- 独身女性でマンションを購入する人は増加している
- 結婚する際に理想の家に引っ越しする可能性もあることは念頭に置くことが大切
- 独身女性でマンションを購入して良かったケースや後悔したケースをご紹介
生涯未婚率を含めた単身世帯率が年々上昇していることに伴い、独身でマンションを購入する人は増加傾向にあります。
その中でも、30代の方から40代の独身女性がマンションを購入する割合が増えているそうです。女性の働く環境が増えた背景もあるでしょう。そこで心配になるのは今のように働けなくなる老後のこと。
「老後も安心した住まいを確保するために、今の賃料と同じ額を払い続けながら、老後は支払いが0で住める持ち家がいい。」そう考えて計画的に行動し始めている女性が増えています。
同じ賃料でも、払い続けていくと高額になる持ち家で失敗や後悔はしたくはないはず。そこで独身女性がマンションを購入して後悔しがちなケースや、後悔しないために気を付けたい注意点やメリットを解説していきますよ!
更に、年収がいくらあれば無理ない住宅ローンを組めるのかも年収毎に解説していきます。
年収300万の場合や、年収500万の場合など年収別に分けた返済をシミュレーションしました!独身女性で、マンション購入を検討している方は是非参考にしてみてくださいね!
独身でマンションを購入する女性が増加している
独身でマンションを購入する人が増加しています。晩婚化・住宅ローンの低金利・老後不安・資産形成願望などが要因となっています。リクルートによる住宅情報サイト「SUUMO」によりますと、スーモカウンターに購入相談に訪れた独身女性の割合は、以下のように3年間で約2.6倍に増加しています。
- 2014年:3.7%
- 2016年:9.9%
また独身女性のマンション購入理由を購入者への調査結果から集計しますと下表の通りです。
順 位 | 理 由 | 割 合 |
1位 | 老後の安心のため | 35.9% |
2位 | 金利が低く買い時だと思ったから | 29.4% |
3位 | 資産を持ちたいと思ったから | 28.2% |
出所:SUUMO|独身女性のマンション購入理由の割合
「老後の安心のため」が最も多く「資産を持ちたい」が第3位に入り、独身女性の将来に対する不安が購入理由に結び付く結果となっています。
生涯未婚率が近年上昇しているのも影響している
独身でマンションを購入する人が増加している背景には生涯未婚率が近年上昇していることも影響しています。生涯未婚率は50歳までに一度も結婚したことのない人の割合です。国立社会保障・人口問題研究所の研究調査による生涯未婚率の推移は下表の通りです。
年次 | 男性 | 女性 |
1960年 | 1.26% | 1.88% |
1970年 | 1.70% | 3.33% |
1980年 | 2.60% | 4.45% |
1990年 | 5.57% | 4.33% |
2000年 | 12.57% | 5.82% |
2010年 | 20.14% | 10.61% |
2015年 | 23.37% | 14.06% |
出典:「人口統計資料集(2020)」|国立社会保障・人口問題研究所
上表を見ますと1980年までは男性女性ともに生涯未婚率は5%以下でした。2015年になりますと男性の生涯未婚率は23.37%、女性の生涯未婚率は14.06%まで増加しました。したがって独身でのマンション購入は生涯未婚率の増加と共に増加する傾向にあります。
独身でマンション購入後に後悔するケース
独身で賃貸に住んでいた方が良いのは、どの様な人ですか?
実家を相続する予定の人や結婚する予定のある人、勤務先から家賃補助を受けている人は賃貸に住んでいた方が良いと言えます。
実家を相続してしまった
独身で賃貸に住んでいた方が良いケースとして将来において実家を相続する可能性があり、実家から通勤できる環境にある人です。将来の住居や資産に対する不安などを理由として独身の人がマンションを購入する場合が多いです。しかし、実家を相続できる可能性が高い人であれば将来の住居や資産の不安を軽減できますので、賃貸に住んでいた方が良いともいえます。
結婚してライフスタイルが変わった
将来において結婚する予定のある人は賃貸に住んでいた方が良いといえます。結婚前と結婚後とでは独身時と比較して、生活スタイルが大幅に変化します。独身時の生活スタイルでマンションを購入しますと広さや間取り、設備などが結婚後の生活スタイルと合わなくなる可能性があります。また子供ができますと家族数が増加し手狭になります。
勤務先から家賃補助を受けていた
福利厚生や様々な支援制度が整っている企業は賃貸住宅に入居している社員に対して、家賃補助を出す場合があります。しかし住宅を購入しますと家賃補助は無くなります。家賃補助を受けられる人は賃貸住宅に入居しながら、家賃補助分を毎月貯蓄に回して自己資金を蓄えた方が良策です。将来におけるマンション購入時に、自己資金の割合を大きくすることができます。
後悔しないために!独身のマンション購入選びで注意するポイント
独身でマンションを購入する注意点は何ですか?
