売りたい」売主と、「少しでも安く買いたい」買主の希望を同時に実現することは難しいといえます。

取引価格が高いほど仲介手数料が上がるため、「少しでも高く売りたい」というのが不動産会社のホンネです。

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そのような事情から、両手仲介をする不動産会社は自社の利益に走りがちになり、せっかくの利益をみすみす減らすことは滅多にありません。

買主が決まっている不動産の仲介手数料は半額が妥当

知り合い同士で不動産売買をするなど、あらかじめ売主と買主の両方がそろっているケースも意外とあるものですただ、住宅ローンを組む場合は不動産会社に仲介依頼しないと、原則ローンを組めません。

融資をする際には宅建業者が作成する「重要事項説明書」や「売買契約書」などの書類が必要だからです。その他、売買後にトラブルが発生しないために、プロである不動産会社に契約成立を依頼する場合もあります。

このように、不動産会社にとって買主が最初から決まっている不動産は、「買主を見つける」手間が省けるのがメリットです。そのため、仲介手数料を通常の半額を目安にする中小規模の不動産会社も存在します。

ただ、大手の不動産会社では仲介手数料が一律で決まっているため、半額に下げることは滅多にありません。

買主が不動産仲介手数料を払うのは日本だけというのが意外でした!

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買主が決まっている不動産の仲介手数料は半額が妥当といえます。

仲介手数料とは?

そもそも仲介手数料とは?

ここでは、不動産取引に欠かせない仲介手数料について分かりやすく解説します。

不動産会社に支払う成功報酬

不動産の売買時に発生する仲介手数料とは、物件の売買契約が成立したときに売主・買主の双方が不動産会社に支払う成功報酬のことです。

不動産を仲介する不動産会社は売買を成立させるために、不動産ポータルサイトに広告を掲載したり、物件の内覧で購入希望者に対応したりするなど、さまざまな営業活動を行います。その対価として顧客から支払われる報酬です。

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ただし、成功報酬のため、営業担当者がどんなに汗水流して営業活動を頑張ったとしても、契約が成立しなかった場合は支払う必要はありません。

仲介手数料の相場は「物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税」

不動産会社の主な収益源は、顧客からもらう仲介手数料です。

そのため、仲介手数料の相場は、法律で決められた上限である「物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税(400万円超えの取引の場合)」で計算される金額です。

例えば、3,000万円の中古マンションを成約した場合には、不動産会社は仲介手数料105.6万円を顧客からもらえます。

仲介手数料=3,000万円(税抜)×3%+6万円+消費税=105.6万円

なお、両手仲介の場合は売主と買主の両方からもらえるので、2倍の金額である211.2万円を受け取れます。

不動産会社にとって仲介手数料は大切な収益源です!

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両手仲介ならば1つの案件で2倍の仲介手数料を得られます。

両手仲介は違法なのか

両手仲介は違法なのか

前章で解説している通り、日本においては両手仲介は違法とはされていません。ただし多くの国や地域で、不動産取引において「両手仲介」は違法とされています。

両手仲介とは、不動産業者が売り手と買い手の両方に対して仲介手数料を請求することを指します。これは利益相反の状況を生み出し、当事者の利益を損なう可能性があります。

法律や倫理規定によって、不動産業者は一方の当事者の利益を優先しなければなりません。両手仲介はその原則に反する可能性があります。

不動産の仲介手数料が無料になるからくりとは

不動産の仲介手数料が無料になるからくりとは

不動産会社の主な収益源は仲介手数料のため、手数料が入らないとなると会社が損するイメージです。しかし、仲介手数料が無料の物件を扱っている不動産会社は実際に存在します。

ここでは、不動産の仲介手数料が無料になるからくりについて解説しましょう。

売主or買主のどちらか一方からもらっている

両手仲介とは、売主と買主の両方から仲介手数料をもらえることを指しています。

この場合、不動産会社は売主または買主のどちらか一方から仲介手数料をもらえば、採算が取れるため、どちらかの仲介手数料を無料にしても損はありません。

なかなか売れない物件の場合は仲介手数料を無料にすることで買主が見つかることもあるため、営業戦略の一つとして使われます。

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自社物件の場合は仲介手数料が発生しない

そもそも自社が販売している物件の場合は仲介手数料が発生しません。

そのため、仲介手数料をカットしたい場合は、不動産会社が直販している物件を選ぶと良いでしょう。仲介ではなく売主(不動産会社)と買主との直接契約となり、間に介在する不動産会社がいないので仲介手数料がゼロ円となります。

