住宅ローン加入時に検討する団信(団体信用生命保険)とは?種類と保障料と保障内容、つける・つけないの判断基準

この記事のざっくりしたポイント
  1. 団信は契約者が死亡または高度障害状態になったときに保険金が支払われる保険
  2. 50歳時点での住宅ローン残高を元に特約を付けるかを考えるのがおすすめ
  3. 団信の保険料は年齢や健康状態の影響を受けないため、民間の生命保険の方がおトクなケースもある

ほとんどの住宅ローンで加入が義務付けられている団体信用生命保険。返済中の死亡に備えられるなど概要をなんとなく知っている人は多いと思いますが、民間生命保険との違いや詳しい保険金支払い条件、注意点まで把握していますか?

もちろん役目を果たさないに越したことはありませんが、いざというときにしっかり役立てられるよう詳細を確認しておきましょう。本記事では団体信用生命保険について徹底解説します。

住宅ローンの団信(団体信用生命保険)とは

住宅ローンの団体信用生命保険、通称団信は契約者が死亡または高度障害状態になったときに保険金が支払われる保険です。保険受取人は住宅ローンの融資を行う銀行等で、保険金額は死亡・高度障害状態になった時点での住宅ローン残高相当額です。住宅ローンを主に返済する家族に万一のことがあった場合、遺された家族は家を失うおそれがあります。また、銀行は貸し倒れのリスクがあります。

このような事態を避けるためにも住宅ローンを組む際には団信への加入が基本的に必須となっています。フラット35など一部例外として加入が義務付けられていない住宅ローンもあります。また任意でがん・三大疾病といったリスクに備えることも可能です。

団体信用生命保険と民間の生命保険との違い

死亡・高度障害状態に備えるなら民間の生命保険でもいいのでは?と思う人もいるでしょう。確かにどちらも死亡した場合に保険金が支払われるという点は共通していますが保険金額に大きな違いがあります。その他の違いも含め以下にまとめました。

団信の場合加入後間もなく死亡すると保険金額が大きいです。そして期間が経過するほど、返済が進み住宅ローン残高が減るほど保険金額は小さくなります。一方民間生命保険はあらかじめ決めた金額が保険金として支払われ、基本的には保険期間を通じて一定です(逓減保険や収入保険など変動するものもある)。また、民間生命保険の保険金は相続人に支払われるため、相続税などの課税対象です。

両者の違いを踏まえると、住宅ローンの返済に備えることだけを目的とするなら団信が適役と言えるでしょう。

住宅ローンの団体信用生命保険3種類と保障内容

団信は任意で特約を付加して保障の幅を広げることが可能です。住宅ローンの返済が難しくなる要因は死亡や高度障害状態だけではありません。債務者が重篤な疾患に罹患すると現在の収入が途絶えてしまうおそれがあります。そのようなリスクに備えるには特約が有効です。特約にはガン特約、三大疾病特約、八大疾病特約、介護特約、全疾病就業不能特約などがあります。代表的な団信の保障内容を確認しておきましょう。

一般的な団体信用生命保険

特約が付いていない「団体信用生命保険」は死亡・高度障害状態にのみ備えるものです。基本的に上乗せ金利は不要で住宅ローンの借入金利の中に保険料が含まれています。また特約は任意であるのに対し、団信そのものは加入必須としている住宅ローンが多いです。

三大疾病特約付団体信用生命保険

三大疾病特約を付けると死亡・高度障害状態に加え、以下の疾病で所定の状態になった場合にも住宅ローン返済が免除になります。

住宅ローン返済が免除になる三大疾病
  1. がん(診断確定)
  2. 急性心筋梗塞(60日以上の労働制限)
  3. 脳卒中・脳梗塞(60日以上後遺症が継続)

がん以外の2疾患は診断されるだけでなく症状が継続していることが条件となっているものが多いです。三大疾病特約を付けるには0.2%前後の上乗せ金利が必要です。

八大疾病特約付団体信用生命保険

八大疾病特約は、さらに保障の幅が広がります。三大疾病に5つの慢性疾患が加わります。

住宅ローン返済が免除になる八大疾病特約
  1. がん
  2. 急性心筋梗塞
  3. 脳卒中・脳梗塞
  4. 糖尿病
  5. 高血圧性疾患
  6. 肝硬変
  7. 慢性膵炎
  8. 慢性腎臓病

5つの慢性疾患は直ちに死に直結することは少ないですが就労に支障をきたす恐れがあると一般的に言われています。条件は住宅ローン商品によって様々ですが1年を超えて就労不能状態が継続すると保険金が支払われるものが多いようです。なお八大疾病特約を付けるには0.3%前後の上乗せ金利が必要となるでしょう。

将来自分が健康でいられるか、あるいはどんな病気にかかるかなんてわからないからこそ、どの団信を選ぶべきか悩みます…

未来のことは誰にもわからないので、保険料の金額や客観的なデータを元に判断するのがおすすめです!

