- 競売物件がやばいと言われる理由を解説
- 競売物件から出て行かない?住んでいる人とのトラブル事例を紹介
- 入札は一旦行ったら取り消しができない点や、内覧ができない、契約不適合責任がないといった部分は要注意
山口編集者
小島解説員
山口編集者
よく不動産を安く手に入れる方法の一つに競売物件を購入することを挙げているケースが見られます。しかし、あまり不動産に興味がない人や初めてマイホームを購入する人には競売物件といわれてもピンとこない人も多いのではないでしょうか?この記事では、競売物件の特徴やメリット、デメリットなどを詳しく解説し、トラブル事例などやばい評判も含め詳しく紹介していきます。
競売物件がやばいと言われる6つの理由
小島解説員
山口編集者
ここでは、競売物件を購入するにあたり、やばいと言われる理由を詳しく解説していきます。
理由1.占有屋や住人が住んでいる場合、立ち退き費用は自腹で払うから
競売物件は売主が存在しない状態で、所有権のみが買主に譲渡されます。そのため、債務者に退去する意向が無く住み続けている場合や、債務者と以前賃借契約を結んだとして見ず知らずの人が物件を占拠していることもあります。
後者は占有屋といい、立ち退き要請をしても出て行かず、代わりに金銭を要求してくることがほとんどです。
通常、立ち退きには裁判所に引き渡しの申し立てを行ったり、強制執行により明け渡しを申し立てたりなど労力もかかるし費用もかかります。その労力と費用をかける代わりに占有屋へ金銭の支払いをして立ち退いてもらうこともしばしばありました。
こうなってしまう原因は競売物件の売買には引き渡し義務がないことが挙げられるでしょう。引き渡し義務がないために、占有者がいると自分で追い出さなければいけません。
せっかく安価で購入しても、購入時とは別に立ち退きの費用も支払うため通常価格と大して変わらないこともあります。占有屋や居住者がいるかは運任せのため、大きなデメリットです。
理由2.物件の内覧ができないまま購入するから
基本的に競売物件は内覧ができません。得られる情報は物件の明細書や現況調査報告書など裁判所が作成した資料のみから物件に入札するかどうかを判断しなければいけません。
一般的な不動産売買の場合は物件を内覧し、色々なところをチェックしながら購入するかどうかの判断を行わなければいけません。
このような点では一般物件よりも少ない情報の中で競売物件の入札に踏み切らなければいけないのです。
購入後にこんなはずじゃなかったと後悔する可能性が一般物件よりも高いといえるでしょう。
理由3.入札後の落札取り消しができないから
競売物件の購入方法は入札方式です。
しかもあらかじめ機関が定められている期間入札方式によって競売物件の購入者が決定します。
ここで最も注意する点が一旦入札してしまったら取り消しができないという点です。
つまり入札後、取り消しができないために、購入を望まない物件を買いましたということにもなりかねません。
競売物件の入札は、かなり慎重に行う必要があるでしょう。絶対に取り消しは行わないというくらいの気構えを持って入札に参加しなければいけません。
理由4.契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)がないから
契約不適合責任がないこともデメリットといえるでしょう。
契約不適合責任とは隠れた欠陥が見つかった場合に売主に対し、追完請求や代金減額請求など売主に欠陥を直すように請求できる権利です。
直せない場合も代金の減額が請求でき、さらに契約の解除や損害賠償といった権利を有します。
しかし競売物件にはこのような契約不適合責任はありません。
理由5.管理費修繕費など追加料金は自分で払うから
マンションの競売物件も購入時に注意が必要な点があります。管理費や修繕積立金の滞納です。
住宅ローンさえ支払えなかったわけですから管理費や修繕積立金の納付も滞納していた可能性があります。
競売されたマンションの管理費や修繕積立金の滞納部分に気づかず購入した場合、この滞納金に関しては購入者が支払わなければいけません。
積もり積もって非常に大きな滞納金額になっている可能性も考えられます。
