資産価値が落ちない街ランキング【東京23区】固定資産税が高いのも納得!

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 東京23区の中古マンションの資産価値が落ちない街ランキングを発表
  2. マンション価格の高騰の理由と今後値上がりするか動向を解説
  3. 東京23区の固定資産税が高いエリアも紹介!

この記事の監修者
宅地建物取引士
蔭山 達也

宅地建物取引士、ビル経営管理士、CPM(米国不動産経営管理士)、賃貸不動産経営管理士。

大学卒業後、大手不動産流通会社に入社。売買仲介をメインに実務経験を積む。その後、株式会社ノヴェルに入社。取締役営業部長として活躍中。著書に「条件難物件でも低予算で満室になるおもてなしビル管理経営」がある。

中古マンションの成約価格が上昇しています。一時はコロナ禍により、不動産価格が下落するのでは?と考えられていましたが、むしろコロナ禍を経た今も円安による海外資本の流入により価格が上昇する局面を迎えています。

そんな状況下で「中古マンション価格は、今後も上昇するのだろうか?」「特に中古マンションの価格が上昇するのは、どこのエリアなのだろうか?」と心配されている方はいませんか?実は、水害が一つのポイントになります。

浜崎編集長

住宅に関する多くの相談事や悩み事を解決してきた不動産コンサルタントが、マンション価格が値上がりする要因や値下がりする要因、コロナ禍による影響、東京23区の中古マンション価格相場ランキング、間取り別中古マンション価格相場について解説します。

東京23区内において、居住地としてふさわしく、今後も価格が上昇するエリアについて知ることができます。

事務員

関西や福岡などと比べても東京のマンション価格の高騰は異次元です。マンションの資産価値を見極めるには不動産市場だけでなく世界情勢にも目を向けてあらゆる視点からマンション価格の推移を予想することが大切です。

資産価値が落ちない街ランキング【東京23区の中古マンション】

資産価値が落ちない街ランキング

2024年8月現在の東京23区の中古マンションにおいて、専有面積70㎡の場合の平均価格を、資産価値が高い順に並べた資産価値が落ちない街ランキングは下表の通りです。

また、平均㎡単価も併記します。

順位東京23区平均価格
(専有面積:70㎡)
平均㎡単価
(平均価格÷70㎡)
1位中央区11,515万円164万円/㎡
2位千代田区11,094万円158.4万円/㎡
3位港区9,976万円142.5万円/㎡
4位渋谷区9,962万円142.3万円/㎡
5位目黒区7,412万円105.8万円/㎡
6位新宿区7,354万円105万円/㎡
7位文京区7,325万円104.6万円/㎡
8位品川区6,729万円96.1万円/㎡
9位台東区6,727万円96.1万円/㎡
10位豊島区6,082万円86.8万円/㎡
11位中野区5,899万円84.2万円/㎡
12位墨田区5,759万円82.2万円/㎡
13位世田谷区5,315万円75.9万円/㎡
14位北区5,162万円73.7万円/㎡
15位江東区5,146万円73.5万円/㎡
16位大田区5,049万円72.1万円/㎡
17位荒川区4,989万円71.2万円/㎡
18位杉並区4,822万円68.8万円/㎡
19位練馬区4,450万円63.5万円/㎡
20位板橋区4,342万円62万円/㎡
21位江戸川区3,945万円56.3万円/㎡
22位葛飾区3,770万円53.8万円/㎡
23位足立区3,551万円50.7万円/㎡

東京23区の中古マンションの平均価格と㎡単価

引用:「東京都東京23区の中古マンション価格相場情報」:LIFULL HOME’S

*データは、「LIFULL HOME’S」に過去3ヶ月の間に掲載された物件の中から、抽出したものの平均価格です。

一番高い中央区と一番安い足立区との平均価格は、約2.8倍となります。

地域ごとの平均価格は、同じ東京東部低地帯(概ねJR京浜東北線以東)に属していても都心3区と江東5区とでは、大きな価格差があります。

都心3区(隅田川以西)千代田区・中央区・港区 
江東5区(隅田川・荒川沿線)江東区・墨田区・足立区・荒川区・葛飾区

上表の区別の平均価格から、単純に都心3区の平均価格と江東5区の平均価格を算出すると下記のようになり、2.1倍の価格差が生じます。

都心3区(隅田川以西)8,270万円
江東5区(隅田川・荒川沿線)3,897万円

【東京23区】固定資産税が高い街ランキング

 

