住宅ローン控除でいくら戻る?計算方法やシミュレーションの方法を紹介!

この記事を書いた人
小島 優一
宅地建物取引士

宅地建物取引士、2級ファイナンシャルプランニング技能士。生命保険会社にてリテール業務に従事した後、2014年に不動産仲介会社であるグランドネクスト株式会社を設立。 2021年より幻冬舎ゴールドオンラインにて不動産を通じて財産を守る、増やす、残す記事を連載している。 >> 詳細はこちらから

この記事のまとめ
  1. 住宅ローン控除でいくら戻る?計算方法
  2. 住宅ローン控除のシミュレーションも紹介
  3. 住宅ローン控除の特例を受ける条件は?

住宅ローンを組んでマイホームを購入したりリフォームをすると、所得税・住民税から控除を受けられます。これを住宅ローン控除と言いますが、その計算方法について詳しくご存知でしょうか?マイホームの購入は一生にそう何度もない大きな買い物です。住宅ローンによっていくら戻るのか、計算方法やシミュレーションをご紹介します。

また消費税10%への引き上げに伴い減税期間が10年から13年間に拡充されました。しかし新型コロナの影響により住宅ローン特例措置の条件に合致しないこともあるので、柔軟な運用が示されましたのでそれについても解説します。

住宅ローン控除でいくら戻る?計算方法

住宅ローン控除の計算方法
 

住宅ローン控除でいくらくらい戻るのか気になります。どのように計算するのか教えてください。

 
 

住宅ローン控除は、消費税増税に伴い特例措置が実施されているんだよ。また特例措置は新型コロナによる影響を考慮し、弾力的に運用されているのでその説明もしよう。

 

住宅ローン控除の計算方法

住宅ローン控除は住宅ローンを組んで新築住宅や中古住宅を購入したり住宅をリフォームした場合に税金が還付される制度。年末の住宅ローン残高の0.7%を控除、控除しきれない場合は住民税から控除されます。

以前は控除率1%でしたが税制改正により0.7%に引き下げられました。

主な適用要件としては次のようなものがあります

住宅ローン控除の主な適用要件
  1. 自らが居住するための住宅
  2. 引渡し又は工事完了から6ヶ月以内の入居
  3. 借入した人の合計年間所得が、2,000万円以下
  4. ローンの返済期間が10年以上
  5. 登記簿に記載されている床面積が50㎡以上
  6. 昭和57年以降に建築又は現行の耐震基準に適合

住宅ローン控除の計算式は次のように表せます。

住宅ローン控除額=年末の住宅ローン残高×0.7%

住宅性能や時期によって借入限度額が変更に

住宅の種類や入居時期によって借入限度額や最大控除額が変わります。下記の表をご覧ください。

【新築住宅】2022年~2023年に入居した場合

住宅の種類 借入限度額 控除率 控除期間 最大控除額(年間) 最大控除額(合計)
長期優良住宅
低炭素住宅
5,000万円 0.7% 13年 35万円 455万
ZEH水準
省エネ住宅
4,500万円 31.5万円 409.5万円
省エネ基準
適合住宅
4,000万円 28万円 364万円
その他の住宅 3,000万円 21万円 273万円

【新築住宅】2024年~2025年に入居した場合

住宅の種類 借入限度額 控除率 控除期間 最大控除額(年間) 最大控除額(合計)
長期優良住宅
低炭素住宅
4,500万円 0.7% 13年 31.5万円 409.5万円
ZEH水準
省エネ住宅
3,500万円 24.5万円 318.5万円
省エネ基準
適合住宅
3,000万円 21万円 273万円
その他の住宅 住宅ローン控除適用なし

【既存住宅】2022年~2025年に入居した場合

住宅の種類 借入限度額 控除率 控除期間 最大控除額(年間) 最大控除額(合計)
長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円 0.7% 10年 21万円 210万
その他の住宅 2,000万円 14万円 140万円

住宅ローン控除額のシミュレーションは?

