- 助成金の申請は、事前に申請することが必要
- 自治体では先着順とし予算を決めている
- 申込者が多い場合には募集が終了してしまうこともある
外壁や屋根の塗装が劣化してきたので外層塗装をしなければならない!「しかし外壁塗装にはお金が何十万もかかりそうだし、助成金や補助金の制度はないの?」と考える人も多いのではないでしょうか。外壁塗装に限定した国の制度はありませんが、自治体によっては助成金などの制度を設けている場合もあります。
そこでこの記事では各自治体の外壁塗装助成金制度の内容・助成金制度の探し方・申請の流れ・費用相場などについて解説します。きちんと申請して外壁塗装工事を極力抑えるようにしましょう。
外壁塗装で助成金(補助金)は受け取ることが可能
外壁や屋根の塗装をする場合、助成金制度はあるのですか?
外壁塗装だけの国の制度はないんだよ。しかし助成金制度を設けている地方自治体もあるよ。
地方自治体によっては外壁や屋根の塗装について助成金制度や補助金制度を設けています。助成金制度には省エネ住宅改修補助金と住宅リフォーム資金助成金などがあり、適用条件や申請方法が異なります。また地方自治体の助成金や補助金制度は、予算上の問題から限定した期間で行う場合が多いので、早めに申請した方が良いでしょう。
助成金・補助金の平均支給金額は全国で10~最大25万円
それでは外壁や屋根の塗装は、どれくらいの金額を助成してくれるのでしょうか。塗装する面積によって異なりますが、外壁塗装工事は一般的に60万円~130万円程度かかります。そのうち地方自治体が助成してくれる部分は約1割程度で、金額にすると10万円~25万円程度です。また外壁塗装の工事にすべて助成金が出るわけではなく、断熱工事であることを条件とする場合が多いです。
各自治体で利用できる助成金・補助金の支給金額と条件について
各自治体では、どんな場合に助成してくれるのでしょうか。
そうだね。助成金の受給条件としては、省エネルギー・断熱工事でなければならないことだね。
省エネルギー・断熱工事であることが、助成金・補助金を受ける条件なので、使う塗料は断熱塗料または遮熱塗料でなければなりません。助成金は施工面積に応じて支給される場合もありますが、工事費の10%・上限を25万円とする自治体が一般的です。他の条件については自治体によって異なりますが、次のような条件を設定している場合が多いです。
- 制度を初めて利用すること
- 申請を行う地域に住所があり、実際に住んでいること
- 区内施工業者に発注して行う工事であること
- 他の助成制度を利用していないこと
- 建築基準法などの法令に適合していること
- 工事費用の総額が10万円以上であること
- 前年所得が1,200万円以下であること
- 住民税を滞納していないこと
全国で使える一般的な外壁塗装やリフォーム制度
全国で利用できる外壁塗装やリフォームの制度としては国の長期優良住宅リフォーム推進事業制度があります。この制度を利用するためには耐震改修や省エネ改修などの特定性能向上工事を同時に行う必要があります。したがって外壁改修・屋根改修だけの工事については補助の対象になりにくいでしょう。
条件を満たすと思われる場合には、あらかじめ業者に相談し申請書を提出しなければなりません。補助金については、1戸あたり100万円~250万円を上限として支給されます。長期優良住宅リフォーム推進事業制度の適用を受けるためには、次のいずれかの性能向上に値するリフォームであることが必要です。
- 省エネルギー対策
- 構造躯体等の劣化対策
- 耐震性
- 維持管理・更新の容易性
- 高齢者対策(共同住宅に限る)
- 三世代同居対応で調理室・浴室・便所・玄関の複数の工事
- 子育て世帯向け改修
省エネリフォーム制度
遮熱塗料や断熱塗料を使う外壁塗装で、ある程度室内の気温を下げることができます。このように省エネリフォーム工事を行うことにより、かかった費用の一部を助成してくれる自治体もあります。しかしすべての自治体で助成制度があるわけではありません。また築年数や耐震基準などの条件を満たさなければならない、と規定する自治体もありますので、あらかじめ事前に確認しておきましょう。
◎省エネリフォーム制度の例
自治体名 | 制度名 | 上限額 | 内容 |
