- 20代でのマンション購入は十分可能
- 新築ではなく中古物件がおすすめ
- 失敗しても売却できる物件を選ぶことが購入のコツ
独身の20代であっても早くマンションが欲しいと思う人もいるでしょう。
国税庁が実施した「平成30年分民間給与実態統計調査」によると、20代前半の平均給与は277万円、20代後半は365万円です。
参考:1 平均給与|国税庁
働いてから年数が浅く他の資産形成も途上である中、20代がマンションを購入することは現実的なのでしょうか。
この記事では20代マンション購入の実態、メリットやデメリットに迫ります。
20代で東京都内のマンション購入したいなら手取り年収500万円が目安
結論からいえば東京都内のマンションを購入するなら、手取り年収500万円が一つの目安になります。
無理なくゆとりを持って返済し続けるには「返済比率(収入に対する返済額の割合)」を20〜25%程度にとどめるのがよいと言われています。返済比率から予算を考え、月々の返済額をシミュレーションしてみましょう。
《返済比率25%、35年固定金利1.4%の場合》
年収 | マンション価格 |
月々返済額(管理費等除く)
|
300万円 | 1,700万円 | 51,222円 |
400万円 | 2,200万円 | 66,288円 |
500万円 | 2,800万円 | 84,366円 |
600万円 | 3,400万円 | 102,445円 |
700万円 | 3,900万円 | 117,510円 |
800万円 | 4,450万円 | 134,082円 |
900万円 | 5,000万円 | 150,654円 |
1,000万円 | 5,600万円 | 168,733円 |
東京都内と一口に言ってもマンション価格には大きな幅がありますが、23区内の1LDK〜2DKの中古マンション相場は2,000万円〜4,000万円程度です。(参考:東京都の中古マンションの価格相場一覧(間取り-市区郡)| 中古住宅HOME4U(ホームフォーユー))
上記の条件に当てはめれば年収500万円以上ならある程度選択肢は広がるでしょう。もちろん返済比率を高めれば年収500万円以下の人もマンション購入に手が届きます。
しかし余裕を持って返済するためには、やはり500万円が一つの目安と言えそうです。
20代でも住宅ローンは組める?
20代に限らずマンションを購入する際は住宅ローンを利用するケースがほとんどでしょう。住宅ローンを組むには審査に通らなければいけません。
住宅ローンの審査では主に以下の項目がチェックされます。
- 健康状態
- 年齢(申込年齢と完済時の年齢)
- 勤務先・勤務年数・雇用形態
- 年収
- 個人信用情報
健康な20代なら①②を理由に審査に落ちることはないでしょう。問題は③〜⑤です。
20代は社会に出て数年程度しか経っていないことがほとんどです。勤続年数があまりに短いと転職して年収が下がるリスクを懸念され、大きなローンが組めないおそれがあります。
しかし資本金の多い大企業に正社員として勤めているなら、20代であっても住宅ローンが組める可能性は高いと言えます。
ただし⑤個人信用情報 に傷がある場合は別です。個人信用情報とはクレジットカードや各種ローンの取引に関する情報です。
例えばクレジットカードの支払いやスマホ端末の割賦払いなどで延滞を繰り返していると、個人信用情報にマイナスの記録が残ります。住宅ローンの審査時に参照され「ローン返済も滞るのではないか」との懸念からローンの審査に不利に働くことがあります。
そのため20代でも住宅ローンを組める可能性が高い人の条件は以下の通りです。
- 健康である
- 大企業に勤める正社員または公務員
- 個人信用情報に傷がない
事務員
浜崎編集長
20代でマンションが欲しいなら中古マンションの購入がおすすめ!
