住宅ローン審査が通らない驚きの理由!住宅ローンに通らない時はどうする?

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 住宅ローン審査が通らない驚きの理由とは?
  2. 住宅ローン審査に落ちた体験談から通らない人の特徴を探る!
  3. 住宅ローンに通らない時はどうすればよい?

「住宅ローンの審査に落ちてしまった、なんで?」と住宅ローン審査に通らなかった理由が分からない人もいるのではないでしょうか。住宅ローンは書類の申し込みをすれば必ず審査に通るわけではなく、通らないのはそれなりに理由があります。

この記事では、住宅ローンの審査に通らない理由およびダメだった場合の対策について解説します。マイホームの購入は一生に一度あるかどうかの夢のある大切な買い物、諦めることはありません、周到な準備をして再チャレンジしてみましょう!

住宅ローン審査が通らない驚きの理由

 

住宅ローンに落ちた理由というのは、どうしたら分かるのでしょうか?

 
 

金融機関は住宅ローン審査に通らない理由は教えてくれませんが、落ちた驚きの理由があることがあります。よくある例をご紹介しましょう。

 

住宅ローンの審査基準を満たしていない

住宅ローンの審査が通らなかった場合、金融機関はその理由を明らかにしないのでどんな基準で審査をしているのかは分かりません。しかし国交省が発表した「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると「金融機関が融資を行う際に考慮する項目」は主に次のようになります。

考慮する項目 比率
完済時年齢  99.0%
健康状態  98.5%
担保評価  98.2%
借入時年齢  96.8%
年収  95.7%
勤続年数  95.6%
連帯保証 94.2%
返済負担率 89.2%

これを見てお分かりのように、お金を融資しても必ず返してくれるという返済能力に重点を置いて審査していることは間違いありません。それでは主な項目について解説していきましょう。

返済負担率が高い

返済負担率とは「年収に占めるローンの年間総返済額の割合」を言います。借入額が年収に比して多すぎると返済負担率は高くなるので、返済ができなくなるリスクは高くなりローン審査に通ることが難しくなります。返済負担率は、対象となる住宅ローンだけではなく、自動車ローンや教育ローンなどのほかのローンも加えて計算されます。

MEMO
一般的に返済負担率が20%~25%程度なら無理がないとされ、それ以上の場合にはできるだけ少なくしておいた方が良いでしょう。

住宅ローン以外に別の借金がある

クレジットカードで上限一杯のキャッシングをしていたり、消費者金融から多額の借入があるというような場合には住宅ローンを組むのは難しくなります。自動車ローンや教育ローンは目的がはっきりしているのでまだしも、消費者金融からの借金は審査に影響するでしょう。お金の管理ができない・お金にルーズだと…。

信用情報に延滞履歴がある

金融機関はKSC(全国銀行個人信用情報センター)やJICC(株式会社日本信用情報機構)・CIC(株式会社シーアイシー)と契約し、クレジットカードやローンなどの延滞や事故情報を得ています。他のローンの返済が3ヵ月以上滞った場合や自己破産などの履歴が金融情報機関にあると住宅ローンの審査に通ることは難しくなります。

またクレジットカードの借金が多くある場合や他に多額のローンがある場合には、完済しておく必要があります。ほかに携帯電話の通話料の延滞は信用情報機関に登録されませんが、携帯電話本体を分割で購入している場合には信用情報に載るので注意しましょう。

信用情報について不安がある人は住宅ローンの申請の前にあらかじめ信用情報機関に確認しておいた方が良いでしょう。なお延滞履歴や事故履歴は、5年~10年間は削除されないので、それ以降に住宅ローンの申請をした方が無難です。

住宅ローンの審査基準について

 

金融機関の「融資を行う際に考慮する項目」については分かりましたが、具体的にはどのような対策を採ったらよいのでしょうか?

 
 

そうだね。それでは調査にある年齢・年収と勤続年数・健康状態・担保評価の4つの項目について説明しよう。

 

年齢

先ほどの国交省の調査でも完済時年齢と借入時年齢がいずれも90%以上で多くの金融機関で年齢を重視していることが分かります。完済時の年齢については80歳未満であることは必須条件ですが、申し込み可能年齢を20歳以上65歳以下としている金融機関もあります。この場合65歳で契約をすると15年で返済を完了しなければならないので大変タイトです。

注意
また30歳未満の場合には収入や雇用が不安定という理由で審査に通らない場合もあります。

年収と勤続年数

年収や勤続年数は住宅ローンの返済がスムーズに行われるかという点から重要な審査ポイントです。勤続年数が長ければ継続的に安定した収入を得られるとみなされます。一般的に2年または3年以上を申込条件とする金融機関が多く、転職した場合には6ヵ月以上勤務していることを条件とする場合も。