間取りや立地、近隣トラブル、給与収入の見通しなどとなります。
1R〜1LDKなどの単身向けマンションは売却しにくい
単身者向けマンションは実需向け(自身が住むことを目的として購入する人)には売却しにくくなります。特に独身者の場合、将来において結婚を想定して購入する場合が多くなりますので2LDK~3LDKなどの間取りを好む傾向にあります。
一方、投資家向け(賃貸マンションとして活用することを目的として購入する人)には需要があります。若いサラリーマンや学生などの単身者は、1R~1LDKなどの間取りを有する賃貸マンションを好む傾向にあります。そういった単身者に対して賃貸する目的で投資家は購入します。ただし投資家は利回りを重要視しますので、売却価格に対して値引き交渉が入ります。希望売却価格の30%~40%の値引きを要求される可能性もあります。
結婚する際に理想の家に引っ越しする可能性も
独身でマンションを購入する際、1R~1LDKといった間取りを選択しますと、結婚後に家族が増えた場合、手狭になり引越しを余儀なくされることとなります。特に子供が増えますと部屋数を増やしたくなりますので、3LDK~4LDKといった間取りの家に移りたくなります。
老後を想定したマンションを購入しないと将来不安
独身でマンションを購入する際、勤務先までの通勤時間を優先して、オフィス街に立地するマンションを購入した場合があります。しかし老後において生活スタイルが合わなくなる不安が生じます。
オフィス街であれば老後の生活に必要な病院や介護施設などが不足している場合もあります。また高層化されたビルやマンションなどが立ち並びますので、日常生活に必要な買い物などをする際、階段・エレベーター・エスカレーターといった垂直移動が多くなります。
近隣住人とトラブルが起きても引っ越せず後悔することも
独身でマンションを購入した場合、近隣住人とトラブルが生じても、簡単に引越しをすることができず後悔することがあります。例えば階上のマンション住人の生活音が騒音レベルの場合や水漏れを発生させて放置された場合です。意外と問題を起こしている本人は気づいていないことが多く、注意しますと感情的になり、余計にこじれる場合もあります。
若いうちは収入に変動があるため返済が困難になる時期も
独身でマンションを購入した場合、転職や勤務先でのリストラ、倒産といった理由で、収入に大きな変動が生じることがあります。収入が激減しますと住宅ローンの返済が滞ることもあります。賃貸マンションに入居していれば収入が激減しても、家賃の低いアパートなどへ引っ越しをし対応できます。しかしマンション購入後の場合、売却も困難になる場合が多くなります。
返済で後悔しがち!独身でマンション購入する年収!
独身でマンションを購入する場合、年収の違いによるマンション価格帯をシミュレーションしてみます。ここでは金融機関が住宅ローン融資額を決める際、参考データの一つとして採用している返済比率を利用します。以下を考慮して算出します。
- 返済比率20%:比較的余裕をもって返済できる割合
- 返済比率35%:借入限度額となる割合
返済比率は年収に対する住宅ローン返済額の割合のことです。返済比率を検証することにより、無理のない支出となっているか否かの判断をすることができます。返済比率の計算式は下記の通りです。
返済比率(%)= 住宅ローン年間返済額 ÷ 年収 × 100
年収300万円、500万円、700万円、1,000万円の場合の借入可能額・借入限度額をそれぞれ算出します。住宅ローンの条件として借入期間:35年、借入金利:1.5%を設定します。また計算プログラムとして、住宅保証機構株式会社のWEBサイトに掲載されているものを利用します。
年収300万円のケース
年収300万円の場合、借入可能額・借入限度額の目安を下表にまとめます。
返済比率 | 住宅ローン借入額 | 毎月ローン返済額 |
返済比率:20% (余裕をもった借入可能額) |
1,633万円 | 5万円/月 |
返済比率:35% (借入限度額) |
2,841万円 | 8.7万円/月 |
上表より、以下の通りとなります。
- 住宅ローン借入額:1,208万円の差額
- 毎月ローン返済額:3.7万円の差額
年収500万円のケース
年収500万円の場合、借入可能額・借入限度額の目安を下表にまとめます。
返済比率 | 住宅ローン借入額 | 毎月ローン返済額 |
返済比率:20% (余裕をもった借入可能額) |
2,710万円 | 8.3万円/月 |
返済比率:35% (借入限度額) |
4,735万円 | 14.5万円/月 |
上表より、以下の通りとなります。
- 住宅ローン借入額:2,025万円の差額
- 毎月ローン返済額:6.2万円の差額
年収700万円のケース
年収700万円の場合、借入可能額・借入限度額の目安を下表にまとめます。
返済比率 | 住宅ローン借入額 | 毎月ローン返済額 |
返済比率:20% (余裕をもった借入可能額) |
3,788万円 | 11.6万円/月 |
返済比率:35% (借入限度額) |
6,662万円 | 20.4万円/月 |
上表より、以下の通りとなります。
- 住宅ローン借入額:2,874万円の差額
- 毎月ローン返済額:8.8万円の差額
年収1,000万円のケース
年収1,000万円の場合、借入可能額・借入限度額の目安を下表にまとめます。
返済比率 | 住宅ローン借入額 | 毎月ローン返済額 |
返済比率:20% (余裕をもった借入可能額) |
5,421万円 | 16.6万円/月 |
返済比率:35% (借入限度額) |
9,504万円 | 29.1万円/月 |
上表より、以下の通りとなります。
- 住宅ローン借入額:4,083万円の差額
- 毎月ローン返済額:12.5万円の差額
返済比率20%の借入額と返済比率35%の借入額を比較しますと、約1.75倍の差額が生じます。不動産会社の中には借入限度額まで住宅ローンを利用させる営業マンがいます。決して営業マンの言いなりにならず、上記で解説した様々な検討事項に配慮した上で借入額を決めることが大切です。
独身でマンションを購入して良かったケース
独身でマンションを購入した方が良いのは、どの様な人ですか?