東京23区内で固定資産税が高い地域は、主に土地の価格や地価の高いエリアに集中しています。総務省が出している2023年固定資産税納税額のデータをもとに、一般的に固定資産税が高いとされる東京23区の地域をご紹介します

 地域性
1位港区
特に六本木や麻布、青山など高級エリアが多く、地価が非常に高いため固定資産税も高い。
2位中央区
日本橋や銀座など商業地やオフィス街が多く、地価が高いため固定資産税も高め。
3位渋谷区
渋谷や代官山、恵比寿など人気エリアが多く、地価が高いため固定資産税も高い傾向。
4位千代田区
東京の中心地であり、皇居周辺や丸の内など高地価のエリアがあり、固定資産税が高い。
5位目黒区
中目黒や自由が丘など、人気の高いエリアが多く、地価が高い。

参考:総務省 平成24年度 人口一人当たりの特別区民税額及び納税義務者一人当たりの特別区民税額

注意
※ただし、具体的な税額は物件の位置や評価額によって異なるため、詳細な情報は各区の税務課などで確認してください。

【東京23区】間取り別中古マンション価格相場について

間取り別中古マンション価格相場について

東京23区の中古マンションにおいて、間取り別の平均価格は、下表の通りです。また、平均㎡単価も併記します。

東京23区
1LDK~2DK2LDK~3DK3LDK~4DK
平均価格㎡単価平均価格㎡単価平均価格㎡単価
千代田区9,361万円208万円/㎡20,878万円348万円/㎡44,783万円640万円/㎡
中央区7,127万円158万円/㎡11,703万円195万円/㎡16,920万円242万円/㎡
港区9,658万円214万円/㎡17,417万円290万円/㎡27,353万円391万円/㎡
新宿区5,960万円132万円/㎡8,439万円141万円/㎡11,715万円167万円/㎡
文京区5,030万円112万円/㎡8,795万円147万円/㎡10,153万円145万円/㎡
台東区4,865万円85万円/㎡5,597万円93万円/㎡7,762万円111万円/㎡
墨田区3,243万円72万円/㎡4,640万円77万円/㎡5,454万円78万円/㎡
江東区4,155万円92万円/㎡5,544万円92万円/㎡5,780万円83万円/㎡
品川区4,973万円110万円/㎡8,024万円134万円/㎡9,102万円130万円/㎡
目黒区5,344万円118万円/㎡8,394万円140万円/㎡13,278万円190万円/㎡
大田区3,173万円70万円/㎡4,750万円79万円/㎡5,417万円77万円/㎡
世田谷区4,030万円90万円/㎡6,388万円106万円/㎡8,917万円127万円/㎡
 
東京23区
1LDK~2DK2LDK~3DK3LDK~4DK
平均価格㎡単価平均価格㎡単価平均価格㎡単価
渋谷区8,882万円197万円/㎡13,197万円220万円/㎡12,007万円172万円/㎡
中野区4,265万円94万円/㎡6,136万円102万円/㎡8,233万円118万円/㎡
杉並区4,091万円91万円/㎡5,133万円86万円/㎡7,026万円100万円/㎡
豊島区5,478万円122万円/㎡7,474万円125万円/㎡9,370万円134万円/㎡
北区3,700万円82万円/㎡4,672万円78万円/㎡4,986万円71万円/㎡
荒川区2,992万円65万円/㎡4,657万円78万円/㎡5,213万円74万円/㎡
板橋区2,757万円61万円/㎡3,672万円61万円/㎡4,890万円70万円/㎡
練馬区3,254万円72万円/㎡3,985万円66万円/㎡5,210万円74万円/㎡
足立区2,688万円60万円/㎡3,104万円52万円/㎡3,480万円50万円/㎡
葛飾区2,477万円55万円/㎡3,313万円55万円/㎡3,792万円54万円/㎡
江戸川区3,259万円72万円/㎡4,183万円70万円/㎡4,275万円61万円/㎡
 