理由6.住宅ローンを組む時間がないから
競売物件に限らず住宅などの不動産を購入する場合、住宅ローンを利用して購入を考えている人は多いはず。
しかし、競売物件は入札額の納付期日が1ヶ月だけしか設けられていません。
競売物件の住宅ローンの申請には、金融機関への審査以外にも裁判所へ司法書士と弁護士の書面を提出しなければいけません。
1ヶ月の間に、こういった手続きを仕事をしながら進めていくため大変労力がかかります。
更に金融機関のローン審査は一般の物件よりも厳しくなることから、1ヶ月で終わらない可能性もあるため、住宅ローンを利用した競売購入はおススメできません。
競売物件のトラブル事例
山口編集者
小島解説員
山口編集者
競売物件は安く購入できる反面、非常に注意して入札するかどうかを決めなければ、実際に落札した後、余計な費用がかかることもあるし、住めないこともあるのです。では競売物件の購入にあたり、どのようなトラブルで悩んでいる人が多いのでしょうか?ここからは、競売物件のよくあるトラブルについて解説します。
トラブル①:良質な物件は通常価格より0.5割ほどしか変わらない
競売物件は一番高い落札価格の人に売却されます。
そのため時と場合により落札金額は異なります。しかし、良質な物件の場合は、もともと0.5割ほどしか安くないことがほとんどです。
良質な物件に競売物件のデメリット①にあった占有屋がいた場合、通常価格とさほど変わらない、もしくは高くなってしまうこともあります。
占有屋がいないと思い購入を進めて、結果より高い金額を払ってしまい後悔したトラブルも聞きます。事前に価格調査を行った上で競売に挑むことをお勧めします。
トラブル②:占有者が居座っている
これは最も一般の人が競売物件を購入するときに気になるトラブルといえます。競売物件には引き渡し義務がありません。つまり競売物件を購入しても前の所有者が建物を占有して依然として住み続けていることがあります。もっと厳しい事例では前の所有者と賃借権を結んでいるとして、風体も良くない人たちが競売物件に住んでいることも考えられるのです。このような場合、裁判所自ら追い出すことはしてくれません。
ただし裁判所は立ち退きの申し立てが行われると強制執行により退去者を追い出すことはしてくれます。ただし荷物が残っている場合の保管費用や撤去費用は、所有者が負担しなければいけません。精神的な疲労も重なる大きなトラブルといえるでしょう。
トラブル③:賃貸として貸し出しても借り手が見つからない
競売物件を購入し立ち退きも終わった物件をきれいにリノベーションしたとして賃貸に出した場合、なかなか借り手が見つからないケースもあります。これは建物を賃貸で募集する場合、入居希望者が現れたら賃貸契約の前に重要事項の説明を行わなければいけません。この際、登記簿などを取得し所有権の確認などを行います。登記簿などを取得し所有権を確認しますが差し押さえから競売で取得したということがわかります。心理的に競売で得たような物件には入居したくないという人も多く賃貸契約が流れてしまうこともあるのです。このような借主の心理的な要因により、なかなか借り手が見つからないといったこともトラブルとして挙げられるでしょう。
競売売却までの流れ
住宅ローンの滞納を始めてから、担保にしていた土地や建物を銀行が競売にかけるまでの一連の流れとスケジュールを詳しく解説します。
1.督促の通知
まず、滞納1か月から3か月程度の間、書面や電話による督促が行われます。
この段階で滞納分を支払えば、通常どおりの返済が再開できる可能性があります。
2.催告書(最後通告)の送達
滞納が3か月以上続くと、金融機関から内容証明郵便にて催告書が送付されます。
ここには滞納分と遅延損害金を支払わない場合、期限の利益を失い競売の手続きが開始される旨が記載されます。
3.期限の利益の喪失
催告書が届いても支払いが行われない場合、期限の利益を喪失します。
これは、返済期日まで分割返済を行う権利がなくなり、以降は一括返済が求められる状態です。この時点で、債権者は競売を通じた現金化を検討し始めます。
4.代位弁済通知の到着
期限の利益喪失から約1か月後、保証会社から代位弁済通知が届きます。