注意
また中小企業や個人事業主の場合には返済能力の点から年収や勤続年数を厳しくチェックされる傾向があります。

健康面

住宅ローンを借りる融資条件として団体信用生命保険(団信)への加入を義務付ける金融機関がほとんどです。団信は住宅ローン返済中に債務者に万一のことが起きた場合には保険金で住宅ローンが完済されます。したがって健康面で問題があり団信に加入できない場合には住宅ローンの融資を受けることはできません。

担保評価

住宅ローンは高額な融資なので返済ができなくなった場合の担保として物件に抵当権を設定します。金融機関は返済が滞った場合には担保していた不動産を売却して資金を回収します。

そのため金融機関は抵当に入れる物件が融資金額を担保できるかが審査の重要なポイントになります。もし物件の担保評価が低い場合には審査に通らないあるいは満額回答を貰えず減額されることも。

住宅ローンが通らない場合はどうするべき?

 

住宅ローンに通らなかった場合はマイホームは諦めなければならないのでしょうか?

 
 

マイホームは長年の夢で、住宅ローンをどうしても通したいと思う人もいるだろうね。住宅ローンの審査に通らなかった場合は、次のような方法も検討してみよう。

 

住宅ローンの再審査に申し込む

一度住宅ローンの審査に落ちた金融機関に再度申し込むことは可能です。申請者の条件が変わらない場合には、まず住宅ローンの審査を通ることはありません。しかし通らなかった理由が分かり、改善すれば審査に通る可能性はあります。金融機関は何を重視して審査をするのかは国交省のアンケートを見ればわかります。

MEMO
自分の条件の何が不足していたかを把握して再度チャレンジしてみましょう。

他の金融機関に申し込む

住宅ローンの審査基準は、どの金融機関でもさほど変わりありません。しかし条件が緩やかで審査に通りやすい金融機関もあります。例えば地域密着型の信用金庫やJAバンク・労金などは、地域に生活している人や商売をしている人には比較的審査が甘い場合が…。

また既に述べたように信用情報は、おおむね10年経つと記録は抹消されます。しかし金融事故を起こした金融機関のデータから抹消されず、審査に通らなかったということはあり得ます。したがって事故履歴を持つ人は当該金融機関を避けて別の金融機関に審査を申し込んだ方が良いでしょう。

フラット35を検討する

フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して扱う全期間固定金利型の住宅ローンで、銀行以外にも信用金庫やネット銀行など多くの金融機関が扱っています。フラット35は勤続年数は問われず収入制限もゆるく、団信への加入も任意なので、審査のハードルは低いといえるでしょう。

MEMO
また健康上の理由により一般団信に加入できない人は加入条件の緩やかなワイド団信を取り扱っている金融機関を検討するのも一つの方法といえます。

ペアローンやリレーローンを検討する

自分一人ではローンが組めない場合にはペアローンやリレーローンを検討しましょう。ペアローンは収入が足りない場合に一定の収入のある同居親族のお互いが主債務者と連帯保証人になりローンを組みます。二人が住宅ローン控除の対象になるメリットがある一方、返済が2本になるので事務手数料や諸費用はそれぞれにかかるデメリットがあります。

物件担保や保証人を増やす

担保不足の場合には追い担保や保証人を追加することで、住宅ローンの審査に通るケースもあります。例えば子供が家を建てる場合に親が持つ不動産を金融機関に提供して抵当権を設定し親を保証人とします。これにより債務者の担保不足を補強し、金融機関の貸し倒れリスクを低減して融資につなげられることに。

借入希望額を下げる

金融機関から年収や属性を見て借入希望額が多すぎると判断された場合には返済比率を引き下げればクリアできることもあります。返済比率を下げる方法は年収を増やすか借入希望額を下げるかですが、年収はそう簡単に増やせるものではありません。したがって身の丈に合った借入額を希望することにより、融資受けられるようになる場合もあります。

MEMO
またほかに返済中のローンがある場合には、全額返済することで、返済比率を下げ借り入れが可能になることも。

住宅ローンの審査に落ちた人の体験談|通らない人の特徴は?