東京23区の中古マンションにおける間取り別の平均価格と㎡単価

出所:「東京都の中古マンションの価格相場比較 [エリア×間取り]」:HOME4U

1LDK~2DK

1LDK~2DKの間取りの場合、23区内で一番平均価格が高い区と低い区とを比較すると平均価格は3.2倍、㎡単価は3.9倍の差が生じます。

千代田区平均価格:7,318万円
㎡単価:174万円/㎡
江戸川区平均価格:2,256万円
㎡単価:45万円/㎡

2LDK~3DK

2LDK~3DKの間取りの場合、23区内で一番平均価格が高い区と低い区とを比較すると平均価格は4.4倍、㎡単価は3.6倍の差が生じます。

港区平均価格:12,069万円
㎡単価:158万円/㎡
足立区平均価格: 2,751万円
㎡単価: 44万円/㎡

3LDK~4DK

3LDK~4DKの間取りの場合、23区内で一番平均価格が高い区と低い区とを比較すると平均価格は5.1倍、㎡単価は3.9倍の差が生じます

港区平均価格:16,837万円
㎡単価:193万円/㎡
足立区平均価格: 3,273万円
㎡単価: 50万円/㎡

千代田区や港区は、中央区と併せて都心3区となります。政治・経済・文化の中心地となりますので、居住地域としては、超人気エリアとなります。

地価や建築費は高騰しますが、居住に対する需要が高いため、新築分譲マンションはすぐに完売し、賃貸マンションはすぐに満室になる人気エリアでもあるため、中古マンションといえども高い価格帯を維持しており、物件によっては、新築時よりも高騰しているケースもあります。

一方、江戸川区や足立区は、荒川沿いにあります。近年、大型台風による降雨量の増加に伴う洪水により、荒川の氾濫が懸念されるようになりました。

江戸川区や足立区は、いわゆるゼロメートル地帯であり、荒川の氾濫が生じますと、水深数メートルの高さまで、水没する地域が広く存在します。

そういえば江戸川区は、区民に対して大型台風が接近した場合、事前に区外に避難するように公表して物議をかもしましたね。

事務員

浜崎編集長

ええ、その影響もあり、江戸川区や足立区の地価は下がり、居住に対する需要も比較的低くなっており、中古マンションの価格にも影響しています。

とはいえ、上記は23区内の状況であり、江戸川区や足立区は、23区外の郊外と比較しますと、高い価格帯を維持しています。

マンション価格が値上がりする要因とは

マンション価格が値上がりする要因とは

マンションの購入を検討するにあたり、購入価格の高低も大事な要素の1つになりますが、その他にも購入を検討するにあたり必要不可欠な要素が存在します。

実際マンション価格を決める上で、下記で列挙するいくつかの要素が複合的に重なる形で不動産相場を形成しており、そのエリアおよび不動産の価値を決めています。

浜崎編集長

ここからはマンション価格の値上がりが期待できる区の共通点についてみていきます。

マンション価格が値上がりする要因
  • 居住に適した環境を持続的に提供することが可能
  • 地政学リスクや経済情勢に強い
  • 定期的に地域内で再開発が予定されている
  • 外国の資本流入が見込める

居住に適した環境を持続的に提供することが可能

マンション価格の値上がりを期待するには、不動産の資産価値の一つである「利便性」について考慮する必要があります。利便性とひとくくりに言っても多岐にわたるため、項目を細分化して解説していきます。

都心までのアクセス及び交通の利便性

近年不動産業界ではライフスタイルの変化に伴う消費者のニーズやITなどのテクノロジー(施工技術)を駆使して職住近隣」や「コンパクトシティ化」といったキーワードを基に、不動産開発戦略を行っています。特に近年では都心までの通勤通学の距離や、ターミナル駅へのアクセスが良いほど利便性が高いとされており、この点に着目して不動産の購入が検討されている傾向があります。

今回挙げた3つのエリアは東京の中でも中心部に位置しており、立地的にどのターミナル駅でもアクセスは良好と言えるため、交通の利便性については最適と言えます。 

生活の利便性の確保

生活の利便性とは、主にスーパーやコンビニ、商店街など、日常生活の買い物に不自由しない、質の高い医療機関や教育機関があるか、飲食店や娯楽施設があるかなどの項目が挙げられます。

