空き家を持っている不動産所有者による、無償譲渡というものがあります。
家を探している中で、賃貸と購入両方の良さを取り入れられる、また所有者にも大きなメリットがある制度です。
とはいえ多くの人が知っているわけではなく、あまり知られていない制度を有効活用するには、メリットやデメリット、税金について知っておきたいところですね。 空き家の無償譲渡について解説します。
- 無償譲渡物件とは所有者と利用者間で無償受け渡しをする物件のこと
- 無償譲渡物件は購入費用はかからないが贈与税や登記費用がかかる
- 仲介はかからないが、書類などは全て自分で作成する手間などがある
無償譲渡物件とは
無償譲渡物件とは文字通り所有者と利用者間で無償受け渡しをする物件です。 本来賃貸や売買により所有者と利用者で契約が成り立ちますが、売買が難しい空き家の有効利用などを目的として無償で贈与契約をします。
無償譲渡物件のメリット
メリットは何より無償で譲渡を受けて入居ができることです。 不動産会社を使わなければ、仲介手数料もいりません。 自己所有物件が欲しいと思いながら、資金面で断念している人には良い制度です。
無償譲渡物件のデメリット
物件購入費用はかかりませんが贈与税や登記費用がかかります。 まったく無償というわけではありません。 住宅を取得することに対するこうした初期費用は別途計算しておきましょう。
また不動産会社を仲介しない場合には仲介手数料は不要ですが不動産会社が代わりにしてくれるべきことを、すべて自分でする必要があります。 不動産をやり取りするための契約に必要とされる書類を個人で作成しなければなりません。 こういった手間がかかることを考えておきましょう。
地方では空き家が増えている
地方で所有している空き家を無償譲渡するケースが多くなりますが、都会に移住することや実家である空き家を長くもてあましていたことなど地方に空き家物件の増加が目立ちます。
少子化・人口減少の影響で空き家が増えている
住宅の戸数は増加傾向にある一方で日本は少子化が進んでいます。 調査では人口が減少する年も見られ少子化と高齢化により空き家は増加、特に地方では定住する人が減ることでの空き家化がめだちます。
地方にある実家を出て都会に住み実家に住む人がいなくなった後も、その家に戻らないことで地方にある空き家が増えています。
税制上の影響で空き家を保有するのは損
空き家を放置しているメリットはほとんどありません。 不動産物件を所有していると住んでいない家でも課税対象となります。 固定資産税と都市計画税がありますが、これは毎年1月1日にその物件の名義を持つ所有者に対して課せられます。
空き家として放置していても毎年税金を払うことになり、保有していることでの良さはまるでありません。
空き家を0円で無償譲渡で手に入れる方法
空き家を無償譲渡している所有者を探したい、無償で家を譲ってほしいと思ったものの、どう探していいか分からないという人も多いのではないでしょうか。 手に入れる方法を解説します。
譲ってもらう
移住希望する地方の自治体に行ってみましょう。 空き家の情報を自治体で管理しているところがあります。 役所などに行き紹介してもらう方法が早道です。
知人から譲渡してもらうのが確実ですが伝手がない場合には希望する地方の公的機関に問い合わせてみると、物件紹介を受けやすくなります。
空き家バンクを利用する
空き家バンクを利用するという方法もいいでしょう。 過疎化が進んだため空き家が目立つ地域で、移住してきてほしいと考える自治体が空き家を有効利用するために管理しています。
空き家バンクに登録されている物件には無償譲渡だけではなく売買や賃貸も含まれていますが、空き家を一括管理しているという点で探しやすいでしょう。
無償譲渡で空き家をもらう注意点
無償譲渡には空き家を買い取るだけの費用がかからず、出費をおさえて空き家を譲ってもらえる良さがあります。 ただ不動産物件の譲渡に関する注意点はあります。
訳あり物件の可能性が高い
住む人がいない空き家を持て余しているための無償譲渡と理解しておきましょう。 なぜ住む人がいないのか、この理由もチェックしておくことが大事です。
過疎に陥った地方で住民の流出が激しいために住むメリットがなく、空き家のまま放置していることが多く、まず交通機関が整っていない可能性も考えられます。 この場合は自動車を所有していることや老後にも運転できる人と同居することなど、足の便を確保する必要があります。
また老朽化が進み害虫や風雨による被害を受けていることも考えられます。 シロアリ被害で家の土台から損傷を受けている家もあり、事前に調査が必要です。 一見問題なく建っているようで入居後に屋根や床の損傷から雨漏りなどに悩むことも起きがちです。
そして事故物件という可能性もあります。自死や殺人などが過去に起きた「瑕疵物件」であり地元では買い手がつかないために空き家として放置した末無償譲渡という方法を取っているかもしれません。
この場合「告知義務」があるのではと考えがちですが告知義務は事故物件になった後で誰かが一度住めばいいとされており、法律上にいつからいつまでという期限はありません。
初期費用は抑えられるが税金はしっかりかかる
無償譲渡物件の場合、家を購入する費用は不要です。 しかし税金はかかります。 住宅取得に関する税金には以下の種類があります。
贈与税
資産を譲り受けた場合には贈与税が発生します。 年間110万円の基礎控除額がある贈与税は110万円以上が課税対象になります。 相続税評価額から算出され、超過累進税率となるため税率は金額に応じて変わります。
登録免許税
土地と家屋の所有権移転登記をすることになりますが、これに対する税金です。 贈与を受けた場合、固定資産課税台帳に記載された価格の2%が登録免許税としてかかってきます。
固定資産税
土地や家を所有する人に対して年1回の課税があるのが固定資産税です。 1月1日にその物件を持っている人に、1.4%の税率で課税があります。
まとめ
空き家を放置している人が税金対策やリフォーム費用の軽減などを目的に無償譲渡をするケースがあり、安く物件を手に入れたい人にとっては、うまく利用するとメリットが多い制度です。
物件を無償で譲渡するには理由があります。 そこで暮らすことを考えるなら、物件費用以外にかかる初期費用や環境をよくチェックしましょう。
少子化や高齢かに伴い資産としての不動産物件を無償にしてもいいから処分しようと考えている人は少なくありません。 手放す理由や住居に問題がないことを確認して、うまく利用してみましょう。