これは、保証会社が金融機関に対して一括で返済を行い、住宅ローン債権が保証会社に移行することを意味します。
その後、保証会社は競売の準備を開始します。
5.競売開始決定通知の到着
この通知以降、競売に向けた一連の手続きが進行していきます。
競売購入までの流れ
競売での物件購入を検討している方に向け、競売開始から購入後の引渡しまでの流れを順を追ってご説明します。
1.現況調査の実施
競売開始とともに、裁判所の執行官と不動産鑑定士が物件の現況調査を行い、物件の売却基準価額と買受可能価額が決定されます。
現況調査では、物件の内部や状態を確認して、価値を評価するための重要な情報を収集し、その結果は「現況調査報告書」としてまとめられます。
売却基準価額はこの報告書に基づき、入札者が参考にする価格として設定されます。
売却基準価額とは、執行裁判所が不動産の売却に際して基準とする価額で、鑑定士による評価に基づいて決定されます。
この基準価額は、購入希望者が入札の際に目安とする金額です。
また、物件の売却基準価額の約80%が「買受可能価額」として定められており、この買受可能価額以上でなければ入札は無効となります。簡単に言えば、買受可能価額は競売の最低落札価格として機能します。
2.3点セットの準備
入札を検討する際には、「現況調査報告書」、「評価書」、および「物件明細書」からなる「3点セット」を確認します。
現況調査報告書には物件の状態や権利関係が記載されており、評価書には不動産鑑定士による価格評価が、物件明細書には所有者や権利関係の詳細が含まれます。
またこの3点セットはインターネットのBIT競売物件情報サイトから誰でも閲覧可能となっています。
(参考元:BIT不動産物件情報サイト)
3.入札期間の通知
現況調査が完了し3点セットが揃った後、裁判所から入札期間が通知され、入札が可能な期間が設定されます。
競売の入札はオークション形式ではなく、設定された期間中に一度だけ入札が行える「期間入札方式」となります。
4.入札情報の公告
入札期間の数週間前に物件の情報が公告され、裁判所や専用ウェブサイトで物件情報とともに3点セットが公開されます。
これにより購入希望者が物件の詳細を確認し、入札に備えることができます。
5.入札の実施
入札期間が開始すると、購入希望者は裁判所にて一度だけ入札できます。入札書には必要事項と希望価格を記入し、指定の方法で提出します。
入札後の訂正や取り消しはできません。
6.開札と落札者の決定
入札期間終了後に開札が行われ、最高入札額を提示した購入者が落札者となります。落札者以外の入札者には保証金が返還されます。
7.売却許可と代金納付
落札者に売却許可が出され、裁判所の審査を経て不服申し立てがない場合、正式に売却が許可されます。
その後、落札者は裁判所に定められた期限までに代金を納付し、物件の所有権が移転します。
8.引渡しと明け渡し
物件の所有権移転が完了すると、元の所有者は物件の明け渡しを求められます。明け渡しに応じない場合は、裁判所から強制執行が行われることもあります。
競売物件のメリットを紹介
山口編集者
小島解説員
山口編集者
競売物件は所有者にとってはマイホームを取り上げられてしまうので、決して望ましいことではありません。しかし借りたお金を返せなかったわけですので、仕方なく売却されるといったケースが多いといえるでしょう。では、このような競売物件を入札方式によって購入する場合、購入者にはどのようなメリットがあるでしょうか?ここからは競売物件を購入する場合のメリットについて解説しましょう。
メリット①:3割ほど安く購入できる
競売物件の最も大きなメリットは市場の相場よりも安いという点です。物件によっても異なるのですが一般的に市場の相場よりも3割程度安く購入できるケースが多いでしょう。これは後述しますがいくつか普通の不動産売買とは異なる点があり、その部分において買主の支障となる場合があるからです。
これは競売市場修正といわれており、デメリット部分を価格で調整しているためといえます。しかし非常に安い価格で購入できるのは大きな魅力で、価格面だけを見てみると一般的な売買では購入できないような金額設定となっているケースが多いです。