この記事を読まれる方の中には、3つのエリアに対して、生活という側面より仕事や娯楽といったイメージを持たれている人も多いと思います。事実、このエリアには六本木や赤坂、新橋、東京、銀座といった都内の名所やオフィスの集積地としての地位を確立しているエリアもあります。しかしエリア全体を俯瞰してみると、居住に適しているエリアや、高度な医療や教育が受けられるエリアなどが点在しているため、日常生活をスムーズに送ることが可能です。

居住する上での快適性

同エリア内でマンションを検討する場合は、建物自体の快適性や信頼性についても考慮する必要があります。一生とは言わないものの、長い時間をその場所で過ごすことになるため、普段の生活が快適に過ごせるかどうか、それに適した設備は整っているか、そのエリアの安全性は担保されているかについては重要です。

またその中でも、特に重要視してほしいポイントとしては近隣の学校の質や周辺に高い建物が建っていないか(立つ予定がないか)など、自分の力では変えることのできない要素を入念に確認すべきです。

自然災害リスクに対する安全性の確保

近年では全国各地で甚大な自然災害が発生しています。マンションを購入する上でも、他人事ではなく当事者意識を持って考えなければなりません。そのため、埋立地などで地盤が弱いエリアや、海抜が低く地震や津波等に不安を抱えるエリアの選定は避けるのが無難です。

実際今回挙げたエリアは、地盤が強固で震災にも強いエリアが大半を占めます(港区や中央区の一部エリアが、液状化するエリア津波を警戒するエリアも含まれるため注意が必要です。)

そのエリア(マンション)に住む上での独自性(ステータスやメリットなど)

港・千代田・中央区のステータス・メリット
  • 住む上でのステータスが付与される
  • 資産性が高い
  • 利便性に優れている

「そこに住むことでメリットやステータスがある」ため、これらの要素を多く兼ね備えているエリアほど、今後もマンション価格の値上がりを期待することができます。

現在マンションは都心や地方問わず、どのエリアでも分譲がされており、その中で差別化を図るためには、上記で記した項目を網羅しているか、資産価値が高い街である必要があります。また投資の観点から値上がりするマンションを選ぶ場合は「自分が欲しいマンション」ではなく、「次に住む人(買う人)が欲しがるマンションを選ぶ」視点も必要です。マンションは住居する場所であると同時に資産でもあります。

浜崎編集長

そのため間取りの広さを求めたり内装を華美にする必要はなく、需要があるエリアに数年から数十年後を見据えて検討し、その検討の中で出口戦略も考慮すべきと思います。

今回挙げたエリアには、一部再開発が基になって人気となったエリアも含まれますが、その多くは従来より人気として名前が挙がるエリアでもあり、時代に左右されることなく高い需要を保っています。よって上記に挙げてきた項目を多く含むマンションは今後も値上がりを期待することができると考えます。 

地政学リスクや経済情勢に強い

近年のマンションの上昇相場は異次元とも言われる金融緩和や超低金利政策の実施、金融機関の融資に対する緩和、不動産投資の活況、海外投資家によるマネーの流入など、さまざまな要因が並行して挙げられます。

しかしこれらの要因は各国の経済情勢や地政学リスクによって、一瞬にして変化しますし、ここに記載のないその他のリスクを誘発する可能性も伴います。実際、日銀は2024年8月に政策金利の引き上げを決定しました。その結果これまで市場最高値を付けていた日経平均株価は大幅な下落を見せ市場の混乱を招く一因になったのも事実です。

そのため、価格変動要因とされる金利上昇や需給バランスが崩れにくいエリアを購入段階から見極めておく必要があります。

MEMO
今回のテーマである「マンション価格が値上がりする区」を探す場合には、港区や中央区、千代田区のように将来的にもオフィスや居住の需要が強いエリアで、かつリスクの変動に強いマンションを選ぶべきと考えます。