東京都 墨田区 | 地球温暖化防止設備導入助成制度 | 工事費の10% (上限20万) | 遮熱塗装・断熱改修 |
東京都 江東区 | 地球温暖化防止設備導入助成事業 | 施工面積(㎡)×1,000円、上限20万円 | 窓・壁等の断熱化工事 |
東京都 港区 | 高反射率塗料等材料費助成 | 高反射率塗料等の材料費の全額または 助成対象面積×2,000円 | 窓・壁等の断熱化工事 |
埼玉県 さいたま市 | スマートホーム推進・創って減らす | 1㎡あたり400円 (上限2万円) | 高遮熱塗装 |
省エネ以外の一般的なリフォーム制度
省エネリフォーム以外の一般的な改修工事を行った場合、条件によって助成金を出す自治体もあります。その場合工事内容は外壁塗装に限らないので、幅広いリフォーム工事に利用できます。子育て世帯が行う住宅のリフォームに限定している場合や、市内の業者が施行することを条件としている自治体もあります。
◎一般的なリフォーム制度の例
自治体名 | 制度名 | 上限額 | 内容 |
東京都 大田区 | 住宅リフォーム助成事業 | 助成率:10%、 上限額:20万円 | 窓・壁等の断熱化工事 |
東京都 豊島区 | 住宅修繕・リフォーム資金助成事業 | 経費の30%以内で、修繕工事は10万円、リフォーム工事は20万円が限度 | 修繕工事及びリフォーム工事 |
東京都 渋谷区 | 住宅簡易改修支援事業 | 工事費20%を助成。 上限は10万円まで | 窓・壁等の断熱化工事 |
神奈川県 座間市 | 住宅リフォーム補助制度 | 一律5万円 | 窓・壁等の断熱化工事 |
外壁塗装と屋根塗装、リフォームで使える助成金・補助金制度を探すには?
助成金や補助金の制度がある自治体を探すのは手間がかかりますよね。
いちいち各自治体のホームページから、助成金制度を探すのは大変だね。そこで検索サイを利用すれば、簡単に調べられるんだよ。
助成金や補助金の制度は各自治体に直接問い合わせをすれば良いでしょう。しかし「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を利用すれば、簡単にわかり便利です。
「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を使う
インターネットで探す場合には、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」を使うと簡単です。お住いの市町村を選び、制度内容で探すにチェックを入れれば、支援制度の一覧表がでるので手間が省けます。しかし内容が古い場合や募集期間を過ぎている場合もありますので、リンク先の各自治体のホームページで正確な情報を得る必要があります。
お住まいの自治体窓口や役場に直接問い合わせる
住んでいる各自治体に直接問い合わせれば詳細な内容を把握できます。自治体のホームページを見れば、助成制度の内容について説明されていますが、最終的には窓口で確認した方が間違いがありません。
地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイトの使い方
「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」にアクセスすると次のような画面が表示されます。
サイトでの助成制度の探し方は、お住いの市町村から探す方法と制度内容で探す方法の2つがあります。どちらの方法でも大差はありませんが、「制度内容で探す」から省エネルギーおよび都道府県名を選択したほうが、一覧で表示されるので選びやすいでしょう。
上記のような検索結果が表示されますので各自治体の制度名をクリックすると次のような支援制度の概要が表示されます。
このページでも大まかな内容は把握できます。助成制度を受けようと思う人は、下のほうの「詳細ホームページ」をクリックすれば、各区市町村の支援制度に繋がります。
補助金・助成金の申請から支給までの流れ
それでは各地方自治体のホームページにリンクした後、補助金や助成金を受け取るまでの流れについて説明しましょう。
STEP1. ホームページから助成金交付申請書をダウンロードする