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近年では、中古物件をスタイリッシュにリノベーションして売り出す不動産会社も多く存在するので、幅広く探してみてはいかがでしょう。

インターネット広告で経費を削減

不動産会社が力を入れている集客方法が、不動産情報ポータルサイトに掲載するインターネット広告です。近年の消費者は、まず、インターネットで不動産情報をリサーチしてから不動産会社に行く人が多くみられます。

インターネット広告には掲載費用が必要ですが、大手の不動産情報ポータルサイトに掲載すれば多くの人の目に入るため、集客効果は高いのがメリットです。

営業社員の人件費やチラシ作成費などを節約できるので経費削減にもつながります。

こうした経費削減により、仲介手数料を無料または減額にすることも可能です。

不動産の仲介手数料が無料になるのには、さまざまなからくりがあるんですね。

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自社物件の場合はそもそも仲介手数料が発生しないので、手っ取り早く仲介手数料を省けます。

仲介手数料を無料にしてもらう方法

仲介手数料を無料にしてもらう方法

売主・買主にとって仲介手数料は、まとまった金額になるため負担が大きい支出です。

ここでは、仲介手数料を無料にしてもらう方法について解説します。

最初から仲介手数料無料の物件を選ぶ

不動産会社に「仲介手数料を無料にしてください!」というのは、大変ハードルが高いものです。不動産会社の主な収益源は仲介手数料のため、交渉されたからといって素直に応じる会社はほとんどありません。

したがって、買主の場合は最初から「仲介手数料無料」の物件を選ぶのも良い方法です。

中小規模の不動産会社では営業戦略の一環として、仲介手数料無料をアピールするところもあります。交渉する手間や時間が省けるのがメリットです。

購入の場合は不動産会社に直販物件を紹介してもらう 

物件を購入する際に、不動産会社が直接販売している物件を紹介してもらうのも良い方法です。例えば、リノベーション済みの中古マンションを不動産会社が直接販売しているケースが該当します。

不動産会社が直販する場合は仲介するわけではないため、仲介手数料が発生しません。

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自社で物件を直販している不動産会社は在庫を少なくできるため、優先的に紹介してくれます。

売却の場合は不動産会社に買取を依頼する 

売却する場合は不動産会社に買取を依頼するという方法もあります。

不動産会社が買主として、直接所有者から買い取る場合も仲介手数料は発生しません。

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近年では空き家を買取してリフォームし、キレイにしてから消費者に販売する不動産会社も増えているので探してみましょう。
買取は特に急いで売却したい人には向いている方法です。

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ただ、買取価格は市場価格の約7割とされているため、時間に余裕があり少しでも高く売りたい人は仲介を依頼するのをおすすめします。

不動産会社に仲介手数料を無料にしてもらうよう交渉する

不動産売買をするときの仲介手数料は、諸費用のなかでも高い金額になります。

そのため、不動産会社に仲介手数料を無料にしてもらうよう交渉するのも試してみる価値はあるでしょう。無料は無理でも減額してくれる可能性があります。

中小規模の不動産会社の場合で両手仲介の場合は、どちらか一方から手数料をもらえば採算が取れるので、無料もしくは減額を期待できます。

最初から仲介手数料無料または不動産会社が直販している物件を選ぶと交渉の手間がかかりません!

MEMO

売却の場合は不動産会社に買取を依頼するという方法もあります。

仲介手数料を無料にすることで発生しやすいトラブル

仲介手数料を無料にすることで発生しやすいトラブル

仲介手数料を無料にするのは消費者にとって嬉しいことですが、一方でトラブルが発生することも考えられます。

ここでは、仲介手数料を無料にすることで発生しやすいトラブルについて解説します。

売主の場合

売主にマイナスになることが考えられるのは以下の3つです。

売主にマイナスになること
  • 不動産会社が熱心に営業活動をしてくれない
  • サービスの質が落ちる
  • 別の費用で請求される

ここでは仲介手数料を無料にすることで、売主に発生しやすいトラブルをご紹介します。

不動産会社が熱心に営業活動をしてくれない

仲介手数料の金額が高くなると会社の利益が上がるだけでなく、営業担当者のインセンティブ(歩合給)も増えていきます。年収アップを図るべく、営業マンは張り切って販売活動を行います。