メリット②:不動産に流通しないので掘り出し物がある
一般的な不動産物件の探し方は不動産のポータルサイトや新聞の折り込みチラシなどで売り出されている物件から気に入った物件を探します。しかし競売物件はこのような一般的な募集は行いません。不動産の競売物件サイトなどもありますが裁判所が公示する競売物件の情報から競売物件を見つけます。つまり、一般的な不動産市場には流通していないのです。前述しましたように市場価格より安い点が競売物件の特徴ともいえますので、思いもかけないような掘り出し物の物件が競売物件として出ていることもあります。この点も競売物件の大きなメリットといえるでしょう。
メリット③:手続きの負担が通常より少ない
競売物件の購入手続きは裁判所を通さなければいけないので煩雑で面倒くさいと想像される人も多いのではないでしょうか?実際はそのようなことはなく手続き自体はシンプルです。不動産売買の時に行わなければいけないような所有権の移転手続きや抵当権の抹消手続きはすべて裁判所で行います。購入した人は入札に関する書面と保証金を提出し、落札したら残りの代金を支払うと手続きは完了です。一般の不動産売買は、いったん売買契約を交わし、物件の引き渡しの際は司法書士などに依頼して所有権の移転手続きや抵当権の抹消手続きを行います。しかし、そのようなことをすることなく購入することが可能です。
そもそも競売物件とは?
競売物件とは住宅ローンを支払えなくなった人が所有している物件を裁判所から差し押さえられた物件のことを指します。通常、住宅ローンを利用して物件を購入した場合、住宅ローンを貸している金融機関はその物件に対して抵当権を設定します。抵当権とは、その物件を担保にお金を貸し、もしそのお金を返すことが出来なかったら強制的に物件を売却できる権利のことです。
差し押さえられた物件は裁判所によって売却の手続きが取られ、裁判所がその物件を売却することを競売というのです。競売にかかった物件は一般の方に入札方式で売り出されます。入札により一番高い購入金額を提示した人が、その競売物件を購入できるといった流れになります。
通常はローンの契約者(債務者)の意思で物件を売却をするため、売主から物件の引き渡しが行われますが、裁判所が差し押さえた物件は売主が存在しません。
購入後、裁判所は物件の所有権売却の手続きを行うのみで、物件の引き渡しには携わりません。物件の内覧は自分で直接確かめに行きます。
競売物件になる理由
ではなぜ、このような競売物件が出るのかというと前述したように、住宅ローンを支払えなかった場合に競売物件になってしまうといった理由が最も多いといえるでしょう。金融機関も、信用だけで住宅ローンのお金を貸すわけにはいかず、万が一支払えなくなった場合のセーフティーネットとして、物件にも抵当権を設定しています。もし住宅ローンを支払えなくなった場合には、その物件を売却して少しでも貸したお金を回収するためです。
しかし購入した物件の住宅ローンが支払えないといった理由のために競売物件になるだけではありません。例えば自営業の方によくあるのが事業の運転資金で借り入れたお金を借りるときに住まいに抵当権を設定する場合があります。基本的に住宅ローンも含むのですが借りたお金が返せなかった場合、資産である住んでいるマイホームを債権者から借金のカタに回収されることが理由といっていいのではないでしょうか?
まとめ
競売物件は民法改正により住宅ローンが組めるようになりましたので以前よりは購入しやすくなったといえるでしょう。一般的には相場の3割程度で購入も可能ですし、掘り出し物感覚で非常に良い物件を取得できるかもしれません。手続きもそう難しいものではないのでメリットも多いのですが、十分に気を付けて購入しなければいけない注意点もあります。
例えば入札は一旦行ったら取り消しができない点や、内覧ができない、契約不適合責任がないといった部分が注意点です。記事に挙げていますが、さまざまなトラブルの散見される競売物件は一般物件以上に慎重に分析し、判断する必要があるといえます。ただし、非常に安い金額で購入できる点は最も大きなメリットですので、怖がらずにいろいろと調べてみるのもいいかもしれません。ぜひこの記事を競売物件の分析に役立ててみてください。