自治体のホームページには制度の詳細な内容が記載されているので確認し、助成金交付申請書をダウンロードします。外装塗装工事の助成制度があるか、要件に合致するか確認し不明な点があれば直接市町村窓口に問い合わせするようにしましょう。なお、自治体の助成制度は予算が限られており、申込者が多い場合には募集が終了してしまうこともあるのでお早めに。
Step2.業者から見積書をもらう
施工業者に外壁や屋根の状況を見てもらい、工事の見積書を提出してもらいます。見積書には施工する面積や塗料の種類・費用算出根拠の記載が必要。ほかに自治体によって異なりますが、次のようなものを求められます。
- 改修前の現況写真
- 見取図や平面図
- 塗料の品質を証明するカタログ
- 住民税納税証明書
Step3.自治体に必要書類を提出する
助成金交付申請書と見積書及び上記に記したような必要書類を添付して自治体に提出します。自治体窓口に直接持参しなくても、郵送が可能な場合もあります。
Step4.交付決定
申請から交付までの期間は自治体によって異なりますが早いところで2~3日、遅い場合には3~4週間。受け付けは新年度から始まり先着順に決定され、予算がなくなると終了する自治体が多いです。
Step5.工事開始
交付が決定されたら塗装業者と契約をして工事を開始します。申請書を提出しても必ずしも許可されるとは限りませんので、交付が決定してから契約する必要があります。
Step6.自治体に報告書を提出
工事が終了したら自治体に下記のような書類を添付して、実績報告書を提出します。
- 請求書
- 工事完了写真
Step7.助成金の受領
交付が決定すると交付確定通知書が送付され助成金が振り込まれます。
補助金・助成金はどの程度役に立つ?外壁塗装の一般的な費用相場
外壁塗装の費用が掛かりすぎるのも嫌ですし、安いと品質が心配ですよね。
そうだね、高くても安くても悪質業者の可能性があるよね。また塗料と一口に言ってもいろいろな種類があるので知っておかねばならないね。
信頼できる塗装業者に依頼するためには工事の費用相場や塗料の品質についても知っておかねばなりません。それでは外壁塗装の費用及び塗料の費用について解説します。
外壁塗装の費用相場
外壁塗装工事は30坪の戸建て住宅で外壁塗装だけで60万円から90万円程度、屋根の塗装も同時に行う場合には80万円~120万円程度が相場です、塗装の値段を決めるのは、塗装する面積と塗装の種類が大きなポイントになります。塗装面積別の費用相場は、次のようになります。
延べ坪数 | 塗装面積(㎡) | 外壁塗装 | 外壁及び屋根塗装 |
30坪 | 119㎡ | 60万~90万円 | 80万~120万円 |
40坪 | 158㎡ | 90万~120万円 | 100万~130万円 |
50坪 | 198㎡ | 120万~150万円 | 130万~180万円 |
塗料(シリコン・遮熱/断熱塗料)の費用相場
最も一般的な外壁塗装は「シリコン塗料」ですが自治体によっては省エネリフォームに当てはまらず助成金が出ないということもあります。「断熱塗料」や「遮熱塗料」を使った場合、助成金や補助金対象となりやすいですが、決定権は各自治体にあります。したがって工事を依頼する前に、助成金が受けられるかどうか確認しておく必要があります。
遮熱塗料と断熱塗料とはどのように違うのでしょうか?遮熱塗料は、熱を反射し温度を逃がしにくくしますが、冬の寒さを遮る効果はありません。一方断熱塗料は室外からの熱や冷気を遮るだけでなく、部屋の暖かさを外に逃がしにくくする効果があります。そのため冬の寒さ対策をしたい場合は、断熱塗料を選んだほうが良いでしょう。塗装の種類別の施工料金は、下記のとおりです。
塗料の種類 | 施工費用 |
シリコン塗料 | 1,800~3,500円/㎡ |
遮熱塗料 | 2,300〜3,500円/㎡ |
断熱塗料 | 2,400〜4,000円/㎡ |
まとめ
外壁塗装に限定した国の助成金や補助金制度はありませんが、自治体によっては制度として定めているところもあります。しかしすべての自治体が行っているわけではないので、あらかじめ確認する必要があります。また助成金の申請は、事前に申請することが必要で、工事が始まってからでは受け付けてもらえません。さらに自治体では、先着順とし予算を決めているので、申込者が多い場合には募集が終了してしまうことも。
外壁塗装工事はお金がかかるものなので、自治体の助成金制度を利用して工事費をできるだけ抑えましょう。