団体信用生命保険には注意点がある

ここまでで住宅ローンが返済不能となった場合に大きな恩恵をもたらす団信の重要性がおわかりいただけたと思います。団信に加入しようと決意した人もいるかもしれません。しかしちょっと待った!民間の生命保険がおトクなケースもあります。注意点を踏まえて、どちらが適切か今一度考えてみましょう。

団体信用生命保険には保険金が支払えないケースもある

団信は住宅ローンの返済が免除になる可能性がある有用な保険ですが、すべてのリスクをカバーできるものではありません。例えばうつ病などの精神疾患、不慮の事故などで就労不能となるリスクは誰にでもあるでしょう。万一の場合が不安で住宅購入に踏み切れないという人は民間の生命保険にも加入して備えるのも手です。民間の生命保険の方がバラエティに富んでおり、自分に合ったものを選びやすいでしょう。

年齢や健康状態に応じて保険料や保障内容が手厚くなる

民間の生命保険は若いほど1回あたりの保険料が安いという特徴があります。また健康状態が良い、非喫煙者であるなど条件を満たせば保険料が割引になるケースも。一方団信の保険料は住宅ローン金利に含まれるため年齢や健康状態は考慮されません。

MEMO
若くて健康な方は民間の生命保険の方が実質の保険料が安く済むかもしれません。

民間の生命保険に加入していると重複し支払い料金が増える

すでに民間の生命保険に加入している人は、その保険で住宅ローン債務に備えられないか確認してみましょう。借入額をカバーするほどの十分な保険金額なら、その保険を継続して団信に加入しないという手もあります。あるいは団信に加入するなら加入中の民間生命保険を見直してください。

団信に加入すれば万一亡くなった場合遺族に家を残せますから加入中の生命保険が過剰となる可能性があります。保障が過剰ということは、保険料の負担が大きすぎるかもしれません。

住宅ローンを組むタイミングは生命保険などを見直すチャンスです!不要な保障を削れれば、家計の節約に役立ちますよ。

団信の特約はつける?つけない?判断基準について

団信に加入することを決めたら次は特約について考えましょう。特約を付ける・付けないの判断基準を解説します。

30代以降、特に50代を超えると3大疾病にかかりやすくなる

特約が必要かどうかを判断する大きな要素として、年齢が挙げられます。以下は三大疾病の患者数の年齢分布表です。

年齢分布悪性新生物(がん)心疾患脳血管疾患
0〜19歳9千人7千人1千人
20〜29歳10千人6千人2千人
30〜39歳31千人15千人6千人
40〜49歳104千人49千人30千人
50〜59歳190千人110千人69千人
60〜69歳439千人318千人214千人
70〜79歳572千人542千人341千人
80歳以上424千人696千人452千人
総数1,782千人1,732千人1,115千人

参考:厚生労働省 平成29年患者調査 ※千人以下切捨て・総数には年齢不詳者も含む

上記を見てわかる通り、どの疾患も50歳台あたりから患者数が急増しています。そのため住宅ローン申し込み時の年齢、そして50歳時点での住宅ローン残高を元に特約を付けるかを考えるのがおすすめです。50歳前に完済できるのであれば、三大疾病特約が役立つ可能性は少ないかもしれません。

若いうちは三大疾病になる確率は低いんですね。

あくまで確率なので、当然リスクがないわけではありません。でも50歳までに完済できるなら、高い保険料を払う必要性は低いかも。

三大疾病特約にかかる保険料のシミュレーション

三大疾病特約を付けた場合、実質支払う保険料がどのくらいなのか試算してみましょう。

《事例》

  • 住宅ローン借入額:3,000万円
  • 返済期間:35年
  • 月々元利均等返済
  • 金利:1.0%(固定)
  • 三大疾病特約の上乗せ金利:0.3%
(1)団信のみ加入(2)団信+三大疾病特約
月々の返済額84,685円88,944円
トータルの返済額35,567,804円37,356,564円

住宅保証機構株式会社 住宅ローンシミュレーションにて試算

(2)−(1)が三大疾病特約の保険料です。つまり上記のケースでは月払い保険料は4,259円になり、トータルでは1,788,757円もの差が生じます。この金額を払ってでも保障をつける価値を見出せるかが判断の決め手と言えますね。民間保険会社の三大疾病保険の保険料ともしっかり比較してください。

注意
なお借入額が大きいほど保険料は大きくなります。上記はあくまで3,000万円借り入れた場合なので実際の借入額を元に計算してくださいね。

特約をつけた方が良い人の基準

以上を踏まえ三大疾病特約を付けた方が良い人の特徴をまとめます。

三大疾病特約を付けた方が良い人の特徴
  • 借り入れ時点での年齢が高い
  • 借り入れ期間が長い
  • 60歳時点で住宅ローン残高が8桁以上残る見込み
  • 借り入れ時点で三大疾病保険に加入していない

大きな基準となるのは年齢です。借り入れ時点での年齢が高く完済予定年齢が60歳を超えるなら、特約を検討する余地は十分にあると思います。前述したように50歳を超えると三大疾病のリスクが高まるからです。また60歳以上になると収入が減るリスクもあります。

MEMO
借り入れ時点で民間保険会社の三大疾病保険に加入しているならそれを継続するのも一案ですが、加入していないなら特約で備えるのは得策と言えそうです。

まとめ

団信がどういう時に役立つのか、また様々なリスクに備える団信の種類を紹介しました。民間の生命保険でも死亡や高度障害、あらゆる疾病での就業不能状態に備えることができますが、変動する住宅ローン残高への備えなら団信には勝りません。

しかし、団信の保険料は年齢や健康状態の影響を受けないため、民間の生命保険の方がおトクなケースもあります。一概にどちらが良いとは言えないため、借入額、申し込み時点での年齢などを元にシミュレーションを行うことが重要です。大切なマイホームをいざという時に家族に残せるよう、備えについてもしっかり考えてくださいね。