マンション購入を検討し始めると「新築」vs「中古」で悩むことでしょう。
新築マンションは最新の設備を搭載している、住宅ローン減税の恩恵を受けられるといったメリットもありますが、その分購入費用は中古マンションより高い傾向です。
新築マンションの販売価格には広告宣伝費をはじめとする諸経費が上乗せされていることが多いためです。
20代は今後転職や結婚といった人生の転機を迎える可能性が大いにあります。そのとき購入したマンションが必ずしもライフスタイルに合うとは限りません。
仮に購入した新築マンションを売却するとなった場合、大きな負債を抱えるおそれがあります。
20代は基本賃貸が中心となっている
国土交通省 住宅局発表の「平成29年度住宅市場動向調査」によると、分譲マンションを購入した人のうち6.5%が30歳未満だそうです。
やはり20代でマンションを購入するのは少数派です。年収や条件面で合うマンションが見つからなければ、当面は賃貸物件に住み続けるのも一つの手と言えるでしょう。
事務員
浜崎編集長
20代でマンションを購入するメリット
収入がまだ少ない20代がマンションを購入するには、さまざまな制約を伴うことがわかりました。しかし早くにマンションを購入することにはたくさんのメリットがあります。
1つ1つ確認していきましょう。
マンションを購入するために必要健康面のリスクが低い
前述したように住宅ローンの審査基準の1つに「健康状態」があります。なぜ健康状態が重視されるのかというと「団体信用生命保険」への加入の可否に大きく影響するためです。
団体信用生命保険とは住宅ローン専用の生命保険商品のこと。債務者が万一死亡したり高度障害状態になった場合、銀行は残債を回収できない事態に陥るおそれがあります。
それを回避するためにあるのが団体信用生命保険で保険ですから当然健康状態の審査があります。 一般的に歳を重ねるほど病気のリスクは高まります。
仮に大病を患った場合、団体信用生命保険への加入を断られるおそれがあります。
立地の条件が良い物件が多い
コンパクトマンションは駅が近い・近隣に商業施設があるなど、立地条件が良い物件が多いです。一般的に立地条件が良い物件は資産価値が下がりにくいとされています。
いざというとき売却に有利になる可能性が高いため立地条件の良さは大きなメリットになり得るでしょう。
間取りが広い
8万円の家賃で住める賃貸物件と月々8万円の返済で購入する分譲マンションなら、後者の方が間取りが広い傾向にあります。
また水回りの設備が充実している、セキュリティが磐石である等の特長もあります。一人暮らしと言えど住み心地は大切ですよね。マンションを購入すれば、生活の満足度が格段に上がるでしょう。
年齢と共に年収も上がっていくので返済が楽になっていく
20代は伸び代だらけ。これは年収面でも言えることでしょう。
仮にマンション購入時の年収が400万円で20年後800万円にアップすれば、単純計算で年収に対する返済比率は半分になります。返済が楽になることは容易に想像できますね。
住宅ローンの返済が早く終わる
言わずもがなのメリットですが住宅ローンの返済が早く終わる点も大きなメリットです。
長期のローンを組むことができるので月々の返済額は少なく済みます。例えば25歳で35年ローンを組んだ場合、繰上げ返済をしなくても60歳で完済できます。
以後住宅費用がかからない(ただし管理費や修繕費は必要)ことを考えれば、老後の資金計画はかなり楽になるでしょう。
事務員
浜崎編集長
20代でマンションを購入するデメリット
20代のマンション購入にはメリットもある一方、デメリットも存在します。両面をしっかり把握した上でマンションを購入すべきか考えたいところです。
条件面で妥協する可能性が高い
20代がマンションを購入する上でもっとも大きな懸念点となり得るのが収入です。
冒頭でもお伝えしましたが20代前半の平均給与は277万円、20代後半は365万円。無理なく返済できる金額は限られます。
収入はマンション購入額に直接大きな影響を与えます。収入が少なければ予算を落とさざるを得ないでしょう。
間取り、築年数、立地など、希望する条件と予算が釣り合わなければ、妥協も必要となるかもしれません。マンションは大きな買い物ですから妥協すると後悔につながるおそれもあります。これは大きなデメリットとなり得る点です。
転勤や引越しなどがしにくい
マンションを購入した後に転勤の辞令が…。住んでみると近隣環境が気になり引っ越ししたい…。
いざ購入したマンションに住み始めても、あらゆる理由で転居を検討する機会が訪れるかもしれません。先の長い20代はなおさらです。賃貸住宅なら解約さえすれば引っ越すことができますが分譲マンションは買い手(または借り手)が見つからなければ引っ越しは難しいでしょう。
管理費や維持費がかかる
管理費や修繕費などのランニングコストは住む年数に比例して支払額が大きくなります。
20代でマンションを購入し老後まで住むとなれば、住む年数は数十年に及びます。その分維持費は膨らむため負担は小さいとは言えません。
当然ながらローン完済後もかかる費用なので、しっかり考慮した上で資金計画を立てるべきです。
独身で結婚の予定がある場合はマンション購入は現実的ではないことも
独身のうちに自分の希望を満たすマンションを手にしても、結婚・出産後は希望に合わなくなる可能性が高いです。
家族で住むならファミリー向けマンションや戸建ての方が適しているからです。また将来の家族の事情や意向により、購入したマンションに住み続けるのは難しくなるかもしれません。
結婚の予定があるなら急いでマンションを購入すると失敗するおそれがあります。
浜崎編集長
まとめ
20代でマンション購入に踏み切る人は少ないのが現実ですが購入は十分可能です。
住宅ローンの審査は年収だけでなく健康状態や将来性も考慮されるため、20代だからといって必ずしも不利ではありません。ただし、やはり年収が低い場合購入できる物件が限られるのは事実。新築ではなく中古なら、ある程度選択肢は広がるでしょう。
20代でマンションを購入するメリットはたくさんあります。歳を重ねるごとに返済が楽になったり、ローンの返済が早く終わったり、また立地や間取りの条件が良い物件を選べたりと、若いからこその特権があります。しかし不確実性の高い20代はマンション購入に失敗するリスクもあります。
失敗しても売却できる物件を選ぶことが20代のマンション購入のコツとも言えるでしょう。