- 住宅の購入費用だけでなく諸費用まで借りられる
- 諸費用を住宅ローンに含めて借りられれば、安い金利を享受できる
- オーバーローンで借りたお金を他の用途に使うことはできない
「住宅を購入したいが自己資金を十分用意できない、諸費用も含めて住宅ローンを借りられないの?」と考える人もいるのではないでしょうか。
金融機関によっては物件の購入費に諸費用を加えて融資を受けられる場合があります。これをオーバーローンと言いますが、住宅ローンの低い金利が適用になるなどメリットがありますが、反面デメリットもあります。
この記事ではオーバーローンで借入する際の注意点や契約違反がバレる原因・離婚時のトラブルなどについて解説します。
オーバーローンとは
事務員
浜崎編集長
自己資金が十分なくても住宅の購入ができる
住宅を購入する場合には売買契約書に記載される金額以上にさまざまな費用が掛かります。オーバーローンは、頭金や諸費用まで借りられるので、自己資金が十分なくても住宅の購入ができます。結婚や出産などですぐに住宅が欲しい人や貯金がない場合には利用するメリットがあると言えます。しかし無計画で借入をすると返済できなくなることもあるのできちんと返済計画を作り無理のない範囲で借入をしなければなりません。住宅ローンに含められる諸費用には次のようなものがあります。
- 火災保険料
- 登記費用
- 保証料
- 司法書士への謝礼
- 不動産会社への仲介費用
- 印紙税
- 修繕積立金
- 引っ越し費用
- 水道負担金
低い住宅ローン金利の適用が受けられる
住宅ローンとは別枠で諸費用ローンを借りる場合の金利は変動タイプで4%台。しかし住宅ローンの適用が受けられれば変動金利では0.5%程度、固定金利でも1%台で借りられます。したがって諸費用も含めて住宅ローンを利用した方が、金利は圧倒的に低くて済みます。
住宅ローン控除の利用が可能
住宅ローン控除は住宅ローンを利用して住まいを購入した場合、ローン残高の1%を10年間にわたって所得税や住民税から控除できる制度。消費税増税後の2020年12月末日までに入居した場合には適用期間は13年間。住宅購入費だけでなく、諸費用の分まで控除できるのでお得と言えます。
手元に資金を残せる
預貯金がある場合にはオーバーローンをすることにより手元には現金を残せます。そのため不意の出費があった場合でも心配は要りません。また変動金利を利用している場合には金利の上昇による返済額の増加にも対応できるでしょう。
フルローンとの違い
オーバーローンと同じような言葉にフルローンがありますが物件価格と同額までの借入をすることを言います。オーバーローンは諸費用の分まで借入ができますがフルローンは住宅の頭金を含めた購入資金を借入れ、諸費用は自己資金で支払うという違いがあります。まとめると次表のようになります。
住宅購入資金 | 諸費用 | |
オーバーローン | 〇 | 〇 |
フルローン | 〇 | × |
オーバーローンの注意点について
事務員
浜崎編集長
物件購入後すぐ売却する際は購入時より高い金額で売却する必要がある
購入したばかりの住宅を直ぐに手放さざる得なくなった場合は高い金額で売却しないと諸費用の分の借入金が返済できなくなってしまいます。購入にかかる諸費用は3%~8%程度と言われますが、例えば5,000万の住宅を購入したとすると150万~400万円程度借金が残ってしまう計算に。したがって購入価格よりよほど高い価格で売却しないと、ローンが残ってしまう可能性もあります。
物件購入のために借りた諸費用の金利は高いことがある
ネット銀行は一般的に諸費用を含めて住宅ローンを借り入れできる場合が多いです。しかし金融機関によっては諸費用のためのローンを別途用意している場合もあります。例えば三菱UFJ銀行でいえば諸費用ローンは変動タイプで年4.475%、固定特約タイプでは当初20年固定で年6.640%と高い金利となってしまいます。(2021年3月1日現在)
オーバーローンで購入した物件は売却しにくい
住宅ローン残高より住宅の価値の方が低いと一般的には売却できないと考えた方が良いでしょう。ローンを組んで購入した住宅は、金融機関の抵当権を付けられますが、残債を一括で返済できなければ通常抵当権は解除できません。したがって残債と売却額の差を現金で埋めなければ、売却はできないことになります。
売却ができない場合には金融機関と相談して任意売却という方法があります。任意売却は金融機関の合意のもとに住宅を売却することですが、この場合住宅は売れても債務が残ることになります。そのため自己破産を選ばざるを得ない場合もあるでしょう。
ペアローンでオーバーローンを組むと離婚時にトラブルの原因になる
ペアローンは、それぞれが住宅ローンを組めるので借入額を増やしたり、共に住宅ローン向上を受けられるなどのメリットがあります。
住宅がローンの残債を上回る状態であれば売却はできるので離婚しても何の問題もないでしょう。しかしオーバーローンの場合は、住宅を売却できても債務が残るので、どのように返済するのかという問題が起こります。
どちらかが住宅に住み続け2人でローンを返済してく場合には家を出た配偶者は住んでもいないローンを果たして払い続けられるのでしょうか?よしんばローンを2人で返済していこうとなった場合でも契約違反にもなり金融機関からは一括返済を求められることも!
また住み続ける人が単独のローンに切り替えた場合にはローンを支払っていけるのかなどさまざまな問題が発生することに。
車や家具などの購入を目的とした違法なオーバーローンが増えている
住宅ローンで住宅を購入する場合、オーバーローンで借りたお金を他の用途に使うことはできません。
住宅ローンはほかのローンに比較して金利が安いので、ハウスメーカーや不動産が購入額より高い金額の見積もりを作り、金融機関から借入をさせようとする場合があるかもしれません。
しかしオーバーローンで車や家具などを購入するのは、契約違反になります。不正が発覚した場合には、契約を解除されたり一括返済を求められることもあります。
違法なオーバーローンは銀行の書類確認でバレる
事務員
浜崎編集長
物件の価格に上乗せして借入申請すれば違法なオーバーローンは金融機関にばれないのではないかと考える人もいるでしょう。金融機関は融資をするときに不動産売買契約書や工事請負契約書の提出を求めると同時に物件の評価も行います。契約書の金額が評価額よりも大きく下回る場合には違法なオーバーローンではないかと調査さればれることになります。
まとめ
オーバーローンは住宅の購入費用だけでなく諸費用まで借りられるので、自己資金を十分に用意できない人には大きなメリットがあります。また諸費用迄住宅ローンに含めて借りられれば、安い住宅ローンの金利を享受できます。
しかしオーバーローンにはさまざまなデメリットもあります。手元に資金を残しておかないと会社の業績が悪くなった場合や、変動金利型プランを利用している場合には金利上昇で返済できなくなるリスクもあります。また抵当権の設定されている物件は売りにくいという事も覚えておきましょう。
オーバーローンは大変オトクな面がありますが、反面デメリットもあるので、無理のない借入を行い状況変化に対応できるようにしておきましょう。