定期的に地域内で再開発が予定されている

そして近年では、地方自治体が人口流入を図るため、行政・ディベロッパー・教育機関が恊働した「公・民・学連携」による街作りが積極的に行われています。駅から徒歩圏内にはシンボル的なタワーマンションが建設され、その周辺には商業施設や教育機関を並べることでコンパクトでかつ機能的な街並みが形成されており、そこに居住する人たちの利便性を向上させています。

浜崎編集長

今回挙げた3つのエリアでは大規模な再開発が行われおり、開発総面積でも上位を占めています。

また東洋経済(2019.6.29号/東洋経済新報社)が調査した「再開発駅の上昇率ランキング」(駅名・順位)によると、この10年ほどで港区(六本木一丁目/1・虎ノ門/2・赤羽橋/5・赤坂/6など)や千代田区(東京/4・淡路町/8)、中央区(浜町/10・勝ちどき/24)といった再開発が活発に行われているエリアの資産価値は上昇しており、かつその他のエリアと比較してもランキング上位を占めます。

そのため、今後も市街地再開発が活発に行われる3つのエリアの資産価値(ブランド)は、現時点より一層の上昇(維持も含む)が見込めるという好循環にあるということが言えるためプラス要因に挙げられます。

外国の資本流入が見込める

正確な統計からの確認ではありませんが、実感として現在の不動産取引の約5~10%程度は外国籍の人や法人が買主となっています。

現在の円安により日本の不動産は高級物件を中心に海外投資家やディベロッパーから注目を集めています。日本人が躊躇する高値の物件を購入しマーケットの価格帯を引き上げているのも外国の買主で、港区、中央区などの大型の新築物件の場合は外国人投資家の購入の割合は20%程度になると大手の不動産ディベロッパーやマンション管理会社の担当者は話をしています。

2024年8月に起きた大幅な日経平均株価の下落が今後も懸念され、不動産市場も値下がり傾向になることも十分考えられますが、その場合でも特に中国からの需要は今後も継続するので、エリアの価格を押し上げる要因になります。

こんなにチェックする項目があるなんて知りませんでしたが、この条件を満たしたマンションなんて実際にあるんですか?

事務員

浜崎編集長

もちろん探せばありますよ。ただ将来のマンション価格を予想するには値下がりする要因についても考慮しなければなりません。

マンション価格が値下がり・下落する要因|資産価値が下がりにくい駅とは

値下がりしにくい駅とは

今後新築・中古を問わず、マンションの購入を検討する場合はマンション価格の値上がりが期待できる一方で、値下がりする要因も考慮しなければなりません。以下では、マンション価格が値下がりする要因について解説します。

マンション価格が値下がりする要因
  • 生産緑地問題(2022年問題)
  • 少子高齢化による人口減少
  • マンションの供給量の問題

生産緑地問題(2022年問題)

不動産価格の値下がりを検討する上で「2022年問題」という言葉があり、これは「生産緑地」に指定されている都市部の農地が指定解除され2022年に大量放出されることを言います。

浜崎編集長

まず「生産緑地」とは、都市部における良好な生活環境の保全や、都市災害の防止、公共施設整備に対する土地の確保をという観点から定められたものを指します。

この制度のメリットとしては都市部の一部にある農地を生産緑地として指定するかわりに、固定資産税や相続税について優遇措置をとるという点です。ただし一方で、生産緑地に指定されるには農地以外での使用は認められておらず「契約する30年間は営農継続の意志がある場合」に限られており、それに満たない場合は宅地並みの課税を受けていました。

そしてこの法律が整備されてから30年後が2022年になるわけです。不動産業界で騒がれている「2022年問題」とは、2022年に都市部に存在する生産緑地が、市区町村に対して買い取りの申し出ができるようになり、自治体が買い取りを行わない場合は市場に放出され宅地開発が可能になるのです。

こんな問題があったなんて。でもマンションを建設する土地が増えるなら、いい立地にマンションが建設できて価格も抑えられてメリットばかりな気もするけど…

事務員

浜崎編集長

もちろんこれまで農地として使われていた場所にマンションを建てることが可能になるため、一概にデメリットばかりではないかもしれません。 ただこの問題は、マンションの資産価値だけでなく、マンション価格にも大きな影響を及ぼすとされており、不動産市場全体の急落を予想する声もでているほどです。