転職予定や転勤予定の無い人などになります。
勤務先が変わらない、転勤の予定がない
転職する予定の無い人や転勤の予定が無い人は独身でもマンションを購入した方が良いケースといえます。購入したマンションに住み続けることができるため、家賃を支払う必要がなくなります。住宅ローンを完済しますと完全に自己所有となります。
勤務先や転勤の可能性が大きい場合、購入したマンションを売却や賃貸にする必要性が生じます。売却期間が長期間に亘る場合には転勤先での家賃の支払いと住宅ローンの返済と二重に支払いが生じることになります。賃貸として活用する場合、空室が長期間に亘りますと、上記と同様なことが生じます。
「賃貸に住んでいた方が良いケース」に当てはまらない方
上記で解説しました「賃貸に住んでいた方が良いケース」に当てはまらない方にとっては独身でもマンションを購入した方が良いといえます。以下などです。
- 実家を相続する予定の無い人
- 結婚する意志が無い人、結婚する可能性が無い人
- 勤務先から家賃補助などのサポートを受けていない人
独身でマンションを購入するメリット
独身でマンションを購入するメリットは何ですか?
老後の家賃の心配が無くなることや生命保険代わりになること、資産運用できることなどです。
老後に家賃を支払う必要がない
独身で30歳~40歳の時にマンションを購入しますと、定年退職までに住宅ローンを完済できれば老後に家賃を支払う必要はなくなります。生産年齢人口は年々減少傾向にありますので、年金支給額も年々減少傾向にあります。家賃の負担が無くなるだけでも老後の家計にとっては助かります。
団体信用生命保険に加入すれば生命保険の代わりになる
マンションを購入する際、住宅ローンを利用する条件として、団体信用生命保険への加入を義務付ける金融機関が一般的です。団体信用生命保険に加入すれば、生命保険の代わりになります。団体信用生命保険(団信)は住宅ローンの主債務者が、ローン返済中に以下に適用されます。
- 亡くなった場合
- 高度障害者になった場合
保険会社が主債務者に代わり、住宅ローンの残債を全額弁済してくれる補償保険です。メリットは住宅ローン返済義務が無くなりますので、遺族や高度障害者になった主債務者にとっては経済的負担が無くなります。デメリットはローン残債を補償する分、金利は若干上がります。通常の住宅ローン金利に0.3%前後の金利が上乗せされます。
マンションは売却や賃貸など資産運用できる
マンションは立地や設備の維持管理状態によっては、売却や賃貸などに資産運用することができます。しかし購入時に出口(売却)戦略も併せて検討する必要があります。自身の好みだけでマンションを購入しますと売却も賃貸もできなくなるからです。
売却といった出口戦略や賃貸まで検討する場合、マンション購入時に考慮しないといけない優先事項は立地、価格・築年数、利回り、設備の順となります。これらを間違えなければ売却や賃貸といった資産運用が可能となります。
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まとめ
以上、独身でのマンション購入の増加や賃貸の方が良いケース、購入する方が良いケース、購入のメリット・注意点、年収別の借入額のシミュレーションを解説しました。独身でマンションを購入する際、検討しておきたい項目を挙げますと、以下の通りとなります。
- 売却し易い物件か?(出口戦略)賃貸し易い物件か?:交通の便・生活の便など
- 生活スタイルの変化に対応できる広さ・間取りか?
- 各種制度の恩恵を受けることが可能な物件か?:住宅ローン控除・すまい給付金など
- 勤務先状況は大丈夫か?:転勤の有無・リストラの有無・倒産の有無など
- 購入候補物件の近隣環境・近隣住民に問題はないか?:水害、騒音・水漏れなど
これらを事前に考慮し解決しておくことにより、マンション購入後において快適な生活を送られることをお勧めいたします。