 

住宅ローン審査に通らない人の特徴はあるのでしょうか?落ちた理由にはどんなものが多いのか気になります。

 
 

それでは住宅ローン審査に落ちた人の体験談をご紹介しよう。

 

Aさん

 

クレカ無いと住宅ローンとか組むことできないから若い時にカード使わなくてもいいからカード作れって言う話はよく聞くよね。スーパーホワイトユーザーで利用歴無いと、カード作るときに審査落ちする事あるんよね…落ちた時反社の人間になった気分なんだろうな…悪い事してないのに

 

MEMO
スーパーホワイトユーザー:スーパーホワイトユーザーとは信用情報で利用歴が全くない人。自己破産した後は事後情報が抹消されるので利用履歴がなくなり、金融機関からは問題があるのではないかと疑われます。

Bさん

 

住宅ローンは事前審査厳しいので携帯やカードの支払いが滞って信用情報を傷つけていると通らないから人は多いらしいね。一度審査して落ちた銀行からは、二度と借りれないし。ちゃんとした職で働いて支払いもスムーズに行ってないと、スタートラインにすら立てない。

 

Cさん

 

金融機関に住宅ローンを申請し440万の庭付き2DKで審査に落ちた。年収500万、総資産400万(うち仮想通貨130万)、去年は法人代表、今年は個人事業主。借金無し。仮想通貨130万が現金だったら違ったのかも、めっちゃ悔しい・・・

 

Dさん

 

12月に住宅ローンを組んで2ヶ月で信販1800万の審査に落ちました。家電家具をクレジットカードで買い、2ヶ月で100万以上使っていた事も落ちた原因でしょうか…履歴が消えたら再トライしたいのですが、他に審査に落ちる原因などはあるのでしょうか?

 

Eさん

 

「携帯の支払いのネガ情報で、住宅ローンの審査落ちた」みたいな話はハウスメーカーの人とかからはちょいちょい聞きますね(ほかに汚れが無いとか、その他の条件次第で、半年くらいで再審査でクリアできるみたいな話も聞きますが)

 
 

住宅ローンの審査に通らない人の特徴や、審査に通らない理由として、クレジットカードの支払いが原因になっている方が多いようです。

住宅ローンの審査に通らない理由が、旦那さんのクレジットカードの過去の未払いだったと後から発覚し、妻ともめたという事例もありますので気を付けましょう。

住宅ローンの審査でよく聞くQ&A

 

住宅ローンを申し込もうと考えている人が、疑問に思うようなことはどんなことでしょうか?

 
 

そうだね、次にあげるような質問が多いので解説しておこう。

 

Q:住宅ローンの審査が甘い・緩い金融機関はありますか?

住宅金融支援機構のフラット35は、審査基準が比較的緩いといわれています。その理由は担保物件を重視して審査する点・団信は任意加入な点・年齢基準も緩めな点です。そのため十分な担保になりうる不動産を保有している人や健康に自信がなく団信に加入できない人・年齢基準に合致しない人などは検討する価値があるでしょう。

また地方銀行や信用金庫・労働金庫は地域に密着しているので、比較的柔軟な対応をしてくれます。例えば長年取引関係にある場合や給与の振込先になっている場合・審査基準以外に信用となる材料がある場合などは審査にプラスに働くでしょう。

MEMO
また審査を申し込む金融機関については、ご自分のメインバンクで取引上の信頼を得ている場合は審査に有利に働く可能性はあるでしょう。

Q:住宅ローンの審査に落ちたら何社まで複数申し込みして良いの?

住宅ローンの審査で申し込む金融機関に何社までという決まりはありません。したがって一社の金融機関に通らなかった場合には、ほかの金融機関に申し込むことはできます。また同時に複数の金融機関に審査を申し込み、より条件の良いところと契約を結ぶことも可能です。

Q:貯金が少ない、または頭金0でも大丈夫?

貯金が少ない人や頭金がない人でも住宅ローンの申し込みはできます。しかし頭金を十分に用意していないと、月々の返済金額が多くなります。また変動金利を利用している場合、金利が急騰したような局面では総返済額が大きく膨らみ、返済ができなくなる恐れがあります。

注意
したがってリスクのある借り入れとなるので、金融機関の審査は厳しくなるでしょう。

 まとめ

住宅ローンの審査が通らないのは、それなりの理由があります。まずは国交省が発表した「金融機関が融資を行う際に考慮する項目」についてご自身が当てはまっているかどうか確認しましょう。属性や担保などの問題がある場合には、改善してクリアしなければなりません。

それでも審査に通りそうもない場合には審査の緩やかな金融機関に申し込んだり家族の援助を受けたり住宅の購入費の再検討をしなければなりません。いずれにしても住宅ローンを目いっぱい借りるのは危険!ご自分の身の丈に合った金額を借り、余裕のある返済をしましょう。