その理由を読み解くには「生産緑地の規模」について知る必要があり、もし仮に現在、生産緑地が放出されると東京23区で「東京ドーム95個分」、都内全域では「東京ドーム712個分」にもなると言われています。

また国土交通省の「平成29年都市計画現況調査」の結果によると「東京ドーム約3000個分」にも相当する1万3,000ヘクタール(ha)ほどの生産緑地が全国で指定されているとの調査結果が出ており、そのうちの約8割の生産緑地が三大都市圏と言われる首都圏、近畿圏、中部圏に集中していると言われています。ちなみに東京都だけで3,000ヘクタール以上が存在し23区では練馬区(187ha)、世田谷区(91ha)が上位にランクインしています。

これだけ多くの土地が不動産市場に流れ込めば、今後ますます宅地化が推し進められたり、生産緑地を持つ地主による賃貸経営などが活発に起こることが予想されます。これによってさらに物件の供給数が増し、現段階で既に供給過多と言われる賃貸不動産市場においては、購入価格及び資産価値の下落を引き起こす可能性が高くなると懸念されています。

ただ、2024年現在では生産緑地の解除に時間がかかる場合が多く、供給の増加が限定的であるケースも見られます。

特に、土地利用の計画や手続きに時間がかかるため、短期的には物件供給がすぐに増えるわけではありません。

浜崎編集長

今後しばらくは市場の動向を注視する必要がありますね。

少子高齢化による人口減少

ここでは客間的なデータを用いて値下がり要因についてみていきますが、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると、平成27年(2015年)の日本の総人口は、同年の国勢調査によると、「1億2709万人」とされています。この総人口の数値を起点とすると、今後は減少過程に入ると言われており、平成52年(2040年)には「1億1092万人」、平成65年(2053年)には1億人を割ると言われています。

この人口減少および高齢化の影響は首都圏でも2021年以降加速する要因となり、特に新規の住宅需要を支えてきた20〜49歳の人口が大きく減少するのです。同機関の推計によれば、2025年の首都圏総人口は2015年比0.3%増ですが、20〜49歳だけで見ると同12%減とかなりの減少が見られます。

さらにこの数値を区別に見ていくと、2025年時点では、値上がりする区として挙げた港区(4%増)、中央区(3%増)、千代田区(5%増)がプラスであるのに対し、同じ23区内でも大田区(4%減)や練馬区(7%減)、豊島区や杉並区等では10%減、23区外ともなると10%以上の減少となることがわかっています。

マンションの供給量の問題

さらに値下がりの要因として決定的なのがマンションの供給量の問題です。

不動産経済研究所の調査によると、2018年以降に完成予定の超高層マンション(20階建以上)が全国で294棟・10万8757戸(2018年3月末時点)、このうち東京23区には123棟・5万5570戸と約5割強のマンションが集中しています。また直近のデータとなる総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」をみても、既に空き家数は1,090万戸と、2013年と比べて820万戸増加しています。

また国土交通省「令和5年度 住宅経済関連データ」からこの数値を空き家率(総住宅数に占める割合)に変換すると16.08%と、前回の調査で過去最高と言われた水準を3ポイント上昇しています。しかし一方で、総住宅数は6800万戸と2013年の時と比べ約560万戸増加しているなど、人口の減少と住宅の増加数が反比例しているのです

注意
今後人口の増加が見込めない国内市場では、立地による不動産価値の格差はますます顕著になっていくことが予想されるため、エリアの選定を間違えると値下がり要因に該当します。