住宅ローン控除額のシミュレーション

 

計算方法などについては、大体わかりました。自分の場合、どれくらいの額が控除されるのか具体的な数値が知りたいです。

 

 

住宅ローン控除額は、シミュレーターを使ってシミュレーションしてみることがお勧めです。

 

具体的な住宅ローン控除額を知るにはシミュレーターを活用しよう

「住宅ローン シミュレーション」と検索すると様々なシミュレーターが表示されますので調べてみましょう。

金利の変動・ボーナス払いの有無など、細かい設定もできるサイトもあります。

自身の状況に合わせた設定で検索できるので、やってみてはいかがでしょうか。

住宅ローン控除を計算する場合の注意点

住宅ローン控除を計算する場合の注意点
 

多額の税金が還付されるのでは、必ず申請しなければ損ですね。住宅ローンを計算するときの注意点はありますか?

 
 

住宅ローンの残高や課税額により、気を付けなければならない点があるので説明しよう。

 

住宅ローンの借り換えは、従前住宅ローンを消滅するための借入なので原則として住宅ローンの対象となりません。しかし下記の要件を満たす場合には住宅ローン控除が受けられます。

住宅ローン控除を受けるための要件
  1. 新しく組む住宅ローンが当初住宅ローンの返済のためのものであること
  2. 新しい住宅ローンが10年以上の償還期間があり、住宅ローン控除の対象に合致すること

なお新たに住宅ローンを組んでも住宅ローンの控除対象期間は以前の控除期間の残期間になることを覚えておきましょう。

住宅ローン残高が借換えで変わると控除対象額が変わることもある

住宅ローンの借換えを行うことにより住宅ローン残高変わらなければそのまま控除対象額は変わりません。新たに組んだ住宅ローンが借り換え前の住宅ローンよりも少なくなる場合には借り換え後の住宅ローン年末残高が控除対象額になります。

即ち

借換え前の当初の住宅ローンの残高≧借換え後の新たな住宅ローン借入時の金額

控除対象額=借換えによる新たな住宅ローン等の年末残高

しかし新たに組んだ住宅ローンの借入額が、借換え前の住宅ローン残高よりも増える場合には次のように調整されるので注意が必要です。

即ち

借換え前の当初の住宅ローンの残高<借換え後の新たな住宅ローン借入時の金額

控除対象額=借換え後の住宅ローン年末残高×借換え前の当初住宅ローンの残高÷換え後の新たな住宅ローン借入金額

住宅ローン控除額はふるさと納税と併用すると減額することも

住宅ローン減税を受けているが、ふるさと納税も併用できるのか疑問に思う人もいるでしょう。住宅ローン減税を利用していても、ふるさと納税の寄付金分の控除を受けることはできます。しかし共に納税額からの控除となるので、納税額を超えた控除はできません。課税対象所得が少なくなるので課税額も減り、住宅ローン控除額が減る場合があるので注意しましょう。

「ワンストップ特例制度」を利用すれば、ふるさと納税の税額控除は直接住民税から控除されるので、課税総所得は変わりません。したがって両者は併用しやすいと言えます。

ワンストップ特例とは:確定申告をする必要のない給与所得者が利用できる制度。1年間のふるさと納税が5自治体以内で、申し込みの都度申請することにより利用できます。ワンストップ特例を利用することで、確定申告をすることなしに税額控除を受けられます。

まとめ

この記事では主に住宅ローン控除の計算方法について解説しました。消費税が10%になりその対策として減税期間が拡充されましたので、その計算方法を覚えておいて欲しいと思います。またコロナウィルスの影響により特例措置も柔軟性のある運用がなされています。マイホームの購入は一生に一度あるかどうかの大きな買い物!住宅ローンを組む時は、年収や返済期間・借入金額・住宅ローン控除の内容もよく考えて決め損をしないようにしましょう。