したがって、仲介手数料が「ゼロ」になってしまうと会社と営業マンの利益が下がるので、物件を売るためのモチベーションが上がりません。不動産会社が熱心に営業活動をしてくれなくなるので、なかなか物件が売れない可能性があります。

サービスの質が落ちる

サービスの質が落ちることも懸念材料の一つです。

例えば、売却するときに税務面や法律面で相談したいときでもあまり熱心に対応してくれないなど、質の高いサービスを受けられないことも考えられます。

仲介手数料が無料であることと引き換えに、何らかのサービスを失うこともないとはいえません。

別の費用で請求される

仲介手数料が無料であるからといって、手放しで喜べるケースばかりではありません。

不動産会社の中には違う名目の費用として請求されていることもあるからです。

例えば、建物状況調査(インスペクション)や事務手数料、司法書士依頼費用など、売主には明細がよく分からない費用が挙げられます。

矢口解説員矢口解説員

リフォームやインスペクションなどを実施するときは、不動産会社が別の会社に外注して行いますが、大抵の場合、利益を上乗せして売主に請求します。

買主の場合

次に買主の場合でみていきましょう。仲介手数料を無料にすることで発生しやすいトラブルは以下の3つが挙げられます。

仲介手数料を無料にすることで発生しやすいトラブル
  • 他の顧客が優先される
  • 売れにくい物件を紹介される
  • 保証内容が手厚くない

それぞれに内容について解説します。

他の顧客が優先される

仲介手数料を無料にすると、他の顧客(仲介手数料を上限まで支払う)が優先される可能性があります。不動産会社としては同じ物件を売る場合、少しでも利益を上げられる顧客が「上客」となるからです。

気に入った物件があり、早々と営業担当者に申し出ても、なぜか他の人に先を越されることもあります。人気物件の場合は他の顧客より不利になることもあり得るでしょう。

売れにくい物件を紹介される

物件を紹介してはくれるものの、人気のなさそうな物件ばかりを選んでくる場合もあります。例えば、「日当たりがよくない」「周辺環境に問題がある」など、買い手のつきにくい物件です。

人気のある物件は好条件・高価格で早めに売れるため、仲介手数料をきちんともらえる顧客に紹介する可能性が高いといえます。

保証内容が手厚くない

購入後のアフターサービスや保証内容が手厚くないケースもあります。

例えば、瑕疵保証期間が短いなどのケースです。不動産会社は引き渡し後、住宅の瑕疵保証として一定期間のうちに発見された瑕疵に対して修繕費用を自社が負担するサービスを提供しています。

ちなみに宅建業法では、不動産会社は引渡しの日から2年以上の契約不適合責任を負うことになっています。したがって、最低2年間しか保証期間を設けないなど、何らかの保証を削る場合があります。

最初から仲介手数料無料の物件を探すのも一つの方法です。仲介手数料を無料にすると、売主・買主ともにトラブルが発生する可能性があるんですね!

平松編集者平松編集者

矢口解説員矢口解説員

「サービスの質が落ちる」「保証内容が手厚くない」など不利になることも考えられます。

仲介手数料無料・安い不動産会社ランキング

仲介手数料が安い不動産会社ランキング

仲介手数料無料になることで発生しやすいトラブルに関して解説しましたが、仲介手数料無料はやはり魅力的ですよね。

仲介手数料無料の会社は増えてきていますが、具体的にどんな不動産会社を選べばよいのでしょうか?

下記記事では、仲介手数料が安い会社ランキングをご紹介していますので、ぜひご参考にしてください。

まとめ

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日本の不動産業界では売主・買主の双方が仲介手数料を支払うのが浸透しているため、仲介手数料を無料あるいは減額にすることは難しいといえます。ただ、あらかじめ買主が決まっているなどの場合には、仲介手数料を減額できる可能性があります。売買取引の内容に合わせて、仲介手数料の見直しを検討してみましょう。

矢口解説員矢口解説員

売主・買主の双方が仲介手数料を支払うのは、日本独特の慣例といえます!
買主が決まっている場合は仲介手数料を半額にするなど、アクションを起こしてみるのも良いかもしれません。

平松編集者平松編集者