こんなにも値下がりする要因があったなんて…マンション購入を検討するならしっかりと項目ごとにみていかないと大変なことになりますね。

事務員

浜崎編集長

人気のあるエリアでも値下がりする要因を考慮せずに買ってしまうと、のちに後悔することになるからしっかりと値下がりする要因も頭に入れて購入を検討すべきです。

値下がりしにくい駅とは

値下がりが懸念されていく中、逆に値下がりしにくい駅とはあるのでしょうか。

事務員

値下がりしにくい駅は、良く話題になる「住みたい街ランキング」のような記事に名前が上がりやすい人気の街はまず値下がりしにくい駅と言えます。

街として人気の街であるという事はもちろん重要ですし、もしくは都心部(港区、中央区、渋谷区、新宿区等)に近い、アクセスしやすい立地も値下がりしにくい駅と言えます。

値下がりしにくいマンションの特徴としては駅ももちろんですが、駅からの距離も重要になってきます。

駅から徒歩10分を超えると駅近のマンションよりも値下がりしやすくなると思われます。

値下がりしにくい駅とは駅そのものはもちろんですが、そのエリアの人気、駅からの距離など総合的に判断することをおすすめします。

東京23区の中古マンション価格相場は上がり続けている

中古マンション価格相場は上がる?

アフターコロナの現在、円安やウクライナ危機などの影響も受け、東京23区の中古マンション価格相場が、上がり続けています不動産仲介会社間においても、「売却物件が不足気味」などとささやかれており、価格上昇の異常事態が続いています。

浜崎編集長

この過熱した不動産市場の原因は、コロナ禍によるものが大きいです。

一つは、住み替えに不安を抱く人が多くなり、自宅の売却を控える人が、多くなっていることです。

一つは、世界的な金融緩和により余剰資金が大量に発生し、その矛先が住宅市場に向けられ、不動産市場が高騰していることです。日銀は金利引き上げを決定しましたが、それでも世界的な水準を見れば低金利状態にあります。

さらにウクライナ危機や中東の政治不安により石油・石炭の物流が滞り、建築資材の高騰に影響を及ぼしていることも不動産価格上昇に拍車をかけています。

この需要と供給のアンバランスにより、特に、都心に立地する中古マンション市場の高騰につながっているのです。

中古マンション在庫数

 

2022年から2023年にかけての首都圏の中古マンションの在庫数は、以下のように推移しています。

中古マンション在庫数
  • 2022年:首都圏の中古マンション在庫数は、年間を通じて増加傾向が見られました。具体的には、2022年1月時点で約36,000戸程度だった在庫数が、年末には約40,000戸に達しています。

  • 2023年:2023年に入ると、在庫数の増加がさらに顕著になり、3月には約47,000戸に達しました。その後も在庫は増え続け、9月には50,000戸を超えたと報告されています。

このように、2022年以降のマンション市場では在庫が増加傾向にあり、原因としては、価格上昇に伴う買い手の減少や、成約率の低下が影響しています。

この傾向はしばらく継続すると見られており、今後強気の価格設定での販売は見直す時期に来ているのかもしれません。

中古マンション価格

中古マンション価格は、前年同月を上回る価格となるのは、35か月連続です。中古マンションの成約価格単価は、95.83万円/㎡となり、前年同月比で7.6%上昇しています。

まとめ|マンションの価格相場は値上がり中!資産価値が下がりにくい街を選ぼう

以上、マンション価格が値上がりする要因や値下がりする要因、円安による影響、東京23区の中古マンション価格相場ランキング、間取り別中古マンション価格相場について解説しました。

円安により海外投資家が都内を中心に不動産を購入し全体の物件価格を押し上げていること、ウッドショックやウクライナ危機による資材の高騰も値上がりの大きな一因です。

コロナ禍を経てリモートワークが当たり前の社会となり、快適性を求めた住宅への需要が高まっています。通勤時間を気にしなくて良いのであれば、今後は居住地を郊外へ求める人が増加します。

一方、あくまでも利便性を重視し、都心への居住にこだわる人も増加し、二極化することが想定されます。

また、供給が需要を上回り、中古マンションが余り始めていることから、これまでのような不動産バブルはいったん落ち着きを見せるのではないかという意見も出ています。

しかしいずれにしろ、近年頻発する水害による対策を講じる必要があります。大型台風による津波の影響を考慮しますと、23区内に限っていえば、JR京浜東北線以西の台地にある居住エリアが求められます。また、荒川や多摩川、隅田川沿いや中小河川沿いは、洪水による氾濫のリスクがあるため、居住エリアとしては、相応しくありません。

以上を鑑みますと、海岸沿いや河川沿いから離れた台地上に位置し、ターミナル駅に近いエリアのマンションに人気が出て、価格も上昇するものと想定されます。